山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年4月15日

(平成26年4月15日(火) 9:22~9:45  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 まず、宇宙政策担当大臣として一言申し上げます。
 4月12日の土曜日、北海道大樹町に本社を置く宇宙関連ベンチャー企業のインターステラテクノロジズ株式会社(IST社)の工場を見学いたしました。同時に、宇宙航空研究開発機構の大樹航空宇宙実験場も見てまいりました。更に、伊藤献一先生(北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)理事長)、それから、ISTの出資者である堀江貴文氏らとの意見交換も行ってまいりました。宇宙利用とか宇宙産業の裾野拡大の観点から、ベンチャー企業の参入を促すことは大事だと思っています。その現状を把握する上で、今回の出張は有意義だと、有益だったと考えております。
 大樹町長とか、あるいはベンチャーの経営者とか、伊藤(献一)先生とか、このような方々と意見交換をさせていただきましたが、将来的には宇宙特区のようなものも一つの考え方だということを少し申し上げたんですが、それはどういうことかというと、例えば、ロケットを実験するというときにも、きちんと関係各省から許可をとらなければいけないと。それについても、例えばそこに何らかの協議体、協議会のようなものがあれば、このロケットを実験するプロセス一つについても、よりスムーズにいくのではないかと。このようなことがやはり宇宙産業に新しいベンチャーの参入を促すことになるということで、その宇宙特区の中身が固まっているわけではないですが、例えば特区制度のようなものを活用してビジネスへの参入を促していくということも一つの道筋ではないかというようなことを申し上げました。現地に道庁の人も来られたので、例えば北海道庁が中心になって関係各省に声をかけて、一つのやはり協議体ではないですが、いろいろこのようなことを話し合う枠組みがあってもいいのかなと思っていまして、それについては、どのような形があるのかということは、少し動いてみたいと考えております。
 それが宇宙政策担当大臣としての御報告です。
 それから、手元にお配りしておりますが、第7回の司令塔連携・調整会議、今日の午後1時から開催をしたいと考えております。今回は各司令塔からのヒアリングの第3回目ということで、総合海洋政策本部と領土・主権対策企画調整室からの説明、意見交換等を予定しております。
 それから、今日の午後、夕方の5時から、IT利活用セキュリティ総合戦略推進部会、この第2回の会合を開催したいと思います。この会合は、オリンピック・パラリンピック東京大会を6年後に控えて、IT利活用とセキュリティのバランスのとれた政策を取りまとめるべく、様々な立場の専門家にお集まりをいただき、積極的な議論を行うというものです。限られた時間ですが、前回に引き続いて、オリンピック・パラリンピックの東京大会を見据えたIT利活用の促進とか、セキュリティ技術の投資、人材育成強化等について、建設的な議論をしたいと考えております。
 詳細は内閣官房情報セキュリティセンターにお問い合わせをいただきたいと思いますが、当日は防衛省からも、安全保障の分野でのサイバーセキュリティがどう進んでいるかということも、少し説明を受けたいと思っています。これは新しいIT利活用セキュリティ総合推進部会というものを立ち上げて、御存じのとおり、官房長官の方から、サイバーセキュリティの方もしっかり対応してほしいとお願いされていますので、ここでできるだけ、横串と言うとすごく単純なんですが、例えば防衛省ともきちんとIT総合戦略本部で連携をしていくという姿をきちんと作っていきたいと思いますし、夏の報告をまとめる前にも、いろいろ良い知恵が出てくれば、政策に反映させるような提言をタイムリーに行うということも考えていきたいと考えております。これは前々回か、ずっと前の記者会見で言った覚えがありますが、そのような方向で進めていきたいと思います。
 それから、STAP細胞の研究の話、これは科学技術政策担当大臣として一言申し上げたいと思いますが、もう何度も申し上げているんですが、理研(理化学研究所)が研究開発法人として非常に高い水準を維持していると、これはいろいろな指標からいっても、世界最高水準の研究開発法人の一つだという認識は依然として持っておりますし、だからこそ、総合科学技術会議で特定国立研究開発法人の候補として決定をしたということだと思っています。しかしながら、現在のSTAP細胞をめぐるいろいろな動きを踏まえて、これも何度も言っていますが、今後の理研の対応を見極めた上で、特定研究開発法人については、決定していくということです。
