山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月23日

(平成26年5月23日(金) 18:36~18:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 本日の17時30分から総合科学技術・イノベーション会議を開催いたしました。本日は、内閣府設置法の一部を改正する法律が施行された後、第1回目の会議ということになりました。
 まず、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)について、10課題への予算配分などを決定いただきました。
 次に、科学技術イノベーション総合戦略の原案について御審議をいただきました。議論の場における出席議員からの主な発言を紹介させていただきたいと思います。
 まず、SIPについてですが、久間議員からは、SIPはこれからが本番であるということで、グローバル競争を勝ち抜くためSIPを継続的な、もう一回言いますが、継続的な仕組とするべきだという意見がありました。
 さらに、内山田議員から、SIPは産官学の連携、府省連携を通じて競争力のあるイノベーションを作るものだと、産業界としては大いに期待をしているというお話がありました。水素エネルギー社会の構築ということについても言及がありました。私が幾つか例を挙げたのですけれども、その他水素エネルギー社会の構築を目指すテーマもあるという御紹介をしていただきまして、とにかく経済産業省、文部科学省、国土交通省、総務省等々が連携して同じ出口を目指す推進体制ができたということは極めて画期的だという意見がありました。とにかく、内山田さんが言っていたのは成功事例を作りたいと。この成功事例が早く生まれて定着していくように、産業界としてもしっかり応援をしますということでした。
 それから、下村文部科学大臣から、SIPの成果を東京オリンピック・パラリンピックの機会に世界に発信して、イニシアティブをとっていくことが大事だという発言がありました。
 次に議題2、総合戦略についてです。まず、橋本議員から、研究開発法人を中核としたイノベーションハブの形成、これは甘利プランにもつながっていくわけですが、それについての話がありました。今回の政策には新しいことが多く盛り込まれていると。例えば一つ、クロスアポイントメント制度というのがあります。フラウンホーファー協会ではないのですけれども、研究開発法人の長と例えば教授とクロスアポイントメント、例えば制度を作るということになった場合には、共済組合法が問題となって難しいということで、これを是非検討していただきたいという話がありました。
 それともう一つは、今回の総合戦略の案には大学改革の話が入っていると。初めて大学改革をイノベーション推進の観点から押し出したというのは非常に画期的だという話がありました。
 それともう一つ画期的だったのは、競争的研究資金制度とファンディング機関の改革についてもイノベーション推進の観点から書かれたと、これは画期的ではないかという話がありました。
 平野議員から、芽を育む基礎と人材育成のために大学が重要だという話があって、とにかくバランスよくいろいろなことを推進していくべきだという話がありました。持続的なイノベーションのためには基盤として大学の役割が大事だという御発言がありました。
 大西議員からは、大学にはイノベーションにつながるものもあるけれども、基礎固めをしたいという欲求もあると。ですから全体としてこれをサポートするということが大事だという指摘がありました。
 さらに、新藤総務大臣からは、総合戦略策定の後にはアクションプランを作っていくという流れになるわけであって、有識者議員の皆さんにはプロデューサーになったつもりで各省にしっかり指示を出していただきたいという激励をいただきました。
 下村文部科学大臣からは、科学技術イノベーションは未来を切り開く鍵だということで、本会議が中心となって関係予算の増大を実現させるべきだという話がありました。
 それから、大学改革の話で、卓越した大学院を形成し大学の大胆な発想に基づく取組を後押しするために新たな仕組を構築するよう私の方から検討したいと、こういう話でした。
 それから、新しい研究開発法人制度についても言及があって、これは4大臣、私、新藤大臣、稲田大臣、下村大臣、この4大臣で合意した事項を着実に進めると。この意思を戦略の中でも明らかにすべきだという御意見がありました。
 甘利大臣から、この科学技術イノベーション総合戦略に関しては、イノベーションという名称が加わったと。ちょっと長くなったけれども、非常に意義があるという話がありました。甘利大臣が提案されたイノベーションナショナルシステムの具体化に向けて、精力的に御検討いただいていることと認識をしているということで、これについて2点発言がありました。
