古屋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年12月17日

(平成25年12月17日(火) 12:23~12:38  於:合同庁舎第2号館18階第4会議室)

1.発言要旨

 今日は、ちょっと一連の会議がありまして、少し会見が遅れましたけれども、まず私からは、今日は第1回目の国土強靱化推進本部の会議がございました。もうメディアにもオープンでございますので、新しくできた国土強靱化基本法に基づいて推進本部をつくって、その第1回目の会合が行われました。総理からも、この法案の施行を機に、国土強靱化の取組を本格化させるようにと、こういう指示もございまして、国土強靱化政策大綱を今日正式発表させていただきました。これは法律が成立する前でございましたけれども、先行して与党政府一体の取組をして、この国土強靱化政策大綱をつくり上げました。
 また、大規模自然災害等に対するぜい弱性評価の指針、これも併せて本部で決定させていただきました。今後は、この決定事項に基づきまして、国土強靱化の取組を推進してまいりたいと思っております。過日も省庁連絡会議で私から各省庁に対しても平成26年度予算についてもこの考え方をしっかり反映させて対応していくように、ということで指示をさせていただいております。
 また、来年には、大体5月ぐらいを目途になると思いますが、国土強靱化の基本計画を策定したいと思っておりますし、またそれに呼応する形で地方の強靱化の計画をしっかりそれぞれの地方公共団体、特に都道府県知事が一番大きな役割を担うことになりますけれども、その地方の計画も推進していくように、国と地方が一体になってこの強靱化計画を推進していくということが大切だと思います。改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、優先順位をつけて、常にPDCAのサイクルを徹底しながらこの強靱化を進めていくということが極めて大切だということであります。これが1点目です。
 それから、もう1点が、降雪、雪の時期にいよいよ入りますので、防災態勢の強化について通知を発出いたしました。もう御承知のように昨年は雪で死者が100名を超えましたし、重傷者も591名の人的被害が出ております。したがって、昨日付けで中央防災会議会長、内閣総理大臣でございますが、道府県防災会議の会長、これは道府県知事です、及び関係機関の代表宛てに「降積雪期における防災態勢の強化等について」の通知を発出させていただきました。この通知は、昨年の豪雪災害等々の教訓も踏まえまして、在宅時の安全な過ごし方に関する普及啓発、車両運転者等に対する普及啓発、インターネット等の多様な情報伝達手段の活用について、新たに周知徹底をするということにしております。詳細については、事務局にお問い合わせいただきたいと思います。
 それから、警察及び拉致関連でございますが、御承知のように北朝鮮によって拉致をされた可能性を排除できない事案は862件でございますけれども、この中の捜査中でありました加瀬テル子さんの事案について報告させていただきます。加瀬テル子さんは昭和37年千葉県の自宅を外出したのを最後に行方不明となっております。その後、北朝鮮から脱北者により持ち出され、加瀬テル子さんであるとされた写真について、このたび警察庁の外事課にこの春先に設置した特別指導班の班員、係官がこの写真の人物に直接面会をいたしました。そして、この写真の人物が加瀬テル子さんではないという判断に至りました。この写真は北朝鮮で撮られたものではなくて、この写真の人物は脱北者ではない。こういうことであります。その他、個別具体的な内容についてはプライバシー保護の観点等々、また捜査上の秘密の問題もありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、加瀬テル子さんの事案については、北朝鮮によって拉致された可能性を排除できない事案として引き続き全容解明に向け関係機関と連携をとりつつ、関係情報の収集、捜査・調査に全力を挙げるように警察にも督励をしてまいりたいと思っております。
 それから、昨日は、北朝鮮人権侵害問題啓発週間の最終日ということで、内閣総理大臣にも出席していただいて御挨拶をいただき、コンサートをさせていただきました。全国27会場でパブリックビューイングをしていただきました。まだ最終的にどれぐらいの方がお見えになられたかは集計ができておりませんけれども、いくつかの会場では満員の皆さんにお越しをいただいたという報告を受けております。やはりこういう形で多くの国民に拉致問題を改めてしっかりと認識いただいて、国民の怒りの声を北朝鮮にぶつけていく、これが解決につながる大きな国民運動になると思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)共同通信の江藤です。
 先ほど発言がありました加瀬テル子さんですが、写真が違っていましたけれども、事案としては。
(答)そうです、まだこれは引き続き。脱北者の方が提供した写真が御本人ではないということが客観的に判明したということであります。これはある意味で、特別指導班をつくって、詳細な検証をしていた一つの成果だと思います。
