山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年2月14日

(平成26年2月14日(金) 18:20~18:39  於:合同庁舎4号館6階605会見室)

1.発言要旨

 総合科学技術会議の今日の御報告をしたいと思います。
 午後5時10分から総合科学技術会議を開催いたしました。本日は議題1として、総合科学技術会議の司令塔機能強化、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とかImPACT(革新的研究開発推進プログラム)等について私の方から直接御説明をしました。革新的研究開発推進プログラム運用基本方針の案と、それから革新的研究開発推進会議の開催等についての案について決定いただきました。
 更に、議題2の総合科学技術会議の今後の検討課題及び科学技術イノベーション総合戦略の改定に向けた検討について有識者議員からペーパーの説明があって、議論がなされました。議論の場における出席議員からの主な意見だけ、細かくは言いませんが、かいつまんで申し上げたいと思います。
 久間議員の方からは、SIPの公開ワークショップを2月5日に開催したのですけれども、これは大盛況だったと。会場が狭すぎて700人ぐらい応募があって450人ぐらい選んで呼んだということだったので、やはり予算を持つというのはこういうことだなと思いますけれども、非常に関心が高いという、いいニュースだと思います。
 それから、橋本議員の方からは、ImPACT、SIPの予算措置には大変感謝していると。司令塔機能強化の観点から両プログラムは大事だということで。同時に、これをやっていくためには内閣府に予算をある意味で言うと集めたので、この事務局機能の強化が大事なので、関係各省の協力をお願いしたいというお話がありました。
 それから、大西議員からは、1、2月ワシントン、インドに出張したと。科学会議でSIP、ImPACTを紹介したということで、インドの方からもかなり関心が寄せられたということだと。しかし、国内大学の関係者にまだ浸透していないので、しっかり広報もしていってほしいという話がありました。
 SIP、ImPACTについては原山議員の方からも、フランスに行ったけれども、フランスも注目をしていると。競争相手だけれども、協力したいという話もあるという話がありました。
 青木議員の方からも、とにかく科学技術会議にPD(プログラム・ディレクター)とかPM(プログラム・マネージャー)を選んで運営していくということ自体が非常にイノベーティブなんだという話がありました。
 その後、新藤大臣とか下村大臣の方から、各省のイノベーションの取組について話があって、松島経産副大臣からも、経産省としてはこういうことをやっているので少しいろいろと、そこら辺も協力をしていきたいと。つまり、各省が非常にこのImPACTにもSIPにも関心を持っているということを改めて感じました。下村大臣からは、今までの実績にとらわれず、若手研究者の独創的な発想を取り入れていくことが大事じゃないかという話がありました。
 それから、このImPACTについては、橋本議員の方からは大学と産業界をいかに巻き込むかが大事であって、競争的資金も活用しつつ、しっかり取り組んでいくべきではないかという話がありました。
 平野先生の方からは、総合科学技術会議と健康・医療戦略室の密接な連携が重要だと。私も協力したいという話がありました。
 甘利大臣の方からは、産業競争力会議においての科学技術イノベーション推進がしっかりと行われてきたと。さらに司令塔機能を強化してイノベーションを生み出すナショナルシステムを作るべきだと。大学、大学院における基礎研究の成果がシーズとなって、これをしっかり民間企業における、いわゆる実用化につなげるような仕組作りが必要だという話がありました。
 それから、下村大臣からは、2020年を新たな成長へのターゲットイヤーとして、これオリンピックですが、とにかくスポーツだけではなくて、様々な分野の取組をオールジャパンで加速すべきだと、これを日本再生の起爆剤とすべきだという話がありました。社会的課題に対応した研究開発を加速して、社会実装して、東京オリンピック・パラリンピックの機会に世界の方々に体験してもらうことで我が国の科学技術の魅力を世界に発信することが大事だと、こんな意見も述べられました。
 そして最後に、総理の方から、これはもうプレスの方々入っていましたけれども、総合科学技術会議のイノベーション政策の司令塔としての機能に引き続き期待が表明されると同時に、2点指示がありました。
 一つは、この2020年の東京オリンピック・パラリンピックを機会に、日本発のイノベーションを世界に示すと。この日本独自のイノベーションの種を育むことが大事であって、こういうことを総合戦略の改定に盛り込んでいただきたいという話がありました。
 もう一つは、これも大事だと思うんですが、この1年間、総合科学技術会議が司令塔機能の強化に向けて成果を上げてきたと。この国家重点プログラムである戦略的イノベーション創造プログラムSIPと、それから革新的研究開発推進プログラムImPACTはその大きな柱だと。正にこれから実行段階に入ると真価を発揮していくことになると。その実行に当たっても総合科学技術会議が主導して強力に推進してもらいたいと。総理の方からはこのような指示がありました。
 今日一つ皆さんに申し上げたいことは、SIPもImPACTもどこか特定の省庁がやっているプロジェクトではありません。これは内閣府が総合科学技術会議としっかり連携をとって生み出し、そしてこれからも運営をしていくということです。もちろんSIPもImPACTもそうなのですが、これを実施していく上では各省としっかり連携をしていきながら、もちろんその成果を上げていかなくてはいけないのですけれども、どこか特定の省庁のプロジェクトではありません。
