山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月25日

(平成25年10月25日(金) 10:01~10:36  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日、閣議については特に御報告することはありません。
 今日から少しスタイルを変えて、こちらの方からいろいろと発信していきたいと思うんですが、昨日、参議院の予算委員会で山谷えり子議員の方から、領土問題と、それから海洋政策について質問をいただきました。全体の審議時間を少し短くしなければいけなかったので、なかなか十二分に答弁できなくて残念だったんですが、今日、新聞各紙に少し出ていたんですが、外務省がホームページ上に掲載した尖閣諸島をめぐる問題と竹島をめぐる韓国との領土問題のフライヤーと、それから動画、これは実は、領土・主権対策企画調整室もしっかりとスタッフが加わって議論をしていまして、実は動画も私、チェックしましたし、フライヤーについては、どこにどう注文をつけたということは申し上げませんが、しっかりフライヤーの中身についてもいろいろと注文をつけて反映をされています。これはここでも何度かプレゼンしましたが、私の下に設けた「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」の報告書の中身を受けて出てきたフォローアップの流れだと考えております。
 当初、12カ国語で翻訳するというふうに言っていたんですけれども、いろいろと議論をして、日本語を含めて動画、フライヤー、11カ国語で発信をするということになりましたので、御報告をしておきたいと思います。
 今日、簡潔に二つのことについて、プレゼンをさせていただこうと思っています。これから少し、タイムリーなテーマが出てきたら、動画とか、このプロジェクターの中身も進化させながら発信をしていきたいと思うんですが、今日は、二つ行いたいと思うんですね。一つは職務発明制度。これは、多分来年ぐらいから大きく議論になってくると思うんです。科学技術イノベーションを成長戦略の一環として、柱として位置付けたという中で、経済界からの特に強い要望がある話なんですが、この職務発明制度の抜本的な見直しと、もう一つは、今、政府CIO(内閣情報通信政策監)が新たに法的に位置付けられて、今、遠藤CIOと、それから私の大事な、全部大事なんですけれども、IT戦略本部のスタッフの人たちが、いかに今の予算編成のプロセスで頑張っているかということをお伝えをしたいと思います。
 最初に職務発明制度の話をしたいと思います。
 知的財産政策ビジョン、今年の6月にまとめました。今後の10年間を展望して世界最高水準の知財立国を実現することを目標に掲げたビジョン、これは今まではずっと知的財産戦略本部の本部決定だったんですね。担当大臣の強い強い意向で、知財ビジョンのエッセンスを基本方針として閣議決定しました。一段格上げをしたということを思い出していただきたいと思うんです。
 このビジョンで、確か私の記憶では200ぐらいの施策を並べているんですが、特に主なものは、産業界から強い要望が寄せられていた職務発明、営業秘密保護等について、この制度の抜本的見直し。それから、これも一つの大きな目玉ですが、任期付審査官の維持・確保。特許庁のですね。それから、これは後で触れますが、特許料の大幅な引下げ、あるいは放送コンテンツの海外展開、こういうことがビジョンの中の主な施策だったということを思い出していただきたいと思います。
 この知財ビジョン、書いただけではしようがないので、これをしっかり実現していかなければいけない、PDCAサイクルを回さないといけないということで、今日、どこかにこれも出ていたかもしれませんが、検証・評価・企画委員会を設置することにしました。これは今日、知財戦略本部で決定ということですが、これは持回りで行わせていただこうと思っています。
 まず、この評価委員会のメンバーは今人選中なんですが、知財戦略本部の有識者本部員10人ぐらいは、参加をしてもらい、加えて各界からメンバーを集めたいと思います。第1回目は11月5日に計画をしています。
 その中で今日のテーマなんですが、本年8月に、今の知財ビジョンの中にも含まれていましたが、職務発明制度の見直しについて、これも私の強い希望を受けて、「イノベーション推進のための知財政策に関する検討ワーキンググループ」、職務発明制度に係るワーキンググループなんですが、これを作りました。これまで3回行いました。各界から一流の研究者とかCEOの有識者を呼んで非公開で行わせていただいているんですが、中身はかなり激しく議論をしていまして、今、政務三役と、それから知財本部有識者本部員の方々にも参加をしていただいて、先程申し上げた著名な有識者を呼んで行っています。今日は、私の所感も含めた概要を皆さんにお配りをしていると思います。
 それで、今まで話を聞いたゲストスピーカーは、科学技術政策担当大臣という強みを生かして、それぞれ本当にすばらしい方なんですが、例えば長我部さん(長我部信行日立製作所中央研究所所長)とかですね、これは企業研究者として本当に一流の方ですが、島津製作所のノーベル賞受賞者の田中耕一所長、この方も本当にノーベル賞候補だと思いますが、東工大の細野先生(細野秀雄東京工業大学応用セラミックス研究所教授)、こういう方々を呼んで、今議論をしています。政府の会議としては珍しく、本当に熱い議論になっているので、このワーキンググループ、本当に立ててよかったなと思っています。
