山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年12月20日

(平成25年12月20日(金) 12:20~12:42  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日は盛りだくさんなので、やや早口で進めたいと思います。
 まず最初に、領土担当大臣として一言申し上げたいと思います。経団連での会合における対話についてです。
 先般もこの場でお知らせしましたが、私が11月22日に発表した「領土・主権をめぐる内外発信の強化に向けたイニシアティブ」の第3の柱、「経済界等国内各界との対話」の第1弾として、去る12月18日水曜日に、日本経済団体連合会の経済外交委員会において、日本を代表する経済界の皆さんと意見交換を行わせていただきました。
 私から、まず尖閣諸島をめぐる情勢、竹島及び北方領土をめぐる問題、政府の取組について説明をさせていただきました。併せて、経済界の皆さんにおかれても、機会があれば外国の方に、私のプレゼンテーションを参考にして、御自身の言葉で積極的にお話をしていただきたいと、申し上げました。
 その後、対外発信の重要性、特に日本の立場を理解し応援してくれる国を増やしていくことの重要性とか、あるいは米国におけるシンクタンクや大学への働きかけ等の重要性、更には、日本が経済的に再生し国際的な力を有することが極めて重要であること、そのような点について有益な意見交換を行うことができました。
 領土・主権をめぐる発信について、これはしっかりと行っていくためには、政府だけではなくて、日本を代表する方々の御理解、御協力が不可欠だと考えております。
 この重層的な発信ということは、有識者懇談会の報告書の中の提言に含まれておりまして、それを踏まえて今回は私の方から経団連にお願いをして実現をしたということでございます。
 領土担当大臣として、我が国の立場に関する正確な理解が国内外に一層進展していくように、冷静かつ論理的な発信を今後とも積極的に行ってまいります。
 領土担当大臣としてのコメントをもう一つ。自民党の領土に関する特命委員会から政府に対して提言が提出をされたということで、これについても一言コメントをさせていただきたいと思います。
 この与党の提言は、我が国の領土・主権をめぐる情勢が一層厳しさを増している中で、党において真剣に御議論された上で、この内外発信の強化について提言をしていただいたということで、大変重要だと受け止めております。領土担当大臣としては、この提言をもちろんよく読ませていただいて、十分検討の上、関係省庁とも連携して適切に対応していきたいと思います。
 いずれにせよ、先程も申し上げましたが、我が国の立場に関する正確な理解がしっかり国内外に浸透していくように、この発信強化イニシアティブを通じて、冷静かつ論理的な発信に努力をしていきたいと考えております。
 続いて、科学技術政策担当大臣として発言をさせていただきたいと思います。
 来年度からのSIP、戦略的イノベーション創造プログラム創設に向けて、10の対象課題候補について政策参与の公募を行いました。総合科学技術会議の有識者議員に選考していただきました。18日付で10名の政策参与が就任いたしましたことを御報告したいと思います。5名が産業界、5名が学界出身者で、すばらしいメンバーだと思います。いずれの方も産業界、学界において重要な地位にいるということで、名前だけ簡単に紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、革新的燃焼技術を担当いただくのは、トヨタ自動車株式会社エンジン技術領域 領域長の杉山雅則参与。この方は、業界の中核企業であるトヨタ自動車において、入社以来、同社のエンジン開発を牽引してこられた方です。
 2番目、次世代パワーエレクトロニクスを担当いただくのは、三菱電機株式会社開発本部役員技監の大森達夫参与。大森参与は、業界を主導する三菱電機において、新材料を用いたパワエレ等の先端デバイス開発に従事し、研究から製品化までを実現してきた方です。
 3番目、この革新的構造材料を担当いただくのは、東京大学名誉教授であり新構造材料技術 技術研究組合理事長でもある物質・材料研究機構顧問の岸輝雄参与です。一貫して最先端の材料研究に従事し、世界に対してこの分野の我が国のプレゼンスを象徴する方だと思います。
 4番目のエネルギーキャリアを担当いただくのは、東京ガス株式会社代表取締役副社長の村木茂参与。水素エネルギーについて国の主要な政策会議で中心的な役割を担い、エネルギーソリューションや街づくりといった広い視点を持つ方です。
 5番目、次世代海洋資源調査技術を担当いただくのは、東京大学名誉教授であり、国際資源開発研修センター顧問の浦辺徹郎参与です。現在まで約30年間、本研究分野で活躍し、現在は国連海洋法大陸棚限界委員会委員に日本を代表して参画をされておられます。
