山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月6日

(平成26年6月6日(金) 9:10~9:24  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 まず、沖縄担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 今週の6月3日、仲井眞沖縄県知事、佐喜眞宜野湾市長、大城琉球大学学長から、キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の国際医療拠点の形成に向けた国の支援等について要請をいただきました。私の方からは、同地区の跡地利用は沖縄の振興にとって非常に重要な課題であると考えていると、地元の御要望として重く受けとめ、国の支援について関係省庁とも相談をしながら前向きに検討したいとお答えを申し上げました。
 その後、岸田外務大臣、小野寺防衛大臣にも参加をいただいて跡地利用推進協議会を開催をさせていただきました。協議会では、県・市の要望も踏まえて、同地区について国の取組方針を策定することといたしました。また、その他の返還予定地についても、知事、関係市町村長としっかり意見交換を行うことができたと思っていまして、有意義な会議だったと考えております。引き続き跡地利用の推進にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 正規メンバーになっていただいたので、もちろん当然とは思いますが、約2時間にわたって外務大臣、防衛大臣の日程を割いていただいて、3大臣が2時間近く、その後の懇親会も含めると、この協議会の関係者の方々と意見交換を行いました。安倍内閣として、いかに沖縄振興、特にこの跡地利用の問題に対してこれを重視しているかと、一つの証明ではないかと考えております。
 それから、今日のプレゼン、簡潔に行いたいと思います。
 前回の記者会見でSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の革新的燃焼技術について御説明をさせていただきました。今日は、そのSIP、いよいよ、PD(プログラムディレクター)も水曜日、任命をさせていただいたので、一つひとつこのようにして、この10の課題の中から御紹介をさせていただきたいと思います。
 今日は次世代パワーエレクトロニクスということで、一言で言うと、日本が既に非常に強い分野なんですが、国際競争力がどんどん激化していく中で、やはりこの日本の競争力をしっかり維持をしていくという観点からSIPで取り上げているということです。
 まずパワーエレクトロニクスとは何か。パワエレを人間で例えると、半導体でいえばIC(集積回路)というのはデータ(信号)を処理するということで、頭脳に当たるということになります。それではパワエレは何かというと、これは電圧、電流を制御する、すなわち血圧、血流を制御するということで、心臓の部分に当たるということですね。
 ということで、パワエレはどのようなものかというと、あらゆるところで使われています。一つは直流の電気を交流の電気に変えるとか、あるいは100ボルトの電気を変圧器で5ボルトの電気に変えると、このような形で使われています。更に、従来はトランスなんかを使用して大きかったわけですが、この変圧器をパワエレによって小型化をするということに成功しています。そして、我々の生活でも身近なところで実は非常に使われていまして、太陽光とか自動車とか鉄道とか、あるいはエアコンとか家電ですね。このようなところで実はパワエレは活躍をしているということです。
 パワエレ市場、実は非常に急成長していまして、2030年に20兆円になる。今6兆円なんですが、20兆円になる見込みです。SIPによって高性能なパワエレを開発し、競争力の維持・拡大を目指すと書いてありますが、現時点で、先程申し上げたとおり日本企業は優位な立場にあって、一番大きいのは日本の企業なんですが、ドイツが二つ入って、ずっと日本企業が続くということなんですが、先程申し上げたとおり、油断するとあっという間に追い抜かされてしまう。ですから、SIPによって、この日本の強みの部分、産業競争力というものをきちんと維持していこうということです。
 パワエレ応用の事例。これは確か総合科学技術会議でも総理の前でプレゼンをしていただいたので、この映像を覚えていらっしゃる方もいると思いますが、東京メトロ銀座線では既に最新鋭のパワエレ機器(インバータ)を搭載していまして、これがインバータなんですが、ここに搭載されているんですが、これはSiC(炭化ケイ素)という新材料を用いたパワエレなんです。消費電力を何と4割削減している。省エネにこれだけ貢献しているということなんですね。
 目指すレベル。今回、SIPで更にこのパワエレの技術開発をどんどん行っていくということなんですが、現状に比べると電力損失2分の1、体積4分の1の達成を目指す。これはインバータ・エアコン、3割減になっているわけなんですが、更に省エネ化をして小さくしていくということで、電力損失2分の1、大きさ4分の1ということはかなり画期的な話だと思います。
 そのためにどのような体制を構築していくのかということですね。ここに書いてありますが、大学、文科省による基礎的研究、更には実用化に向けた研究ということで、ここをつながなければいけない。ここをどのようにしてつなぐかというと、これはPDに担当してもらう。すなわち、SIPプログラムで選ばれたPDの方に全体を俯瞰(ふかん)してもらって戦略を策定する。ここにSIPが入って研究開発、拠点・ネットワークを形成して、画期的な省エネ、産業競争力の強化を図る。それで早期の実用化を目指すということなんですが、当然SIPは出口をしっかりと睨んで省庁連携によってそれを実現するということなんですが、基礎的研究部分もきちんと行っていく。つまり、将来の研究の芽もしっかり残して、中・長期的にも貢献しようというのが、このSIPの野望でございます。
