山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年2月21日

(平成26年2月21日(金) 9:04~9:25  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、特に御報告することはありません。
 知的財産戦略担当大臣として一言申し上げたいと思います。
 昨日のお昼に、私が主催する「コンテンツの海外展開に関する懇談会」を開催いたしました。この懇談会は、知財政策の司令塔として、放送コンテンツの海外展開に関して、各政策ツールを横串でつないでいくために開催をいたしました。懇談会には、クールジャパン機構、国際交流基金、放送コンテンツ海外展開促進機構等々の支援機関、放送局、メーカー、それから関係省庁が参加をいたしました。
 懇談会においては、放送コンテンツを始めとしたコンテンツの海外展開によりジャパンブランドを確立していくことの重要性について認識の共有ができたと思います。これから成功事例を作っていくために関係省庁、支援機関の一層の連携を進めていくことについて一致があったと考えております。また、参加をいただいたメーカーからは、日本ブランドの構築についての期待が示されました。
 今後、放送コンテンツの海外展開に係る成功事例の蓄積が非常に大事だと考えています。このため、支援プロジェクト等に係る方針が具体化した際などに、関係省庁・機関の実務レベルでもしっかり連携がとれるよう情報の共有・連携の強化のための取組をさせていただきたいと思います。
 また、コンテンツは放送のみではありません。映画等々多様な分野が存在していますので、他の分野についても政策ツールに横串を刺して関係者の連携を図っていく必要があると思っていまして、テーマに応じたメンバーによって知財本部の司令塔の機能を発揮する場を持ちたいと思います。適宜という言葉がありますが、できるだけこれは定期的に進めていきたいと思っております。
 それで、今日は知財戦略本部の活動について、少し中身が厚いんですが、お話をさせていただこうと思っています。
 これは背景がありまして、今、皆さん御存じのとおり、与党の方で内閣官房、内閣府、特に内閣府の機能を少し見直すべきではないかという議論が起きています。確かに内閣府は総合調整機能を果たすと、各省より、ある意味でいうと1段高見に立って横串の知恵を出すという形で設置法に位置付けられているんですが、確かに時代の流れの中で、何でも詰め込まれたという感はあると思いますし、更にもうオブソリートになったものもあると思いますし、あるいはいろいろな省庁の大臣が兼務しているという、そのようなことについてもいろいろ議論しなければいけないところはあると思います。この与党の議論は、やはり非常にタイムリーだと思いますし、内閣府の特命担当大臣としても、きちんと関心を払っていきたいと思います。また、更におそらく与党のこのような流れを受けて、政府の中でも内閣官房・内閣府の全体の組織の在り方を見直そうという動きが出てきていますので、これも是非行っていただければと思います。
 それを申し上げた上で、私は1年間、内閣府特命担当大臣を担ってきて非常に感じていることがあります。今までの内閣府特命担当大臣と違うところは、五つの司令塔を全て担当しているということなんですね。健康・医療戦略室ができて、最近、日本版NIHとは言わないんですが、ライフサイエンスをまとめる、総合調整をしていくという組織ができて、これは安倍内閣の戦略として、官房長官がしっかりとこれをリードするということで今連携をとっているところなんですが、それを除くと、実はいわゆる内閣府の司令塔機能と言われている多くのものは、ほとんどは私のところに集まっているわけですね。科学技術イノベーション、IT、宇宙、それから海洋、そして知財戦略ということで、1年間この司令塔機能を担当する大臣として行ってきて思うことは、国家戦略を立案し実行していくために、やはり省庁横串の機能、各省の枠を超えたコーディネーションというのはこれは必要だと思っていまして、特にこの議論の中で、せっかく横串の組織ができた、省庁横断のいろいろな戦略を作っていく仕組みができて、少しずつ進化している中で、元に戻した方がいいのではないかと、例えば、個別の省庁に戻した方がいいのではないかという流れになることは、やはり私は避けるべきではないかと思っていまして、そういう中で、実は私の持っている五つの司令塔について、これまで1年間どのような実績を上げてきたのか、どのような政策調整を行ってきたのか、そのようなことをきちんと整理をして、今それぞれの司令塔が持っている課題、多分それぞれ政策によって環境が違いますから、みんなやり方が違うんですね、それぞれの部局に頑張ってもらっているんですが、その中で、ベストプラクティスというか、どのような形で総合調整を進めていったらいいかということを真剣に議論しようとして思っていまして、今月中、これをいわゆる内閣府司令塔機能ブレークスルー月間にして、ここから四つか五つぐらいの会合が2月中に立ち上がってくるんですが、これは全て私の担当する部局の司令塔機能をしっかりと発信していこうという趣旨からなされていると考えていただければと思います。
