山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月27日

(平成25年11月27日(水) 19:37~20:19  於:合同庁舎4号館6階 605会見室)

1.発言要旨

 本日の午後5時15分から総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。まず、本日付で中鉢議員が退任され、新たに中西宏明委員が御就任されました。

 今日は平成26年度科学技術関係予算の編成に向けて、この案を決定いただくとともに革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)、それから成長戦略のための新たな研究開発法人制度について御議論をいただきました。また、最近の科学技術の動向については東京工業大学の細野秀雄教授から御説明をいただきました。

 議員の主な発言だけ紹介させていただきたいと思います。
 まず、研究開発法人についてですが、下村大臣から2大臣(文部科学大臣・科学技術政策担当大臣)の下に作った有識者懇談会の報告書の中身を説明していただきました。私の方もその下村大臣の報告に少しコメントを付けさせていただきました。
 簡単に言うと、この報告書の中身は皆さん御存じのとおり、世界最高水準の研究開発法人を創設するためには独法の枠組みとは違う形で創設するべきだ。なぜなら、いろいろな意味で制度の目的、哲学が違うからだと。これが簡単に言うと報告書の中身であったということで、それについて下村大臣から説明がありまして、私からも、とにかく安倍内閣の方針である世界最高水準の研究開発法人を作るためにどうしたらいいのか、そういう観点からしっかり議論をしていただきたいということで、この新しい研究開発法人は、やはり独法の枠の外に置くべきだという主張を発言させていただきました。
 それについて、まず稲田大臣から発言がありました。行革推進会議でこれまで研究開発法人のあり方についてワーキング・グループで集中的に議論をやってきた。ワーキング・グループにおける座長見解は皆さん御存じだと思いますが、これは独法通則法の抜本改正、運用を大幅に改善することによって独法制度の中で研究開発法人制度を創設することが可能かつ適切だと。別法化は問題が多いと指摘されているという発言が稲田大臣からありました。こうした議論を踏まえて新たな研究開発法人制度を含む独法改革について、年末のとりまとめに向けて関係府省で調整を進めていきたい。これが稲田大臣の発言です。
 新藤総務大臣からも続けて発言があり、独法を所管する総務省としては、今100ある独法の見直しが必要だと考えている。行革の精神は各省バラバラのものを1つにすることであって、これを堅持しながら総務省として責任を持って改革に取り組みたいということです。それから研究開発法人で議論されていることは、独法通則法の見直しで対応可能なのではないかという意味のことを新藤大臣は発言しておられました。
 それから、麻生財務大臣の方から別法化については今の行革の流れと逆行するのではないかという意見がありました。行革の方からもそういう議論があるようだが、独法に対する運営費交付金は単年度では問題だということで独法に特例として認めているものだと。別法化となれば別物になるので、その辺は考える必要があるのではないかという話がありました。
 それから、麻生大臣の方からもう一つあったのは、今の独法制度には問題が多いというのは理解できなくはない。しかし、現在の独法制度の中でどうすれば研究成果の最大化など新しいことに対処できるのか指摘いただくことが大事であって、そうではないと物事が進まないのではない。行革推進会議とは連携するべきだろう。だから、最初から別法化というのはどうかという慎重意見が述べられました。
 続いて、甘利大臣からアベノミクスはこれまで妨げられてきたものに挑戦していくものだ。科学技術で競争力を高めていくことで、とにかく、しっかりとアベノミクスを実現していくのだ。研究開発法人については理研、産総研など、民間では手が届かないところをやってきたという歴史がある。これまでも制度の改善方針というのが指摘されてきたけれども、結局、実現されてこなかったではないか。行革の重要性は理解するけれども、今までできなかったことが実現できるように、それを担保する仕組みが必要だという意見がありました。