 一つ目は、公的研究機関の橋渡し機能の抜本強化。これは経済産業省において産総研(産業技術総合研究所)とかNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の先行的な取組を進めたいと。同時にその取組の成果を他省庁の研究開発法人にも展開をしていきたいという話でした。
 第2は、クロスアポイントメント制度です。このことは何人かの方から言及がありましたが、研究員が大学と公的研究機関を兼務すると。この際には、医療保険、年金制度、こういうことが支障にならないように制度改正を含めた環境整備が必要だという指摘がありました。松島経済産業副大臣からも、クロスアポイントメント制度では年金などのルールの明確化が必要だという話がありました。
 原山議員からも御発言があって、SIPは環境整備に向けた実装を行う場だと。多様性の確保を図りつつ着実に推進していきたいという話がありました。
 最後に、小谷議員からも一言御発言があって、大学改革についてイノベーションの観点から初めて打ち出されたということは非常に意味があると。大学は学生にとって一生の問題であって、長期的な視野に立って社会的な責任を果たすような大学改革にしてほしいと。こういう話がありました。
 以上が、発言の概要です。
 最後に、これはカメラの前で総理にお話をしていただきましたが、総理の方からも、総合科学技術・イノベーション会議となって新しいスタートを踏み出したと。これはもうとにかく研究開発を促進するだけではなくて、産業化等の出口につなぐと、この意思を込めたものだということで、司令塔機能をしっかりやってくださいと、司令塔機能を引き続き発揮してくださいという話がありました。
 その上で、これもカメラの前で総理が御発言されたわけですが、とにかく今度の科学技術イノベーション政策の総合戦略、これをちゃんと日本再興戦略及び骨太方針の改訂に反映させていただきたいと。これも総理から言っていただきました。これは大事なところだと思います。
 二つ目、SIPについてですけれども、これについても総理から、この会議の主導の下で各省縦割りの弊害を排除し、府省連携して国全体で推進して社会を変えていく画期的な取組だと御発言をいただきました。この国家重点プログラムを継続的に、もう一回言いますね、継続的に力強く推進し、是非とも成功させなければいけないと。このため、進捗状況をしっかりフォローアップしていくとともに、関係閣僚において全面的な協力をお願いしたいと、こういう旨の発言を総理からいただきました。
 ということで、今日の会議の流れ、発言は以上です。

 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問) NHK高野です。
 総合戦略についてなのですが、今回第2章のところで初めてオリンピックに向けた取組というかここで実用化を目指すという項目が入ったかと思うのですが。この意義をどのようにお考えでしょうか。
(答) 東京オリンピック・パラリンピックは、日本が国際社会に向けて存在感を発揮する絶好の場所だと思います。それはいろいろな分野でこの東京オリンピック・パラリンピックに向けて恐らく各省庁からいろいろなプランが出てくると思うのですが、科技担当大臣としては日本こそ科学技術イノベーションの拠点であると、そういうアピールを内外にするためのまさに千載一遇のチャンスだと位置づけています。それは文部科学大臣も全く同じ認識だと思いますし、昨日、舛添東京都知事にもお目にかかりましたけれども、科学技術イノベーションについての取組、2020年までにこれはもう力を合わせてしっかりやっていこうということを再確認させていただきました。
(問) 科学新聞の中村です。
 先ほどのクロスアポイント制度、あれにかかわる年金とか保険の問題なのですけれども、それについては例えば総合科学技術・イノベーション会議で何らかの検討をするのか、それとも規制改革会議のようなところで、どこで検討することになるのでしょうか。
(答) それはこれからのことだと思います。まだ現時点では決まっていませんが、いずれにせよ甘利プランを実現していくためにはこのクロスアポイントメント制度というものは一つの中核になるので、これを実現していくためにどう対応するのかというのは当然、総合科学技術・イノベーション会議の中でも議論すると思いますし、いろいろな場所でこの実現に向けての議論がなされることと思います。今のところどういう順番で、どこで議論していくかということは決まっていません。ただ、総合科学技術・イノベーション会議でもちろん議論していくべきだと思います。
