山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年4月14日

(平成26年4月14日(月) 18:58~19:27  於:中央合同庁舎4号館605会見室)

1.発言要旨

 本日、17時35分から第119回総合科学技術会議の本会議を開催致しました。
 本会議は13回目ということになるのですけれども、総合科学技術会議が新しいメンバーで発足したのが、昨年の3月ですから、14カ月で13回本会議を開催したということで、前政権では対面で開催したのはたしか1年で3回ぐらいだったと思いますので、安倍総理の科学技術イノベーションに対する気持ちと言いますか、いかにこの科学技術イノベーションを成長戦略の柱として重要視しているかということの証明だと思っています。総理に大変感謝をしたいと思います。
 本日は、科学技術イノベーションを創出するための環境整備について議論をさせていただきました。これは昨年の12月の総理指示に基づいて議論を進めてきたものでして、今回その全体について原山議員から説明をいただきました。
 その中でも特に我が国の産業競争力強化のために重要な部分について、甘利大臣から我が国のイノベーション・ナショナルシステムの改革戦略として御報告がありました。これは、簡単に言いますと、甘利大臣の方からこのイノベーション・ナショナルシステム改革戦略について発言があったのですが、これを実現するためにはさらなる具体化が必要だと。文部科学省や経済産業省をはじめとする関係府省の協力を得ながら、総合科学技術会議において具体化に向けた検討を行い、科学技術イノベーション総合戦略の改定に反映させて欲しいというお話があって、甘利大臣としての年央の成長戦略の改定に盛り込んでいきたいというお話がありました。
 一言で言うと、日本のイノベーションサイクルをどうしていくかということなのですが、研究開発法人というものを一つの中核として大学とそれから産業界を結んでいくような、ドイツのフラウンホーファーみたいな形をイメージしたプランで、これを甘利プランと呼んでおりますけれども、この甘利プランについては総合科学技術会議担当大臣としても、しっかりと応援をさせていただこうと思っております。
 さて、この次に科学技術イノベーション総合戦略改定版の構成(案)だけ配布をいたしました。これについてはこういう今、案がありますと、これについてはここからきちっと議論していきますという御報告だけをさせていただきました。
 最後に、研究不正疑義の事案が多数発生していることについて、有識者議員から意見書が提出をされました。この中身については原山議員の方から御説明をいただきたいと思っています。
 それでは、議論の場における出席議員からの主な発言をざっと御紹介をしたいと思います。
 まず、科学技術イノベーションを創出するための環境整備については、久間議員の方から、公的研究機関は企業が委託研究を増やすような魅力を有する努力をするべきだとか。技術シーズを事業化につなぐ橋渡しの機能として公的研究機関を活用することが大事だというような指摘がありました。
 原山議員の方からは、イノベーション最適化のための三つの取組、3本の矢と呼ばせて欲しいと総理の前でお話があって、こういうことを今後の総合戦略に生かしていきたいというお話がありました。
 橋本議員の方から、この甘利プランは非常に大事だと。特に説明のあった3点、公的研究機関改革は大事だと。しかしながら、同時に技術シーズを創出するためには大学改革も必要だと。甘利プラン全体を総合戦略にしっかり位置付けて、総合科学技術会議と産業競争力会議の橋渡し役、橋本議員は両方のメンバーですから、最大限努力したいと。特に大学改革の面では文部科学省と総合科学技術会議がしっかり連携していくことが重要だということで、下村大臣にその旨の要請をしておられました。
 平野議員からは、甘利プランはすばらしいと。人材の流動化を進めることがキーワードなので、年俸制とかクロス・アポイントメント制などを柔軟に進めていくべきではないか。特に社会保険制度、これは障壁となっている点をしっかり見ていくべきだという話がありました。
 下村文科大臣の方から、分野、組織の枠を超えたイノベーションの創出を目指した産学官の協力を促していく仕組みの構築が大事だとか、大学改革についてしっかり推進していきますとか、研究開発法人がハブとなって大学等と産業界の架け橋としていくようなこういうパッケージを推進していきたいとか。あるいは大学などに散在する知的財産を事業化の観点から集約していくと、これも大事なのだという話がありました。
 松島経済産業副大臣からは、産総研(産業技術総合研究所)の話があって、橋渡しの中核を担えるようしっかりやりますと。それから、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発プロジェクト、これまで中堅・中小、ベンチャー企業の割合1割以下だったと、これを引き上げたいというような話もありました。
 その他について、研究不正の関係については下村文部科学大臣の方から、STAP細胞論文の経緯について、理化学研究所は3月31日に研究論文の疑義に関する調査委員会が報告書をとりまとめて、4月1日に記者会見を行ったと。STAP論文の問題に対して一定の結論は出したという御報告がありました。
 理研(理化学研究所)では、本件を踏まえて研究不正防止等の着実な実施を図るために、4月4日に、もう皆さんよく御存じですが、野依理事長を本部長とする研究不正再発防止改革推進本部を設置したと。さらに外部有識者6名の改革委員会のお話もありました。4月10日に立ち上がったと。研究不正や過失の防止に係る規定、運用の改善、若手研究者が最大限に能力を発揮できる体制の整備などの論点を含め、研究不正を防止するための研究所の体制とか規定、運用等の課題、改善策について議論を開始しましたということで、文部科学省としては今後の若手研究者の活躍にも配慮しつつ、理研において可能な限り早期かつ厳正に、再発防止のための必要な対策がとられるよう引き続き求めていきたいという話がありました。
 さらに文部科学大臣の方から、総合科学技術会議の有識者議員の意見書について、研究不正の疑いのある事案が頻発している現状は看過しがたい、憂うべき事態だと。現在、研究活動の不正行為への対応ガイドラインの見直しに係る検討をやっていますと。ガイドラインの見直しに当たっては、対応が個々の研究者の自己責任のみに委ねられている面が強かったことから、今後は、大学等の研究機関が責任を持ってこの問題に取り組むように求めたいと。特に、研究倫理教育の強化、不正行為を事前に防止する取組を推進していきたいという話がありました。
 今般のSTAP細胞の事案から見出される課題等を踏まえるとともに、総合科学技術会議の有識者の皆様からのご意見も真摯に受けとめて、今後の検討に生かしていきたいというお話がありました。
 最後に総理の方から発言があって、これはもう皆さん御存じだと思いますので細かいことは繰り返しませんが、とにかく科学技術イノベーション、これが非常に大事だということで、甘利大臣から報告のあった改革戦略は重要だということで、総合科学技術会議の方で具体化を進めて欲しいという話がありました。併せて、この有識者議員からの提案のあったイノベーションシステムの改革も、これも総合戦略の改定にしっかり反映させてくれということで。
 最後に総理から、研究不正については、もう一回繰り返します、これカメラの前でそう言っていましたが、国家戦略として科学技術イノベーションの推進に取り組んでいる中で、近年の研究不正事案の頻発は、我が国の研究開発力の基盤を蝕むものだと。これは大変遺憾だということで。ここからがポイントですけれども、こうした研究不正に対して、個別事案ごとの対応だけでは不十分だと。この問題にどのように臨めばいいのか、研究現場の実態を踏まえて、総合科学技術会議で個別事案を超えた大きな視点から検討してほしいと、このようなお話がございました。
 私からは以上です。原山議員の方からご説明をお願いします。

