山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月26日

(平成26年6月26日(木) 12:28~12:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は27年度予算編成に向けた2回目の予算戦略会議、通算6回目を開催いたしました。6月24日に総合科学技術・イノベーション会議の総合戦略2014が閣議決定され、同日に閣議決定された日本再興戦略と骨太方針でも科学技術イノベーションを強力に推進する方針が明記されました。これを確実に実行に移して資源配分と直結したPDCAサイクルを確立すべく、予算戦略会議での議論も加速をさせていきたいと思います。
 冒頭、私から科学技術振興費全体のさらなる拡充に向けて各省と協力して努力していくことを明言させていただきまして、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)も継続的、継続的にと2回言いましたが、これを力強く推進をして、予算確保に向けて努力をしていくことを明言しました。さらには、27年度の科学技術予算は総合戦略2014を踏まえてSIPを課題解決の先導とするアクションプランによる政策誘導、それから甘利大臣からも提言をいただいたイノベーションシステム改革の推進を重点化の柱として進めていくことを申し上げました。
 その後、事務局から柱となる取組の進め方を説明させていただいて意見交換を行いました。本日の議論を踏まえて、この夏に総合科学技術・イノベーション会議本会議で資源配分方針の議論を行い、取りまとめる予定です。
 すべての議論を紹介する必要はないと思うのですけれども、各省から科学技術振興費全体の拡充についての要望が改めてありました。私から出席していただいた各省の関係者を前に幾つか申し上げました。
一つは、SIPは関係各省の協力で立ち上げることができたと、これに感謝をしたいということ。その上で、SIPも、今日、PMが正式に決定し、PMとの初会合を行ったImPACT(革新的研究開発推進プログラム)も、今国会では法案提出ができなかったのですが、特定国立研究開発法人、イノベーションサイクルの橋渡しとしての新たな国立研究開発法人の件も、甘利大臣に大変お力添えをいただいたこと。
 甘利大臣にもお願いをしようと思うのですが、アクションプランの進化の一環である予算戦略会議、SIP、ImPACTの司令塔機能強化を目指して、山本大臣の3本の矢として打ち出させていただいたのですが、これからの課題としては、こうした司令塔機能強化を通じながら、アクションプランの実現力をどう高めていくか、各省から提案を受けてまとめたアクションプランをいかに予算として認められるか、その影響力を強めていくことが非常に大事だと考えております。
 そのためには、甘利大臣にもよくお願いをして、総合科学技術・イノベーション会議と産業競争力会議の連携、既に橋本議員が橋渡し役として活躍をいただいているのですが、これをさらに強めていくべきだと考えています。それから、もう1つは、経済財政諮問会議と総合科学技術・イノベーション会議の連携もしっかりつくっていきたいと。こういう仕組を強化していくことによって総合科学技術・イノベーション会議の予算に対する発言力を強めていきたいというお話をさせていただきました。
 6回も開催するとさすがに定着してきて、ほとんど各省の科学技術イノベーション政策の責任者、局長、総括審議官クラスの方々に出席をしていただくようになりました。いろいろな意見があったのですけれども、簡単に幾つか申し上げると。
 SIPで重点分野に位置付けられている取組について、それぞれの担当省庁からこういう面で協力していきたいと、非常に前向きな話があったということ。
イノベーションサイクルの環境整備、この橋渡しが今回の総合戦略2014の大きな柱になっているのですが、このイノベーションサイクルがいかにうまく回っているかということを定量的にきちっとチェックをしていく仕組が必要なのではないかという提案がありました。例えばいろいろな指標はあると思うのですけれども、韓国の未来創造科学省などは、イノベーション環境整備がいかに進んだかについて起業の数とか、大学の起業サークルの数など含めていろいろ具体的な手法をつくっているので、こういうことについて少しCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)で検討いただいてもいいのではないかという話がありました。それを私の方でCSTIの民間議員の方々、事務局とも相談しながら、CSTIで何らかの基準をつくれるかどうかということは検討したいとお答えさせていただきました。