 続けて、民間議員から、例えば、橋本議員からは、とにかく甘利大臣が言ったように指摘があっても改善されないでここまで来た。現場で悲鳴が上がっているのは事実で、これが繰り返されないように制度から見直すことが必要だ。これは最先端の研究開発を行う法人に適用するものであって、研究開発法人全てではない。だから、新たな研究開発法人を独法の枠外に作ったからといって、独法全体の仕組みを壊すものではないのではないかという話がありました。総合科学技術会議としても改善内容が担保されているか、改正後に研究開発法人の現場で望ましい成果を上げているかをしっかりと検証するべきだという話がありました。
 久間議員からも競争力を高めるためにはマネジメントが大事で、法人の長への責任権限を付与するべきである。成果が出ないときは法人の長には代わってもらう。こういうガバナンス制度が必要なのであって、そのために独法の枠の外に新しい研究開発法人制度を創設すべきだという意見がありました。原山議員からも同じ方向性の議論がありました。
 続いて科学技術関係予算全体について、橋本議員からは予算の確保を是非お願いしたいという話がありました。麻生大臣からは財務当局として科学技術イノベーションの重要性はよく分かる。これは共有している。税金を預かる我々としては財政健全化も着実に実行する立場にもあり、科学技術もその例外ではないという話がありました。また、全体の予算を見ると高い成果を上げるものに重点化して、質の向上を図る必要がある。このため総合科学技術会議でも明確な成果目標を設定して、成果をきちんと検証して、メリハリのついた予算にしていくという取組を是非今後ともやっていただきたいという話がありました。これが科学技術関係予算についてのやりとりです。
 続けてImPACTです。ImPACTは私の方からスライドをお見せしながら、まずImPACTの意義を説明させていただいて、その後、久間議員から今の制度設計の現状について説明をしていただきました。
 それについて、まず民間議員の平野議員からはこのImPACTは非常に重要だ、とにかくプログラムマネージャーに権限を与えてハイリスク、ハイインパクトな研究を行うというユニークな制度なので、是非実現させて欲しいという話がありました。
 橋本議員からはPM、プログラムマネージャーは新しいシステムで、日本にもその資質を持っている人はいっぱいいる、例えば研究者でもプレーイングマネージャーもいる、ぜひとも予算化をお願いしたいという話がありました。
 原山議員からもImPACTに対する話があり、総合科学技術会議として恥じない内容となるように取り組んでいくという話がありました。
 内山田議員、経済界から来ておられますが、ImPACTについては総合科学技術会議の有識者議員間で数か月議論してきた。これは一企業、一研究機関ではできないハイリスク、ハイインパクトな研究が可能となる。異分野の優秀な研究者も集められるし、産業界の競争力にもつながる。経団連の産業技術委員会でも意見書を出していて、科学技術予算の獲得、SIP、ImPACTの創設を要望している。ImPACTはFIRST以上の予算と産業界が参画できる仕組みが必要なのであって、産業界としても支持をして応援したいという話がありました。
 甘利大臣から、さらにこのImPACTについて発言がありました。これはFIRSTの先を見据えたチャレンジとして期待している。一課題当たりの額が大きくなるのであれば、財政事業も厳しいので、まずしっかりした制度設計をやってほしい。必要な予算は自分も麻生財務大臣とよく協議をしていきたいと甘利大臣は言っていました。
 麻生財務大臣は、このコメントも大事なので正確に言いますが、ImPACTはもともと麻生内閣の時に始めたFIRSTがだんだんこうなっていたので良かったと思っていると。しかし、FIRSTは予算が削減されて小さくなってしまって、その中でも山中先生のiPS細胞等成果も上がっている。リスクの高いものに挑戦しようということは理解しているが、プログラムマネージャーは誰がやるのかというのは最大の関心事だ。そういう人がいるのかどうかということが関心事だ。是非、成果の設定、事後の検証など、いろいろとお願いをしたいということでした。
 制度の重要性といいますか、ImPACTの意義についてはずいぶん麻生大臣は評価していただいたと私は感じました。(また、麻生財務大臣からは)説明資料に国民の理解、応援が得られるものにしたい、専門家のみが理解できるものではだめであるが、これは技術屋としては政治的なセンスがあると理解しているというコメントもありました。さらに、いずれにしろ仕組みをしっかりとしたものにしていただくということは山本大臣にお願いをしておきたい。そうじゃないとなかなか難しいですよ、という御意見もありました。
