山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月7日
(平成26年1月7日(火) 11:36~12:01 於:合同庁舎4号館7階742会議室)
1.発言要旨
皆さん、明けましておめでとうございます。今日が2014年最初の閣議後大臣記者会見ということになります。閣議の中身については、特に御報告することはありません。
今日は、午前中に赤坂の迎賓館で、訪日中のトルコ首相の歓迎式典がございまして、そこで安倍総理が首相と2人でずっと歩いていったわけですが、非常に堂々としていて、1年経って安定感が出てきたなという感じがいたしました。今年も、発信する記者会見をしっかり進化をさせていきたいと思います。
まず最初に、海洋政策担当大臣として一言申し上げます。
1月5日の産経新聞に、政府が領海の範囲を決める基点となる離島のうち、所有者のいない離島が約280に上ることを把握し、重要国土として国有化する方針を決めたという記事がありました。一言で言うと、事実関係としてはこのとおりです。我が国の領海、排他的経済水域等の保全を図る上で、この重要な離島の保全・管理については、平成21年の12月に総合海洋政策本部で、「海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針」というものを作成しておりまして、そこから一連の手続を始めています。この一環として、排他的経済水域(EEZ)の外縁を根拠付ける離島の低潮線周辺の無主の土地23地区、99島あるんですが、これについては平成23年8月までに国有財産台帳に登録をいたしました。
また、私の下で開催している「国境離島の管理、保全及び振興のあり方に関する有識者懇談会」で昨年の6月にまとめられた中間提言、この会見でも申し上げましたが、領海の外縁を根拠付ける離島の土地所有状況の把握を、1年以内を目途に行うということとなっております。これに基づいて、現在、総合海洋政策本部事務局を中心に関係省庁との連携の下で、今、領海外縁を根拠付ける離島の土地所有の状況について調査を進めております。
後で質問があるかもしれませんが、申し上げておきたいと思いますが、領海の外縁を根拠付ける離島は約500あるということも昨年の記者会見で申し上げました。既に調査済みの排他的経済水域の外縁を根拠付ける離島99ですね、これを除く約400島を調査対象としています。このうち、無人離島が350、有人離島が50、これを対象として、まず無人離島から行っているんですが、これまでのところ2割程度が所有者が分かったと。残る8割については、所有者のいない無主の土地の可能性があります。引き続き、今年の6月末頃を目途に所有状況の把握にしっかり努めていきたいと思います。
なお、所有者のいない無主の土地については、これは民法の規定によると国庫に帰属するということになっておりますので、その点も申し上げておきたいと思います。
次に、科学技術政策担当大臣として一言申し上げたいと思います。
日経新聞の7日の朝刊16面ですが、「若手の発想を政策に活用 総合科学技術会議、助教ら常勤で採用」という記事があります。この記事は、大変、私うれしく思っていまして、それは、この大臣記者会見でも申し上げ、ここでも紹介しましたが、昨年京都で行った若手研究者との懇談会、実はここでの要望を受けてスタートしたプロジェクトだと思いますが、これについて平成26年度の予算案に関連経費が盛り込まれました。これは上席政策調査員、科学技術政策フェローの手当等で4,400万円ということで、期間等具体的な内容については、現場研究者を含む大学関係者等の意見も聞きながら検討を進めたいと思っていますが、この総合科学技術会議の事務局機能の強化の一環として、このような現場研究者を含む産学官の多様な人材の活用というのは非常に大事だと思っていまして、この具体化を進めていきたいと思います。
もう一度言いますが、車座で行ったあの若手研究者との懇談の中から生まれた流れですから、これを大事にしていきたいと思います。
続いて、これも科学技術政策担当大臣として申し上げますが、これも確かマスコミで報道されていたんですが、海底の鉱物探査に関して、今年、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、いろいろとまだ調整をしなければいけない部分はありますが、この予算のうち数十億円を投じて、高性能無人機を5年計画で実用化するという記事が掲載されたと記憶しています。これについても申し上げたいと思いますが、SIPの10個の課題候補の一つに、ここで掲載されているような海洋資源調査技術というものがあるのは事実です。この話題については、昨年12月18日付けで内閣府政策参与に任命した浦辺徹郎氏、この方は東京大学の名誉教授ですが、この下で関係省庁が研究開発計画等を検討していると、これは事実です。
