山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月17日

(平成26年1月17日(金) 11:13~11:33  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日は閣議では、マレーシア、ベトナム、それからシンガポール共和国の訪問について、特に発言しませんでしたが、報告の紙を配らせていただきました。
 まず沖縄担当大臣として一つ御報告を申し上げます。このたびキャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)について、本日付で跡地利用特措法に基づく拠点返還地の指定を行いました。同地区の跡地利用は非常に重要な課題ですから、引き続き関係省庁とともに県・市と連携して跡地利用の推進に取り組んでまいりたいと思います。
 それから、領土担当大臣として、一言申し上げておきたいと思います。文科省で中学校と高校の学習指導要領解説に、竹島や尖閣諸島について我が国固有の領土と明記する方針を固めたという報道がありますが、この検討が行われているということは承知をしております。竹島も尖閣諸島についても、これは我が国の固有の領土ですから、これは歴史的にも国際法的にも明確であるということで、毅然かつ冷静な内外発信を私も領土担当大臣として行っております。今後とも外交政策等との整合性を確保しつつ、国内外において正確な理解が浸透していくことを目指してまいりたいと思います。
 それから、ASEAN3カ国の出張から今朝帰ってまいりました。今日の夕方の便で沖縄に飛んで、明日は名護市長選挙の応援に入りますが、その後、21日から23日までスイスのダボスを訪問して、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席をする予定です。科学技術イノベーション政策における優先事項、科学技術を通じた経済発展等について意見交換をさせていただこうと思っています。ダボス会議のパネリストも務めることになっておりまして、具体的に言うと、ニュー・エナジー・コンテクストというセッションに参加をして、科学技術政策担当大臣としてエネルギー分野における研究開発等について我が国の取組等についての発信を行いたいと思います。更には、フォーラムに参加している世界の各分野の要人とバイ会談をおそらく行うことになると思いますが、私の所掌は多いので、科学技術政策とかITとか知財とか、いろいろなことについて意見交換を行うことになると思います。各界の要人とネットワークをしっかり築いてまいりたいと思いますし、今後の政策立案の参考にできる知見等が得られることを期待をしております。
 今日も短くプレゼンをさせていただきたいと思います。簡単にASEAN3カ国の海外出張の御報告をしたいと思います。3カ国を、今回ASEAN、訪問させていただきましたが、海洋政策・領土担当大臣としての訪問でした。
 マレーシアではハムザ外務副大臣と会いましたが、アニファ外務大臣との約束が残念ながらドタキャンになってしまったので、後で実はシンガポールで電話でキャッチをして、追尾して電話会談には成功いたしました。
 ベトナムではミン副首相兼外務大臣。外務大臣ですが、先般副首相にも任命をされたという、ミン大臣と会談をいたしました。
 シンガポールではフー首相府大臣、第2外務大臣も兼ねているんですが、このグレース・フーさんと会談をしてまいりました。
 会談の中身なんですが、東シナ海、それから南シナ海、あるいは尖閣諸島についての日本の立場をしっかりと、このASEAN3カ国の外務大臣にお伝えをするということでした。力による支配、力による一方的な現状変更の試みは、これは許されないと。日本政府として法の支配に基づく国際法を遵守した方法で、この地域の海洋秩序を構築していくことが大事だということを申し上げてきました。昨今の中国の動きについても日本政府として懸念を持っていると。もう一度言いますが、法の支配に基づいた解決を図っていかなければいけないと、このことをASEAN諸国と連携をして発信をしていかなければいけないのではないかということを各国の外務大臣にお伝えをいたしました。細かなやりとりは外交上のことなので申し上げませんが、相手側からの賛同は得られたのではないかと思います。
 それから、いろいろな議論がありましたが、日本とASEAN、あるいは訪問した各国との間の連携を深める議論もいたしましたし、特に私は海洋政策担当大臣なので、海洋分野での協力についてもいろいろと議論をさせていただきましたが、安倍総理の靖国参拝についても、総理の真意、意図を直接各国の外務大臣にお伝えをしてまいりました。これも細かなやりとりは申し上げませんが、真摯に耳を傾けていただきました。理解は得られたのではないかと考えております。
