山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月1日

(平成26年7月1日(火) 10:50~11:07  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 閣議については特に御報告することはありません。
 まず最初に、沖縄担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 内閣府にて実施された平成25年度の鉄軌道調査の報告書が公表されました。これについて一言コメントしたいと思います。内閣府においては、平成22年度から沖縄における鉄軌道等に関する基礎調査を実施しております。様々な課題が判明したということで、これらの課題について検討するために、ここでも申し上げましたが、平成25年度も様々な角度から調査を実施しました。
 平成25年度の調査では、最新技術の採用とか小型システムの採用、地下から地上への構造変更などの様々なコスト縮減策を中心に検討いたしまして、この結果、概算事業費の縮減とかB/Cの改善は相当程度図られたと考えています。
 本年度も、これも何度も申し上げていますが、2億円の調査費が計上されたことから、コスト縮減や事業分析の検討に加えて、沖縄県の要望も踏まえ、全国新幹線鉄道整備法も含めた様々な制度について研究・検討するなど、沖縄県とも意思疎通を図りながら引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。
 それからもう一つ、沖縄担当大臣として申し上げたいと思いますが、この度6月18日付で、沖縄科学技術大学院大学学園の、OISTの今後の諸課題に関する検討会を設置いたしました。内閣府においては、これまでにも有識者による懇談会を開催して、予算案の作成とか事業計画の認可等の行政運営に活用するため、OISTの業務実績等に関する御意見を頂戴してまいりましたが、今後は、これに加えてOISTの規模拡充の在り方とかOIST等を核としたグローバルな知的・産業クラスターの形成の在り方等、OISTの諸課題、中長期の問題についても、より広い視点、様々な角度から御意見をいただきたいと思っておりまして、構成員の方々を拡充して新たな検討会をスタートさせることにいたしました。
 検討会は新たに4名追加した9名で構成することとし、明日7月2日の水曜日に第1回の検討会を予定しております。
 もう一つ、科学技術政策担当大臣として申し上げたいと思います。
 理化学研究所が小保方氏の検証実験の参加、予備調査の開始、これに伴う懲戒委員会の一旦停止について公表されたということについて、科学技術政策担当大臣として一言申し上げたいと思っております。
 小保方氏が参加をして検証実験をする。また、懲戒委員会を一旦停止したということを公表されたと、これは理研が決めたということで、下村文科大臣も小保方研究員が参加するべきではないかとおっしゃっていたので、これはこれで一つの判断だと思います。私は何度も、この特定国立研究開発法人の法案が提出されればこれを担当する科学技術政策担当大臣として申し上げていますが、今回の話は、きちんとここで徹底的に検証すべきだと思っていまして、今もその考えは変わっておりません。理化学研究所は世界最高水準の研究開発法人であると期待をしているからこそ、この問題を徹底的にここで検証するということが大事だと思っています。
 第二論文の話、マウスの話、ES細胞等々の話もそうですし、これは予備調査をされるということはそのようなことだと思いますが、ここをきちんと行うべきだと考えておりまして、これは特定国立研究開発法人の法案を提出できるかどうかということの一つの目安だと、理研がこれからどんな対応をしていくかということは極めて重要な判断の基準になると考えております。
 なお、もちろんこの特定国立研究開発法人のことについては、下村文部科学大臣とも御相談をしながら進めてまいりますが、法案を担当する大臣として申し上げますと、臨時国会に提出できるようにいろいろ理研の対応も見極めながら最大限の努力をしたいと、この方針は変えておりません。
 それでは、今日のプレゼンを行いたいと思います。海洋政策担当大臣としてのプレゼンです。
 昨年の4月からずっと議論を続けておりました有識者懇談会、今後の国境離島の保全、管理及び振興のあり方についての懇談会の最終提言がまとまりまして、先般、大臣としてこれを受け取りましたので、この件について改めて簡潔に御報告をさせていただきたいと思います。