 それから、ある省から意見としてあったのは、アクションプランの中で相当CSTIの事務局と各省の現場の担当者が綿密に協議する体制ができたのですが、これはかなり若手にも労働力がかかっている面があるので、これはもちろん必要だと思いますが、できるだけ効率的な運営をしてほしいという意見がありました。
 それともう1つ、オリンピック・パラリンピックに向けて東京都と各省がいろいろなタスクフォースをつくっており、もちろん骨太方針の中で東京オリパラに向けて科学技術イノベーションの発信という文言が入っていますから、科学技術部局がこれを中心になって進めていくのですけれども、その科技部局と東京都のいろいろなチーム、あるいは各省のチームが余り重複しないように、船頭を多くしてみたいにならないようにうまく連携してほしいという話がありましたので、ここを私の方でしっかり踏まえて指示をしますとお答えをいたしました。
 あとは各省それぞれの関心事、特にSIPを絡めていろいろな意見が出ました。
 もう一回言いますけれども、予算戦略会議は6回目で相当定着をしてきたと思っています。各省から必ずそれぞれ要望や意見が出るようになったのはいいことだと思いますし、この予算戦略会議もさらに進化をさせて、総合科学技術・イノベーション会議の政策への影響力、科学技術関係予算全体を俯瞰する力を強めていきたいと考えております。
大体そんな流れでした。

 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今回の資料の中で、SIPについて新規課題を検討というのがあるかと思うのですけれども、もし新規課題をやるとしたらアクションプランの中核にSIPが位置付けられるのであればそれに絡まった各省のプロジェクトも一緒に今度要求の中に入っていかなければいけないことになるのではないかなと思うのですけれども。そうなるとSIPの新規課題をもし立てるとしたら、もう今の時期から検討が始まっているということなのでしょうか。
(答)今どのぐらい具体的な検討があるのかわかりませんけれども、各省では、例えば自分の担当している分野をのせたいとか、あるいはSIPのシェアをもうちょっとこの分野、例えば分野横断技術にも広げてほしいという意見も出てきていましたから、そういう意見はそれぞれあると思います。まだ具体的にどの課題を次にのせるかという協議までにはいってないと思いますが、たぶん各省はそれぞれ玉として準備しているのではないかと思います。
 SIPは入替えあり得べしという方針はあるので、この進捗をよく見ながらいろいろフレキシブルに対応することになると思いますが、今の時点で具体的に新規をこういう形、この玉みたいな協議をするところまではいってないと思います。ただ、各省は各省でそれぞれの分野についていろいろな考えを持っていると。これだけSIPに関心を持ってアプローチしてきていただけるというのは非常にありがたいことだと思っています。
(問)そうすると、各省が出してきた玉をSIPの今の課題の中の範囲を広げるという形で対応するのと、各省から出てきたプロジェクトの中でそれを取りまとめるようなSIPの課題を今後概算要求後とかにつくっていくとか、そういうようなイメージ。
(答)イメージとしてはそんな感じですよね。ただ、今、視野を広げると決まったわけではなくて、いろいろな要望を受けてこれから具体的にどうするかという方向を考えていくということですね。
(問)あと、健康医療戦略のほうの今回何%でしたか、三十何%かあったと思うのですけれども、あの割合というのは来年度も同じ割合になるのでしょうか。
(答)これは私の理解では今回立ち上げということで、両部局で話し合って決めた35%、官房長官との間でいろいろな議論をしましたけれども、これはあくまで今年の数字であって、来年度は来年度としてまた協議をして決めていくということだと思います。
(問)そうすると、来年度の配分についてはいつぐらいまでに協議を。
(答)それは今の時点でいつまでということは言えませんけれども、決めなければいけない必要があるデッドラインをにらんで決めていくということだと思います。次年度は状況を踏まえてまた議論をして決めていくということだと思います。
(問)共同通信の須江と申します。
 先ほど御説明で、総合科学技術会議…
(答)これからは全部CSTIと言って。
(問)CSTI、そうですね。CSTIと産業競争力会議、経済財政諮問会議との連携もつくっていきたいということですけれども、今大臣のイメージとしてこういう仕組み、具体的なもの何かあればと思ったのですけれども。