 6番目、自動走行システムを担当いただくのは、トヨタ自動車の技監の渡邉浩之参与。世界的に我が国のITS分野を代表する方として認識をされ、この業界を牽引しています。
 7番目、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術を担当していただくのは、東京大学工学系研究科特任教授の藤野陽三参与。アカデミアの立場から、国の主要な研究開発プロジェクトを数多受託し、研究リーダーを担った経験が豊富であり、国レベルでの活動にも大変意欲を持っていらっしゃいます。
 8番目、レジリエントな防災・減災機能の強化、この分野を担当いただくのは、京都大学防災研究所教授の中島正愛参与。国内での豊富な研究開発活動に加えて、世界地震工学会の筆頭副会長を務めるなど世界的にも活躍されており、自然災害から人々の命を守るという重要なミッションに対して大変意欲を持っていらっしゃいます。
 9番目、次世代農林水産業創造技術を担当いただくのは、法政大学生命科学部教授の西尾健参与です。農林水産省での行政経験を持ち、博士号も取得の上、現在は大学で活躍されております。研究開発の面から、我が国の農業の産業競争力強化に意欲的な方です。
 最後、10番目の革新的設計生産技術を担当いただくのは、株式会社日立製作所日立研究所主管研究長の佐々木直哉参与。同社において、設計シミュレーション、研究開発に従事をされ、地域や製造現場のニーズを重視した競争力強化の視点から、新たなモノづくりの時代を切り開くことが期待される方です。
 産学からトップクラスの人材を確保したと考えておりまして、これから政策参与の方々とタッグを組んでSIPの中身を一層充実、進化させていきたいと思います。
 政策参与の名簿、17日の総合科学技術会議後の記者会見の際に、事務局から既に配布をさせていただいていると思います。この中から本当に出口につながる研究成果が出てくると期待しております。是非この10分野、メディアの方々にも注目をいただきたいと考えております。
 さて、科学技術政策担当大臣としてもう一つ短くコメントさせていただきたいと思うんですが、読売新聞でしょうか、12月19日、「科学技術研究者12年ぶり減」という記事を先程見ましたが、これについて言うと、イノベーションの本質は人であり、知識の創造、普及、適用、既存産業の強化・革新、新産業の創出、これはやはり多様なプレーヤーがいないとできないということで、総務省の科学技術研究調査によると、科学技術研究者が12年ぶりに減少したということで、これについては科学技術政策担当大臣として残念に思っています。特に企業の減少が大きいと、情報通信機器分野の減少が目立ったと。これはIT政策担当大臣としても残念に思っておりますが、大学は少し増えているということでした。
 総合科学技術会議では、科学技術イノベーション総合戦略で、新規事業に取り組む企業の活性化を重点的に取り組むことに位置付けておりまして、更に、先日開催された本会議においては、イノベーションの要である人が新しいアイデアにチャレンジし、絶え間なくイノベーションの連鎖を生み出す仕組みの構築に向けた政策パッケージを取りまとめるという方針を打ち出していますので、とにかく科学技術研究者、再び増加に転じるようにしっかり努めてまいりたいと思います。
 さて、今日のプレゼンテーション、IT総合戦略本部の報告もあるので少し長くなりますが、少し早口で行いたいと思います。
 昨日、第14回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の大臣級会合がありました。このFNCAにもう少し国際的なアテンションを増やしていきたいと思っているんです。
 FNCAは何だと。これは、日本が主導して、アジア地域における原子力の平和利用のうち、放射線を使ったがん治療、稲の育種などに関する協力を行っているユニークかつ重要な枠組みなんですね。原子力平和利用というと、すぐに原発とお考えになる方が多いんですが、もう一つの平和利用で、このようなことをきちんと議論している国際的枠組みがあるということなんですね。
 オーストラリア、バングラデシュ、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、ベトナムの12カ国が参加しております。
 開会では歓迎の挨拶をいたしました。科学技術政策担当大臣として、これだけフルに参加したことは今までなかったと思います。三つぐらいのセッションに参加をし、オープニングスピーチ、それから閉会スピーチ、昼食会も私が主宰をいたしました。
 政府の方針をしっかり説明しました。今言いました各国の大臣、副大臣、それから原子力関係、原子力庁の長官等が来ていたものですから、安倍政権のエネルギー政策の方針をしっかり説明をさせていただきました。汚染水問題についても説明をさせていただきました。
