山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月25日

(平成26年7月25日(金) 11:05~11:24  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 閣議後の閣僚懇で米国出張について報告をさせていただきました。これについては後でプレゼンをさせていただきたいと思います。
 それから、科学技術政策担当大臣として一言申し上げます。「日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議」を開催したいと思います。日本学術会議については、平成17年にその役割、機能、組織、機構等の改革が行われましたが、その改革を提言した総合科学技術会議の意見具申、「日本学術会議の在り方について」において、今回の改革後10年以内に、新たにその在り方を検討する体制を整備して検討を行うこととすべきとされておりました。今回、これを踏まえて、各界の有識者10名からなる「日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議」を私の下で開催することにいたしました。来週の木曜日31日に第1回の会合を予定しております。
 31日の初会合をキックオフとして、7回程度の会議を開催したいと思います。日本学術会議の役割、機能、活性化に向けた課題、組織、構成といったことについて検討していただきまして、今年度内を目途に検討した結果について御報告をいただきたいと考えております。
 それでは、今日のプレゼンを行いたいと思います。
 昨日まで3泊5日、2泊は機中泊だったのですがアメリカに出張させていただきました。今回は科学技術政策担当大臣、知的財産戦略担当大臣としての米国訪問でした。
 まず、出張先はアメリカ、カリフォルニア州といってもいいと思いますが、まずオレンジカウンティに行きました。安倍総理とも大変親しい、下院で11回当選している共和党のベテラン、重鎮のローラバッカー議員といろいろな意見交換をさせていただきました。
 これはローラバッカー議員の自宅です。ここで何人かの人といろいろな会議をさせていただきました。General Atomics社の副会長で、General Atomics社は実は新しい原子炉の開発を行っていまして、私も原子力委員会の担当ということで、そのような意見交換を行ったり、あるいは領土問題にも関することですとか、防衛問題についてもGeneral Atomics社がいろいろな試みを行っているということでプレゼンをしていただいて、ローラバッカー邸で議論をさせていただきました。このリンデン・ブルーというGeneral Atomics社の副会長と懇談をさせていただきました。
 ローラバッカー議員と、ブログにも書いたのですが、12時間ぐらい一緒にいて、地元の会合に行ったり、あるいはオレンジカウンティで画期的な研究を行っている科学技術系のベンチャーに行ったり、いろいろなことを一緒に行って、12時間一緒にいたので相当日米関係、それから日中関係等々についていろいろな議論を深めることができたと思います。
 それから、先程申し上げたNewlight Technologies社という所がオレンジカウンティにあるのですが、ここは今非常に注目されていまして、エアカーボン、これは石油の代わりに温室効果ガスから造られる化石資源由来の炭素を含まない新素材、プラスチックなんですね。ほとんど今あるプラスチックと変わらない。安いコストで、しかも温室効果ガスからできるということで、これを開発製造しているベンチャー企業です。例えばスプリント社が出資をしてスマートフォンのプラスチックのカバーも造っているということで、なかなか若いCEOですが、元サーファーですが、いろいろな意見交換をしてきました。
 それからアーヴァイン市では、Oculusを訪問いたしました。Oculusはヘッドマウントディスプレイのベンチャー企業で、これも大変注目されています。中身については詳しいことは申し上げませが、Mr.Luckey、この人はまだ21歳です。CEOも34歳ということで、実はFacebook社が買ったということでこれから極めて注目される企業だと思います。
 翌日、ハリウッドに初めて知的財産戦略担当大臣として行きました。なぜ行ったのかというのは、日本から発信するコンテンツをいかにグローバルなモデルとして展開していくか。昨今、皆さんご存じのとおり日本のコンテンツはハリウッドでいろいろな映画になっています。しかし、このコンテンツを通じていかにそれが例えばエンターテイメント産業、日本の競争力強化につながっているのかというところについて、いろいろまだ課題があるということで、どのようにして日本発のコンテンツを世界に発信していくか、そのようなヒントを得たいと思ってハリウッドに行かせていただきました。
 今ハリウッドのヒットメーカーと言われている映画プロデューサーに会ったり、あるいはエンターテイメント関係者と懇談をしたりしながら日本の知財戦略について極めて示唆のある様々なヒントを得ることができたと思っています。
 vineを撮ってきましたので、6秒動画を見せたいと思います。
 まずレジェンダリー・ピクチャーズというのは、今ハリウッドのヒットメーカーの一つですけが、皆さんご存じのとおり「バットマン・リターンズ」「ナイトライジング」あるいはジャッキー・ロビンソンの「世界を変えた男」から「ハングオーバー」、あるいは「スリーハンドレッド」とか、スーパーマンシリーズです。「マン・オブ・スティール」とか、このようなところを手掛けているのですが、そこのCEOでトーマス・タルさんという売れっ子がいます。
 なぜ行ったかというと、「ゴジラ」を製作したんです。トーマス・タルがあの「ゴジラ」を製作して、いま世界中で大ヒットしている。「ゴジラ」についても議論をさせていただきました。トーマス・タルと撮ったvineを見せたいと思います。

