山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年9月2日

(平成26年9月2日(火) 10:39~11:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 冒頭、海洋政策担当大臣として一言コメントさせていただきます。
 先週の8月27日から29日まで中国の厦門(アモイ)に出張いたしました。第4回アジア太平洋経済協力会議、APEC海洋担当大臣会合に出席をいたしました。大臣会合において、最初の基調講演者として喫緊の課題である気候変動が及ぼす海洋への影響に関して講演をさせていただきました。詳しくは後程のプレゼンで説明をさせていただこうと思います。
 それから、沖縄担当大臣としても一言御報告をしたいと思います。
 9月4日から5日に本年度2回目となる沖縄力発見ツアーの実施を予定しております。本土の製造企業の関係者等24社の幹部に参加をしていただくことになっております。地元関係者との意見交換、それから、現地視察を通じて沖縄のビジネス環境を実体験していただく予定になっています。このツアーによって沖縄への投資促進、それから、新たな産業の創出振興、このような沖縄振興につながるように取り組んでいきたいと思います。後任の沖縄担当大臣がどなたになるかわかりませんが、この沖縄発見ツアーは引継いでいただきたいと思っております。
 それから、科学技術政策担当大臣としても一言申し上げたいと思います。
 STAP細胞の件ですが、STAP細胞作れずという報道が昨今あったわけですが、8月27日に理化学研究所がSTAP細胞論文の共著者である丹羽プロジェクトリーダーによってこの本年4月から実施しているSTAP現象の検証実験、この結果について中間報告をいたしました。それは承知をしております。それによると、マウスの脾臓(ひぞう)の細胞を塩酸で処理をしたと。しかしながら、これまでSTAP細胞ができたことを示す現象は検出できないということになっています。検証実験は今後も継続をされるということなので、現時点で意見を述べることは差し控えたいと思います。9月からは小保方氏による検証も皆さん御存じのとおり実施されるということですので、厳密な科学的見地からの結果が速やかに明らかになることを期待しています。
 科学技術政策担当大臣としては、かねてから申し上げているとおり、本検証にとどまらず、STAP細胞に関する問題については、これまでの経緯も含めて徹底的に検証した方がよいと思っています。これから有望な若手研究者とか優秀な女性研究者の方々がいろいろ活躍をしていくためにも、今回の経緯の中で何度も会見で言いましたが、何が正確で何が不正確なのか、何が正しくて何が事実でなかったのかということははっきりさせたほうがよいと。そうでなければ私は将来に禍根を残すと思っていますので、このことはポストを離れても一人の政治家としてしっかり主張していきたいと思います。
 それから、もう一つ科学技術政策担当大臣として申し上げたいと思いますが、下村文科大臣が留任をされるということで、本当によかったと思っているんですが、ともに力を合わせて進めてきた特定国立研究開発法人法案、下村大臣が臨時国会への提出を断念する考えを示されました。私の立場を改めて最後に申し上げたいと思いますが、法案の提出時期は、この当該アクションプランの実施状況とかSTAP論文に関する様々な疑義への対応とか、このようなことをしっかり見極めて判断することが大事だと思っています。
 下村大臣がおっしゃったとおり、法案の臨時国会への提出は現実的には難しいと思っていますが、あの法案、特定国立研究開発法人は内閣府の会議室、大臣室で生まれたと自負をしています。何度も何度も科学技術政策担当部局の人たちに来てもらって、10人を超えた時もありますが、党の議論も踏まえて何度も反論を書き直して文部科学省とも連携をして、下村大臣の所に伺って両大臣の下に懇談会を作るということになりました。私の方から提案をさせていただきましたし、懇談会にも出させていただきましたし、4大臣会合では徹底的に議論して特定国立研究開発法人の必要性について稲田大臣と、それから新藤大臣に理解をしていただいて、ようやくこのような方向性になったということもありますので、もちろんこのSTAP細胞に関する検証をしっかりやってもらわないといけないし、理研の対応を見極めなければいけないんですが、やはり特定国立研究開発法人の創設を諦めてはいけないと思っています。