 ImPACTについては、法律改正がJST(独立行政法人科学技術振興機構)の法改正を伴うものだったということで、本当に申しわけなかったのですが、超多忙な下村大臣に予算委員会では答弁をいただきましたが、その後のいろいろな議論の中では、実は後藤田副大臣にも相当、国会答弁に立ってもらいました。私が申し上げたいのは、もちろん文科省とも連携をしていくわけですけれども、各省とImPACTもいろいろと連携をしながら進めていくということであって、JSTにプログラム・マネージャーを置いたのは文科省の事業だからではありません。これはImPACTを進めていく上で最もノウハウがあって、ここがふさわしいということでここにプログラム・マネージャーを置くことにしたわけであって、これも今さらながらの話ですが、ImPACTの設計も、それから予算の獲得も、内閣府と総合科学技術会議が協力して主導してまいりましたし、これからのマネジメントも特定の省庁がやるのではなくて、これは総合科学技術会議と内閣府がしっかりと支えて総合科学技術会議がやっていくと。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 内閣府の存在意義といいますか、総合科学技術会議の存在意義というのは、もう一回言いますが、省庁横断のプロジェクトをしっかりと目利きをしながら、なおかつ総合調整、司令塔としてやっていくというところに意味がありますので。
 最後にもう一回言いますが、SIPもImPACTも総合科学技術会議が中心になってマネージしていくと。SIPは内閣府に予算を計上しましたし、ImPACTはこれはしっかりと内閣府がサポートして総合科学技術会議の下で主導していくということで。何となく予算の関係で特定の省庁のプロジェクトみたいに思われるとちょっと私は誤解を生むのではないかと思っていますので、そのことをはっきり申し上げておきたいと思います。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。SIPの予算が結局35%になったんですけれども、向こうに渡す分が。それでその経緯と、渡した35%について総合科学技術会議として何らかの関与はしていくのか。つまり、連携が重要だということは総合科学技術会議の今後の課題にも書いてあるじゃないですか、そういうところで向こうの調整費になった35%についてはどういう取扱いになるのでしょうか。
(答)まず一つ、経緯については一々すべて細かく説明しても仕方がないので、全体いろいろと議論して、官房長官ともいろいろと議論して35%に落ち着いたと。これはライフサイエンス分野の重要性も考えつつ、そういうところに協議の結果、落ち着いたということです。
 それから、もちろん、これは調整費として拠出をするわけですけれども、このライフサイエンス分野については健康・医療戦略室が総合的にある意味で言うと企画調整をしていくということになっているので、健康・医療戦略室がライフサイエンスの分野においてはきちんとコントロール機能を発揮しながらやるということですけれども。少なくとも調整費を出す段階でどういう形になるのかということについてはしっかり相談をしていただけると思いますし、これは総合科学技術会議とも協議をしていただくということだと思います。
 ただ、もう一回言いますが、そのライフサイエンス分野については総合的にこの健康・医療戦略室がマネージをするということだと思います。
(問)NHKの高野です。ImPACTについてお伺いします。きょう五つのテーマを決めて公募を来月からしていくことになるかと思うんですが、改めてその意義を教えていただけますか。
(答)今日は民間議員の青木先生の方からもあったのですが、総合科学技術会議がPDとかPMを選ぶ、こういうプロセス自体が極めてイノベーティブだと思います。特にImPACTについて言うと、何度かここで閣議後記者会見でもお話をさせていただきましたけれども、プログラム・マネージャーというものを作ったDARPA、あの制度を参考にしながら作ったと。つまり、ある意味で言うとプロデューサーにお金を付けてサポートをしていくというところが非常にユニークだと思います。
 つまり、高い研究開発のレベルをいかに産業化、実用化に結び付けていくか、いかに死の谷を乗り越えていくかというところでPMが非常に重要な役割を果たすと。まさにDARPAの経験からこのプロジェクトマネージャーを作ったということは非常に大事だと思います。
 そして、もちろんプレイングマネージャーとして研究者の方が(PMに)なることもあるかと思いますけれども、経済界からも協力をいただいて、能力のあるPMを選んでいくということだと思います。
 それからもう一つは、もちろん高い研究開発のレベルを実用化に結び付ける、産業化に結び付けるというか、ImPACTの場合には革新的なイノベーションに結び付ける、つまりそれが出てくることによって社会を大きく変える、あるいは産業を大きく変える、そういうインパクトのあるものを生み出そうという試みなので、最初からもうこういう研究でこういう出口が見えていて、これをやるんですということが決まっていない、そこもまた非常に今までと比べると画期的なコンセプトだと思っています。