 まずこれは我が国の管轄海域ということで、もう皆さん釈迦(しゃか)に説法ですが、EEZ(排他的経済水域)と領海を合わせた面積は国土面積の12倍ということで、447万平方キロメートルある。なおかつ、離島は様々な意味で海上交通の安全の確保とか海洋資源の開発とか、あるいは安全保障の面についても非常に重要な役割を果たしていると、このような図でございます。
 有識者懇談会ですが、検討事項はここに書いてあるとおりですが、13回議論を重ねてまいりまして、5回目が終わったところで、昨年の6月に中間提言を出したわけですが、それからかなり集中的に1年間議論をさせていただいて、先般、6月30日に最終提言を出したと、このような流れです。
 委員の方々は国際法、それから行政法を含めた様々な分野の専門家の方々に集まっていただきました。座長は奥脇直也明大法科大学院教授にお願いをいたしました。
 それから、最終提言の内容は、皆さんもう御存じだと思いますが、五つあります。この五つについて簡単にそれぞれ説明していきたいと思います。この離島の保全、管理、振興に関する地域の課題・取組というものは、確か長崎県の壱岐市長が全国離島振興協議会の会長をしていらっしゃって、壱岐市長をお招きしてお聞きをした中身を反映させてあるということです。
 それでは、1番目から説明したいと思います。
 離島をめぐる社会情勢の変化ということで、先程申し上げたとおり領域、EEZの保全等、離島の役割が非常に大事だということになっている。なおかつ、海洋資源開発への期待が高まっているということが大きな社会情勢の変化ということで、この問題の背景になっているということです。
 この写真は海底熱水鉱床のサンプルの写真です。
 それから2番目、国境離島の役割ということで、先程申し上げましたが、領海及びEEZ等の保全、そして、例えば港とか、あるいは灯台とか、このような施設を通じて海上交通の安全確保を図っているという大事な役割があります。更には、海洋資源の開発・利用の拠点としての機能もあります。海洋環境の保全もここできちんと行っていく。そして、これも釈迦に説法ですが、領域警備及び安全保障の拠点にもなっているということです。
 それから3番目です。この離島の保全、管理、振興に関する地域の課題・取組、これは壱岐市長からのお話を踏まえてここに入れさせていただきましたが、課題として、人口が減っているとか、移動のコストが高いとか、漂流・漂着ごみの問題とか、石油製品価格の高騰とか無人島化のような話があるということですね。
 それから、地域の取組として、海の安全確保、監視などを行っている。更には、漂流・漂着ごみの回収・処理、国民への普及・啓発ということで、このような課題や取組があるということを含めさせていただきましたが、取組の事例について簡単に御紹介したいと思います。
 一つは、これは壱岐市の取組ですが、漂流・漂着ごみの回収・処理ということで、ボランティアのツーリズムを募って回収・処理を行ったという例です。
 下にあるのは、国民への普及・啓発事例ということで、これは五島市が確か主催をして二つの離島、無人離島を回ったというツアーの話と、それから、これは確か長崎県の離島振興協議会が行ったものだと思いますが、このような記念切手を出していると、このような地域の取組を行っているということを紹介させていただいています。
 4番目、諸外国の離島保全・管理に関する取組事例ということで、例えばインドネシアの例ですが、インドネシアでは、離島の保全・管理に特化した一般的な法令、計画を策定して政策を実施しているということで、ここに挙げさせていただきました。
 更には、例えばこれはアメリカのハワイ諸島ですが、環境保護とか生物多様性の保全、特定の目的毎に法令を制定して、施策を行っている例として挙げさせていただいています。他にはオーストラリアとかフランスがあります。
 一般的な法令、計画を作っている、離島の保全・管理に特化したということでいうと、韓国も中国も同じような仕組みを持っているということです。
 5番目、国境離島の保全・管理のあり方についてのポイントですが、海洋管理の観点から優先的に取り組むことということで、国民への普及・啓発が必要だと。これは私、この有識者懇談会の議論に何度か参加をさせていただきましたが、この点についてはかなり活発な議論が行われました。国民に離島への関心を持ってもらわないといけないと、このような意味の普及・啓発は非常に大事だろう。例えば「国境離島 Web Page」などで情報発信していく。
 これは、西之島だと思います。今活発に活動している西之島の現状を例えばこのようにして報告するというようなことが考えられるということで、更にはエコツーリズムなどを行って離島をじかに体験していただくとか、副教材として離島の勉強をしていただくとか、このようなことが有効なのではないかという話です。