 詳しいことは言いませんが、何度か大臣会見でも申し上げたとおり、やはり日本に健全な科学技術イノベーションサイクルというものを作るためには、アメリカのようなベンチャー企業、IT企業は急に作れませんから、やはりこの特定国立研究開発法人が橋渡し役をして、大学と、それから産業をつないでいくということが大事だと思っています。
 それでは、今日のプレゼンを行いたいと思います。
 APEC会合の出張について、先程申し上げたとおりAPECの海洋政策担当大臣会合、厦門で開催された会合に出席をしてまいりました。
 簡単に何を行ったのかというと、ここに書いてありますが、気候変動が及ぼす海洋への影響に関して我が国の取組と国際協力の重要性について講演をさせていただきました。この中で、日本がAPECのワークショップの来年開催というものを発表しているんですが、フィリピンで行われる予定ですが、実はAPECのプロジェクトというのは年間数件しか採択されないと。その中でもAPECがフルファンド、全部出すセミナーというのは非常に少ないということで、これを日本がしっかり開催するということは、日本の国際貢献を発信する意味でも非常に大きな意義があると思っていますので、これは徹底的にPRをしてまいりました。
 ということで厦門宣言、これからの海洋政策についての協力を強化していこうという方向性になりましたが、日本は海洋国家ですし、かつ世界有数の災害強靭性国家と言ってもいいと思うんですが、そのような日本が特に気候変動と海洋というような形で国際的な海洋の問題について日本が国際連携に非常に貢献をしているということをアピールできたと、これは非常に意味があったと思います。他にも言いたいことがあるんですが、今日は最終日ですから、最後まで慎重な姿勢を貫いて申し上げないことにしますが、明日以降のブログで書こうとは思っているんですが、ほとんど実質1日の会合でしたが、海洋政策担当本部、本当に一生懸命対応してくれて、先乗り組も一緒に私と行ったスタッフもブログに書いたとおり頑張ってくれて、きちんとした成果があったと。
 二国間会談も一生懸命セットしてもらいました。シャリフ・スタルジョという結構大物のインドネシア海洋水産大臣とも会談をさせていただきましたし、厦門のいわゆる日本商工クラブのメンバーにも会って厦門の現状、今の中国の現状、地方政府と中央政府の対応の違い等々について議論させていただきました。海洋政策担当大臣として最後によい仕事ができたと思っています。
 続いて、これも発表させていただきましたが、大事なことなので宇宙政策委員会の基本政策部会の中間取りまとめについて解説をさせていただきたいと思います。
 基本政策部会の設置の経緯と書いてありますが、宇宙政策をめぐる状況というのは非常に急激に今変わっていまして、2つ大きな流れがあると思うんです。1つはやはり安全保障政策と宇宙政策をどのように連携させていくかと、このことについてきちんと議論していかなければいけないという視点が1つ。もう1つは、やはり安倍内閣の下で作った宇宙基本計画の2つの哲学、1つは自立性の確保、もう1つは宇宙利用の拡大ということなんですが、日本の宇宙産業の衰退を食い止めると。これは人数もどんどん減っていっているので、衰退を食いとめて宇宙産業基盤を強化すると、このようなことについて中長期のビジョンが大事だということで、それをまとめていただくために立ち上げさせていただきました。
 基本政策部会の委員ですが、宇宙政策委員の方々がもちろんかなりいるんですが、片岡さん(片岡晴彦IHI顧問、前防衛省航空幕僚長)とか久保先生(久保文明東京大学大学院法学政治学研究科教授)、あるいは後藤社長(後藤高志西武ホールディングス代表取締役社長)とか非常によいメンバーに集まっていただいたと思っています。
 中間取りまとめの概要ですが、結論だけ言いますが、安全保障政策との連携を強化し、宇宙産業基盤の持続的な維持・強化に資する形で基本方針を再構築することが必要だと。細かなことは言いません。この横断的な視点で安全保障能力の話とか日米同盟とか書いてありますし、準天頂衛星の7機体制とか情報収集衛星のいろいろな話が書いてありますが、結論はそこに書いてある基本方針の再構築が必要だということです。