(動画上映)

 総理に「ゴジラ」を観てほしいということだと思います。ロサンゼルスから「ゴジラ」の話をしています。
 それから、ここにマシ・オカさんという人がいます。2000年代に非常にヒットした「ヒーローズ」というアメリカのテレビドラマシリーズがあって、そこでヒロ・マシオカという日本人青年の役を行って、アメリカで一番有名な日本人と呼ばれていたのですが、今向こうのテレビにも出ているのですが、映画プロデューサーも行っているということでマシ・オカさんと光永弁護士にも会ってきました。マシ・オカさんとはvineも撮ってきたのでお見せしたいと思います。

(動画上映)

 正にこれは「ヒーローズ」でいつも彼が見せていた表情なので感動しました。私はシリーズを全部観たものですから。
 もう一人はソニーピクチャーズの人達とも会ったのですが、ジェイソン・ホフス氏と会いました。ジェイソン・ホフス氏は、これは日本のノベル(小説)が原作ですが、「オール・ニード・イズ・キル」という映画がありますが、日本のコンテンツから「オール・ニード・イズ・キル」をトム・クルーズ主演で映画化をした。この「オール・ニード・イズ・キル」も元は日本のコンテンツなんですが、いま世界中で大ヒットしているということでジェイソン・ホフスともvineを撮ってきました。

(動画上映)