 櫻田文科副大臣からは、途中で下村文科大臣が退出してしまったので、ImPACTについては全面的に山本大臣を応援するという話がありました。
 新藤総務大臣からはPMの処遇、事務費、それから特許申請の支援、業務費が予算の中に入っているのか。パッケージとして進めた方がいいのではないかというアドバイスもありました。
 松島経産副大臣からも応援コメントがあって、経済界も経団連だけでなくて、COCN(産業競争力懇談会)から強い要請もあった。とにかくテーマは学会だけでなく産業界にも求めて欲しいし、PMは総合科学技術会議で本当にいい人を選んで欲しいので経産省も協力をしていくというコメントがありました。
 そして、これはまた大事なポイントだと思うのですが、こうした議論を受けて総理から発言がありました。これも皆さん御存じだと思いますが、改めて申し上げたいと思います。
 総理からの発言について、1点目は、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)は大胆に現場のイニシアティブに委ねてハイリスク、ハイインパクトの新しい挑戦を応援する新たな取組だ。この国家重点プログラムを力強くスタートさせてまいりたい。もう一回言いますね。力強くスタートさせてまいりたいと。総理のこの言葉は、私は非常に大きな意味があると思います。
 総理の発言の2点目です。本日、平成26年度科学技術関係予算編成に向けて、思い切って重点化、大括り化を行う基本方針を決定いただいた。これを来年度予算編成にきちんと反映させ、メリハリのある予算作りに役立ててまいりたい。麻生財務大臣、よろしくお願いします。総理からそう言っていただきました。
 3つ目、本日の議論の中で世界最高水準の研究開発法人の実現を目指すことについては一致を見たと。今後、具体的な制度のあり方について関係閣僚の間で調整を進め、年末にしっかりした方針を示したい。これも非常に意味があると思っていまして、関係閣僚の間で調整を進めると。つまりどこか1つのいわゆる枠組み、あるいは一人の大臣が方向性を決めるのではないと総理は言っているわけであって、関係閣僚の間でしっかり調整を進めてくださいという指示があったことは、私は非常に意味があったと思っています。年末にはしっかりした方針を示したいという総理の言葉を受けて、関係大臣とも調整を進めていきたいと思います。
 最後に、このCOP19の話、攻めの地球温暖化外交戦略の柱は技術であって、前回の会議で改定した環境エネルギー技術革新計画は要だ。総合科学技術会議におかれては本計画の実行に向けてしっかりフォローアップしていただきたい。
 この革新計画ができてから初めての総合科学技術会議で本当に多くの方々に頑張っていただいたので、これも総理に言っていただいて本当に良かったと思っております。
 皆さんの御質問を受ける前に申し上げたいのですが、この問題(研究開発法人)については前回の記者会見でも申し上げたとおり、まだ党内にも政府内にもいろいろな意見があると思います。ただ、ポイントは前回も申し上げましたが、世界最高水準の研究開発法人を作るという3つの文書によって閣議決定された安倍内閣の方針、すなわち安倍総理の意思をどうやって実現するかということだと思っています。そのために本当に独法下でできるならば、それでもいいと思うのですが、独法下でできないのであれば独法の外に出すということであって、下村大臣も私も新しい研究開発法人は独法の枠組みに留めるべきでない、やはり、その外で新たな制度として発足させるべきだと思っています。
 2つ目を申し上げますと、研究開発法人を全部、例えば独法の外に出せと言っているわけではなくて、(研究開発法人の創設にあたって)おそらく相当厳しい基準を設けることになると思います。世界水準で、イコールフィッティングでグローバルに闘える研究開発法人のみを、つまり独法の枠外、新しい制度の下に置くということを検討すべきだと言っているので、別に新しい研究開発法人を作ったからといって独法制度そのものの根幹を揺るがすようなことにはならないと思っていますし、下村大臣も全く同じ見解だと思います。
