山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年8月15日

(平成26年8月15日(金) 10:37~10:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 まず、海洋政策担当大臣として一言申し上げたいと思います。8月27日から29日にかけて、中国の厦門(アモイ)に出張します。28日に開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)海洋担当大臣会合に出席をする予定です。今回の出張日程の中では、APECの海洋担当大臣会合で、気候変動が及ぼす海洋環境への影響と海洋の持続的利用について基調講演をさせていただくことになっています。それから、アモイの日本商工倶楽部関係者等との意見交換も行いたいと思います。今次のAPECの海洋担当大臣会合において、我が国によるグローバルな海洋問題への取組、アジア太平洋地域における海洋分野を通じた持続的発展への貢献について説明をしたいと思っておりますし、同時に、海洋を通じて我が国と関係するアジア太平洋地域を始めとする諸国との国際的な連携を強化していきたいと考えております。
 次に、科学技術政策担当大臣として一言申し上げておきたいと思います。今、理化学研究所で改革委員会の提言を踏まえたガバナンスの強化とか、研究不正の再発防止策等に関する具体案を取りまとめるべく、検討が行われていると聞いています。他方、STAP論文の疑義に関する再調査も鋭意進められておりますが、結論を得るには時間を要するとも聞いております。このような状況の中で、特定国立研究開発法人制度に関する法案、臨時国会への提出はなかなか難しいと思いますが、法案を担当する大臣としては、6月に閣議決定された「骨太の方針」等に明記されたように、この制度を可能な限り早期に創設をしていきたいという方針は変わっておりません。
 いずれにせよ、この特定国立研究開発法人制度、技術シーズの創出、事業化への橋渡し機能の強化など、科学技術イノベーションによって成長戦略を推進していく上では極めて重要だと思っておりまして、是非とも制度の創設をこれからも目指していきたいと思います。
 それから、司令塔連携・調整会議の提言の話ですが、8月5日の閣議後記者会見で御説明をさせていただきましたが、昨日、内閣府と首相官邸のウェブサイトに掲載をいたしました。現在行われている内閣官房、内閣府の業務の見直しの議論、特に今後の司令塔の在り方を巡る議論の参考になるということを期待しています。
 次に、北方対策担当大臣、領土担当大臣として一言申し上げたいと思います。北方四島におけるロシア軍による軍事演習についてですが、我が国固有の領土である国後島と択捉島においてロシア軍が軍事演習を開始したというふうに承知をしています。総理もはっきりおっしゃいましたが、ロシア軍が軍事演習を行うということは、北方四島に対する我が国の法的立場に鑑み、到底受入れられないと。外務省からロシア側に厳重に抗議を行っていると承知をしています。
 いずれにしても、北方対策担当かつ領土担当大臣である私としては、8月は「北方領土返還運動全国強調月間」に当たりますので、改めて我が国の主張の正しさを国内外に発信をし、北方領土返還に向けた環境整備に引き続き取り組んでいきたいと思います。ホームページもこれから充実をしていきますので、日本の主張の正しさというものを内外にしっかりと発信をしていきたいと。これは領土主権を巡る対外発信を担当する領土担当大臣として、取り組まなければいけない大事な課題だということを、改めて今回のことで再認識をいたしました。
 それでは、閣議後のプレゼンを簡単に行いたいと思います。
 沖縄担当大臣として、来年度の予算要求の中に、IISS(国際戦略研究所)とダボス会議(世界経済フォーラム)を沖縄に持ってくるための予算を計上したいと考えております。IISS、これは1958年に設立したシンクタンクですが、国際的な社会問題・経済問題に対する研究・分析・討議を行っております。これはIISS主催のシャングリラ・ダイアローグ。アジア安全保障会議、マナマ・ダイアローグという中東安全保障会議もあるのですが、ここには各国首脳とか防衛大臣が参加をしているということで、非常に影響力があります。5月のシャングリラ・ダイアローグでは、安倍総理が初めてここで基調講演を行ったということは、皆さんご存じだと思います。
 ダボス会議ですが、これももう言うまでもなくて、スイスで設立された国際機関、この世界経済フォーラムの年次総会をダボス会議と呼んでおりまして、スイスのダボスで開催されている。世界から2,000人が集まって、政治、経済、社会などの幅広いテーマを議論するということです。各国首脳、経済学の権威、大企業幹部が集まる。これはオピニオン発信の場として知られておりますし、総理はこのようなマルチステークホルダーが集まった場所での発信力は、歴代総理に比べてずば抜けていると思います。ますますこれを活用していただかなければいけないということで、実はここは地域別・国別の会議というものを行っていまして、日本では6月にジャパンミーティングが開催され、安倍総理にも出席をしていただきました。
 沖縄会議、この国際会議を沖縄に誘致をしたいと思っていまして、実はIISSからは、那覇フォーラムの開催についてプロポーザルを受け取っておりまして、先程申し上げたとおり、この開催経費を概算要求したいと思っています。なぜIISSとかダボスの地域会議を沖縄に持ってくるのか。ここは世界的に有名な経営者とか研究者が集まると。ここで沖縄を一人でも多くの影響力のあるオピニオンリーダーに見てもらうということが、沖縄振興につながっていくということで、これは是非、大臣のイニシアチブとして予算要求をして、実現をさせたいと思います。