 もっと日本からコンテンツを持ってきてくれと。全員当たり前ですが日本コンテンツの大ファンでした。やはり知財戦略でいうと日本のコンテンツを海外でどのようにして展開していくのか。特にエンターテイメント産業でどのようにして活性化していくのかということをもう少し戦略的に考えるべきだと思っています。
 それからソニーピクチャーズスタジオも視察させていただきました。細かいことは言いませんが、CEOにもチラッと会ったのですが、ほとんど今のソニーの幹部というか、ソニーピクチャーズのそれぞれの部門の社長で、かなり手厚い歓迎を受けまして、御飯を食べながらブロークンイングリッシュで1時間以上議論しました。中のスタジオも視察をさせていただきました。ソニーピクチャーズはコロンビアも買ったということで、MGM時代の由緒あるいろいろなスタジオも拝見させていただきました。
 それから、南カリフォルニア大学の映画芸術学部に行きました。ここは皆さんご存じかもしれませんが、「スター・ウォーズ」のプロデューサーのジョージ・ルーカスが出たところです。ロバート・ゼメキスもここ出身ということで、実はここに通っている日本人留学生に対して経済産業省がプロデューサー育成支援プログラムというものでサポートしています。ですからプロデューサー養成がどのような状況になっているかを見に行って、スコット・フィッシャーさんとか、あるいは向こうでプロデューサーとして今一生懸命頑張っている日本人、宮川絵里子さんとか、このような方々と意見交換をしてきました。
 南カリフォルニア大学の映画芸術学部のような所にもう少し若い日本人を送って、いわゆるハリウッドで通用する世界的なプロデューサーを育てる、そのような方法について少し議論をしてまいりました。
 最終日ですが、カリフォルニア工科大学も訪問をさせていただきました。カリフォルニア工科大学、Caltechというんですが、大学のランキングは、皆さん、ご存じだと思うんですが、一番権威のある、Times Higher Educationとトムソン・ロイターが共同で行っている世界大学ランキングが、やはり世界のメディアでは一番取り上げられるんですが、3年連続で1位。2年連続でハーバードを抑えて1位だったんですが、3年連続で1位。この間、タイムマガジンでスーパースター達のような感じで特集記事が組まれていましたが、このCaltechへ行ってきました。ローゼンバウム学長、来たばかり。シカゴ大学から来た非常に有名な人です。
 それから、LIGO(重力波観測実験施設)という施設も見てきました。今ここですごく画期的な研究が行われているのは、宇宙を見るのに、宇宙から飛んでくる重力波で宇宙をとにかくもっと深く知ろうということで、最先端の研究をLIGOというところで行っていて、これが日本のKAGRA(大型低温重力波望遠鏡)という施設といろいろ協力し、連携しながら行っているということなんですが、これはすごい大学です。1学年300名弱しかいないんですが、ノーベル賞受賞者が20人以上出ているという大学なんです。大栗博司博士、この人は文科省が行っているWPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)のカブリ研究所(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構)という所が東大にあって、宇宙で有名な村山先生(村山斉機構長)がいるんですが、そこにも参加をされている大栗博司教授、この方は宇宙の物理学の専門家の先生なんですが、その方とも会ったり、あるいはCaltechの関係の教授、お昼を食べながらいろいろ議論をさせていただきました。それから、Caltechには日本人研究員、大学院生がいるんですが、この人達とも懇談の場を持たせていただきました。
 Caltechへ行って思ったんですが、この間、イギリスのカタパルトに行っても思ったんですが、科学技術イノベーションサイクルを作るためには、世界レベルの大学が必要だと。人材を育てないとだめだということで、東大、京大ぐらいは世界のトップテンに入るような方法を考えていかないといけないのではないかと思っています。
 それから、Caltechの一部なんですが、ジェット推進研究所という所があるんですね。JPL、これが実はものすごい所で、Caltechにもちろん政府からもお金が出ているんですが、大体一番大きな資金はここに来ていると。Caltechの一部であるこのJPLというところが、NASA(アメリカ航空宇宙局)の依頼を受けていろいろ宇宙のプログラムを行っているんです。キュリオシティとかあるいはボイジャーとか、このようなものを全部ここが行っているということで、ここのセンター、世界の中心と書いてあるんですが、このSpace Flight Operations Facilityに世界に今ある人工衛星をずっとここでフォローしているということで、ここもすごく驚きました。
 それから、これは火星で動いた例の乗り物なんですが、この火星の研究室のようなものもあって、外で研究しているシーンも見せていただきました。それから、地球科学センターも見ました。これは本当にすごい所でした。
 ということで、アメリカ出張についてざっと御説明させていただきました。LIGOですが、重力波ということで、今はまだ研究段階ですが、これが本当に実用化されると、宇宙の研究は進むのではないかと。ブラックホールも、なかなか光とかは出てこないんですが、重力波を出すらしいので、ブラックホール等々についてもおそらく画期的な進歩があるのではないかと言っていました。これを今Caltechが非常に熱心に研究をしているということです。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信、岸本と申します。大臣の御視察とはちょっと違った質問なんですが、ウクライナでマレーシア機が撃墜されたことについて、領土問題担当大臣としての御所感をお願いします。
(答)それはなかなか難しい問題なので、今の時点で私の立場で、何かウクライナの撃墜事件についてコメントするような立場にはありませんが、しっかり原因を究明するべきだと思います。なぜこのようなことが起こったのかということは、きちんと究明するべきだろうと思います。
(問)その原因究明で、アメリカの副報道官とかはロシアに責任があると言っていますが、大臣としてはどこに責任があると。
(答)現時点で私の方で判断をするということはできないと思うので、それについてはコメントを控えたいと思います。
(問)昨日、総理が北方少年の表敬を受けられて、多分その問題も含めてだと思うんですが、非常に厳しい状況というのを冒頭におっしゃっていたと思うんですけれども、そういう認識で大臣も。
(答)厳しい状況って、何が。
(問)非常に厳しい状況にあるが、粘り強く交渉していかないといけないというのを。
(答)その厳しい状況というのは、総理がどのようなお考えで言ったのかというのは分かりませんが、北方対策担当大臣として言えることは、今言ったように、粘り強く交渉していただいて、一日も早く返還が実現するようにしていただきたいと思いますし、担当大臣としてはしっかり総理をお支えしたいと思います。
(問)難題としては一つ積み重なったという御認識なんですか。
(答)それは難題なのかどうかというのは、ここでなかなか申し上げる立場にはないんですが、いずれにせよ、この北方領土問題、領土問題としてあるわけなので、これは粘り強く交渉していくと、これに尽きると思います。
(問)日本経済新聞の小玉です。理研(理化学研究所)の川合理事が複数のメディアのインタビューに答えて、先日の岸委員会(改革委員会)の報告の中に盛り込まれています、神戸のセンターの解体は考えてないみたいな説明をされていました。先日の会見の時に山本大臣は、岸委員長(岸輝雄委員長)の報告というのを非常に説得力があるということで評価されていましたけれども、こういった理研の対応をどう受け止められているか伺えますか。
(答)神戸のセンターを解体する方がいいのかどうかというのは、なかなか私の方では判断がつきません。それは専門家の方々にいろいろ考えていただければいいのではないかと思います。今おっしゃったように、あの前回の報告書、なかなか厳しい中身でしたが、非常に説得力があったと私は今でも思っています。
 何度も言いますが、大事なことは、今回のことを徹底的にきちんと原因を調べるということだと思うんですね。例えば論文についても、第2論文等々も含めても、何が事実で何が事実でないのかと、このようなところはきちんとこの際検証して、はっきりさせておかないと、私は将来に禍根を残すと。同じような優秀な若手研究者が出てきた時に、最初からモヤモヤした感じにならない方がいいと思っています。理研に対してはきちんと説明責任を果たしてほしいとずっと期待しているからこそ、厳しいことを言い続けてきましたが、若手、女性、特に一生懸命頑張っている若手研究者が今回のことでチャンスが減ってしまうというようなことは避けるべきだろうと思っています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:468KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)