 それから、これも皆さんには釈迦に説法ですが、独法制度から出たら新しい研究開発法人の運営が野放図になる、お金の無駄遣いを許す、こういうことはあり得ません。独法から離れても研究開発法人の成果を最大化する仕組みにしながら、例えば総合科学技術会議も絡むとか、あるいは何らかの形でいろいろなところを関連させて、無駄遣いがないようにきちんとした運営ができるような仕組みを担保するのは当然だと思っています。
 最後に申し上げますが、私は新藤大臣ともとても仲がいいですし、稲田大臣のこともとても好きですし、新藤総務大臣と稲田行革担当大臣は安倍内閣にとっても、私自身にとっても、とても大事な二人だと思っていますから、この新しい研究開発法人の創設に当たっては、新藤大臣と稲田大臣としっかり調整をして、この二人の理解を得なければいけない。是非この二人に理解をしてもらいたいと考えております。
 まとめて言うと、新たな研究開発法人を独法の枠の外に作り、なおかつ定型的な業務を効率化するということでは優れた独法制度は制度として、そのままきちんとそこにあり、なおかつ新しい独法は新しい制度の下できちんと無駄遣いのないように管理をする、こういうことは私は可能だと思っていますし、政治的な意思さえあれば実現すると思っていますし、それぞれ立場はあるのできちんと議論していきますが、私は最終的には新藤大臣と稲田大臣の御理解も得られるのではないか、やはりこの二人の理解を得ないといけないと思っております。
 大演説みたいになって申し訳ありません。何か御質問があればお受けしたいと思います。ほとんど質問されることは言ってしまった感じですが、どうぞ。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。新藤大臣と稲田大臣と話し合う場を今後設定していくということでよろしいですか。
(答)大きなスケジュールとして言うと、12月の最初の週位にいろいろ調整の期間があると思います、1週間ぐらい。その間、もちろん事務方同士でもきちんと議論してもらいますし、その状況を見ながら必要があれば当然、大臣同士の調整も必要だと思います。下村大臣と私と、それから新藤大臣、稲田大臣、どういう形でやるかというのはまだ決まっていませんが、大臣同士できちんと議論するという場面は出てくるのではないかなと思います。
(問)あともう一つ、ImPACTについてですが、ImPACTについては補正予算でということをお考えなのでしょうか。
(答)それは現時点では最終的に決まっていませんが、1つの選択肢ではあるかもしれませんけれども、それはまだ最終的に決まっていません。ただ、先ほど申し上げたとおり総理のこの「力強くスタートさせて欲しい」という発言を踏まえて、あまりちゃちな立ち上がり方ではImPACTをNOImPACTと名前を変えなければいけないので、ImPACTにふさわしい規模のプログラムにできるように努力したいと思います。ただ、状況は非常に厳しいと思いますけれども、そこは日本の科学技術政策のため、安倍内閣のために、担当大臣として、下村大臣とスクラムを組んで全力を尽くしたいと思います。
(問)時事通信の菅です。研究開発法人の件ですが、甘利大臣は発言からすると、これは別法化すべきというお考えですか。
(答)別法化とははっきりおっしゃっていませんが、10年間変わらなかった仕組みなのだから、これをちゃんと変えるようなやり方にしてくれと。少なくとも一律に独法がというか研究開発法人が管理されるような仕組みではだめだという気持ちだと思います。ですから、当然いろいろな選択肢を考えて議論するべきだとおっしゃっているのだと思います。
(問)あともう1点。麻生大臣から運営費交付金の話があったかと思います。別法化したら運営費交付金を使いたくなるかもしれない。そうなった場合でもやはり別法化の方がメリットが大きいと大臣はお考えでしょうか。
(答)麻生大臣のお考えは1つの考え方だと思うのですが、私は別法化したら運営費交付金は使えなくなるという考え方は視点が違うと思っています。要は先ほど言ったように最大のポイントはどのようにしたら世界とイコールフッティングで闘える研究開発法人を作れるかということだから、独法化というか、独法の外から出た形でも運営費交付金を使うやり方の方が、その研究開発法人としてのポテンシャルとか、能力を高めるのであれば、それでもいいと思います。今までの制度の趣旨に合わないから外すのではなくて、どういう組み合わせをすれば最も研究開発法人として競争力が高まるかという視点で考えるべきだと思います。