 ということで、プログラムディレクターは大森先生(大森達夫三菱電機株式会社役員技監)。正にこの分野の第一人者なんですが、先程申し上げたとおり、出口に向けてしっかりと推進する体制を作り、同時に次の時代の研究の芽もしっかり残していくということで、大森先生の一言を引用させていただくと、とにかく実用化を担う企業にも参加してもらうということで、製品化をしっかり行っていく。社会への貢献につなげていきたいということだと思います。
 SIP、10課題ありますが、総合科学技術会議の方の担当をしていただている久間議員(久間和生元三菱電機株式会社常任顧問)にも張り切っていただいていまして、この間も10人の方々と懇談をしたんですが、非常にモラルが高いということで、とにかく一つでも成果を上げて、ベストプラクティスを作って、全体をばっと前に押し上げていくような形にしていきたい。10のプロジェクトは全て成功させると、そのような覚悟で、我々もしっかりとこのSIPの10人のPDを支えていきたいと思います。
 ということで、今日のプレゼンはこのぐらいにしたいと思いますが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。今のSIPの次世代パワエレについてなんですけれども、日本は競争力は強いんですけれども、大学の研究室の数とか、量というか、そういうもので比べると非常に少なくて、例えば次世代パワエレのシステム技術なんかだと数えるほどしか研究室がない。結局、この次世代パワエレが象徴的なんですけれども、結局大学の動きが現実の日本の競争力の課題とマッチしていない。そういうことについて大臣としては、これからどういうふうに取り組んでいかれると考えていますか。
(答)今おっしゃった話は非常に大事だと思っていまして、日本の場合、これは正に科学技術イノベーションサイクルの話につながってくると思うんですが、例えば大学のような場所で生み出される非常に優れた基礎研究が、産官学とよく言いますが、経済界、産業界になかなかうまくつながらないというところが一番の問題ですよね。アメリカのようなITベンチャーとか、シリコンバレーのおそらく生態系の頂点に立っているベンチャーキャピタルのようなものがないと、だから特定研究開発法人という話が出てくるんですが、そこの橋渡しをきちんと行っていくということですから、これはもうSIPに限らず、日本の科学技術イノベーションサイクルを作るという上では大事な課題だと思っていまして、そこは政府としても科学技術政策担当大臣としてもしっかり踏まえて対応していきたいと考えています。だから、これも一つのきっかけになっていくのではないでしょうか。
(問)琉球新報の問山です。先程、西普天間地区の跡地利用についてのお話がありました。跡地利用特措法に基づく国の取組方針を策定するということなんですが、いつまでに国の取組方針を策定するのか、そのスケジュール的なものをお教えください。
(答)正直言うと、現時点ではいつということは決まっていません。全体のいろいろな流れを考えると、沖縄担当大臣としてはできるだけ早く実現をさせたいと考えています。
(問)西普天間は来年の3月末に返還なんですが、それまでに間に合わせたいという感じをお持ちなんでしょうか。
(答)もう一度申し上げますが、今の時点でいつということは決まっていないんですが、今のような話も、全体を睨みながら、できるだけ早く取組み方針を打ち出せるようにしたいと思っています。
(問)追加なんですが、知事からの要請の中に、国際医療拠点として国家プロジェクトとして扱ってほしいという要望があったと思いますが、これについて大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)これも、これからしっかり検討させていただきたいと思います。先程も申し上げましたが、県からの強い要望ですから、しっかりと踏まえて、関係省庁ともよく連携しながら前向きに検討していきたいと思います。
(問)理研(理化学研究所)についてお伺いいたします。
 小保方さんがSTAP細胞に関する主要論文を取り下げましたけれども、これに関する受けとめと、これによって理研の特定国立研究開発法人への指定に影響は出てくるんでしょうか。
(答)まず、STAP論文撤回の話ですが、ライフサイエンスの常識を変えるような、画期的な発見だと当初我々も考えていたわけで、この撤回という結果は、ある意味で言うと残念だと思っています。
 特定研究開発法人の法案に対する影響ですが、これは一概には言えない。これからの全体の対応を見ていかないとわからない。前回の記者会見で申し上げましたが、改革委員会のまだ報告が出てきていませんので、いろいろな報道で、例の神戸のセンターの報告の中身等々が報道ベースでは出ていますが、これは多分、ある意味で言うと合体された形で改革委員会の報告が出てくるので、そのようなことも全部見極めて、それに対する理研の対応等々もしっかり見極めた上で判断をしていくことになると思います。
(問)全体を見てと、まだ報告も出てきていないとおっしゃったんですが、政府としては、指定の是非については、その報告が出てから判断をされるということなんでしょうか。
(答)それは、前から申し上げているとおり、今国会への法案の提出を断念した際にも申し上げましたが、改革委員会の調査結果を見ないうちは法案を出すわけにいかないと申し上げたとおりです。改革委員会のまず報告書をしっかりと見て、もう少し全体像をしっかりと把握して、理研の対応も見極めながら判断をしていくということだと思います。
(問)NHKの高野です。昨日の竹島集会、後藤田副大臣が出たことで韓国側は反発していますが、どのようにお考えでしょうか。日韓関係への影響。
(答)これは日本政府としての判断なので、他国から何かいろいろと言われるというものではないと考えています。これは日本政府としての全体を睨んだ判断ということだと思います。
 これも何度もここで申し上げていますが、日韓関係は極めて重要な二国間関係だと思っていますので、今回のことで何か深刻な影響が出るとは思っていません。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:251KB)

(以上)