 IISSについては、那覇フォーラムの具体的なプロポーザルを、向こうのトップであるチップマン博士と先般の英国出張の際に会いましたが、そのフォローアップとしてきちんと正式に受け取っておりますので、これはしっかり進めていきたい。ダボスについては、まだ少し具体的なところを詰めなければいけないのですが、是非このダボスの地域会議も沖縄に誘致をしたいと。もう1回言いますが、そのための予算をしっかりと要求をしていきたい。概算要求をしたいと考えております。
 何か御質問があれば、お受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)日経新聞の川口です。特定国立研究開発法人の話についてちょっとお聞きしたいんですけれども、これは結局、次の国会には出せないと、非常に難しいというふうにおっしゃっていましたけれども、これはそうすると、条件としては、出せる条件としてはどういった条件があるんですか。
(答)これについてはたくさん質問がありましたが、総合的に判断していくしかないと思うんですよね。これからの理研の対応、再発防止策、マネジメント、このようなものも全部見極めた上で判断をしていくということだと思います。臨時国会に提出するのは、現実的にそう簡単ではありません。それは十二分に分かっていますが、担当大臣としてあきらめたわけではないので、できるだけ早くこの法案を提出して、この制度、科学技術イノベーションのサイクルを作るための橋渡し機能として極めて大事だと思っていますから、この方針は科学技術政策担当大臣としては変えたくないと、これは変えないでいきたいということです。
(問)理研外部の有識者から提言が出されましたよね。これに対して理研は少し後ろ向きな回答をしていますが、そこについてはどういうふうにお考えですか。
(答)後ろ向きかどうかはともかくとして、これに対してどう対応していくかということは、十二分にはまだはっきりしていないところもあるので、その辺は見極めていきたいと思います。何度も言っているように、STAP細胞を巡る問題というのは、きちんと検証する必要があると思うんですね。ご存じのとおり、世界でも本当に有数の大事な研究者の方を失ってしまったと。あのような悲劇もありましたが、このようなことがあったからこそ、この問題の経緯というのはきちんと私は検証するべきだと思っています。それがこのような悲劇を二度と繰り返さない、更に、これから若手、女性研究者、まじめに頑張っておられる方は大勢おられるので、このような人達が活躍する機会を減らすようなことがあってはならないと思っていまして、そのためには何が正しくて何が間違っているのかということを、きちんと検証しておく必要があると思っています。
(問)今日は8月15日ですけれども、靖国神社に今日あるいはこれから参拝する予定はあるのかと、これまでにもし参拝しているような話がれば、よろしくお願いします。
(答)これも何度か申し上げましたが、私自身が参拝する予定はありません。
(問)日刊工業新聞の小川です。特定国立研究開発法人の関係で、先程STAPの検証について触れられましたが、臨時国会の提出の条件で、STAPの検証結果というのを含むんでしょうか。
(答)それは、先程申し上げたとおり、全体を見て判断していくということだと思います。STAP細胞の検証は、これはかなり年末ぐらいまで時間がかかるということなので、それはそれとしてきちんと事実として受け止めなければいけないと思いますが、法案提出というのは、全体を見て決めていくことだと思います。
(問)おっしゃるように、相当時間かかるだろうというのはあって、あるかないかは別として、結果が出るまで相当時間がかかるので、ちょっとそれを待っていたら、臨時国会へ提出というのは不可能じゃないかなと思うんですけれども。
(答)そのようなことも踏まえて、かなり難しいだろうということは申し上げました。ただ、完全に今からもう出せないというような話は、科学技術政策担当大臣としてはしたくないと思っています。
(問)たらればで恐縮なんですけれども、仮にもし難しいとしたら、来年度の通常国会ということになるんでしょうか。
(答)できるだけ早く条件が整えば、提出をしたいと。それはなぜかと言うと、何度も言っていますが、この新しい研究開発法人が日本の国益にとって非常に大事だと思っているからです。
(問)特定国立研究開発法人の関連で、内閣府として何か概算要求で盛り込む予定ではあるんでしょうか。
(答)それは現時点ではまだ決まっていないと思います。
(問)読売新聞の梁田です。冒頭御説明のあったAPECの関連閣僚会合への御出席の件で、大臣は領土関係も担当なさっているということで、やはり中国へいらっしゃる貴重な機会だと思いますので、この場でサイドラインで他にお会いになる方、あるいは領土関係で何かお話しになる機会について考えたいということがもしあれば。
(答)実は今、向こうでの日程を作っている段階なので、どのような形で誰に会うかということは、現時点でははっきり決まっていません。ただ、先程申し上げたとおり、これはAPECの中のプロジェクトの一環なので、特に日本が進めているプロジェクトというのは、全部APECの方から経費負担されている唯一のプロジェクトなので、ここは日本側としてしっかりアピールをしていきたいと。あくまでこのAPECの関連の海洋政策についての発信だということだと思います。その滞在中にどのような形でどなたと会うかということは、現時点では決まっていません。基本的には、2国間の会談のために行くわけではないと思っています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:147KB)

(以上)