 これは中間取りまとめということで、年末にかけて最終取りまとめを行うんですが、宇宙政策担当大臣として1つの課題、なかなか最後までできなかったことは、やはり新しい宇宙政策の戦略を作らなければならない時期に来ていると。これはあくまで中間取りまとめなんです、宇宙政策委員会の。これをきちんとした手続を踏んで、安倍内閣の宇宙戦略にきちんと反映させていくと。場合によっては、宇宙戦略の方針を宇宙戦略本部できちんとオーソライズしてもらうとか、このようなところまで本当は行きたかったんですが、さすがに体制も変わるということなので、道筋だけはつけたつもりですから、是非後継の宇宙政策担当大臣に関係各省といろいろと連携をしながらやり遂げてもらいたいなと思っています。
 プレゼンは以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの高野です。海洋担当大臣会合についてお伺いします。この演説の中では、力による現状変更の試みは許されないというような発言があったと聞いているんですけれども、尖閣というワードをあえて口にしなかった理由、中国に行かれたにもかかわらず、領土担当大臣であるにもかかわらずその言葉を口にされなかった、その後の二国間会合、中国との会合でも発言がなかったというふうに聞いているんですが、その意図を教えてください。
(答)それは聞いていただいてよかったです。今の大事なポイントを言い忘れていました。講演の中では、もちろんこの気候変動もそうですが、海洋の様々な協力をめぐる、そのようないろいろな連携の中では意見が違うこともあるという話について言及をして、一方的に現状を変更するようなことは、これはいけないと。これは国際連携というものをきちんと行っていかなければいけないという一文をきちんと挿入させていただきました。
 あまり細かなことは言いませんが、中国側には明らかにメッセージとして伝わったと思っています。これはAPECの海洋政策担当大臣会合で、APEC関連の議題で議論するということだったので、そこにも少し配慮してやや気をつけた表現を使いましたが、もう一回言いますが、明らかに中国側には私の意図するメッセージは伝わったと思います。
 それから、この海洋政策担当大臣会合を主催しているのは、国家海洋局の局長なんですね。本来であればバイ会談をするということも考えられたかもしれませんが、国土資源部でいうと副大臣なので、申しわけないですが、副大臣とバイ会談を行うつもりはありませんから、特に中国側とのバイ会談は私と同じランクの人がいなかったということで行わなかったと、こういうことです。
(問)科学新聞の中村です。STAPとかあっちの方面に関連して、大臣、今までいろんな会合で日本の博士の質が世界から信用されないんじゃないかといろんな場面でおっしゃっているかと思うんですけれども、日本の博士の質を維持するために科学技術政策担当大臣として、次の大臣にもこういうことをやってほしいというのはあるでしょうか。
(答)最後の会見ですから、あまり思い切ったことを言ったらまずいと、慎重にということですが、一つ気になっていることは、早稲田大学の論文の問題なんです。これは実は南カリフォルニアにIT政策担当大臣、科学技術政策担当大臣、知的財産戦略担当大臣として出張した際に、Caltech、カリフォルニア工科大学でいろいろな方からお話を聞いたんですが、あまり細かなことは言いませんが、直感的に言ってこの早稲田の論文の問題をきちんと対応しないといけないのではないかと。
 これは早稲田大学の自治の問題なので、大臣として口を出すつもりはありませんが、ここのところをきちんと説明しないと、早稲田があれだけ実績を上げている、優秀な研究者を輩出している大学にもかかわらず、そのプレステージが地に落ちてしまうということを私は大変心配しているので、この論文について早稲田大学がこれからどのように扱うのかということについては注視をしたいと思いますし、優秀な研究者、研究者の質を上げるということでいうと、中村さんが御存じのとおり、今いろいろな方法があるので、日本の研究者のレベルを疑われるようなことを行ってはならないと思いますので、これは私が言えることではないんですが、よほど気をつけて行っていただいた方がいいのではないかと思います。
