山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月12日

(平成25年11月12日(火) 9:11~9:23  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 特に閣議については、御報告を申し上げることはありません。
 今日、午後、第3回「新たな研究開発法人制度創設に関する有識者懇談会」を開催いたします。研究開発関係の独法については、行革推進会議を始め、政府・与党内で議論されていますが、イノベーションを創出する上で最も理想的な制度設計の在り方について総合科学技術で議論するために、9月24日にこの有識者懇談会を、私と文科大臣の合同の懇談会として開催をして、議論を進めています。今月中に報告書を取りまとめて、研究開発成果の最大化を第一目的とした法人運営を可能とする評価の在り方など、具体的な制度設計を提示し、年末にかけて総合科学技術で議論をしていきたいと思います。
 これについては、何度もここで申し上げているとおり、下村大臣と私の考えは、やはり研究開発法人は新しい次元のものをきちんと創設をすると。これがやはり科学技術イノベーションを成長戦略の中心に据えるという安倍内閣の方針だと考えております。これからいろいろ政府内で議論があると思いますが、きちんと議論して決まったら、これはみんなでしっかりその方向に行くということですが、そこまでしっかりと、いろいろな意見があると思いますが、議論を闘わせていきたいと思います。もう一回言いますが、下村大臣と私は新たな研究開発法人を作るべきだと思っていますので。安倍内閣の2人の閣僚が科学技術イノベーションの観点から、そのような意思を持って、それについて最大限努力をしていくということだけは、改めてここで申し上げておきたいと思います。
 さて、今日は簡単にプレゼンを行いたいと思うんですね。
 実は、FIRST(最先端研究開発支援プログラム)の片岡プロジェクトを先般、視察してきました。東京大学なんですが、この片岡プロジェクトの研究拠点を視察し、研究現場、実験も見させていただきました。片岡先生(東京大学大学院片岡一則教授)からいろいろな御説明を聞き、若手研究者とも意見交換を行ってきました。ここはインド、トルコ、台湾、バングラデシュ、フランス等々、本当に世界中から若い優秀な研究者が集まっています。
 この片岡プロジェクトに私、感銘を受けました。一言で言うと、ウイルスサイズのナノマシンなんです。高分子を化学的にコントロールして融合すると、実は、自動会合と言うんですが、球体になるんです。ものすごい小さい球体になるんです。ここに例えば抗がん剤とか、いろいろなものをしっぽみたいに付けることによって、これは本当に小さいナノマシンとしていろいろな機能を果たすというものができると。これを体の中に入れて、体の中に入れると、どんなに小さいものでも、血液とかいろいろな部分が反応しますよね。これは体の中に入っているんですが、認知されない。この状況で、ステルスのように、例えばがん細胞の中までこのナノマシンが入っていって、そこに到達したら効果を発揮するという。昔、1960年代に、これはSFのクラシックとしてはすごく有名ですが、「ミクロの決死圏」というものがありました。人間をすごく小さくして、血管の中に入れて治療をすると。これは一言で言うと「ミクロの決死圏」なんですね。
 相当、今、研究は進んでいまして、例えばナノマシンを入れて、そのままステルスのように体から認識をされずに、ずっとがん細胞の中まで入っていくと。例えば脳腫瘍のような所まで入っていくと。そこに例えば光を当てる。全身投与というのもあると思うんですが、光を当てることによって、そこでナノマシンが活性化するとか、コンセプトとしては非常におもしろい。ナノマシンという、マシンというのがすごくおもしろいなと思って。これこそ医学系と工学系が融合した象徴だと思うんですが、このマシンという考え方は非常に新しいと思います。
 これだけですが、簡単に言うと、ちびっ子トロイの木馬と。ちびっ子どころか、ちびちびちびちびトロイの木馬みたいな、ものすごく小さいトロイの木馬が分子の中に入って、がん細胞の中まで行って、がん細胞の中に取り込まれると、そこでトロイの木馬の中から、お医者さんなのか医療戦略チームなのか兵隊なのかわからないですが、それが出ていって、中からがん細胞をやっつけるという感じで、これは我が国の高度な技術が大きく貢献しているという、例えばナノテクノロジーとかイメージング技術とか、いろいろな技術が融合されているというところがポイントだと思います。
 これは、本当にうまくいけば、革新的な治療法になる可能性があると。数十万人規模のがん患者に適用可能な治療法になるという可能性があると思うんですね。このような革新的技術が新たな市場開拓や我が国の経済成長につながるということで言うと、こういうものをImPACT(革新的研究開発推進プログラム)のようなもので支える体制ができるとおもしろいのではないかなと思って。今、創薬ベンチャー企業も参画して実用化を促進しています。けれども、いろいろ調べてみたら、このような非常に画期的なコンセプトについても、なかなか日本の金融機関はお金を付けないんですね。そのような目利きがなかなかできないという状況の中で、どうやってこのようなものを応援していくか。だから、ImPACTのような仕組みが私は必要ではないかと痛感して帰ってきました。
