古屋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月14日

(平成26年1月14日(火) 10:42~10:58  於:合同庁舎第2号館18階第4会議室)

1.発言要旨

 どうも御苦労様です。
 ちょうど私も出張しておりまして、昨日戻ってまいりました。キューバ出張でございますが、防災担当大臣として、あるいは私は日本・キューバ議連の会長も務めておりますので、そういう立場等々で行ってまいりました。一言で言うと非常に成果はあったと、充実していたと思います。ラウルという今の現国家評議会の議長、そして皆さん御存じのフィデル・カストロという象徴的な存在、2006年に譲っていますけれども、まだ大きな影響力がありますね。それから、あと3年後にはディアスカネルという国家評議会の第一副議長ですね、この人間に譲るということを半ば公言していますが、このディアスカネル副議長とも会談をいたしました。52歳の若手で、要するに革命世代ではない人ですね。
 それから、今、日本とキューバでは、一番の懸案が実は経済問題なんですね。要するに貿易債務の問題、これはむしろ議員連盟の会長としての取組を十数年間やってきましたけれども、事実上、短期債務は昨年解決しましたので、中・長期債務を解決するということで、向こうのカブリシャスという、これは閣僚評議会の副議長ですけれども、同時に経済関係の責任者、知日派でもあります。駐日の大使もしておりましたけれども、3時間近く、2時間半ぐらい交渉しまして、要するに日本が投資をするには、それなりのルールというものがなければならない、また、中・長期債務の解消の交渉はパリクラブでやらざるを得ない等、相当いろいろ突っ込んだ意見交換をしましたけれども、十分に私たちの意見はわかっていただいたと思います。
 それから、ラソという、人民権力全国議会というのがある、これは国会ですけれども、ここの議長とも会いました。そのほかにも、例えばレアルというハバナ歴史事務所長、この方は、旧ハバナ市街、御承知のように世界遺産になっていますけれども、この修復をしていまして、そういう意味では観光資源の開発という意味で、私も視察をしてまいりましたが、極めて魅力的でしたね。それから、今年は伊達藩の支倉常長がキューバを訪れてから400年ということで、400年記念のいろんなイベントをキューバでやります。チャーター便を飛ばしたり等々であります。
 そしてもう一つは、何といっても防災担当大臣として、私は防災のパルド全国防災参謀本部長という方、あるいは気象庁の長官とも会って話をしてきましたが、基本的に中南米では防災関係、特にハード面よりもソフト面が極めて進んでいますね。これはちょっと注目に値するというか、傾聴に値する。例えば、サンディという台風が、ちょっと時期は忘れましたけれども、数年前にあったサンディ、アメリカにも大きな被害をもたらしましたが、キューバでも実は死者が11人なんですが、これでも最悪の事態だそうでありまして、40年、50年前は何千人単位で亡くなったそうですが、特にソフト面の避難指示、勧告あるいは教育、地方公共団体との連携、こういうものを徹底した結果、ほとんど人的被害を生じていないということですね。これは来年、国連防災世界会議がありますので、途上国等々に対しては貴重なアドバイスになるんではないかということで、是非この責任者に来てほしいという要請もさせていただきました。
 また、気象庁が天候の予測はほぼ90%ということで、実はドップラーレーダー、8基あるうちの1基しかないんですね。どうしてそこまで正確にできるかというと、これは実は一番古いレーダー、1972年に日本が提供したレーダーだそうでありますけれども、そのレーダーを改修して、ドップラー的機能をも付加するように改良して使っていると。こういうことでありまして、そういった技術力の高さ、特に気象庁は1,500人も職員がいるんですね。人海戦術ですよ。Ph.D.、ドクターを取っている方もたくさんいらして、そういう専門的な知識を駆使してやっているということで、日本が知るキューバのイメージとは相当違うと。一言で言うと、やっぱり日本人と同じように非常に勉強熱心、それから人材が優秀、という印象を受けました。
 国連防災世界会議への参加も要請をさせていただきました。
 なお、フィデル・カストロ前議長とは私邸で会いましたけれども、私は会うのは4回目になるのかな。多分、国会議員の中で一番私が会っていると思うんですが、そもそも私がキューバに関心を持ったきっかけは、このフィデル・カストロ氏が、東西冷戦終えんで、もう北朝鮮とキューバしか純粋な社会主義をとる国がないと。北朝鮮は御承知のようにああいう国でありますが、キューバはアメリカの情報も自由に入ると、亡命も合法的に認めている。しかし、ソ連の支援がなくなって、経済成長がマイナス何十%となっても、まだ暴動は起きないし、そして国民は堂々としていると。この国って、どういう国だろうと思って、関心を持って私は1992年に初めて訪問して、そのときにカストロ議長に会って何時間も話ができた。やっぱり何十年間にわたって国家元首を務めている人間は、こういうカリスマ性があるのかなということで、その関心を持った結果、私はキューバの議員連盟の会長になったということでありまして、古屋圭司がキューバ議連の会長になるのは不思議だという方は大勢いらっしゃいますので、私はそういう属人的な関係で、今引き受けさせていただいております。
 ただ、日本とキューバとは非常に友好関係を保っています。防災関係の連携はもちろんのこと、医療関係の連携、そして中・長期の債務問題が解決すれば、キューバとの連携はもっと強まっていくだろうと。特に今年は支倉常長が行ってから400年ということで、ANAに、全日空にダイレクトフライトの働きかけをいたしております。実際にそのANAの幹部も私のミッションに同行してもらいまして、向こうの運輸省等々とも、官公庁ともいろんな打ち合わせをしてもらいました。多くの方が、日本からこの記念行事に行っていただくということが大切だと思います。