(問)NHKの高野です。今の関連ですが、麻生財務大臣からは別法化すると行革の流れに逆行するという御発言があったということですが、調整は新藤さん、稲田さんと麻生さんともやるのですか。
(答)必要があれば麻生大臣にも御相談に行かなければいけないと思っています。別法は行革の流れに逆行するという意見は、麻生大臣のお立場もよく分かるし、よく行革の方々からも出てくるので、それは1つの考え方だと思いますが、もう一回言いますが、安倍内閣は成長戦略の一環として科学技術イノベーションを位置づけているわけですね。本当に安倍内閣のシンボルになるようなスーパー研究開発法人をこの内閣で是非立ち上げてもらいたいと思っています。
 行革の流れに逆行するというのは、どうして行革の流れに逆行するのかなと思うのは、全部の研究開発法人を出そうとは言っていないですね。本当に世界最高水準のものを厳しい基準をもって選んでいけばいいのだと思います。それが、これは私個人の考えも入っていますが、たとえ少数であってもそういうものができたとする。少数であってそういうものができたとしても、それが独法制度の根幹を揺るがすようなものにはならないと思います。なおかつ独法制度でなければ研究開発法人がものすごく行革に逆行する、例えば無駄遣いをするとか、野放図に経営されるという考え方は私はとらないと。そこに新しい制度があっていいと思います。
 独立行政法人の制度とは違うやり方で研究開発の成果を最大化する。なおかつちゃんと透明性も担保する仕組みというものを作ればいいのだと思います。
(問)もう1点だけ。一部報道でImPACTについては18項目をテーマとして設定して、このうち2項目程度について今日議論するという報道がありました。これはされましたか。
(答)それはどこから出てきている情報かよく分からないのですが、担当大臣としてはそういう事実は知りません。ImPACTは何項目というのを特に外に言っていないし、幾つかの例としてこういう考え方もありますとか、こんな例もありますということは言っていますけれども、何項目に絞って何項目を議論したとか、これとこれを入れますという話は現時点ではありませんし、今日はその話は議論していません。
(問)日刊工業新聞の小川と申します。ImPACTの件で、先ほどの麻生大臣のお話を聞くと大分好意的な印象だと思いますが、それと予算措置は別物であるという認識なのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたとおり麻生大臣のImPACTに対するコメントはImPACTのコンセプト自体は評価するというニュアンスがあったと思います。おっしゃったとおり財政は極めて厳しい中ですから、もう一回言いますけれどもImPACTを巡る議論も大変厳しいと思います。本当に厳しいと思います。でも、大変厳しいのですが、その中でも閣議決定で作ったこのImPACTについては力強くスタートさせたいと指示をいただいているので、弱々しくスタートさせるわけにはいかないと思いますので、そこは科技担当大臣としては全力を尽くして、きちっと立ち上げられるように最後まで努力したいと思います。厳しいです、状況は。
(問)ついでに予算規模の話で、自民党の部会などでは1,000億台が1つの目安みたいな感じのニュアンスだと思いますが、大臣もやはりそうお考えですか。
(答)規模については今ここでコメントしない方がいいと思いますが、とにかく厳しい状況です。もう一回言いますが、NOImPACTと言われない立ち上げにできるように最大限努力するというところだけ申し上げておきたいと思います。
(問)NHKの小暮です。研究開発法人のことですが、先ほどのお話の中で仮に別法化しても全ての法人が移行するわけではない。高いハードルがあるとおっしゃいました。逆に別法化された場合、取り残された研究開発法人は、今のままですと世界最高水準の研究の環境ではないという認識で、それはそこで独法の中で運用の柔軟性を高めるようなことを図っていくということになるのですか。
(答)まず、取り残された法人はという考え方自体が間違っていると思います。もう一回言いますけど、我々がやろうとしていることは世界最高水準の研究開発法人を実現するということですよ。これが安倍内閣の方針であり意思ですから、それについて厳しい基準をきちっと決めて、そこに世界最高水準の研究開発法人になり得るものを別法化して、例えば枠に出してでも創設しようということで、全体を見て、例えば世界最高水準の研究開発法人になる可能性のものが少なかったとしても、だから他をどうするのだという発想自体は、私はおかしいと思います。