 御本人が見つかったということでなく、むしろ逆ですね、御本人ではないということが確認されたわけでございますが、こうやって一つ一つ事実解明をしていくという意味ではこういった特別指導班が機能しているという象徴であると考えています。
(問)文化放送の石森です。
 北朝鮮の金正日死去から2年ということで、張成澤氏の処刑など、最近の北朝鮮の動きをどのように御覧になっているか改めて教えていただきたいのと、それから、拉致問題や国の対応をどのように考えていらっしゃるのか。
(答)張成澤のこういった粛清、処刑というのは、普通の国では考えられないことですから、そういう意味では北朝鮮という国をしっかり冷静に引き続き見ていく必要があると思います。これによってどういうふうに北朝鮮が変わっていくのか、これは内部の権力闘争、いろいろな要素があると思いますので、その辺の分析をしっかりしていく必要があると思います。
 また、潘基文事務総長も国連で会見をされ、記者会見で発表したようですけれども、推移を注意深く見守りつつ、いかなる誤った行動も起こさせないようにしっかり働きかけをしていく。国際社会がそういう連携をしていくことが極めて重要だという発表もございましたけれども、全くそのことは同感だと思います。
 また、拉致問題については、これはもう私も何度も申し上げていますけれども、北朝鮮が今年5月ぐらいまでは非常に挑発的な言動を日本に対して繰り返していましたけれども、5月以降はそういう言動はほとんど無いというのが現実ですね。だから、政権が安定するということは、私は拉致問題解決のために極めて重要だということを就任のときからずっと申し上げてきましたけれども、北朝鮮も安倍政権がどういう形で推移するか、安定するかどうかをしっかり見ているという、一つの現象だと思います。
 ですから、私はそういう意味では、拉致問題解決、被害者を取り戻す取組は少しずつ前進していっていると思いますし、また日本と北朝鮮との二国間の問題でありますから、昨日ちょうど総理がコンサートのときにも冒頭で御挨拶がございましたので、自分の内閣のときにしっかり解決したい、主体的に交渉していかなければいけないという趣旨のことを言及されましたけれども、私も拉致問題担当大臣として、そういう姿勢で臨んでいきたいと思います。とれる手段は、あらゆる手段をとるというのが我々の政府としての方針の中にもはっきりうたわれておりますので、引き続きそういう態度で取り組んでいきたいと思います。
(問)関連ですが、共同通信の江藤です。
 昨日、総理はチャンスがあればいつでも話合いをしたいという意欲を述べられましたが、これまで大臣は5月以降挑発的な発言を控えているという発言もありましたが、圧力というものが継続しつつも、やはりチャンスがあればいつでも対話していくんだという。
(答)総理も何度か言っておりますことは、対話のための対話では意味がない。やはり解決に向けた対話というのが極めて大切だということだと思います。これに尽きます。総理はそういう意味で、昨日の発言をされました。
(問)朝日の斉藤ですけれども、国土強靱化の推進本部、冒頭の総理の発言、時間が短かったんですけれども、大臣の発言、もしくは誰かから意見が出たといいますか、会議の概要みたいなものを。
(答)会議の概要ですか。これは基本的にずっとすり合わせをしておりますので、例えば防衛大臣が退職自衛官の活用等々について、協力をしている、今後ともこの国土強靱化基本計画の中、策定に向けてそういった取組を是非協力していきたい。退職自衛官というのは極めてそういう意味では能力もありますし、当事者能力ありますから、むしろソフトの充実、今度の強靱化はハード、ソフトの両方が連携して取り組んでいくということでございますので、そういったマンパワーの活用は極めて重要だと思います。そういう趣旨の発言がございました。
(問)関連で、強靱化という言葉の定義が、防災、減災だけでなく、経済対策であったり、地方の国づくり、いろいろな意味合いが込められて人によって語られるんですけれども、大臣の定義は。
(答)これはもうはっきり基本方針に書いてありますよね。人の命は守る。どんなことがあっても致命傷を負わせない。できるだけ被害は最小限に食い止める。そして、できるだけ速やかに復旧をさせる。この4点ですね。これを平時から取り組むことが成長戦略にもつながる、こういうふうに私たちは言っておりますし、また強靱化基本法にもそういう精神がしっかり記されています。
(問)NHK川田です。
 先ほどもお話があったんですが、金正日総書記は今日で2周忌ということで、粛清された張成澤の妻の金敬姫さんは出席されなかったと報道されていますけれども、今回の2周忌を機に金正恩体制から新しい指導体制を確立しようといろいろ動いていると言いますけれども、大臣としてどのように分析されているか。あと安倍政権としてどのように。
(答)これは今日も映像を見る限りは、張成澤の夫人である金敬姫氏は出席をしていないようです。ちょっとこれはよく確認しておりませんけれども、いろいろな見方がありますので、総理もおっしゃっているように、冷静沈着に分析をしていくことが大切だと。いろいろな意見が私どものほうにも入ってきています。しかし、それだからといって、我々としてはこういう考え方でいくということは今現時点で言うのはちょっと時期尚早ではないかと。しっかり正しい情報を入手していくことが極めて大切だと思います。

(以上)