 それからもう一つ、シンガポールでは、IISS(国際戦略問題研究所)というんですが、ミリタリーバランスを出している英国にある世界有数のシンクタンクですが、実はIISSはシンガポールで、皆さん御存じのシャングリラ・ダイアログというのを主催をしていまして、これはアジア各国、アメリカの国防長官も毎年来ますが、今年は、国会の予定が許せば総理が参加をするということになっているんですが、そのIISSが、フラートンホテルという、御存じだと思いますが、例のラッフルズホテルと並ぶ名門ホテルがシンガポールにあって、そこでずっとフラートン・レクチャーというものを行っていまして、過去、例えばオースラリアの元首相とかを含めて相当有力な政治家が講演しているんですが、日本の大臣として初めて、このフラートン・レクチャーで海洋政策、開かれた海、自由な海の重要性について英語で講演をさせていただきました。会場、結構満席だったんですが、おそらくもう少し後にIISSのネットに全て多分掲載されると思いますので、御興味のある方は是非見ていただければと思います。
 滞在中に各国の在留邦人との懇談とか、現地プレスのインタビュー、これはシンガポール。これはストレーツ・タイムズですが、非常に手ごわかったんですが、ストレーツ・タイムズのインタビューを受けたりいたしました。私、外務政務次官、外務副大臣もしていましたが、ASEANの担当になったことは一度もなかったので、やはり改めてASEANを戦略的に大切にしていかなければいけないなと思いました。マレーシアもベトナムも非常に親日的でした。シンガポールもいろいろと事情がありますが、それでもアベノミクスに対する期待は非常に高かったと。3カ国回って改めて思ったんですが、アベノミクスで日本の存在感が確実に戻ってきているということを感じましたし、各国でアベノミクスに対する期待が表明をされたと思います。細かなことは申し上げませんが、特に現地の法人関係者、邦人企業、この人たちが非常に奮闘していまして、各国の日本に対する親日感情も、彼らが本当に現地法人の従業員の人たちを大事にしているからだと思っていまして、このようなグッドウィルのようなものを最大限にやはり活用して、ASEAN各国に、それぞれ事情は違いますが、きめ細かな戦略で関係を構築していく必要があるなということを感じました。
 今日はこのぐらいにしたいと思います。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)日経新聞の白岩です。1点質問なんですけれども、昨日、名護市長選の応援に入られた石破幹事長が、名護の地域振興に役立てるために新しく500億円の基金を創設することに言及されましたけれども、こちらは既に何か検討されているものなのか、新しく創設をするということを検討されているのか、あるいはまた今後の予算の運用という面で既に調整をされているのか。その現状について伺いたいと思います。
(答)その500億円の基金の件については、そのような報道があったということは承知をしております。これは与党が主導で考えておられることだと思いますので、与党の方から提案があれば、政府としてもこれは真剣に検討するということに尽きると思います。中身の細かなところは、これはどのような形になるのかということは、まだ現時点では何ともわからないんですが、おそらく官房長官が記者会見でおっしゃったように、50億円の振興予算、これは10年の約束で、あと8年ありますから400億円。それと、おそらく一括交付金の100億円、名護市への。これを例えば足せば500億円ぐらいになるということで、この振興予算の方も、それから一括交付金の方も、基本的にはやはり県とか市町村の主導で決まっていくということで、それでこのような数字が出たのかなと思います。いずれにせよ、与党が主導されていることなので、与党の方からどのような形でまた出てくるかわかりませんが、それはきちんと出てくれば政府として真剣に検討させていただくということだと思っています。
(問)朝日新聞園田です。関連なんですけれども、この振興基金は末松候補の政策実現のための振興基金なのか、それとも稲嶺候補が勝ったときも該当するのか。これはいかがなんでしょうか。
(答)先程申し上げたとおり、政府として振興基金がどうのという今段階ではなくて、それは党の主導でされておられることなので、また党の方からいろいろな提案等々があれば、政府として真剣に検討するということだと思います。
(問)NHKの高野といいます。東南アジアの外遊の関係ですけれども、3カ国の外相らと会談されて、今後の領土発信にどんな課題があったかなというふうにお考えですか。どういうふうにしていったらいいかなと。