 理研では、野依理事長(野依良治理化学研究所理事長)を本部長とする改革推進本部と、それから外部有識者からなる改革委員会を立ち上げ、4日に立ち上げたんでしょうか。改革委員会については既に2回開催をしていると(10日と13日)伺っていますが、今後とも精力的に検討が行われる予定だと承知しています。ガバナンス体制の再構築をきちんと行っていただいて、これも何度も記者会見で申し上げましたが、ガバナンスとか危機管理マネジメントでも一流であることをしっかり証明していただくと。一日も早く信頼回復をするべく、全力で取り上げていただきたいと思います。8日に小保方氏(小保方晴子理化学研究所ユニットリーダー)からなされた不服申し立てについて、再調査の要否について審査が開始されたと伺っておりますが、これについても適切に対応していただきたいと思いますし、科学技術政策担当大臣としては、そのような対応を十分に見極めてまいりたいと思います。
 このことも記者会見、前々回の記者会見で申し上げましたが、私は特定国立研究開発法人の創設に中心的に関わってまいりました。この制度は、科学技術イノベーションを成長戦略の中核に据えた、安倍政権にとって非常に大事だと思っていますし、これからの日本を考えていく上でも、大変意義のある制度だと思っております。できるならば、今国会でこの法案を成立させて、新しい特定国立研究開発法人制度をスタートさせたいと科学技術政策担当大臣としては思っておりますし、この特定国立研究開発法人は、これから科学技術イノベーションのサイクルを考えていく上でも、非常に重要な役割を果たすことになると思っていますので、そのような気持ちは持っておりますが、しかしながら、今日、今後のいろいろと日程を拝見させていただいて、再調査をするかどうかということについてもかなり時間がかかるということですので、科学技術政策担当大臣としての心情は変わりませんが、なかなか容易ではないなと、状況は厳しいということを改めて思っております。
 いずれにせよ、法案が出れば私が担当大臣として答弁をすることになると思いますので、もう一度繰り返しになりますが、今後の理研の対応をしっかりと見極めて、この連休後の報告書も、連休後の結果の報告、調査のですね、これも見極めた上で対応をしっかりと決めていきたいと考えております。
 簡単にプレゼンをさせていただきたいと思います。
 今日は知財戦略の6本柱の話ですが、この六つの柱を中心に知財戦略を進めていくというイニシアティブを担当大臣として打ち出しました。今般、この5と6、アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化、それから音楽産業の海外展開に向けたビジネスモデルの再構築、これについて報告書がまとまりました。これは知財推進計画2014に反映をさせていくということで、いろいろな形でこの報告書を発信していきたいと思いますし、今そのいろいろな道筋を検討しているところです。
 この二つについて説明したいと思います。
 アーカイブの話。
 結構地味なんですが、実はとても大事だと思っていまして、何でタスクフォースを設置したかというと、今までアーカイブは、流通する情報量の拡大、このようなアーカイブを作ろうと、このような構築に重点を置いていたんですが、一方で、日本文化の海外発信とか知的インフラの構築と、このような観点でも実はアーカイブは非常に重要だという認識が高まってまいりました。そこで、継続的に取り組んでいくためにはアーカイブの社会貢献、利活用を明確化して、社会基盤として強化をしていくことが不可欠だという認識に基づいて、今年の2月末から4月初旬にかけて4回タスクフォースを行って、課題を抽出し、取り組むべき施策を検討しました。
 タスクフォースの委員ですが、このような方々なんですが、中村伊知哉議長(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)は検証・評価委員会の方の座長も務めていただいております。この方は、メディアデザイン研究科となっていますが、京都大学時代にヴァンパイアという伝説のバンドのベースを弾いていまして、あの「少年ナイフ」をデビューさせた大変な人物なのです。
 それから、タスクフォース報告書の概要ですが、いろいろな切り口で行ったのですが、放送文化、文化財、書籍、映画、いろいろとあります。現状でいうと、デジタル・アーカイブをいろいろと各分野で整備しているんですが、これ見ると、映画だけないですよね。
 放送番組、NHKアーカイブス、あるいは放送番組センターが、いろいろアーカイブ化を進めていると。