 その2です。「離島の名称付与」とありますが、今、離島で名前がはっきりしていないのが確か160ぐらいあります。更には、離島の名称が複数あって統一されていないものが80ぐらいあるということですね。ここをきちんと統一していくということと、領海の外縁を位置付ける離島の土地の所有者の調査、新たに判明した国有地の国有財産台帳への登録、これも大変重要なポイントで、何度もここで申し上げましたが、国有化をするわけではありません。もう一回言いますね、国有化をするわけではありません。元々所有者のわからない土地は、これは日本政府の財産なので、これをしっかり調べて、国有財産台帳に登録するということなので、尖閣のようなケースとは全く違うということで、ここは誤解のないように改めて申し上げておきたいと思います。これは粛々と進めていかないといけない。
 それから「だいち2号」、衛星とか航空機を使って離島の地形変化をしっかり監視する、このようなことも必要だろうということで、この提言の中に盛り込ませていただきました。
 ということで今日のプレゼンは終わりたいと思いますが、これは大事なことなので、今言った離島のお話をさせていただきたいと思いますが、所有者のいない土地は、元々国有地です。国有地であることを明確化するために、国有財産台帳に登録するということであって、一部の報道にあったような「国有化」というものとは違うということは申し上げたいと思います。
 それから、領海の外縁を根拠付ける離島のうち、これも何度もここで申し上げましたが、今400の島の所有者の調査を行っておりまして、その後、調査結果を踏まえて、関係省庁と国有財産台帳への登録の検討を進めるということです。
 これは報道で9月をメドに手続に入るというものもありましたが、今、所有者調査を行っていますので、この登録の時期はまだ具体的に決まっていないというのが正確です。
 それから、これもこの閣議後記者会見で海洋政策のプレゼンをした時に何度も申し上げた話ですが、最終提言にも記載されていますが、無人離島、これまで約350島については2割の所有者が判明をしたということですが、残りの約8割は民法に規定する国庫に帰属する土地である可能性があるということがわかりました。現在引き続き有人離島を対象に調査を進めているということで、この調査はできるだけ早期に事務的な調査を完了させたいと考えております。
 加えて、申し上げておきますが、この領海の外縁を根拠付ける離島の名称付与、これも総合海洋政策本部事務局を中心に、今、関係省庁と話し合いながら作業を進めております。
 最終提言でも記載されておりますが、これまでの調査で名称のない離島が約160島、先程も申し上げましたが、名称の差異のある離島が80島であるということで作業をしっかりと進めていきたい。この名称については、本年夏頃を目途に作業を完了させたいと考えております。
 以上、今日のプレゼンを終了したいと思いますが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)琉球新報の問山です。先程、鉄軌道の調査報告についてお話があったんですが、大臣、結果を受けて、鉄軌道の実現の可能性についてなんですが、一歩近づいたというふうに考えるのか、または事業化のメドになるB/Cが1に満たない、全てのルートで満たなかったんですが、そういうのを勘案して困難だとお考えか、引き続き調査もされるようですが、大臣として実現の可能性についてどう見ているのかお聞かせいただけますか。
(答)現時点で実現の可能性がどのぐらいあるかないかという話は、コメントしない方がいいと思うんですが、はっきりしていることは、B/Cは改善した。1までいっていないんですが、前回よりも改善した。いろいろな知恵を使えば改善するということはこの中でわかったわけですよね。これをこれからどのようにしていくかということは、前回の記者会見でも御質問があったので申し上げましたが、沖縄県側の要望も踏まえて、今度その調査費も使って、いわゆる新幹線方式の可能性も含めて、これは真剣に検討すると、この表現に尽きると思います。
(問)もう一点。先程の名称のない離島の名称の確定なんですが、例えば、多分沖縄県にも有人離島でたくさんあるんですが、例えばそういったところは地域に非常に、名前をつける場合、例えば沖縄県とか地域に相談した上で名前をつけたりするという形になるんでしょうか。
(答)それは確か調べていると思うんですよね。そこの地域で呼ばれている島の名前があるかどうかということは、きちんとヒアリングをして調べた上で全体を勘案して決めていきたいと思います。地域でどう呼ばれているかということは大事な要素だと私たちは考えています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:839KB)

(以上)