ただし、SIPの500億円は、平成26年度の調整費ということで今予算案に計上しておりまして、各課題にどのように配分していくかということについては、予算成立後に速やかに総合科学技術会議を開いて決めたいと考えております。
もう一つ、これももしかしたら質問があると思うので、先に申し上げようと思いますが、安倍総理の靖国神社参拝についてですが、これは国の内外を問わずに、国のために戦って尊い命を犠牲にした方々に対して手を合わせて御冥福をお祈りし、尊崇の念を表すと、これは当然のことだと考えております。総理は、私人の立場で靖国神社に参拝をされたと承知しております。これは個人の信教の自由に関する課題であり、政府として立ち入るべきものではないと考えております。
ブログにも書いたんですが、私としては、安倍内閣が日本経済再生、日本復興の最後のチャンスだと思っていますので、安倍総理の決断、判断をもちろん尊重したいと思いますし、支持したいと思いますし、安倍内閣が安定政権として日本再生を果たしてもらうために、総理がいかなる政治決断をしても、最後まで閣僚の一人としてしっかりと安倍総理を支えていくと、この一言に尽きると思っています。
それと、今度の靖国参拝のことについて、総理がぶら下がりの懇談でおっしゃっているように、これは不戦の誓いのために行ったと、戦争を二度と起こさないという不戦の誓いのために行った。この総理の真意をですね、私も閣僚の一人としてあらゆる場所でしっかりと説明をさせていただきたいと思っております。総理がおっしゃっているように、中国や韓国等々に対しても真摯に、真面目に、きちんと説明をして、しっかりと戦略的に重要な国だということも認識をしつつ、対話のドアをオープンにすると、この総理の姿勢を支持しつつ、総理の真意について、閣僚の一人として私もこれから機会を捉えて発信をしていきたいと考えております。
それから、もう一つだけ、これも報道がありましたが、ソニーとか日産自動車など日本の大手企業が組んで、新事業とか新製品開発に必要な技術、ノウハウを持つベンチャー企業を発掘するために新基金を創設するという報道を見ました。この取組について、IT政策担当大臣として一言コメントさせていただきたいと思います。
詳細については、よくまだ中身は分かりませんが、実は12月に、次世代の若手IT経営者との意見交換会、勉強会を2回行わせていただきました。これは大臣記者会見でも皆さんに御説明をさせていただいたと思うんですが、非常に刺激的で、大変勉強になって、20人ぐらいの方をリストアップしているので、順次いろいろな方と勉強会を行っていきたいと思いますが、そこでベンチャーキャピタリストの話が出てきて、日本に本当によいVC(ベンチャーキャピタル)を育てるためにも、こういうプロジェクトは大変いいことだと思いますし、期待を持ってしっかり見つめていきたいと思います。
最初のプレゼン、短く行いたいと思います。2014年、エリカちゃんの動画が新しくできたので、是非皆さんにお見せしたいと思います。
エリカちゃんの動画はいろいろ進化のさせ方があるんですが、難しいのは、あまりにもキャラを立てて不真面目に思われると困ると。やはり北方領土の問題については、真剣に取り組まなければいけない問題なので、エリカちゃんをあまりにもとんがったキャラクターにしてもいけないということで、その範囲の中で、いかに北方領土問題を多くの国民の方々に分かっていただくかと、このような努力の下で今この動画の進化プロジェクトを進めているということだけ、申し上げておきたいと思います。
今日は、エリカちゃんがおすし屋さんになるという想定で作った4弾目の動画をお見せしたいと思います。
(動 画 放 映)
今回は、エリカちゃんがおすし屋さんになっているという設定なんですね。この辺に地元のものが並んでいるのがポイントなんです。根室のさんまロールもすごく有名です。花咲ガニ、それから北海シマエビ。
納沙布岬からすごく近くに見えるんですね。3.7キロしか離れていません、貝殻島まで。今回は、地元の産品を入れてみたというところがポイントです。
ということで、これからも気をつけながら動画を進化させていきたいと思います。
何か御質問があればお受けしたいと思います。
2.質疑応答
- (問)共同の野見山です。冒頭の離島の件ですけれども、約280の離島が所有者がいない可能性があるということで、それらの島を国有財産台帳に登録していく作業というのは、6月に調査全体が終わった後の作業になるということなんでしょうか。
- (答)それはまず、今中身を把握しようと思って調査を始めていますから、全体が出てから行っていくということだと思います。
- (問)あと、6月末をめどに調査を終えるということですけれども、2割が所有者が判明して、残り8割が所有者がいない可能性があるという、この大まかな数字は動かないような見通しでしょうか。