(原山議員)総合科学技術会議の議員の原山でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、先ほど大臣おっしゃったように、その他の事項で研究不正に関する我々の意見書というものを提出させていただきました。この懸案をなぜこの時点でということが多分ご質問になるかと思いますけれども。科学技術イノベーション総合戦略の改定も踏まえた形で、イノベーションの環境整備というペーパーを先に出しました。その中でやはりリスク管理、不正をいかになくすかということも同時に推進しなければいけないという視点から、有識者議員の中で議論を重ね、その上で意見書としてまとめたものでございます。
 そもそも我々のスタンスというのは科学・技術を推進するという立場からスタートしており、科学そのものの本質というものに立ち返った形でこの研究不正というものを見直さなくてはいけないという考えでございます。基本にあるのはやはり研究者の倫理でございまして、やはり研究者であることの自覚、責任、誇りというものを胸に持って行動することを要請するというスタンスです。
 その中にありながら、今後の対応ということでどういうことを考えなければいけないかというと、やはり三つのレベルで対応に臨むこととしております。一つ目は研究者レベルでございます。やはり各研究者の胸に研究者であるということを認識するとともに、研究倫理の修得涵養・遵守というところでございます。と同時に、研究者のホストである研究組織、研究機関においても二つの次元で対応することが必要と考えております。まず予防ということです。なるべくこういうことが起こらないことが望ましいわけで、と言いつつも、やはり科学といえども人間の営みでございますから、完全にリスクゼロということはあり得ないわけです。ですので、できる限りの努力をして予防するということでございます。その中ではチェック体制、人材マネジメント、研究倫理教育制度、また明確な責任の所在など、起こりにくい状況をいかにつくり込んでいくかというのが一番の課題だと思います。
 と同時に、何か起こったときの対応のやり方というものを常々準備しておかなければいけないところでございます。そういう意味で事後に関しましては万が一研究不正が発生した場合には適切な対応がとれる仕組み・体制の整備というのがマストであるということでございます。
 この三つのレベルでこれから具体的なところまで落とし込んでいって議論するということでございます。
 ここで、先ほど申し上げましたようにイノベーション総合戦略、何かと言いますと、これからは日本の国のためにイノベーションをプロモートしていくというスタンスは変わらないということで、その中で研究者の重要性を再認識するとともに、特にイノベーションにかかわりますチャレンジングなこと、新たな発想の担い手となる若手の研究者に対してはこれまで以上にサポートしながら、積極的に彼らが活躍できる場というものを、環境づくりに徹していくつもりでございます。その中でやはり今申し上げました三つのレベルの対応というものを同時に整備しながら取り組むということでございます。
 ですので、これからはさらに詰めたものを総理指示を受けて我々としても議論しながら進めていくというところでございます。
 以上で今日の発表の内容とさせていただきます。