 そして、今日はその意味でいうと知財戦略本部がどのようなやり方で今まで司令塔機能を発揮してきたのかというのを、もちろんここでプレゼンした中身もあるんですが、改めて整理をさせていただきたいと思っているんですね。
 「本日の構成」と書いてあるんですが、これは、知財戦略の司令塔としての総合調整を行う組織としての知財戦略本部がこれからしっかりと仕事をしていくための山本イニシアチブということで、改めて6本柱として整理をさせていただきました。簡単に言うと、各政策分野について、職務発明制度の見直し、コンテンツの海外展開に関する大臣主催懇談会、知財本部の下に四つのタスクフォースを設置すると、このような形で整理をさせていただいたので、少し説明をさせていただきたいと思います。
 今申し上げたとおり、知的財産分野の政策展開で言うと、知財戦略本部としては、実は二つの役割、二つのアプローチで行ってきたんですね。これはまた司令塔連携会議の中できちんと整理をして、提言としてまとめたいと思っていますが、一つは、これは先程申し上げたとおり、関係各省・機関・業界等に横串を刺して、各主体の機能・政策課題を収集して、有機的に連携させる。そのことによって効果的な政策の立案を図る。これは正に、先程の司令塔機能の強化の部分になります。
 もう一つは、個別官庁では施策の推進が難しい政策課題について、担当省庁を後押しして、スピーディな政策の立案を図る。これを「背中押し機能」と私は勝手に呼んでいるんですが、この二つのやり方で知財戦略本部としては司令塔機能、総合調整機能を発揮してきました。
 山本イニシアチブ、これもまた勝手に作ったんですが、これから今年の知財戦略の6本柱ということで整理をさせていただきました。
 まず、関係各省の検討の後押し機能ということでいうと、この二つですね、職務発明制度の抜本的な見直しと営業秘密保護の総合的な強化、これは六つとも知財戦略本部として取り組むべき非常に重要な問題なんですが、例えば、職務発明制度の抜本的見直しは、特許庁の後押しをして、後で申し上げますが、職務発明制度に関する法案、法改正、これは来年と言っていましたが、遅くとも来年の通常国会なんですが、できる限り今年中、今年の秋の臨時国会があれば、そこで法案を提出できるように、特許庁をしっかり後押しをしていきたいという話です。営業秘密保護、これも後で申し上げますが、経産省で今議論が始まったのか始まらないのかぐらいのところだと思いますが、これについてもこの知財戦略本部でしっかり議論をして、経産省の背中を押していくと、このようなことを行いたいと思います。
 あとはこの四つ、中小企業等の海外知財活動の支援の一層の強化、コンテンツ海外展開、これは、先程言った懇談会ですね。それからアーカイブの利活用促進、これは来週ですね。新しくこれは立ち上げます。それから、音楽産業の海外展開に向けたビジネスモデルの再構築、これも3月の初め、新しく立ち上げます。3月の初めに全部一応私の6本柱を進めていく体制が整います。アーカイブも、それから音楽産業の話も大体有識者の人選が決まりました。
 それから、職務発明制度の抜本的見直し。簡単に行います。
 これは職務発明制度の見直しということで検討ワーキンググループを作ったんですが、三つのポイントをまとめて特許庁の職務発明制度の見直しを後押ししてきました。
 一つは、これは来週、是非改めてこれだけで行わせていただきたいと思いますが、この我々が提案したアンケートが、おそらくこの職務発明制度の法案の大きな後押しになると思うんです。2,500社、研究者1万5,000人ぐらいの大規模なアンケートを行って、研究者にとってのインセンティブとか職務発明制度の運用実態等について調査をしました。これは来週行いますが、一言で言うと、研究者のアンケートでわかっていることは、やはり多くの研究者は、職務発明の報酬よりも、給与、年収、特に研究環境を重視しているということがわかりました。これは来週行わせていただきます。