 なお、私がキューバに行く前に、フランスでトランジットをしたんですが、そのときにフランスの議員連盟の会長、要するにフランス・キューバ議員連盟の会長にも朝、会いまして、ちょうどそのときにフランスも、フランスの歴史博物館が改修できるので、キューバでその式典をやりたいんだと。だったら、是非日本と連携できないかというような話がありましたので、キューバとフランスの両大使にそういう取組を、是非後押しするようにということで指示をさせていただきました。
 そういうことでありまして、最後に、フィデル・カストロ氏の住んでいる私邸は極めて質素、もう普通の家です。警備は相当厳しかったですけれども、本当に普通の家です。やっぱりこういうところが、まだ国民からの支持を得ているということなのかなと。独裁国家でありながら、社会主義国家でありながら、リーダーが非常に質素な暮らしをしている。こういうところが、国民から支持を得ている理由なのかなと思いました。
 観光のポテンシャルもたくさんありますので、アメリカも経済封鎖をどうするかは、アメリカとキューバとの2国間関係でありますが、仮に経済制裁が緩和されるということになれば、非常に魅力的な地域になる。心配なことは、中国とか韓国が既に相当乗り込んできて対応しています。やっぱり一番信頼関係のあるのは、アジアでは日本でありますから、こういうところでも外交戦略上、非常に取り組んでいく必要があるなということは感じました。
 キューバは以上です。
 それから、次は中央防災会議。17日に中央防災会議を開催させていただく予定でございます。南海トラフと首都直下地震にかかわる地域指定のための諮問を行わせていただきますし、また防災基本計画の修正について決定させていただければなと思っております。実はそれに先立ちまして、25年の総合防災訓練大綱に基づきまして、首都直下地震を想定して各省庁の職員の非常参集訓練を実施することといたします。閣僚も徒歩で基本的に来ていただくと。官邸への参集訓練を朝、実施すると、こういうことで取り組ませていただきたいと思います。政府のBCPをしっかり維持するための訓練でございます。災害対策に万全を期していくという一環で、この取組をさせていただきます。
 それから、もう一点、拉致被害者御家族の松木薫さんのお母さんのスナヨさんがお亡くなりになりました。私、就任して間もない、去年の1月に病院までお見舞いに行きました。まだ、松木薫さんが取り戻せていないということは極めて残念ではございますけれども、やはり私としては全員の被害者を取り戻すという気持ちで、引き続き安倍内閣の下で頑張ってまいりたいと思っております。そこで、私も明日の葬儀には参列をさせていただこうということで、今調整をさせていただいております。
 もう一点、さきのキューバ出張に関してでございますが、ロドリゲス外務大臣と、それからラウル国家評議会議長に会った際には、拉致問題の解決への要請をさせていただきました。御承知のように、北朝鮮とキューバは国交がございます。かつて、私、フィデル・カストロが来日した2003年に、拉致の問題をフィデル・カストロ自身に話をしたところ、フィデル・カストロ自身は、もう金日成と私とは本当に刎頸の友だったと。電話で話ができるんだというようなことを言っていましたけれども、かつてはそういうことだったということですね。いずれにしても、日本の立場は十分に理解をしたと。ロドリゲス外務大臣が日本に11月に来たときに、総理にも会っていただきましたし、また外務大臣にも会ってもらいました。そのときにも、この拉致問題について言及をいたしておりますが、私からも改めて言及して、国交のあるキューバが日本のスタンスをしっかり伝えてほしいということを、私からも改めて要請をさせていただきました。しっかり理解し、テイクノートしたということで、向こうからはいい反応がありました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の江藤です。
 日本維新の会のアントニオ猪木議員が再び北朝鮮入りしました。また、北朝鮮の要人と意見交換をする見通しでして、国会閉会中なので国会の許可は要らないんですけれども、政府として国民に渡航自粛を求めている中で、国会議員が北朝鮮に行ってしまったということへの受け止めを。
(答)政府は今回のアントニオ猪木議員の訪朝に対しても、自粛を強く働きかけたということを承知いたしております。そのスタンスに尽きると思います。北朝鮮に対しては、日本は拉致問題を抱えています。この拉致問題解決のために、政府・与野党一体になって今取り組んでおりますので、やっぱりそれが私たちの基本的なスタンスであるということは、しっかり国民の皆さんも理解をしていただきたいと思います。おそらく皆さん、そういう御理解をいただいていると思いますが。ということであります。
(問)政府、与党、野党を含めてオールジャパンでやっていこうというのを乱されるというか、そういう影響の懸念は。
(答)これは政府の拉致問題対策本部の中に、政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会があるんですね。各政党の拉致問題で取り組もうと、維新の代表も入っているんですよ、実はね。そういうところでしっかり議論をして取り組んでいくということならば、また状況が違うんでしょうけれども、あくまでも個人の活動ですからね、これは。自粛をしても、本人が行くということを、日本は民主国家でありますから、そこまでは阻止はできないということです。
(問)前回と繰り返した質問になりますけれども、これによって拉致問題への影響というのは。
(答)ないでしょう。

(以上)