- (答)はい、そうですね。それは今、大体そのような感じです。8割が判明していないと。
- (問)改めての確認ですが、国有財産台帳に登録していくという作業は、もろちん離島の保全管理強化という、改めてその意義というか、狙いを教えていただけたらと思います。
- (答)それは先程申し上げたとおり、無主の島というものは、これは国庫に入れていくという原則がまずあると思うんですが、やはり海洋政策全体で言えることなんですが、EEZの基点、あるいはEEZに関連のある島をしっかり所有者を把握して、必要なところは日本の国有財産として登録していくということで、日本のEEZ管理を強めていく、そのメッセージをしっかり発信していくということだと思います。
- (問)科学新聞の中村です。SIP、先程出てきたと思うんですけれども、SIPの健康・医療戦略室との例の配分の問題は、結論は出たんでしょうか。
- (答)いや、まだ出ていません。これから敬愛する菅官房長官とよく相談して決めさせていただこうと思います。
- (問)あともう一つ、ベンチャーキャピタリストの重要性について先程おっしゃったんですけれども、今までベンチャーキャピタリストの重要性、いろんなところで言われているんですが、じゃ、具体的に育ったのかというとそうでもないと。大臣としては、これから科学技術政策の中でどういうふうに取り組んでいくのか伺います。
- (答)先程申し上げたとおり、昨年12月に若手IT経営者との勉強会をセットして、あえてIT総合戦略本部の外に置いたんですね、そうしないと非公開にできないので。これからおそらく、約20人を5人ずつぐらいに分けて意見交換していこうと思うんですが、確かその中にベンチャーキャピタリストの方々、日本のVCの組織の方々にも来ていただこうと思っているんですね。ですから、今のVCのどこに問題があるのか、どのような課題があるのかということは、率直な議論をしながら大臣としてしっかり感じ取って、対応を考えていきたいと思います。
いろいろなことを言う人がいますよね。例えばシリコンバレーから少しノウハウをもらったらいいのではないかとか。ただ、アメリカと日本の状況も違うので、一概に簡単に、こう変えればいいというものはないのかもしれませんが、少なくともIT起業家、若い人たちが挑戦しやすい、なおかつ日本から世界に通用するような起業家がどんどん出てくるような形で、VCが機能する姿がどのようなものなのかということを是非検討して、非公式な会合ですが、よい政策が出てくれば政策に反映したいと思いますので、少しVCのことも勉強させていただこうと思います、改めて。 - (問)ライターをしております藤井と申します。先程のIT経営者との懇談会についてお聞きします。今、ベンチャーキャピタルのお話もありましたけれども、それ以外に、大臣の中で、出た話題についてのポイントがあればコメントいただきたいというのと、あと懇談会に出席されて、これからも出席される皆様の中で、IT総合戦略本部本体自体や何らかの会議体に入ってくるような人材もいらっしゃるのかどうかというところを教えていただければと思います。
- (答)若手IT経営者の方々、今回、5人の方々と2回行ったんですが、これから多分、いろいろな情報、様々な情報に基づいてリストアップさせていただいた20人ぐらいの方々と順次会っていくわけなんですが、若い人が多いです。どちらかというと、IT総合戦略本部の有識者懇とかいろいろな会議のメンバーではない方の方が多いと思うんですね。IT業界、ITの世界のいわゆる大御所のような、ずっとIT政策を牽引されてきた方々は、もちろんとても大事だと思うですね。ITの世界はものすごく、私よりもずっと御存じだと思いますが、変化も早いし、20代、30代ぐらいの経営者が今何を考えているのか、彼らが何を行っているのかということを知ることは、IT政策担当大臣としてすごく大事だと思っていまして、一応きちんとした組織です。いわゆるIT総合戦略本部の組織図の中に有識者懇というか、そのすぐ下には入れていませんが、外に置いて自由に議論してもらって、何か政策に反映できる提言があれば、つなげようと思っているので、非公式ということは必ずしもいいかげんな勉強会だということではないと思います。いろいろな提言が出てくれば、それはどんどん持っていきたいと思います。
中身については、とても外に言えるような話ではないので、ものすごい本音の、過激な、おもしろい議論を2回とも闘わせたので、申し上げられないんですが、一つ言えることがあるとすると、IT起業家が活躍しやすい税制、今までほとんど、党とか政府の中であまり議論されてこない、いくつかの税制の要望のようなものはいただいたので、それは何らかの形で、どこかでこの議論を発信したいなと思っています。