 それから二つ目、研究者のインセンティブを確保する。これは、きちんと行わなければいけないと我々も考えていますが、経団連もこの趣旨の声明を発表しています。
 それから、スーパー研究者という方がいますから、やはりスーパー研究者に対する柔軟な制度設計というものが必要だろうということで、これも特許庁の検討会で議論を深めてもらっています。これは私が、科学技術イノベーション担当大臣として、いわゆる一線で活躍している研究者の方々の意見を聞いたと、それで多分できた後押しだと思います。
 それからコンテンツの海外展開。先程も申し上げたので言いませんが、とにかく官民、いわゆる関係省庁、関係機関、放送業界、メーカーが一堂に会したということが非常に大事なポイントだと思っています。コンテンツ産業からモノづくり産業への波及モデルをきちんと構築していくということなんですね。
 このような懇談会を作って全然連携機能の強化に結びつかないという意見が多いんですが、では、どこにアウトプットを置いたらいいのかと、これはなかなか難しいんですが、出席者から出た話は、やはり予算ではないかと、つまり海外コンテンツ展開の予算というのは、各省にばらばらにあって、おそらくリダンダントというか何と言うんでしょうか、重なっているところもある。例えば総合科学技術会議では長年をかけてアクションプランという仕組みを作って、各省の予算についてのプライオリティを促していくという仕組みを作りましたが、そのようにするにはなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも例えばこの懇談会で予算について戦略的なアクションプランを作ったらどうかと、そのような提言はできるのではないかと思って、そこは今、内山事務局長を始めとする知財戦略本部の事務方にも検討していただこうと思っています。
 ということで、四つのタスクフォース。6月に知財の基本方針を閣議決定して、知財政策ビジョンを決定しました。このPDCAサイクルをきちんと回すために検証・評価・企画委員会でいろいろな各種の課題を洗い出して、重点4分野のタスクフォースを設置することにいたしました。
 その中身は先程申し上げたとおりで、この四つのタスクフォースを作って、しっかりとこれを進めていこうということです。
 実は、この四つのタスクフォース、できるだけ担当大臣としてきちんと出席をして議論をリードしていきたいと思いますが、音楽産業の海外展開、これも私、一応CDも出しておりまして、新しいビジネスモデルですね、音楽分野の、これについてもできることはいろいろあるのではないかと考えています。
 今言った6本柱でこの分野の検討をしっかり進めていきたいと思いまして、これはもう目標は決まっていまして、6月ぐらいの、いわゆる知財推進計画の策定、それから成長戦略もあります、改訂版の成長戦略のとりまとめ等々にしっかりと反映をさせていくと、こういうことでございまして、少し時間をとらせていただいたんですが、知財チームの取組、これからの方向性についてプレゼンをさせていただきました。
 今月いくつか新しい、ある意味で言うと司令塔連携強化のための組織が立ち上がってきます。例えば、IT分野でいうとサイバーセキュリティ、私の下に立ち上げるサイバーセキュリティの組織の会合が、第1回目が2月24日にあります。それから司令塔連携会議、これは司令塔機能の在り方を議論してきちんと政策としてまとめていきたいと思いますが、これも2月中に行います。あと、まだ現時点ではっきり日程はわかりませんが、海洋政策本部についても、各省にある程度横串を刺していくためのイニシアチブを立ち上げようと思っていますし、知財もそのようなことで海外コンテンツ展開を立ち上げさせていただきました。
 もう一回申し上げますが、内閣府の司令塔機能についてはしっかりと今までの実績をまとめて、そしてこれからの課題も含めてどのような方向性で進めていくべきかということをしっかりこの機会に発信をしていきたいと思います。
 長くなって申し分けなかったんですが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。内閣府の司令塔機能のことなんですけれども、今までの実績とこれからの展開をまとめていくと。今までよくやるのが、これまでの実績でこんなことやりましたと、ただ並べただけで、それがどういう意味をなしたのかという評価が全くなく、単なる自己評価の集まりでしかなったんじゃないのかなと。それについてちゃんと第三者的に評価を入れて、こういうふうなところは改善して、こういうふうなところは強化していく、そこまでやるんでしょうか。