(山本大臣)何かご質問があればお受けします。どうぞ。

2.質疑応答

(問)NHKの高野です。
 この意見書の不正の問題が、研究不正という大前提ですが、具体的にはどういうものを想定されているのでしょうか。この背景にあるものは。どんな事例を言ったらいいでしょうか。
(答)(原山議員)個別の事例は複数、不幸にして日本でも起こっているわけですが、それに対して個々の対応というのは、我々としてはマイクロマネジメントするのが我々のミッションではないという認識でございます。ですので、その中で包括的に考えるべき視点というものをこれからまとめていくということです。

(山本大臣)今、原山議員がおっしゃったように、総合科学技術会議は一応全体を俯瞰するという立場ですから、例えば個々のケースについてコメントするというよりは、今、全体の流れとしてこういう研究開発についてのいろいろな疑義がある事案があるので、これの全体をとらえてどういう方向性でやっていくべきかということを議論するということだと思います。
(問)ただ、国民にきちっと知らせるためには、例えば三つぐらいとか挙げざるを得ないというか挙げるべきだと思いますので。例えばSTAP細胞の問題は含まれていると考えていいのか、あとはノバルティスファーマのデータの操作問題も含まれていると考えていいのか、その辺はどうでしょうか。
(答)それは先ほど申し上げたとおり、個別の事案についてコメントをするというよりは、先ほど原山議員の方からも説明がありましたけれども、研究者レベル、あるいは組織のガバナンス、予防と対応、こういう流れの中でコメントしていくというのが総合科学技術会議の機能だと思うのですね。個別の事案についてこれはああだこうだということは私の方も有識者議員の提案の中ではそれは想定をしていないというか、期待をしていません。それはノバルティスファーマの方は、これはまた厚生労働省がやり、あるいは理研のことについてはもちろん文部科学省がやり、その全体を俯瞰してどういう方向性を我々は持っていかなくてはいけないかと、そういうことをきちんと総合科学技術会議で議論していくと、こういうことだと思います。
(問)何をもって相次いでいるのかというのは、どういうものが相次いでいる。皆さんにとっては当然のことかもしれませんが、世の中的にはSTAP細胞ぐらいしか余り知られていないので、どれを何個かやはり挙げざるを得なくて、どういうことがあるというふうに例えて言うと。個別的に名前挙げないまでもどういう事例があるというふうにお考えですか。
(答)(原山議員)研究不正に関しましてはさまざまな軸の不正というものがあり得るわけで、研究のやり方、プロセスに関するこれから議論しなくてはいけない点のケースもありますし、研究資金の問題などもございます。ですので、個別のことというのではなく、研究不正全体を見回した形で、いかにこれのリスクというものを低減していくことが可能かということを我々は議論していきたいと思います。
 先ほども大臣がおっしゃったように、個別の案件に関しましては個別のケース、その中での取組み方というのがございます。それは遵法という形で淡々と進めていくというところでございます。それに対して横やりを入れるのが我々の仕事ではないと認識しております。
 ですので、いろいろな個別のケースから何を学ぶかという、その学ぶところを主にした形で今後の日本のイノベーションシステムの中でこの研究不正が起こらない状況をいかにつくり込んでいくかということをこれから議論してまとめていきたいと思っております。
(問)朝日新聞の西川です。
 総理から対応を求められた点についてなのですけれども、今文部科学省のほうでもガイドラインの見直しをしていて、研究費の不正使用のほうもガイドラインがこの間改定されたばかりです。総合科学技術会議ではこの首相の対応指示を受けて具体的に何をされるというのでしょうか。
(答)それはこれから、今日、総理から指示をいただいたので、これからどういう形で対応するかということは考えたいと思います。
 今おっしゃったように、個々の省庁でいろいろな取組は行われていますけれども、何度も申し上げているとおり、総合科学技術会議は全体を俯瞰するのが役目ですから、今のいろいろな状況を考えると総合科学技術会議としてもきちんと何らかの議論をしなければいけないというのが総理の問題意識だと思います。