 文化遺産オンラインと国立博物館、このe-国宝、何千点ぐらいになっているんですかね。
(事務方)1,057点。
 1,000点ぐらいですね。文化遺産オンラインは5万点ぐらいあるか。数万点かな。
(事務方)文化遺産オンラインは5万点。
 5万点でしたね。そのような感じでアーカイブ化を行っているということで。
 書籍は、国立国会図書館が相当進めていまして、数百万点ありますよね。数百万件、確か公開されているのが4、50万かな。もう少し。
(事務方)48万。
 48万ですか。そのような状況で、これもアーカイブ化を進めているということです。
 映画が、アーカイブ化は非常に遅れています。これは結構、かなり危機的状況だと思っています。
 利活用を活性化させて社会基盤として成長させる好循環を生み出すと。
 あと、大事なことは、やはりビジネスモデルを作るということだと思うんですね。ビジネスモデルがきちんとアーカイブの中でもできれば、そこに人材も生まれてくるということで、そのような観点を強調するべきだという意見もかなり有識者の方々から出されました。
 報告書の概要を簡単に申し上げます。
 優先的な利活用の取組。今このように書いてあるとおりですね。
 ボトルネックを解消するとか、欲しいデータが見つからないということで、もっと届きやすい、見つかりやすい仕組みにしようということです。データが見つかってもすぐに使えないということで、権利処理を円滑化するとか利活用をサポートするとか、このような形で行っていきたいと、このような形で行っていくべきだということは書かれています。
 アーカイブの構築・充実に係る体制の整備・制度、これは著作権制度が大きいですが、このようなものを全体として改善していこうと。先程も申し上げたとおり、やはり2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた海外発信と教育の情報化、これは非常に大事だと考えています。
 ということで、このような形の好循環を生み出していきたいということですね。アーカイブの利活用促進による好循環です。
 ということで、2番目の音楽産業の国際展開に関するタスクフォース。
 これは私の強い思い入れもあって作ったタスクフォースなんですが、背景ですが、コンテンツの海外展開を促進するためには、コンテンツ分野ごとの状況・課題を踏まえた上で、きめ細かい対応が大事だろうということが一つあります。海外展開の潜在性が強いと。音楽はあらゆるものを超えるメッセージですから、この業界の取組も熟しつつあるということで、音楽産業はコンテンツの海外展開のモデルケースとして最適だろうと考えています。同時に、音楽産業は国内でのCD販売・配信売上げが今減少しておりまして、海外展開によって収益源を確保することが急務になっています。
 ということで、3月初旬から4月初旬にかけて4回のタスクフォースを行いました。課題の抽出、取り組むべき施策を検討しました。
 タスクフォースの委員ですが、このように並んでいるんですが、ポイントは、これは内閣府ならではだと思ったんですが、業界の中でもいろいろな考え方の方々が一堂に集まったと。それぞれの分野でメーンストリームというか、正にトップを走る方々なんですが、いわゆる従来のCD販売のようなものを中心としたビジネスモデルを模索している方々と、それから、今も大体音楽ビジネスの収益の中心はライブになっているんですが、そのようなものをどちらかというとビジネスモデルとして考えている、ネットはいろいろな形で絡んでいるんですが、このような方々を全部一堂に集めて議論したということはないということで、実は音楽産業というか音楽業界でも非常に話題になっておりまして、先般も音楽関係者から問い合わせを受けたということで、もう一回言いますが、このようなメンバーを一堂に集めたことはないので、これが内閣府の醍醐味というか、内閣府ならではの取組なんだと思います。
 タスクフォース報告書の概要を言います。
 点の取組を線・面にして、現地ファン層を囲い込むと。拠点を作ると。やはり業界が協力をして、総合的なデータベースを作るという戦略が必要だろうということです。
 それから、官民一体、業界全体で、海外に進出するためのインフラ作りをすると。そのためには、もう当たり前のことですが、権利管理団体の能力を育成しなければいけないし、海賊版対策もしっかりと強めなければいけないということです。
 更に、三つ目として、現地市場とか外国勢の動向を徹底的に調査すると。「欧米勢、韓国勢の戦略を把握し、マーケティングを強化」とあるんですが、実は、音楽業界でも非常に韓流がアジアでは強い強いと言われているんですが、どのぐらい強いのか、そして、今の現状として、どのような方向に向かっていくのか、このような徹底的なマーケティング調査というのは行われていませんので、まず基礎のデータをきちんと集める必要があると思っています。