 最後に、どうして感銘を受けたかというと、科学技術イノベーションのキーを見せられた気がしたんですが、ポイントは異分野融合ですね。これも世界的なトレンドなんですが、科学技術イノベーションを生み出す環境として大事だと書いてあるんですが、要は、ただ専門と国籍の異なる人が集まっても駄目なんです。個人が意識を変えて異分野を学んで吸収していくという、このようなマネジメントができるということが科学技術イノベーションの鍵だということを痛感をいたしました。ということで、ImPACTもなかなか大変だと思いますが、このようなプロジェクトの発掘・育成をImPACTで目指していきたいと思います。
 以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。先程の新しい研究開発法人についてなんですけれども、今は議論は平行線で、両大臣としては新しい制度が必要だと。次の段階として、どの法人を研究開発法人にして、どの法人を違うものにするという、そこら辺の仕分けについて、具体的な仕分けをいつぐらいから始めるのか、あるいは、そこら辺についての考え方をどうするのかというような、そこら辺はどうなっているんでしょうか。
(答)まだその辺の細かい議論はこれからだと思います。とりあえず今、検討会でいろいろな議論をしていますから、これを今月末までにきちんと報告書にまとめると。そして、総合科学技術できちんと議論するという形にしていきたいと思います。行革は行革でおそらく独法改革の議論は行うので、そこにきちんと合わせて我々も発信をしていくということになると思います。何日か前の新聞にトップ研究者に年俸制のような話が出たんですが、これは、新法人の移行について、多分、検討会の議論が記事になったんだと思うんですが、全てオープンに行っているので、例えばいろいろな議論のプロセスは発信されるし記事になると思うんですが、まだこのようなことは決まっていません。先程申し上げたとおり、総合科学技術会議等々でも議論していくと。行革の議論もあるということだと思います。
 もう一回言いますが、下村大臣と私はきちんと研究開発法人の問題についてブレークスルーを作るべきだと思っていますし、もちろん、我々も安倍内閣の閣僚ですから、特に科学技術政策・イノベーションを担う閣僚ですから、その2人がしっかりスクラムを組んでこれを前に進めようということなので、そこは真剣に我々の考えている形になるように努力をしていきたいと思います。徹底的に議論をすればいいんだと思うんですね。その中で政府で決定をしたら、その方向で行くという形でいいのかなと思っています。
(問)新しい法人を作るかどうかというのは、最終的にはどこで決めるんでしょうか。
(答)それはいろいろな形で決まってくるんだと思うんですが、行革会議は、新独法の改革を行うということだと思うんですが、総合科学技術会議でも議論をするわけなので、どこが中心になって決めるという話ではないと思うんですね。政府全体で決めればいいんであって。それはいろいろな部署がいろいろな役割を果たせばいいと思うんです。私と下村大臣は、もう一回言いますが、安倍内閣の閣僚ですから、その2人が強い意志を持ってこのようなことを行いたいと。当然、政府の議論の中に反映されてくることだと思っていますから。それは全体を見て決めていけばいいので、誰か特定の大臣が方向を決めるという問題ではありません。
(問)NHKの高野です。関連ですが、総合科学技術会議に上げる時期は年末ですか、それとも今月末にも1回あると思うんですが。
(答)いろいろ日程が流布されているんですが、まだはっきり最終決定していません。ただ、少なくとも検討会の報告書はおそらく下旬ぐらいまでにまとめることになると思うので、それはきちんと総合科学技術会議で下村大臣と私の方から報告をして、議論をしたいと思います。
(問)今月末の総合科学技術会議に上げることもあり得るということでしょうか。
(答)それは報告書の中身は、もちろんこれは大事なことで、研究開発法人の方向性についての二閣僚の下の検討会の報告書ですから、総合科学技術会議できちんと報告をして、議論をしなければいけないと思います。前々回、前回だったでしょうか、研究開発法人の話が出たので、それは私の方できちんと議論を引き取って、きちんと検討会を行って、もう一回、総合科学技術会議で議論するような流れを作りますと、総合科学技術会議で引き取っています。
 先程申し上げたのは、少し誤解を受けるといけないんですが、もう一回言いますが、それぞれの部署がそれぞれの機能を果たして議論をしていけばいいと思うんですが、とにかく政府内できちんと議論して決めるということです。そこを少し強く言い過ぎたので誤解されると困るんですが、かなりの覚悟できちんと行っていこうと思いますし、もう一回言いますが、成長戦略の中心に科学技術イノベーションを据えたわけですから、研究開発法人も今までのコンセプトで行うということでしたら、それは本当に科学技術イノベーションを成長戦略の中心に据えることになるのかと言われてしまうので、そこはしっかり我々の考え方が届くように努力をしていきたいと思います。いろいろな議論もありますから、大臣によっては違う意見もあると思いますから、そこはきちんと議論をし、調整をして、結論を得ていけばいいと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:634KB)

(以上)