 ですから、これから公募をするわけですが、まだおそらくどういう概念を投げるのかということについて、詳細はまだ議論しているところだと思いますが例えば、これは別にそうだというわけではないのですけれども、ストレスフリーなインターフェースを使って快適な世の中をつくるとか、あるいは極限状態における知的な行動力を実現するみたいな、おそらくそういう大きな枠の中からプロジェクトを進めていく中でいろいろなスピンオフが出てきたり、あるいはその過程の中で異分野融合で、いろいろなイノベーションが出てくると。そのコンセプト自体が今までなかなか日本の科学技術イノベーションの政策の中には無かったと思っていますので、そういう意味では、もう一回言いますが、二つの意味で画期的ではないかと思っています。
 ですから、とにかく、このImPACTから、もちろん成果が出るまでには時間がかかると思いますけれども、このImPACTから本当に革新的なイノベーションが一つでも生まれれば、そういうサイクルを生み出していけるのではないかと思いますし。大臣記者会見の時にプレゼンしたように、それが何となく世の中で科学技術イノベーションのアントレプレナーをどんどん生み出すようなサイクルに結び付けば一番いいかなと思っています。
(問)日刊工業の小川と申します。引き続きImPACTの件で、プログラム・マネージャーなんですけれども、大臣自身のお考えとして望ましいPM像というか、どういう人に応募してほしいとかというもし考えがあればと思います。
(答)それはやはり初めてのことなので、なかなか今どうのこうのということも言えないと思うのですけれども、今日、下村大臣の方からも話がありましたが、あまり前例にとらわれない新しい発想でやればいいのではないかなと。もちろん今までのいろいろな実績もこれからいろいろと検証しながらきちっと総合科学技術会議で選んでいくと思いますが、あまり既存の発想にとらわれない方がいいのではないかと個人的には思っています。何か一つのジャンルに縛られないで、いろいろな案が出てくればいいのではないかと思いますし。
 もう一回言いますけれども、革新的イノベーションというのはあまり普通の概念から出てこないですよね。だから、そこを突き破れるかどうかというのも一種何かImPACTの挑戦、ある意味で言うと役所の文化と言いますか、科学技術イノベーションに関する日本の文化を変えるみたいな意味があるのかなと思っています。
(問)例えば前例にとらわれないというと、思いっきり若手の人とか、場合によっては30代、40代の方とか、あとは外国籍も場合によっては構わないということなんでしょうか。
(答)それは、これからきちんと議論していくことなので、私が今ここでどうするべきだということは言うつもりはありませんけれども、あらゆる可能性があるのではないでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 今日、総合科学技術会議11回目ということで、去年の3月に開催して、総理が11回会議に来てくれたということで、総合科学技術会議の活性化、これはある程度、総理の御下命に応えられたのかなと。少なくとも前政権では政局が大変だったので野田総理には大変同情しますけれども、決して前政権が科学技術イノベーションに重きを置いてなかったとは言わないですが、2、3回しかできなかった総合科学技術会議が、1年間で11回、毎月やっているということで、この政権がいかに科学技術イノベーションに力を入れているかということをこの11回の総合科学技術会議が如実にあらわしていると思いますし。そのくらい科学技術イノベーションは成長戦略で大きな意味を持っているのではないかと思っております。
(問)総合科学技術会議の今後の検討課題で、イノベーションの世界で最も起こりやすい国にするという環境整備についても触れているかと思うんですけれども。大臣が考えられる今の日本のイノベーションを生み出す環境の中で課題となっているのは何だと考えていらっしゃいますか。
(答)それはだから正にImPACTがその一つの答えだと思います。発明、研究、イノベーションのシーズをいかに産業競争力に結び付けていくか、その仕組がちょっと確立されていないということだと思いますよね。それはアメリカだったら例えば大学とそれから研究開発法人、あるいはそこに必ずベンチャー企業、VCみたいなああいう人たちが入ってきている。でも、日本はちょっと状況が違うから。やはり日本型のイノベーション、創造サイクルみたいなものをImPACTを契機にきちんと生み出していくということが大事なんじゃないでしょうか。
 それからもう一つは、STAP細胞の話ではないですけれども、野依理事長の言った理研(独立行政法人理化学研究所)の文化、レーバーからリーダーへ。若い人たちとか女性がレーバーになってはいけないと。できるだけ早く独立させてリーダーにして、リーダーを育てていくと。だから、こういう文化もこの科学技術イノベーション分野で広げていく必要があるのではないかと思います。
(問)それだとレーバーからリーダーへ、理研はできていると思うんですけれども、他の一般的な大学とかそういうところではなかなか小保方さんみたいなことは難しいだろうと一般的に言われるんですけれども。総合科学技術会議として例えば大学改革についてはどこら辺まで踏み込んでいけるとお考えでしょうか。
(答)そこは今のところ総合科学技術会議でどういうことをどう議論するかというのは決まっていないので、ここで何か余り具体的なことを申し上げるつもりはありませんが、とにかく総合科学技術会議は今、中村さんがおっしゃった科学技術イノベーションを起こしやすくする環境をどうやって作るかという議論をしていくので、その中で研究機関とか大学とか、ありとあらゆるテーマが議論になる可能性は十二分にあると思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

(以上)