(答)非常にいいポイントを質問していただいたと思うんですが、やはりそれを行わないとしようがないと思うんですね。司令塔連携会議で何を行おうかと思っているかというと、各司令塔に、今までの1年間の実績についてきちんとプレゼンをしてもらって、それは私自身が一番よくわかっているんですが、うまくいっている点と、やはり非常に課題を残している面とあると思うんです。
 元々内閣府特命担当大臣は難しいです。例えば、いろいろな部局、五つの司令塔、六つの部局と言っているんですが、例えば、分担管理事務のあるところとないところがあるわけですよね。内閣府の大臣として所掌しているところと、内閣官房の組織を担当しているという場合でまず違う。それから、分担管理事務があるかどうかでも違いますよね。組織があるかどうかということがあるんですが、少なくともそれぞれの官庁に組織があり、人がいて、予算がある。その中で縦割りをしっかりと乗り越えて戦略を作っていくということは極めて難しい、もう正直言うと。安倍総理のバックアップをいただきながら、それぞれ知恵を絞りながら行ってきたので、これをまずしっかりと発信をする、議論する。
 おっしゃったように問題点、このようなところが全然横串が刺していないとか、ここまで踏み込まないと意味がないのではないかとか、そのようなことは議論して、できれば、司令塔連携会議の中だけで行っていてもしようがないので、外部の有識者も入れたいと思うんですね。そのような人たちの力も借りてきちんと今までの検証、これからの課題、問題点、このようなものをやはり一つの政策としてまとめたいと思います。ですから、どなたに入っていただくのか、どのような形にするのかというのは今議論していますが、おっしゃったように、きちんと評価しないといけないので、厳しく評価して、次に生かせるようにしたいと思います。
 もう一回言いますが、五つの司令塔それぞれアプローチが違うんですよ。例えば宇宙なら宇宙政策委員会が中心、科学技術イノベーションなら総合科学技術会議が中心、だから、そのようなことをしっかり洗い出して、検証していきたいと思います。
(問)共同通信、野見山です。サイバーセキュリティ会議が24日にあるということで、有識者のメンバーの陣容とかもう固まっていると思うんですが、特に初会合ではどういった点を議論していくことになる見通しなんでしょうか。
(答)初会合は基本的に少しブレインストーミング的に行いたいと思うんです。今度の有識者は、かなりメンバーをいろいろ考えて人選をさせていただいて、少しとんがった議論も出てくると思うんですね。ですから、きちんと今のセキュリティ政策会議の中で、部会の要かなめでリードしている人も入っているんですが、そうではない比較的政府の懇談会に来て、あまり参加していない方々も呼びましたから、相当闊達な議論になるのではないかと思います。要は、ここで総合戦略をどのようにしてきちんと組み立てていくか、あるいはこれも有識者の方々に議論してもらおうと思いますが、6年後の東京オリンピック・パラリンピックを睨んでサイバーセキュリティではどのような課題をきちんと議論し示していくべきか、この辺のところもしっかり検討していきたいと思います。
(問)別件で手短になんですが、最近、衛藤補佐官の発言ですとか、昨日は本田参与の発言を受けた記事とかが取り沙汰されて、官邸スタッフの発言がいろいろと問題になっていますけれども、この一連の受け止めがあれば。
(答)官邸のことをあまり私が言うことは控えさせていただきたいと思いますが、一つだけ申し上げたいのは、安倍総理は日米同盟、日米関係を非常に重視していると、これだけははっきり申し上げておきたいと思います。
(問)時事通信の近藤です。先程官邸の方で官房長官とお会いになられていたと思うんですけれども、差し支えない範囲でどういったことをお話しされたんでしょうか。
(答)全体的な話なので、いつも官邸で、「今日は何担当大臣としてですか。」と聞かれていつも申し分けないんですが、全体的な流れについて意見交換したということです。個別のこれという感じではなく、いろいろと感触をお互いに意見交換したということです。
(問)NHKの高野です。今の関連ですが、一つ前の質問に出た衛藤補佐官や本田参与の問題についても何か話をされましたか。
(答)いや、そういう話はしていません、特に。
 よろしいですか、ありがとうございました。

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(以上)