(答)そうですね。今回の出張は、海洋政策・領土担当大臣としては極めて重要なASEAN3カ国訪問だと思っているんです。領土担当大臣、初めて新設をされたわけですが、去年の2月に領土・主権対策企画調整室ができたと。実質7人で本当に頑張ってもらって、去年フィリピンに行ってロサリオ外務大臣とガズミン国防大臣に会って、日本政府の海洋における立場、領土に対するいろいろな立場を説明させていただいたと。これはやはり内外発信というものを、対外発信というものを領土担当大臣の一応ミッションとして位置付けるということになっておりまして、その意味で言うと、今回ASEAN3カ国を訪問して、3カ国の外相ときちんと会えたということは、領土担当大臣として、これから対外発信を行っていくという意味でいうと大きな意義があったと思います。もちろん今回のことはまた改めて岸田外務大臣にも報告をしたいと思いますし、いつも申し上げているとおり、安倍総理の外交戦略をきちんと踏まえて、更に外務大臣は岸田外務大臣なので、その外交政策との整合性も考えながら、しかし領土・主権の問題については、対外発信の機能を担う領土担当大臣として引き続き積極的に発信をさせていただきたいと思っていまして、そのような意味で今回の日程は極めて充実をしていたと思います。
 それから、少し宣伝になってしまいますが、フラートン・レクチャーで講演ができたと。ブロークンイングリッシュでしたが、講演ができたというのはすごく意味があったと思いますし、いろいろなご都合があると思うんですが、総理には、このIISSが主催をするシャングリラ・ダイアログに行っていただいて、もちろんダボスでもオープニングスピーチをされるわけなんですが、シャングリラ・ダイアログもIISSも、やはり発信の基地としては非常によいと思うんですね。だから、このようなところにどんどん安倍総理に行っていただいて発信をしていただくことは大事だなと。特にシンガポールは、アジアに向けて何かを発信する、アジアから世界に向けて何かを発信するということでいうと極めて有効な場所だと思います。ここをもっと日本政府全体としても領土・主権を巡る問題の発信についても活用するべきだろうなと痛感をいたしました。
(問)関連ですが、大臣、出発前に、中国との距離感とか温度差とか、3カ国でその辺を見きわめてきたいと言われていたかと思うんですが、それをどういうふうに3カ国を見て分析されて、それぞれとどういうふうに発信のやり方を変えたりしていきたいと考えていらっしゃいますか。
(答)あまり細かな外交のやりとりは、ここで申し上げるのは控えたいと思いますが、私が申し上げたいことは、おそらくASEAN各国、いろいろな立場があると思うんですが、とにかくASEANとしてワンボイスでいろいろな発信をしていこうというように、当たり前ですが各国が思っていることと、それから、中国に対してどうのこうのという話は、中国の話はここであえてしませんが、日本に対する期待はすごく高い。この地域で日本がアベノミクスで経済的にも再生をしてもらう、日本が存在感を持ち続けてもらうということがASEAN全体にとってもよいと。この地域の繁栄、アジア全体の繁栄にとっても、メリットがあると、このような認識は確実に持っていただいていると思います。
 何度も申し上げているとおり、アジアの繁栄は空と海の自由があるからであって、その秩序はどう考えても、やはり国際法、法による支配、これに基づいて維持されないと、人の往来がうまくいかないとか、貿易が活発にできないということになってしまいますので、そこはしっかりと今後とも、もう一回言いますが、海洋における、あるいは空における法による支配、やはり国際法を遵守した秩序、この構築は、しっかり日本として呼びかけていくべきだと思います。
(問)共同の野見山です。西普天間住宅地区の拠点返還地指定の件ですけれども、できるだけ早く指定したいということをおっしゃっておられましたが、このタイミングでの今日付での指定になったというのは、これは宜野湾市の話ですけれども、名護市長選を前に政府の跡地利用の取組を示したいという、そういう思いも含まれていらっしゃるんでしょうか。
(答)沖縄振興担当大臣の立場から言うと、とにかくずっと前からできるだけ早くと申し上げていたので、何か他の要素でこうなったというわけではありません。できるだけ早く、本来であればこのぐらいまでと申し上げたかったんですが、はっきりしなかったので言いませんでしたが、とにかくずっと以前から申し上げているのは、できるだけ早く進めたいということで、それがたまたまこのタイミングになったと。早く指定できて本当によかったと思っています。
(問)あともう一点、先程の500億円の振興の件ですけれども、明日名護市長選の応援に大臣が行かれるということで、党の主導の話ということなので、大臣の方からこの500億円の振興基金の関連の話に触れることはないという御予定でしょうか。
(答)それは演説の中身なので、それをここで申し上げることは控えたいと思います。ただ、この間の官房長官の答弁に尽きていると思うんですが、党が主導している話ですが、これはどのような形になるのかよくわかりませんが、きちんとした提案があって中身が固まってくれば、政府としては、それについて真剣に検討させていただくということは間違いありません。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:135KB)

(以上)