 それから、研究開発法人で言えば、例えばそれはまだこれからの議論ですが、それは厳しい基準でおそらく選んでいけばいいと思います。だけど、その基準に満たなくても研究開発法人として大事な役割をしているところはあるわけです。防災とか。それはきちっと認識をしていなければいけないのですが。
 もう一回言いますけれども、世界最高水準の研究開発法人を実現するということが目的ですので、それに沿って厳しい基準で、そういう可能性があるところを選ぶのは当然だと思います。取り残されるとか、こっちの省庁の法人がどうなって、こっちの省庁の法人がどうなってという考え方自体、私はピントが外れていると思っています。別に各省のバランスでやっているわけではありませんから。それだけ申し上げておきたいと思います。
(問)残ったというか、現行のままでいった場合、そこはそこで柔軟性を高めるというか、運用方法を変えるような、そういう何か……。
(答)それはこれからの議論の方向によっていろいろ展開はあると思います。とりあえずもう一回言いますけれども、世界最高水準の研究開発法人を実現するためにどうするのかというところが主眼ですから。
(問)共同通信の須江と申します。同じく研究開発法人の関係で、この間の有識者の会議の結果と、あと行革のワーキング・グループのやつを見ますと、素人考えですと、つまり目指すものは全く同じだなという印象を受けるのですが、枠組みの部分が全く正反対なので、どちらかの案を取り入れてというのは難しいのかな。つまり採用するとすればどちらかを採用するしかないのかなという印象を受けます。
 そうすると大臣としては、今、大臣は有識者会議でいただいた意見を基に提示している新しい独法の枠組みを作るという案を総務省や各省に丸ごとそのまま了解していただくというのが目指す方向性なのでしょうか。
(答)まず調整がつくかつかないかはやってみないと分からないと思います。私は調整をつけられる可能性はあると思っています。第1ワーキング・グループの報告書、昨日もずっと読み込んで、第1ワーキング・グループの座長見解の中でも、我々が報告書で指摘した中身は入っていますね。例えば、中期目標をもっと長くするとか、研究の成果、最大化をちゃんと明記するとか。あといろいろ、さまざま。
 ぱっと見ると同じようなことを言っているように見えますが、これは考え方の違いです。では、独法下でこれを行った時に世界最高水準になるのか。イコールフッティングではないですから。イコールフッティングでない状況でそういう手直しをやったとしても、そこは考え方の違いだと思います。世界最高水準の研究開発法人になり得るのか。我々としてはそれは無理だろうと思っています。
 また、調整がつかないとは思っていません。それはぎりぎりまで努力していくということだと思っています。
(問)あと、すみません、ImPACTの件でちょっと1点。事務的なことで恐縮ですけれども、今日いただいた資料3の2、検討状況という、これは有識者議員の先生の資料で、裏にスケジュールがありましたけれども、(案)とありましたが、これは例えば、これで、このスケジュール感で了承したとかいう話は今日は。
(答)いや、別にスケジュールは、了承するとか、していないとかは言っていません。例えば一つの目安として提示したということです。あくまで案です。
(問)では、テーマ候補決定についてですけれども、これはやはり年内にはという方向性は今持っていらっしゃると。
(答)今考えているのは、こういうスケジュール案が一つの流れだろうということです。要は、ここで本当にImPACTが、きちんとNOImPACTにならずに創設できれば、このような流れで進んでいくのではないかと、一つの案として提示したということです。
(問)テレビ朝日の菅原と申します。
 不勉強で恐縮なんですが、課題は、第1ワーキングの中でも、中期目標の件などを全て盛り込まれていると。つまり、課題は解決できてはいるんだけれども、しかし、独法下では無理と今おっしゃったんですが、すみません、そこをちょっと御説明いただけますでしょうか。