 そうではないと、例えばCaltech、世界大学ランキングで3年連続ハーバードを抑えて1位になっているわけですよね。このCaltechに例えば早稲田のPh.D.を持った人が応募した時に思わしくない結果になるということがあり得るのではないかと思って、もう一回言いますが、心配しています。
(問)琉球新報の問山です。8月31日に名護市の辺野古の代替施設建設地域である名護市の市議会選挙が告示されました。この結果が今後、移設作業に影響するのではないかというふうに地元からは上がっています。まず、告示されたことの受止めと、今後11月の知事選と、あと辺野古への政府が進める移設作業に名護市議会選挙の結果が影響するかどうかをお聞かせください。
(答)沖縄担当大臣として、名護市議会選挙にコメントすることは控えたいと思いますし、私の担当はあくまでもずっと言い続けてきましたが、沖縄振興なので、それに直接関連しないことについてはあえてコメントすることはやめたいと思いますが、知事選挙については、41回目か42回目か、仲井眞知事との会談の後のぶら下がりで申し上げましたが、私はこの20カ月、仲井眞知事といろいろとおつき合いをさせていただいて、政治家としては極めて一貫性のある立派な方だと思っていますので、仲井眞知事に頑張っていただきたいと思いますし、大臣というポストは離れますが、一政治家としては是非仲井眞知事にこれからも沖縄の県政の中心になっていただきたいと思っています。
 繰り返しませんが、40回以上会った人はいないと思うんですね。何回か2人だけでご飯を食べたこともありますが、やはり知事の頭の中にあるのは、沖縄振興しかない。つまり次の世代に本当に自立した日本経済を引っ張っていけるような沖縄をどう残すかと、これしか仲井眞知事は考えていないということは確信していますので、是非仲井眞知事に頑張っていただきたいと思いますし、もう一回言いますが、選挙になったら応援に入りたいと考えています。
(問)共同通信の須江と申します。理研の関係でお伺いしたいんですけれども、アクションプランですが、CDBに関しては踏み込んでいる一方で、理事の処遇など理研本体の経営陣に対しては少し踏み込みが足りないのではという声もあるかと思います。その点をどう思われるのかと、併せまして、アクションプランの実行が目指していらっしゃった特定法人の法案提出に向けて、このアクションプランの実行で十分とお感じになられたかどうか改めてお聞かせください。
(答)これはまだ最終的に結果が出ていないので、今の段階で申し上げるつもりはありませんが、いくつかの動きはまだ並行して進んでいると思うんですね。これをしっかりやり遂げてもらうということに尽きると思います。先程申し上げたとおり、この問題の経緯をきちんと正確に発信するということはとても大事だと思っています。
 もう一つアクションプラン。それは須江さん、何度も言っているように、この法案を国会に提出するかどうかという判断は、総合的に行うべきだと思います。ですから、理研の対応、これからこの問題はどのような経緯をたどっていくのかということも全体を見極めて判断すると。これとこれを行ってから出すとか、これとこれを行ってから出す、行わないと出せないとかそのような話ではないと思っています。
 何度も言うように、現実的には臨時国会に出すのはなかなか難しいと思いますが、私はこの法案を諦めるべきではないと思いますし、そのためにも理研にはきちんとした危機管理能力、マネジメント能力、アカウンタビリティー、このようなものを示してもらわないといけないと。それは総合科学技術会議で二つしかない特定国立研究開発法人の候補に正式に決めたわけですから、候補に。それに見合ったきちんと能力、資質があるということを示していただきたいと思っています。
(問)読売の梁田です。質問は2点ありまして、まず1点目はAPECの閣僚会合の件なんですけれども、先程力による一方的な現状変更についてのという話がありましたが、昨年、私もインドネシアにいてAPECを取材していますので、そこの中で感じたこととして、やはりそういう安全保障面での環境変化が経済活動に与える影響というのはかなりAPECの中でもクローズアップされてきたというふうに認識しています。なので、中国の方ではバイはなかったということなんですが、他の、例えばインドネシアであるとか、他の閣僚等との間でサイドラインですね、そういった話があったのかどうかという点をまず教えていただけますか。