 個々の省庁のガイドライン等々が例えば対応しているということを超えて、全体を見て総合科学技術会議としても議論をし、いろいろなメッセージを出していかなければいけないということで。いつ、これからどういう形で議論していくかというのは、今日、総理指示を受けましたので、私のところで検討させていただきたいと思っています。
(問)それは今後の流れとしては総合科学技術会議で議論をして、その議論したものを何らかのメッセージが発信されて、それが例えば文部科学省のガイドラインの方に反映されるとかそういうイメージなのでしょうか。
(答)それはまだ現時点ではわかりません。その形も含めて、総理の方から総合科学技術会議でも、ここに書いてあるように個別事案ごとの対応では不十分だと、どういう問題に臨めばいいのか、個別事案を超えた大きな観点から検討して欲しいと、この指示を受けてどういう形で、これを受け取って進めていくのかというのはこれから検討したいと思います。いろいろなやり方があると思いますけれども、これはこれからの検討だと思います。
(問)読売新聞の山田といいます。
 今のに関連してなのですけれども。では、今日総理の指示というのが本当にスタートで、今後どれぐらいの期間で何をやるというのはこれから詳しく検討と、そういうことでよろしいでしょうか。
(答)そうです。これからどうするかということを早急に検討したいと思います。
(問)朝日新聞の大鹿といいます。
 ちょっと今までの質問とずれますが、科学技術イノベーション総合戦略改訂版というのが今回各章ですか、章立てが示されたという中で、オリンピック・パラリンピックの活用ではどんなことをお考えになっているのかということを。
(答)その具体的な中身はこれからよく検討していくということだと思いますね。これは科学技術イノベーション政策に限らず、御存じだと思うのですが、私は六つぐらい司令塔を持っているのですけれども、どの司令塔でも省庁を超えた総合戦略を考えていく上では、やはり東京オリンピック・パラリンピックをにらんでどういうプロジェクトを実施していくかということを考えなければいけない状況になっていまして。ですから、総合科学技術会議というか科学技術イノベーションの本部としてもそれに向けてどういうメッセージを打ち出していくかということをこれから具体的に検討していきたいと思います。
(問)東京新聞、榊原といいます。
 研究不正の意見のことでちょっとお伺いしたいのですが。これからの議論は大きな観点から議論する、個別の案件に踏み込まないとおっしゃっていましたが、このペーパーの中ではSTAP細胞について具体的に言及されているので、そこの理由をもう少し詳しくご説明いただけますか。
(答)(原山議員)先ほど御質問があったように、現実何が起こっているかという認識としてSTAP細胞が挙げられております。その中で複数の点が1から5まで書かれておりますが、初めの3点というのはまさに研究のサイエンスの側面の問題とか、研究組織そのもののガバナンスの問題などで、個別に対応して今進められているわけなのですね。それの中で総合科学技術会議として取り組むべき点というのは残りの2点でございまして、まさに大臣がおっしゃったような大所から、個別案件ではなく、日本のシステムとしてどうするかという視点からこの問題に対して議論するという二つの点をこれから議論詰めなければならないと思っております。
(問)でも、やはり議論が錯綜しているというふうにお感じになられているでしょうか、混在して、論点が。
(答)(原山議員)今社会一般の話を見ますと、さまざまな議論がなされているところでございます。いろいろな視点から、いろいろな切り口から議論されていて、その中で我々として取り組む視点と、またそれから個別に理研にしろ組織として対応する点、また研究者に問われる倫理の側面などなどさまざまな点があるわけで。その中で整理をした形でもって我々が引き取るところはSTAP細胞の事例にとどまるわけではなくて、全体像として研究不正に対してどう取り組むかという2点でございます。
(問)わかりました。大臣の御見解があれば、STAP細胞論文の現状について。