(答)課題は全部盛り込まれているといっても、一律な基準をはめられているということは同じでしょうし、独法制度の枠の中で全部。そこがまず大枠として全然違うと思いますよね。例えば、座長見解の中で、法人の長の給与についても、これに柔軟性を持ってやるというように書いてありますが、例えば、日本の一流の研究機関からヘッドハンティングされた例というものを幾つか調べてみたのですが、それはもう相当、(給料の)桁が違うわけですよ、何十倍とかそういう話で。ですから、例えば待遇を提供できる、こういう世界の、世界で一級の研究所とか研究開発法人と競争しなきゃいけないわけです。それを独法の枠組みの中で、柔軟に運営するといっても限界があるわけです。ですから、我々が見ている基準は、もう一回言いますけれども、世界最先端の研究機関です。そこからいくと、独法下では、それ以上、一つは待遇面でいうと、なかなかそれ以上、上にはいけないだろうなというのが一つの例ですよね。
 行革の立場からの見解はよく分かります。第1ワーキンググループの報告書を、今日もまた、昨日もずっと読んでいましたが、本当に独法制度は長らく議論されてきて、いろいろ改善もしてきて、ちょっと見解を見るとこちらの報告書も、中身についてもいろいろ考えた上で書かれていて、非常に論理的だと思います。ただ、もう一回言いますけれども、要は、ポイントは世界最高水準になれるかどうかということで、10年間、(独法制度も)いろいろ改善をしてきたんですけれども、現場の研究者からはやはり悲鳴が上がっているわけです。それを我々は有識者会議でずっと聞いてきたわけです。ですから、今のままの制度だとなかなか難しいだろうと。
 それから、その制度の中で何かを変えたとしても、残念ながら、今日、甘利大臣のコメントにあったように、結局、変わらなかったではないかと、なし崩しになったのではないかと。運用を何か変えるみたいだったが、結局変わらなかったではないかと。こういう状況が続いてきたということは、きちんと踏まえておかなければいけないと思っています。
(問)NHKの小暮です。
 ちょっと研究開発法人、さっきのお話の中で、まさに現場から、橋本先生もおっしゃっていたように、現場から悲鳴が上がっているというお話で、でも、今のままの独法だと、やっぱりいろんな規制があったりと縛りが厳しい中で、仮に独法化して、さっきのお話だと、もし一部しかいかなかった場合に他の、一部だけだった場合ですよ、仮に、他の場合は、要するに現行のままに置かれてしまったら、悲鳴ってそのままになってしまうのかなというのを懸念するんですけれども、その辺はどういう……
(答)そこは、全体の制度をどうしていくかというのは、まず、このストーリーがどう決着するのかということを考えないと制度設計はできませんので、そこは分かりません。とりあえず今はっきりしていることは、目的は世界最高水準の研究開発法人をつくるということであって、それについて全体のバランスを考えるとかいうのは、それから、もう考え方として違うと思います。
 ただ、もう一回言いますけれども、研究開発法人にはそれぞれの役目があって、例えば論文とか外国人の研究者数とか、いろんなブランド力とか、いろいろな基準は、まだ議論していないので、単なる私が今、例として言っているだけですけれども、そのようなもので上位にいかない研究開発法人も、先ほど言ったように、国民生活のためには必要なところもあるから、それはそれでちゃんと評価しなくてはいけないと思います。ただ、今回の目的は、世界最高水準の研究開発法人になり得るところをしっかりと、独法の枠外に置くことも含めて検討しようということです。
(問)すみません、何度も、共同通信の須江ですけれども、念のために確認なんですけれども、先ほど、研究開発法人の話で、調整がつくかつかないか、やってみないと分からないというのは、つまり、行革側が主張しているようなことを何がしか取り入れられないか、検討する余地はあるという意味合いで……
(答)それは、これからいろんな議論をしていくのに、それは言えません。その質問はちょっとだけナンセンスだと思います。ですから、これから議論していくわけだから。今、議論する前に、二つの立場が違うから、どっちかとるしかないと言ったら、もう議論できないですし、そこはぎりぎりまで調整をしてみたいと思いますし、先ほど申し上げたとおり、安倍内閣にとっても私にとっても、大事な、新藤総務大臣と稲田行革担当大臣とはきちっと議論して、納得した結論を得るように努力したいと思います。
(問)科学新聞の中村です。すみません、関連。先ほどのお話とちょっと関連するんですけれども、とりあえず今回は世界最高水準を目指すために新しい制度をつくろうと。
(答)はい。
