山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月1日

(平成25年11月1日(金) 9:21~9:37  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、特に今日は御報告することはありません。
 最初に沖縄担当大臣として申し上げますが、昨日、重粒子線治療施設の導入の可能性を検討する協議会の中間取りまとめで、西普天間地区を候補地として確か挙げていたと思いますが、この協議会にはもちろん県も入っていると思いますので、この結果は政府としてはしっかり受け止めたいと思っています。仮に、一括交付金の要請が出てきた場合には、前向きに対応を検討したいということを一言申し上げておきたいと思います。
 今日は、昨今、OECD(経済協力開発機構)とかITU(国際電気通信連合)とか、あるいはUNICEF(国際連合児童基金)とか国連開発計画(UNDP)とか、いろいろな国際機関等々がランキングを発表しているんですが、これについて日本がいかに損しているかということを少し御説明させていただきたいと思います。
 私は、IT担当大臣なので、世界経済フォーラムのICT競争力ランキングを例にとってシンプルなプレゼンをさせていただきたいと思います。
 世界経済フォーラムですが、これは皆さん御存じのとおり、スイスで毎年開催されるダボス会議、これが中心的な活動なんですが、スイスの経済人シュワブ現会長が創設したスイスに本部を置く非営利団体ということで、年次総会(ダボス会議)、ニュー・チャンピオン年次総会(サマーダボス会議)があり、国家元首、大臣、企業のトップ、メディアの代表、学術機関のリーダー等々、2,500名以上が参加して、世界が直面する非常に重大なタイムリーな問題について議論する場になっています。
 ニュー・チャンピオン年次総会、9月11日から12日まで参加したと書いてありますが、ダボスの他にサマーダボスを中国で行っていまして、天津と大連で交互に行っているんですが、9月11日から12日までのサマーダボスには私も参加してまいりました。
 これは、ビッグデータについてのディベートに参加して、こちらは中国の北京大学の気鋭の若手助教授なんですが、ビッグデータをめぐるディベートを行っていまして、我々のチームが勝ち、私も熱弁を奮ってきました。
 この世界経済フォーラムが2013年に発表した世界ICT競争力ランキング、2013年度版、4月発表なんですが、これによると日本は、2012年には18位だったのが、2013年は21位、三つ落ちたということなんです。
 これを見ると大体上位は常に北欧系が占めています。例えば2013年度版で言うと、フィンランドが1位、シンガポールが2位、3位スウェーデン、4位オランダ、5位ノルウェーということになっています。
 ランキングのこの構成が非常に問題です。これは遠藤政府CIO(内閣情報通信政策監)がチェックして発見したんですが、ランキングの構成に注目していただきたいんですが、この世界経済フォーラムのICTランキングの調査項目54項目あるんです。54項目のうちの半分の27は、各国の国内への経営者100人へのアンケートなんです。残りの27項目が各種統計指標を参照しているということで、各地の統計指標というのは、例えば先程言ったITU、ワールドバンク(世界銀行)とか、あるいはユネスコ(国際連合教育科学文化機関)とかUNDP、OECDとかこういうところの統計指標データなんですが、その半分はここに書いてあるとおり、27項目は経営者のアンケートになっていまして、これは経営者が自社及び自国について7段階で自己評価しているんです。
 ここが問題なんですが、経営者アンケートのランキングの影響ということで、この経営者アンケートの自己評価が7段階で5.0です。その他の客観的な統計指標は5.59あるということで、完全に全体のスコアを引き下げているということです。
 実は分野ごとの経営者アンケートの割合を見ると、これが日本の競争力スコアなんですが、例えば規制制度とか社会的効果というところがすごく低いんです。これは非常に低い評価なんですが、この青で書いたのが100人の日本の経営者の自己評価、アンケートなんです。立法機関としての国会の役割、54位ですから。いかに国内の経営者が日本の立法機関についてネガティブな意見を持っているか、厳しい意見を持っているか。相当下、54位です。ICTに関する法律についても42位、ビジネススクールの品質は80位です。
 以前、ここでも少し申し上げましたが、アフリカのガンビア、もちろんガンビアも素晴らしい国ですが、ガンビアのビジネススクールの品質は30何位かなんです。いくらなんでも日本が80位ということはないだろうと思うんですが、しかもこの項目(規制/制度)について、自己評価の割合が67%もあるんです。更に社会的効果についてもかなり低い、5.1です。これもICTによる組織モデルの形成、50位。学校でのインターネットアクセス、43位。つまり国内の経営者がイメージしている日本の学校へのインターネットアクセスは非常によくないというアンケートの結果が出ているので、このような数字になっています。政府サービスも58位、これは63%が実は経営者アンケートで決まっているということです。
 アクセス環境とか利用状況、比較的良いものを見てください。客観評価だと思いますが、通信市場の競争自由化、1位。ブロードバンドの月額使用料が21位ということで、利用状況、これは経営者の方々の自己評価なんですが、ビジネスにおけるインターネット利用は7位。企業のICT吸収力は4位。民間のイノベーションは1位。つまり自分たちの活動についてはかなり評価が高くて、立法機関とかあるいはインターネットの学校でのアクセス、組織モデル、このようなものはすごく低いんです。