とりあえず、どのようなやり方で進めているかというと、まず、来ていただいた若手経営者の方々にプレゼンをしてもらうと。短いプレゼンと言っているんですが、どんどん長くなっているんですが、プロジェクターも使いながら、今何を行っているのかということをプレゼンしてもらって、その中で政府に対して、今世の中に対して言いたいことを言ってもらって、それに基づいて、私もどんどん話していますが、議論すると。いわゆるIT経営者の方々の中でも議論があるし、当方は、遠藤CIOと向井審議官を始めとするIT総合戦略本部のスタッフにも来てもらっていますから、何というんでしょうかね、インプロバイズドというか、その場で議論して話を進めていくと。あっという間に2時間経ってしまうというような雰囲気です。これは是非続けたいと思います。 - (問)別件で、せっかくエリカちゃんについて触れたので、そこもお伺いしたいと思います。
前にも、着ぐるみの時にお伺いしたように覚えているんですけれども、実際、若年層への啓発というふうな目的でお作りになっていると思うんですけれども、現状、そこの認知、告知というふうな面では十分でないというふうに感じています。これから2月7日、北方領土の日に向けてどのような展開があるのかというところもお伺いしたいと思います。 - (答)エリカちゃんの縫いぐるみは、おっしゃったとおり、まだ十二分に認知されていないと思うんですが、例えば地方でいろいろな啓発イベントを行った時には大人気なんですね。エリカちゃんが来ることによって、入場者というか、子供連れのお客さんが増えたりすることも事実なので、そのようなデータに基づいて縫いぐるみを少し多く作ったんですが、おっしゃったとおり、若い人たちへの啓発という点でいうと、まだまだキャラクターも進化させていかなければいけないと思います。これは、北方対策本部が本当に努力をしていろいろ考え抜いて作ってもらっているんですが、先程言ったように難しいのは、ネット上でインパクトを持つということは、相当キャラを立てなければいけないわけで、しかしながら、エリカちゃんをあまりにも先鋭的な、あまりにも目立つ存在にしていくと、一部の人たちから、真面目に取り組んでいるのかという批判を受ける可能性があって、そこの意図を誤解されてはいけないと。最初からある程度そこを考えながら作っていかなければいけないという難しさがあります。
エリカちゃんをしゃべらせようと思っているんですが、しゃべらせた瞬間に、もしかすると、こんなアニメキャラクターをしゃべらせて不真面目ではないかというようなことを言われても、せっかく北方対策本部と相談しながら育ててきたエリカちゃんが転んでしまうので、そこは非常に難しいなと思っているんですね。ですから、ふわっとした音楽でいろいろ考えた中で、エリカちゃんが夢でおすし屋さんになったと。キツネも「ココン、コンコン」としか言わないわけですね。だけど、それを本当にキャラクターにしてしまった時に、それが一人歩きしてしまうと、我々の意図が誤解されたら困るなという、その限界の中で行っていることは是非理解をしていただきたいと思いますが、少なくともフェイスブックもツィッターもアクセス数が少ないので、私のツィッターだってまだ思ったより全然伸びないですが、15万人ぐらいフォロワーいますから、そのくらいまではやはり持っていきたいなと、工夫しながら。
エリカちゃんを使った北方領土啓発のゲームのようなものも作っているので、これも真面目なゲームにしなければいけないので、なかなか難しいんですが、これは大事なプロジェクトですから、大事に育てていきたいと思います。すみません、回答になったかどうかわかりませんが、真面目に、丁寧に答えさせていただきました。 - (問)領海基点の島について、もう一度恐縮なんですけれども、改めてこれだけ所有者不明の島が、土地があることをどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。国有化を進めることで、日本の国益にとってどういうメリットがあるというふうにお考えでしょうか。
- (答)この離島の問題については、昨年の予算委員会だったと思いますが、委員会、正確に覚えていないんですが、野党の委員の方から、いまだに離島を全部状況を把握していないのは何事かというお叱りもいただきました。これはずっと時間をかけて行ってきたんですね。まずEEZの外縁を根拠付ける島から始めて、これは終わったと。ここがやはり一番目の届かないところだということで、ここから始めて、今、EEZというか領海の基点になる島の方を行っているわけなんですが、できる限り作業を早めていきたいと思います。これも相当、私の強い要望もあって、国土交通省とも相談の上、6月ぐらいまでにまとめるということで、相当これも加速をさせたということなんですが、やはり今、離島の状況は、高野さん(記者)おっしゃったように、日本政府としてはきちんと把握をしていかなければいけないと。ですから、作業をしっかり急がせたいと思います。
よろしいでしょうか、ありがとうございました。
(会見では一部動画を使用しています。)
(以上)