 それから、「最初から海外を狙うアーティスト育成、ソフト作り」とありますが、これは音楽だけではなくて、コンテンツの海外展開では、これはもう共通して言えることだと思うんですが、「アーティスト、マネージャー、エンジニア等の育成」と書いてありますが、2020年東京オリンピック・パラリンピックがあった時に、日本のミュージシャンの、アーティストの誰が日本を代表して歌うのかと、そのような人が今いるのかどうか。あるいは、いなかったら育てなければいけないのではないかと。このような、例えば2020年に向けてパフォームしてもらう人を育てるというような、少し目標を掲げていくのもいいのかなという気はします。
 それから、音楽を活用したインバウンドの促進ということで、これから2020年に向けて、コンサート会場を確保するとか、文化発信・エンタメの集積作り、このようなものが必要だと思っています。もう一回言いますが、とにかく2020年の東京五輪を機に日本の音楽を世界に発信するということで、そのようなものがインバウンドといいますか、外国客の誘致に、また更につながっていくということ、流れを作りたいと思います。
 ということで、この音楽産業のタスクフォースはこのまま続けていただいて、大臣の下の懇談会にするのか、そのままタスクフォースのままなのか分かりませんが、少し定期的に集まっていただいて、知恵を借りたいと思っています。このコンテンツ展開を支援するためにどのような枠組みを作ればいいのか、もう少し議論が必要なので、2014年の知財推進計画に反映させる報告書とはまた別に、是非この枠を内閣府、とても内閣府らしい試みだと思うので、この枠を是非生かしたいと思います。
 それから、知財戦略、これは六つの柱を立てて、それぞれ大臣懇談会とかタスクフォースを立てて行ってきましたが、これは全て知財計画に反映させていくということですが、タスクフォースとして提言をするという形も是非考えたいと思っていまして、少し事務方に今いろいろ知恵を借りているところですが、例えば、タスクフォースとしての提言を知財担当大臣としての私が直接各関係各省に届けるとか、いろいろなやり方で各省の背中を押す、あるいはここの発信を広げていくという方法があると思いますので、そのような山本知財大臣流の、発信の方法をしっかり発明したいと思っております。
 少し長くなりましたが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 宇宙特区のことについて、これから大臣として動いていきたいということを先程おっしゃっていた。具体的にどんなふうに動いて、いつ頃までに何らかの形を作りたいとお考えでしょうか。
(答)特区と言ったのですが、これはそう簡単に実現できないと思うんですね。別にまだ関係省庁に相談しているわけではないので、これは個人的な感覚なんですが、例えば先程言った、ロケットを打ち上げるという時に、関係各省、もちろんきちんと根回しをして了解をとらなければいけないんですが、それがもう少しスムーズにいく仕組みを例えば先程言った北海道庁を中心に作ってみるとか、そのようなところから始めたいと思っています。
(問)これは稲田大臣等とも議論を。
(答)どのような特区があるのかという可能性を、ブレーンストーミングを少し行ってみて、宇宙戦略本部内で、それによって、どのような形があるのかということを考えたいと思います。まだ具体的な形があるわけではないのですが、しかし、例えば、もう一回言いますが、宇宙産業を元気にしていくためには元気なベンチャーもどんどん入ってくるような環境を作る必要があると思うので、そのために何が必要かということを考えたいと思います。
(問)いつ頃までに。
(答)それはまだ分かりません。
(問)NHKの高野といいます。
 昨日、総合科学技術会議で総理が、研究不正の再発防止とか対応をという話がありましたが、具体的にいつ頃までにどういう形のものを考えていらっしゃるか、改めて教えてください。
(答)まだ昨日の今日なので、これから検討していきたいと思います。昨日、総理からの指示をいただきましたから、早急に、どのような形で対応していったらいいのかということを検討したいと思います。
 昨日も申し上げましたが、総理指示の中にもありましたが、個別の案件に対応するというよりは、全体として、総合科学技術会議としての考え方というものを発信していくと、まとめていくということになると思います。
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:769KB)

(以上)