 次(ビジネススクールの品質)を見ていただくと、先程言いました、我が国の順位80位です。これしかないのに半分以下になっているということです。先程申し上げたとおり、アフリカの国、もちろんみんな素晴らしい国ですが、いくらなんでも日本のビジネススクールよりも質の高い学校はないだろうというところがすごく低くなっているということです。
 学校におけるインターネットアクセス、43位です。これは経営者アンケートによるランキングなので、100人の経営者の方々の印象、自己評価で決まっているんです。ところが、現実はどうかというと、これは文部科学省のデータですが、なにしろ99%なんです。高速インターネットが実はもう99%普及しているということで、実は全然経営者の方々の認識とかい離しているんです 。公立学校の99%は実は高速インターネットに接続しているのに、経営者アンケートによるランキングが43位になっているということなんです。
 もう一つ、経営者アンケートのランキングを見た図なんですが、縦軸が客観評価による順位、これが先程言ったようなOECDとか国連とか、あるいは世界銀行とかITUとかから出てくるいろいろな具体的なデータです。これで見ると、日本は結構このように高いんです。
 例えば、ドイツとかUKとほとんど並んでいる。ICTランキングでいつも上位を占めるノルウェーとかその辺と全然変わらない。UKとも変わらないということなんです。ところが、この経営者アンケートを見ると、最低なんです。一番こちら(左側)にあるということは、つまり最低なんです。主要30カ国の中では最低のランクになっている。これはどういうことかというと、日本人の謙虚さとか慎み深さという国民性が影響しているのかもしれませんが、時とするとやや自虐的なぐらい、国の仕組みとかについての意識がすごく経営者の方々の間では低いということがわかるんです。
 イメージは自己実現していきますので、経営者アンケートで過小に評価されている項目というのは、これは少し変えていかなければいけない。嘘をつく必要はないんですが、他の国に比べて、進んでいるところもものすごく低く評価しているということは、きちんと経済界にわかってもらわなければいけないということで、以前、経団連の方々と山本内閣府特命担当大臣との意見交換というものがあって、科学技術から海洋、宇宙、いろいろな分野についてそれぞれの委員会の委員長に出てきていただいて、懇談を行いましたが、そのような場所でこの話を是非披露していきたいと思います。
 経営者の方々の意識が変わるだけで、まず正確な事実をつかんでもらうということと、それから他の国に比べてあまりにも自己評価が低いというこの二つのことをわかってもらうだけで、おそらくランキングは相当上がっていくと思っています。
 これも遠藤CIOが、電子政府のランキングで国連にクレームをつけたんですが、随分不正確なデータが多いんです。これについてもしっかりランキングが出る度に働きかけていきたいと思っています。
 今後に向けた取組ということで、「IT咸臨丸プロジェクト」というものを行いました。シリコンバレーに行ってきたんですが、これは国会が終わった後、12月、1月、いつになるかわかりませんが、更に続けていきたいと思います。この「IT咸臨丸プロジェクト」を通じて、世界最先端IT国家を作っていきたいのですが、その前に、日本としてしっかりと事実を認識して、内外発信を行っていきたいということで、小さなトピックスですが、今日はこれを取り上げさせていただきました。
 何か御質問があれば全般についてお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)ICTに関して企業経営者の認識が低いということですけれども、認識の低さというのは、国会の情報システムにしても随分進んできている。一方で、国会で議論されていることは、例えばITについての具体的な議論はないとか、そうすると悪い方の印象ばかり目についてしまうとか、何か政府の側にも何らかの課題があるのではないかと、印象なんですけれども、思うんですけれども、そこら辺についてはどうですか。
(答)まず、例えば学校へのインターネットのアクセスもそうなんですが、正確な事実をきちんと経営者の方々につかんでもらうということは大事だと思います。ランキングの項目、もし経済界の方々と意見交換できることがあったら、ランキングの項目をきちんと持っていって説明しようと思います。特に、学校のインターネットアクセスはおそらく世界最高レベルでしょう。他のランキングの項目も少し示しながら、いかに自己評価ではあるが、各国と違うかと。日本よりもいろいろな意味で、下位にある国の経営者の人たちがいかにポジティブな答えをしているかということも含めて少し説明したいと思います。特に事実関係、先程の、これはきちんとわかっていただかなければいけないと思います。
 それと同時に、中村さん(記者)がおっしゃったように、経営者の方々が持っているいろいろなイメージ、ICT政策について、それはしっかり我々も吸収して対応しなければいけないと思います。
(問)時事通信の浅見です。ちょっと話題が変わるんですけれども、先ほど閣議の後に総理の執務室に入られていたと思うんですけれども、おっしゃられる範囲でどういう話題だったのか。
(答)そんなに長い時間ではなかったんですが、全般についてお話をしました。今の私の持っている分野、そんな細かな具体的な話はないんです。
(問)特にその中でも総理に訴えたかったことはあるんですか。
(答)総理に訴えたかったことというか、全体の雰囲気について少しお話をしました。政策をめぐる雰囲気全般について、すみません、この曖昧模糊(あいまいもこ)の言い方で。
(問)NHKの高野です。関連ですが、何担当大臣として行かれたんですか。
(答)官邸でも聞かれたんですが、難しいので、何担当大臣として、国務大臣としてかな。
(問)沖縄の話は何か。
(答)沖縄の話はしませんでした。すみません。定番の答えで。
 ありがとうございました。

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(以上)