(答)何度も言っているように、そういう個別の案件についてコメントするというよりは、総理の指示が個別事案ごとの対応ではなくてこの問題全体としてどう対応していけばいいのかということを検討しようということなので。もう一回言いますけれども、個別の事案についてこれはこうすべき、ああすべきという話ではないと思うのですね。このSTAP細胞の話が出てきたというのは今の状況の中でいろいろと問題が起きているという中で、言及しないということ自体ものすごく不自然ですから、こういう流れがあるという事実として出したということだと思っています。ただ、今おっしゃったように、民間議員のペーパーを見れば、今の議論は総合科学技術会議として議論していく上では整理をする、なるべくいろいろな問題がいっぱい、重複という言い方はおかしいのですけれども、いろいろなところでいろいろな切り口の議論になっているので、そこはきちんと本もとのところを整理して対応していくのがいいのではないかと、整理して議論したほうがいいのではないかと、こういうことだと思います。
(問)科学新聞の中村です。
 一つは、今のことの関連して、今日総理指示があったといってもなるべく早く検討したほうがいいわけで、イノベーション総合戦略の改定に間に合うように検討するのか、それよりももうちょっとのんびりというか長いレンジで検討していくのか、そこら辺のお考えはどうでしょう。
(答)それもこれからちょっと検討させていただきたいと思うのですね。イノベーション改定戦略の中にこういうものを盛り込むのか盛り込まないのか、どういう形で反映させるのかということもまだ決まってないので。今日、本当に指示を受けたところなので、これからそこも含めて検討したいと思います。
(問)あともう一つは、イノベーション総合戦略の改定についてなのですけれども、全体俯瞰による政策運営。今まで全体俯瞰は重要だ重要だといろいろな場でおっしゃられてきたのですけれども、でも具体的にどうしたらちゃんと全体俯瞰ができるのか。原山先生が以前悪魔は細部に宿ると言ったように、個別具体的な細かい話が実は全体の最適化の邪魔になったりするわけですよね。そういう時に全体を見ながら、マイクロマネジメントを見ながら、そこら辺を例えば具体的にはどういうふうな見方をすればできるのでしょうか。どうもイメージがつかめない。
(答)全体俯瞰という意味で言うと、それは今、中村さんの言ったことは総合科学技術会議の司令塔機能の強化、そういうものだと思うのですけれども。そういう全体俯瞰をして、例えば科学技術政策についての予算に一貫性を持たせるとか、そういう目的のために司令塔機能強化はやってきたのであって、その結果が予算戦略会議であり、アクションプランの進化であり、SIP、それからImPACTの創設ということなのだと思います。それは、ですから全体を俯瞰するためにどうしたらいいかという問題意識の中でこの幾つかの新しいイニシアティブが生まれてきたということですが、そこをしっかりこれから進化させていくということ以外ないと思います。
(問)NHKの小暮です。
 研究不正のことなのですけれども、今こちらでも3本柱で研究者レベル、組織の予防と事後という三つの柱があると思うのですが。これ文部科学省が今改正を進めているガイドラインでも同じように組織の予防と事後のそれぞれの対策今打とうとしていると思うのですが。改めてもうちょっと今文部科学省が改正しようとしているガイドラインと今回総合科学技術会議がやろうとしていることのどういう棲み分けというか違いをどういうところに出していこうというのかお聞かせください。
(答)(原山議員)基本的には研究不正に対して一つの解というのは存在しないわけです。最終的には個別解になると思うのですけれども。でも基本的な考え方、これは必ずチェックすべきだというチェックリスト、さまざまな項目は抽出することが可能だと思っています。
 一つのレファランスなのですが、2007年にOECDのグローバルサイエンスフォーラムにおきまして研究不正に関するペーパーというのを出してあります。そこは、OECDのメンバー国プラスアルファ幾つかの国の間でもってそれぞれの課題として持っている、どの国もこの研究不正の問題を抱えているわけなのですが、その中でベストプラクティスというのはなかなかないので、グッドプラクティスは何かということでもってまとめております。
 その中でもうたっているのが、すべてに対応できる解はないと。であれば、国の役割というのはリスクを低くするための手の打ち方、その中では押さえる点というのが幾つかあるだろうということなのですね。しかもそれはやはり共通認識等を持ちながらも、個別の国の環境によって状況が違ってくるので、個別対応というものは国によって定める必要があるというふうにうたっております。まさにそのスタンスで取り組むことが望ましいかなと私は個人的には思っております。