(答)それは先程も申し上げたとおり、インドネシアの大臣とはバイの会談をきちんと行いました。その中で、これからの気候変動、それから国際的ないろいろな動きについて勉強していこうということは申し合わせました。日本のセミナーというかワークショップのPRも早速させていただきました。会場でいろいろな人に会ったので、大臣はそんなに多くなかったんですが、副大臣クラスの人とも立ち話も含めていろいろな議論をさせていただきました。
(問)もう一点です。今日の閣議についてなんですけれども、今日事実上、最後の閣議ということで、いろいろ報道では、明日以降どうなるかという話が出ていますが、それぞれ、山本大臣御自身も含めて、今後への抱負ですとか、そういったのは何かお話はあったんですか。
(答)そうですね、それは明日のさよなら会見の方で言おうと思っているんですが、閣議は今日は結構短かったんですが、非常によい雰囲気だったと思います。最初から最後まで、この内閣は本当にチームワークのよい内閣だったと思うんですね。
 明日言おうと思っていたことを先に言うとですね、閣議の前後、特に閣議が始まる前に、皆な応接室で待っていますよね、メディアが入る場所です。毎回、総理が来るまで、何人かの大臣がいろいろなことを打ち合わせるというシーンがあって、閣議が始まる前に2人か3人の大臣、あるいは大臣同士でいろいろな相談をする、作戦会議を行う、意見交換を行う、このような光景がほとんど毎回のようにあったので、しかも、閣議もすごく雰囲気がよくて、チームワークという点では、私、大臣になったこと初めてなので、他の内閣と比べようもないんですが、いわゆる役人達に聞くと、「こんなに雰囲気のいい内閣はなかったんじゃないか」と、このように言っています。第2次安倍内閣も、これからいろいろと最終決定するので、名前出ていますが、かなり安定したよい内閣ではないかと思っています。
 ちなみに総理と目が合ったので、総理が出られる時に握手して言葉を交わしました。総理に、「20カ月間、本当にありがとうございました。このようなチャンスを与えていただいて」。もうブログにさんざん書いたのでいいかなと思ったんですが、言いました。総理がにっこりしたので、「これからも違う形で一生懸命応援しますから」と言って別れました。
(問)テレビ朝日の原です。
 関連かもしれないのですが、明日また会見もあるということなのですが、本日、事実上の閣議ということで、この1年8カ月間、大臣として取り組まれてきた政策の実績というのをどのように御自身は評価されていらっしゃるかということと、自戒を込めてお聞きしたいのですが、その政策の実績を伝える我々メディアを大臣はどのように評価されているのか、そういった大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)これも明日言おうと思っていたんですが、20カ月はですね、この20カ月間、本当に一生懸命行いました、自分なりに。極めて体力的には苦しい。しかし、わくわくするような、本当に政治家冥利に尽きる20カ月間だったと思っています。
 最大のジレンマは、安倍総理のマイナスになることはできない。内閣府特命担当大臣には宿命があって、内閣府特命担当大臣として発信力を強めるためには、各省のサイロ、いわゆる縦割りに切り込んでいかなければいけないんですね。
 今から20カ月前、総理から呼ばれて内閣府特命大臣を行ってもらいたいといった時に総理が言ったのは、「普通の省の大臣は、誰がやっても目立つ。予算もあり、オンゴーイングな仕事もあり、誰がやっても報道されるし発信される。しかしながら、内閣府特命担当大臣は、普通の政治家だったらなかなか難しい。この内閣府特命担当大臣を、しかし、山本さんだったら、しっかりプレーアップして、しかも、いろいろ各省の縦割りを乗り越えていい仕事ができるはずだ」と言われたんですね。その言葉はとてもうれしかったんですが、夜一晩よく考えて、非常に、全体としてこれは反省も込めて言うんですが、正しかったと思うんですが、本当に内閣府特命担当大臣として発信力を強めようと思うと、各省と切り結ばなければいけないわけですよ。