 FNCAへの期待も表明しました。原子力技術の平和利用の枠組みは大事だということと、それから、アジア諸国の社会経済的発展と国民福祉に一層効果的に寄与することを期待したいということを歓迎の挨拶で申し上げました。
 円卓討議二つに参加しましたが、一つは、「FNCAプロジェクトの成果の活用」ということで、放射線利用の有益性や効用をしっかりと発信することが大事だと、このような国際的な枠組みの中で、もう一つの平和利用についての問題をもう少し発信した方がよいのではないかということを発言いたしました。これについても積極的に、十分に知られていないFNCAの成果については、一層の普及・商用化に尽力すべきであるということを提起をいたしました。
 円卓討議二つ目。今回は、「核セキュリティ文化の醸成」というものを取り上げたんですね。これは皆さん御存じのとおり、首脳会議も、サミットもありますが、FNCAの側面からこれを取り上げたということには非常に意義があると思っています。
 IAEA(国際原子力機関)の方にも来ていただいてプレゼンも行ってもらいましたが、核セキュリティは非常に多様な側面があるということで、非常にチャレンジングなテーマでした。
 日本からは、アジア地域の核セキュリティ文化醸成に向けて、積極的に貢献するために、アジア地域を対象とするワークショップの開催、それからベストプラクティス、うまくいった例をどんどん次回の会合でも集めましょうと、うまくいったものだけではなくて、問題のあったものも集めましょうということを私の方から提案をいたしました。
 次は、議長声明ですが、簡単に言いますが、これは、日本原子力研究開発機構だったでしょうか、このセンターを通じてIAEAと共催をして核セキュリティ文化に関する研修をアジア諸国を対象に日本で行いたいということを申し上げました。
 それから、ISCN(日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター)を通じて、今、FNCA各国のセキュリティ文化醸成の取組を支援する。
 それから、ウエブサイト、核セキュリティ文化に関する各国の取組状況や良好事例を共有するということ。
 あるいは、FNCAプロジェクトの成果の活用とか、平和利用とアジア地域の発展への貢献とか、このようなものをあえて私の意思で議長声明として発表させていただきました。
 以上、冒頭発言はこのぐらいですが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)共同通信の野見山です。沖縄の関係なんですけれども、昨日、仲井眞知事が、官邸に夕方、総理に会いに来られて、その終わった後の我々に対するぶら下がりの中で、OIST(沖縄科学技術大学院大学)と那覇空港の第2滑走路の件で、これは長期的な取組が必要なので、閣議決定を政府にお願いしているとおっしゃっていたんですけれども、こうした要請を受けているというのは事実なのでしょうか。
(答)そのような形の要請があったやに聞いておりますが、これは総理としては検討するというお話をされたようですが、これはもう総理、官房長官の判断だと思います。どのような形で対応できるのかということは、総理と官房長官の判断ではないかと考えています。
(問)要請は、昨日の時点で要請はあったという。
(答)昨日、確かぶら下がりで知事がおっしゃっていたので、そのような御要請をされたのだと思います。おそらく総理は、官房長官の会見を拝見したところでは、どのような対応をするかということを真剣に考えたいということでしたから、あの要請についてどのような対応になるのかということは、総理と官房長官に高度な政治的判断をしていただくしかないのかなと思います。
(問)個別の事業なので、閣議決定になじむのかなというふうにも思ったりもするんですけれども、それは。
(答)もう一度申し上げますが、総理と官房長官がどのように判断されるかということかなと。私は、沖縄振興担当大臣として、とにかく今日の午後、大臣折衝で、沖縄側の要望に最大限に応えるにはどうしようかと、それだけで頭がいっぱいです。
(問)科学新聞の中村です。SIPのPD(プログラムディレクター)になる参与が任命されたと思うんですけれども、参与の権限、例えば、これ実証していくとなると、なかなか規制を、ある特別なルールを使って変えていくとか、特区みたいな形でやっていくとか、いろいろなことをやっていかないと、なかなか実証まで持っていくのは大変だと思うんですけれども、参与というかPDになったときの権限の範囲というのは、どの程度のことを考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)それは、これから多分いろいろな課題が出るかと思うんですね、このプロジェクトが始まった時点で。現時点でどのような制約が出てきて、どのような権限が必要なのかということはなかなかここではわからないと思うので、そこは走りながら考えていくしかないと思います。