(答)いや、もちろんCSTIと産業競争力会議はちゃんと連携しています。そのために橋本議員に両方のメンバーになっていただいているし、甘利大臣とも大事なところの話し合いはしていますし、先ほど言ったようにSIP、ImPACT、それから新たな国立研究開発法人、それも甘利大臣のサポートがあってここまできたので、そういう意味では連携をしているのですが、さらにその連携を強めていく必要性を科学技術政策担当大臣として感じているということです。
 特に経済財政諮問会議との連携のメカニズムというのは今まで余り強くなかった気がするのですね。もちろんあるのだと思いますが、それをもうちょっとコミュニケーションをとっていくということは非常に大事なのではないかと思います。例えばCSTIの民間議員と経済財政諮問会議の人たちとの意見交換とかいう形でCSTIの意見もうまく経済財政諮問会議の議論に反映していただけるような仕組みをいろいろこれから考えるべきではないかなと考えています。
 科学技術イノベーション総合戦略2014はもちろんなのですけれども、成長戦略、それから骨太方針、ここは十分に科学技術イノベーション政策の重要性を明記していただいたと思っています。ただ、それをさらに一歩進めて、成長戦略のコアとして前に進めていくことを考えなければいけないので、そのためには今言った2つの会議との連携を、これまでも連携はありますけれども、さらに進めていくことが大事なのではないかと科学技術担当大臣としては考えています。これが司令塔機能強化の1つの課題なのではないかなと思っています。
(問)NHKの高野です。
 関連ですが、今の三者でいくと、産業競争力会議と経済財政諮問会議は合同で会議をやっていたりますが。
(答)はい、だからもう連携しています。
(問)例えば総合科学技術・イノベーション会議とそれぞれを合同でやったりとかいう考えは。
(答)どういうやり方がいいのかは、これから相談したいと思います。ここで別に決まっているわけではなく、これはもう担当大臣としての個人的な意見ですが、経済財政諮問会議とはもうちょっと連携をいろいろな意味で深めていくべきだと思いますし、経済財政諮問会議の議論にさらにCSTIのいろいろな意見を取り入れていただけるような仕組みは努力してつくっていきたいと思います。今は誰とも調整してないのですが、科学技術政策担当大臣としての希望というか気持ちです。
(問)科振費全体の予算をふやしていくと。確かに骨太方針でも第4期の基本計画の云々かんぬんということは書かれたのですけれども、具体的にどのぐらいまで、例えば大臣の個人的な希望でもいいのですけれども、どのぐらいまでは科振費をふやしたいなとかそういうのはありますでしょうか。
(答)ここでどのぐらいと言うのは難しいのですけれども、少なくとも目標がありますよね、ここで何度も言っているように、なかなか難しいと思いますけれども、基本計画の中で位置付けられた25兆円、これに近付けていくというのが1つの大きな流れだと思います。
 その科学技術振興費を増やしていくためには、CSTIのアクションプランの影響力をさらに伸ばしていく必要があるということだと思います。それについてはもう一回言いますけれども、CSTIの司令塔機能を高め、科学技術関係予算全般に係るCSTIの影響力を強めていくことが大事なのだと思います。さっき言った連携も全部そういうベクトルの中で考えていかなければいけないことだと思っています。
(問)先ほどオリンピックに向けた東京都とタスクフォースの話で、各省チームが重複しないように連携ですとかいうお話、指示しますというお話ですけれども。例えば大臣のお考えとして、科技政策の統合的なタスクフォースチームをつくるとかそういったようなお考えがあるということでしょうか。
(答)それはどういうやり方が一番いいのかどうかというのはよくわかりません。ただ、今のところ例えばタスクフォースが乱立して問題があるようなことはないと思うのですね。それは全然入ってきてないので。ただ、東京オリパラに向けて、例えば国交省などもいろいろなチームをつくると思うのですよね。次世代インフラとか観光といった部分でたぶん東京都といろいろな連携をとっていくということになると思うので。ただ、そういうタスクフォースがうまく連携するようにしていくということだから、その調整はどういう方法がいいのかをこれからよく考えたいと思います。
 ただ、現時点で何か乱立して問題があるということはないと思うのですね。ただ、いろいろなタスクフォースができるとすれば、科学技術イノベーションについて言うと、骨太方針の中に発信ということが入っていますから、オリパラに向けて、これは当然、内閣府の科技部局が中心になっていくのだろうと思います。
 よろしいですか。ありがとうございました。

(以上)