(山本大臣)今の答えを言うと、文部科学省のガイドライン等々ありますけれども、中身、どうやって総合科学技術会議としての対応をしていくかというのは、これからよく勉強したいと思います。よく検討したいと思います。

(原山議員)相反するものではなく、整合性を持った形でもって総合科学技術会議からの大きなメッセージがあり、それを受けた形で、もちろん現場を抱えてらっしゃる文部科学省はより切実な問題なわけですね。それに対する現場の状況を踏まえた形でもって具体的に可能なもの、難しいものも出てくると思われます。それとすり合わせしながら方向性というものを定めていくものだと思っております。
(問)理研と産総研の特定国立研究開発法人の指定の話は今日は出なかったのでしょうか。
(答)出ておりません。特に議論していません。
(問)1点だけ、すみません、その点に関連して。共同通信の須江です。
 最終的には当然特定研究開発法人というのは閣議決定で決められるんだと思いますけれども、例えば理研の検討委員会ですとか本部の結果によってはもう一度総合科学技術会議の現場で議論することもあり得るということでしょうか。
(答)総合科学技術会議で決めたことは新しい特定研究開発法人の候補です。候補として理研と産総研を決めたということであって、これが対象になるのかどうか、実際に、これはもう何度もここで申し上げていますけれども、須江さんがよく御存じですが、これは閣議決定を経て決まるということです。その判断は何度も言っているように、(理研に)改革委員会も立ち上がりましたし、5月の連休後に新しく報告書も出ると、改めて発表があるということですから、そういう全体の対応を見ながら判断をしていくと、こういうことです。
(問)今一度差し戻しというような形で候補としてふさわしいかをまた総合科学技術会議のほうで話し合うということは。
(答)差し戻すというか、もう候補としては決まったわけでしょう。結局、候補として決まっても、それが実際に対象になるのかどうかというのは閣議決定をしなければいけないので、あくまで今、候補ですから、これが対象になるということが閣議決定で決まれば対象ですし、決まらなければ前に進まないわけですから。それをどこまでどう差し戻すかというのは余り問題ではないと思いますね。
 よろしいですか。 ありがとうございました。

(以上)