(問) あともう一つ、SIPなのですけれども、先ほど何度か継続的な取組だと。 継続的な取組ということは、例えば来年度SIPで新しい課題を採択するとかそういうことも考えているのか、そこら辺はどうなのでしょう。
(答) そこはまだ決まっていません。いろいろな展開があり得るのだと思いますけれども。少なくともこれは例えば単年度で終るようなものではないという認識は私たちにもありますので。我々としては、ここでも申し上げたとおり、余り細かい具体的なことは言わないほうがいいと思いますが、科学技術担当大臣としては、例えば少なくとも5年とか6年とか、場合によってはもっと、きちんと継続して取り組むべき課題だと思います。
 前も言ったように、5年あったら一部調整金として出す分はありますが、例えば単純に言うと5年あれば2,000億円以上のお金を科学技術イノベーションに割り当てるということですから、継続的な仕組として続けるべきだと思いますし、そうなるように科技担当大臣としては努力をしたいと思っています。
(問) 日刊工業の小川です。
 先ほどのオリンピック・パラリンピックの関連で質問なのですが。単純に言って、SIPの中で掲げた課題のうち、加速もしくは前倒しで2020年までに幾つか実用化もしくはデモンストレーションという形でオリンピック・パラリンピックで示したいという意向もあるのでしょうか。
(答) そこはまだ具体的に決まっていませんけれども、これからSIPがどういう展開をするのかというのを見極めていくのだと思います。
 ただ、舛添東京都知事の方から出ていたのは、是非水素をやりたいとおっしゃっているのですね。そういう意味で言うとSIPのPDの中でこの分野の権威がおられるので、知事が例えば水素について是非2020年に向けて一歩この取組を進めたいとおっしゃったので、実はうちのSIPで採択された事業の中に村木先生がおられるのですという話をしてちょっと盛り上がった部分がありましたから。目指すべき方向についていろいろとシェアできるところあると思います。
 ただ、どの技術がどう展開していくかというのはこれからの状況を見ないとわからないと思います。
(問) それとお聞きしたかったことのもう1点は舛添東京知事との会話なのですけれども。科学分野で協力したいというので今水素を挙げられましたけれども、山本大臣としてはどういった分野というのを個別で挙げるのもあれなのですけれども。
(答) SIPで言えば、今言った水素の分野はもちろん協力できると思います。東京都の方からも是非科学技術イノベーションを進めていく上では内閣府の方からもいろいろな知恵をもらいたいと言ってもらいましたし、我々としてはそういう技術的なサポートを含めて喜んでやらせていただこうと思います。そのことが私たちにとっても出口戦略を考えることにつながるので、これはウィンウィンだと思います。
 これはSIPということではないのですけれども、例えば一つ、科学技術なのかITなのか、しっかり協力をしていかなければいけないという点で言うと、サイバーセキュリティ、これは科技部局だけではないと思いますけれども一つ大きな課題になるのではないかという話が出ました。
 あとは、科学技術イノベーションにはいろいろな分野がありますけれども、いろいろな分野で協力していける可能性はあると思います。事務方は非常に今スムーズに意見交換してもらっているので、東京都のタスクフォース、分野ごとのタスクフォース、恐らくこれから立ち上がると思いますが、そこと内閣府の科技部局のタスクフォースと連携をしていこうということをお約束しました。
(問) 追加で。SIPの予算配分が今日決まりましたけれども、これの狙いというのを。あればと思うんですけれども。
(答) 狙いというか、これは私も事前の審査に何度か顔を出したのですけれども、ガバニングボードのいろいろな議論を含めてかなり多角的に検証したと。今日PDになったのですけれども、当時はまだ参与の方にもそれぞれ来ていただいてそこでプレゼンもしていただいていますから、その全体総合的に考えた上でガバニングボードの議論も特に踏まえて決まったということで、狙いというか、そこはもう有識者の方々の意見も踏まえた多角的な検討で決まったということだと思います。
 ですから、10分野最初の配分額が決まって改めて調べてみたのですけれども、それぞれ可能性は高いと思いますね。是非、打率10割でいけるかどうかわからないのですけれども、久間議員は打率10割を目指していくと言っていますから、どのプロジェクトも成功してもらいたいと思います。それから、今日も内山田議員から意見が出ていましたけれども、まず一つでも成功例を作りたいと思います。
 よろしいですか。 どうもありがとうございました。

(以上)