(問)それで、その枠の中に入らない法人についても、今回行革のほうでもいろいろ案を出しているんで、科学技術担当大臣として、日本の競争力低下しないように、そういう独法の中の柔軟な運営についてもどんどん求めていくというような考え方でいいですか。
(答)それは、今の段階では、全体の制度をどうするのかというのは、どういう方向に行くかということによってシナリオは幾つもありますので、今の段階で、新しい研究開発法人としての可能性を、厳しい基準を通ったところと、そうではなくて残るところがあって、そちらの方をどうするかというのは、まず議論の方向性が決まらないと言えないです。
(問)朝日新聞の西川です。
 別法化したときに野放図にはさせないという、そのためには何らか、それを担保する仕組みというか、それは必要で、これまでにも総合科学技術会議がかむというようなお話をされていましたけれども、その辺のやはり交渉する上で、その辺のもっと詳細な制度設計みたいなのは今検討されていて、向こう側に提示しながらやっていくのか。その辺はどうでしょう。
(答)今回、この問題はどういう流れで進んでいくかというと、まず、多分、年末までに閣議決定するわけです。新しい研究開発法人のあり方について、どうするのか。大きな道筋として、独法下の手直しでやるのか、それとも新しい枠組みでやるのか。この流れをきちっと、どうするかというのを決めるのであって、それを踏まえて、先のいろんな議論があると思います。今言った新しく、例えば独法の枠の外に新しい研究開発法人を創設する場合の制度設計、それはもちろん議論の段階ではいろんな知恵が出ていますし、あると思います。ただ、本当の詳細な制度設計というのは、方向性が大きく決まってから行えばいいと思います。
 ただ、今の段階で言えることは、今言った総合科学技術会議、これをちゃんと絡ませるというのは一つの手段だと思います。それだけではなくて、もうちょっと透明性とか、いろんなものを担保できる仕組みがあるとすれば、いろんな選択肢があると思います。しかし、総合科学技術会議がしっかりとその中核を担うということは一つの考え方だと思います。
(問)科学新聞中村です。ちょっと最後の一つで、今の大きな方向性が決まって、新法人、新しい法人制度をつくるとしたときに、その詳細な制度設計というのはどういうスケジュール感になってくる……
(答)それは状況によります。今から何月までにとか言うのもちょっとおかしいので。当然そこは、もう一回言いますが、新しい研究開発法人が仮にできたとしても、それは野放図にするわけではありません。国民の税金ですから、そこはちゃんと透明性を担保する。無駄遣いがない、きちっとした運営にするという仕組みは当然考えなくてはいけないので、今言ったように、それは今、議論のレベルではいろいろ出ています。総合科学技術会議を中核にするというのも一つの考え方として出ているので、その方向性が決まった時点で詳細を詰めていくということだと思います。ただ、関係各省と議論していく中で、ある程度の方向性はこちらからも示さなくてはいけないと思いますから、大きな流れは出てくるかもしれません。そこ、ポイントですよね。野放図にしないということをきちんと説得しなくてはいけないから。
 最後に、独法制度の枠の外に研究開発法人を置くとか、あるいは新しい研究開発法人を創設するというのは、これは並大抵ではないということは最初から分かっていますから。それは今までずっとできなかったわけですから。だけど、できないことを突き破ってきたのが安倍内閣であって、科学技術イノベーションを成長戦略の中核に置く安倍内閣だからこそ、ここでブレークスルーをあけなくてはいけないと思っています。下村大臣も私も、最初からそんな簡単にできるとは思っておりません。独法制度には独法制度の意義がありますから。先ほど言ったように、エージェンシーをもとにして、民間の効率化の原理を行政に持ち込んだと。それは、定型的な業務については有意なシステムだと、有意義なシステムだと思っていますから。だから、例えば例外をつくるということについても、そんなに簡単ではないということは分かっていますけれども、しかし、もう一回言いますけれども、そういう殻を打ち破っていくのが安倍政権だと思っていますので、ここは初心を貫いて、是非、独法制度の枠にとらわれない新しい制度下の研究開発法人の創設を、下村大臣とスクラムを組んで、最後まで目指していきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございました。

(以上)