私のスタイルで行ったら毎回激突、各大臣と丁々発止を行って激論して、ブログに書いてというようなことを行わざるを得ないんですね。それは安倍内閣の中では行ってはならない。これだけチームワークがよくて、みんなで助け合っている。しかも、特に前の政権の悪口を言うつもりはないんですが、ちょっとしたことで不協和音と呼ばれていた。この中で、自分の方向性を決めるという中で言えば、慎重にいこうと。ある意味でいうと、アット・ザ・コースト・オブ、アット・ザ・エクスペンシブ・オブ発信力のようなところがあって、そこは少しジレンマでしたが、ただ、何度も言いますが、人生20カ月、こんなに慎重に生きたことはないんですが、自分としては非常に満足しています。なぜなら、派手な立ち回りとかは控えた。つまり、領土担当大臣として、例えば対外発信の機能も奪い取ったわけですよ、総理と官房長官に直訴して。それでも岸田大臣の外交を応援しなければいけない。官邸外交に支障があるようなことを言ってはいけない。これは貫いてきたので、これはよかったと思うし、そのような中でも、あまり切り結ばずにSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)を作り、ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)を作り、大変僣越(せんえつ)ながら、私がいなかったらできなかったと思います。SIPを作り、ImPACTを作り、少なくとも1,000億円近いお金を総合科学技術会議が担当する環境を作り、なおかつ、特定国立研究開発法人はこのようなことになりましたが、これも内閣府で主導したということがありますし、少し話し切れないんですが、各6つの司令塔の中で、一つ一つ実質的な仕事を積み重ねてこられたということで言うと、私は自分としては非常に満足しているし、力の足りなかったことは総理に申しわけないと思うんですが、やはり安倍内閣のマイナスになるようなことをしなかったということはよかったなと思います。
 それからメディアの話ですが、安倍内閣はこれだけいろいろな課題を抱え、しかも、これだけいろいろなオンゴーイングのことがあるので、特命担当大臣として担当した安倍政権に直結する分野について、他の省に比べて報道が少なくなるというか薄くなるというのは、これはある意味宿命だと思うので、それは仕方がないと思うんですね。ただ、あまり細かくは言いませんが、私も一応真剣勝負で発信をしているので、評価については真剣勝負で行ってもらいたいと思うんです。
 これからの時代は、ブログにも書きましたが、メディア、ここにおられる皆さんの後ろには国民がいますから、メディアをきちんと活用できない政治家も政党もなかなか長続きしないんだと思うんですね。
 ただ、同時に、いつも言っているんですが、メディアは基本的にコントロールできない。というか、コントロールされたらまずいと思うんですよ。そこはもう健全な緊張関係があってしかるべきだと思うんですが、ただ、そのことと、真剣勝負に対してきちんと真剣勝負で評価してほしいというところは違うと思いますね。
 それと、SNSが発達して、良くも悪しくも一人一人が発信できる時代になったということからいうと、ジャーナリストが魂を込めて記事を書き報道していることについて、それは評価するだけではなくて、評価される仕組みというのは大事だと思っています。
 ブログまだまだ力弱いですが、ようやく1カ月90万アクセスに戻りつつあるし、ツイッターは15万だけど、100万計画を立てたんですが、なかなかいかないんだけど、ネットのテレビもあるし、Vineもあるし、昨日、麻生大臣のVine撮って、コンテンツ関係で漫画の話を聞いたんですが、あらゆるメディアを、小さなメディアですが、これからどんどん進化させて、評価する側も責任を持って行ってもらわなかったら、きちんと評価されるという仕組みを、小さな発信力ですが、作りたいと思います。
 むしろ大臣を離れたから言えることも山ほどあるので、今日は最後まで慎重に行います。明後日からはありのままの自分に戻るわけではないんですが、少しありのままの自分になるかなと、最後まで真面目に行いたいと思っています。長くなりましたが、そのように思っています。
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:166KB)

(以上)