 SIPの制度設計はかなりきちんとできたので、それに乗せてきちんと走らせていくということだと思います。
(問)日刊工業の小川と申します。研究開発法人制度についてお聞きしたいんですが、先日、新藤大臣と稲田大臣と合意があったと思うんですけれども、その中で、独法通則法を適用しつつ特例措置を定めるということを明記したと思うんですけれども、それについてまず御所見をお願いします。
(答)以前この記者会見でも申し上げたとおり、私と下村大臣は有識者懇談会も立ち上げて、その有識者の方々に議論を重ねていただいた結果、新しい研究開発法人は、独法制度の外で新たな仕組みで創設するべきだということを申し上げました。ただ、党内や、政府内には行革サイド含めて違う意見もあるので、そこでいろいろ議論をして、全てこちらの意見が通ったわけではありませんが、一言で言うと痛み分けかなと思います。しかし、少なくとも新しい研究開発法人を別法で作る。つまりこれは新しい制度ですから、それが実現したことについては、稲田大臣と新藤大臣に大変感謝を申し上げたいと思いますし、まだ、例えば新しい研究開発法人の数をどうするのかとか、細かいところについてはまだまだ少し詰めなければいけないところはあると思うんですが、少なくとも新しい研究開発法人、ニューブリードになったと、半分独法の中に体は入っているかもしれませんが、手足は出ていると。やはりニューブリードになったということは、私は大きな一歩だと思っています。そこは新藤大臣と稲田大臣とぎりぎりの議論をしたんですが、やはり彼らも世界最高水準の研究開発トップを作るために、譲るところは譲っていただいて、我々も譲るところは譲って、痛み分けといいますか、一歩踏み出したのではないかなと思います。
(問)追加で、今後、詳細設計が入っていくと思うんですけれども、具体的に業務運用上の特別な措置というのは何を想定していらっしゃるんでしょうか。
(答)業務運用上の特別な措置とはどこの話。
(問)給与の話ですとか、特例扱いするに当たって、大体何をもって特例と。
(答)それは、事務方でも少し詳細に詰めなければいけませんし、必要があればまた閣僚級の会合も行うということで、一つ一つそこをどうするかということを細かく詰めていくということで、現時点でどのような細かい流れになるかということは今申し上げられないです。
(問)研究開発法人に対して制度の枠組みというか仕組みはこれでついたと思うんですけれども、その後、国際競争力を高めるためには、当然これだけではだめだと思うんですけれども、具体的にあとはこれ以外に何を重視していかなきゃいけないと思いますか。
(答)その国際競争力というのは、科学技術分野、研究開発分野。他にも多分いろいろな方策というのはあると思うんですが、まずは第一歩を踏み出したんだと思うんですよね。これは随分長い間議論をしてきて、10年間、独法側も行革側も、総務省も含めて、いろいろ制度改善のようなことを行ってきていただいたと思いますが、もう何度も言ったように、研究現場の方からはいろいろな意見もあるということで言うと、ずっと議論してきたんですが、前進しなかったことが、稲田大臣や総務大臣にも、そこを理解していただいて、一歩踏み出しましたから、まずここからきちんと行っていくということだと思います。他に挙げればいろいろなことはあると思いますが、研究開発法人を世界で戦える状況にするということでは、これは最初の一歩になるのではないかと、そこからまたいろいろな問題が出てくると思いますが、研究開発のレベルを上げるための方策を打ち出していければいいのではないかと思います。
(問)共同通信の須江です。宇宙の関連で、午前中に政策委員会の専門部会で、輸送システムに関する長期的なビジョンのお話が出ましたけれども、その話自体は今後も話が続いていく息の長い話ですが、例えば、その中の意見で、要するに、今後2040年、2050年を目指したロケット開発については、2010年代中に例えば開発の検討をすべきではないかというような専門家の意見もございまして、そうすると、あと数年とか結構早い、目前に迫ったところで何か方向性を示す必要もあるのかなと思いますけれども、その辺、大臣としてはいかがお考えでしょうか。
(答)そこはまだ特に結論が出ているわけではなくて、いろいろな専門部会が活発に動いているんです。御存じのとおり、宇宙政策委員会はダイナミックに動いているので、各部会も相当やる気で議論を重ねていますから、いろいろな議論のプロセスの話は出てくると思いますが、あくまで今議論の段階ということで、現時点で何か方向性が固まったということではないと思います。

・説明資料(PDF形式:205KB)

(以上)