 この議論を行ってきて、来年ぐらいから本当に職務発明制度の話は知財では話題になってくると思うので、少し御説明したいと思うんですが、いくつか感じたポイントがあるんですね。
 一つは、どういう制度にするにしても、例えば今の発明者帰属というものを企業・法人の帰属にするにしても、やはり研究者のインセンティブというものをきちんと確保しなければいけない。これは大前提だと思います。それで、研究者の方々もいろいろな意見があると思うんですね。ものすごい報酬をもらえるということがインセンティブだという人もいるかもしれませんが、研究者のインセンティブは、処遇というか、研究の自由度、予算、研究開発環境を向上させることが、決定的に重要だということを言っている人が多いです。
 これに対して企業の側は、後で触れますが、いわゆる対価請求権というものが発明についてあろうとなかろうと、発明者のインセンティブを高めるのは大事なので、企業としてはできるだけいろいろなことをやりますよと、こういう話をしています。もう一度言いますが、制度設計の検討の前提としては、産業界がどのような対策を、インセンティブをしっかり確保するために打ち出すのかという具体的な知恵が必要だと。これを示すことが大事だということが一つわかりました。
 ポイントその2なんですが、これもいろいろ意見が分かれたんですが、産業界と企業研究者の意見、一流の方々からお話を聞いてきたんですが、この人たちは、発明、例えばイノベーションに結びついて、それが何か死の谷を越えて、ダーウィンの海を泳ぎ切って、大ヒットになって企業にものすごい収益をもたらすような、そういう発明の源泉はチームの強みだと。同じ給料をもらっていて、いろいろな部署の人たちが努力をした結果、発明に結びついているので、これはチームの強みだという意見が多かったんですが、大学の研究者の意見、例えば細野先生がおっしゃっていたんですが、発明の源泉は、スーパー研究者などの属人的な能力だと。だから、本当に科学技術イノベーションを生み出すような1%の研究には資源を投入して、例外的にスーパー研究者はきちんと処遇してほしいという話がありました。
 一言で言うと、やはり柔軟な制度設計が必要だと。企業と大学というのは環境が違いますから、資金も違う、スタッフもサポートの環境も違うということなので、これは分けて考える方がいいのか、あるいは共通の部分もあるから、その辺をどうするのか。あるいは、法人帰属として、しかし例外を容認するとか、もしかしたらそういう仕組み立てでもいいのかという、このような議論がありました。
 もう一つ、元々この職務発明制度のワーキンググループを立ち上げた時の問題意識は、大体経済界の人たちは何を言うかというと、やはり今の制度だと、いわゆる対価請求権があって、対価についての予見可能性が低いので、これでは、例えば海外の研究拠点のようなものが、「いや、こういう何か不確実な制度では外に出て行ってしまいます。みんな海外に行ってしまいます。来てくれません。」という話が一つありました。もう一つは、主に研究者のサイドからだと思うんですが、もし今の発明者帰属というものを法人帰属にしたら、優秀な研究者はみんな海外に逃げてしまうのではないかという、大体このような2つの話がありましたが、どうもファクトとしてきちんと検証されていない部分があるので、これは一つの具体的な成果だと思うんですが、客観的なデータを示してもらいたいということで、こちらの方から強く要望して、特許庁に対して大規模なアンケート調査を行ってもらうことになりました。
 できるだけ偏りのない方法で行ってもらうということで、今までいろいろ何か調査があるんですが、例えば、外国の製薬企業がこう言ったとか、この研究者がこう言ったとかではなくて、1.4万人の研究者に、研究者にとって何がインセンティブかという、アンケート調査を行ってもらいます。企業も2,000社選んでもらって、職務発明制度の運用実態について、これは聞くということで、ただ、偏りを防ぐために、研究者だったら例えば分野とか、あるいは年齢とかをきちんと分けるとか、企業だったら資本金の規模、中小企業なのか大企業なのかとか、そういうところをしっかり分けて、緻密に調査をしたいと思います。
 今後の議論ですね。まだこれは、問題になっていませんが、もし特許法の改正が話題に上ったときに、これから今の3点を踏まえて、まず一つは法人帰属なのか、発明者帰属なのかという問題が一つあります。もう一つは対価請求権というものですよね。発明に対する対価請求権の扱いをどうするのかということがポイントになると思うんですね。そうすると、法改正だとどのような形になるのかなと考えてみたら、おそらくそのような議論に来年ぐらいに本格的になってきた時に出てくると思うんですが。三つぐらいの流れかなと。
 一つは、法人帰属、会社が持っていて対価請求権がない。これはスイスですが、これが今、日本の産業界の主張なんですね。これだと、明らかに対価に関する予見可能性はすごく高まる。でも、これを行うと、おそらく研究者のインセンティブを削がれるような議論が出てきて、何か研究者の処遇を下げるようなイメージになりますから、これは相当研究者のインセンティブを高めるメニューを企業側から出してもらわないといけないということになると思います。
 それから、法人帰属で対価請求権があるというイギリス、フランス。これだと予見可能性というか、研究者のインセンティブというものは法的に担保されますが、スイスに比べると、やはり対価請求についての予見可能性は下がるだろう。
 これはアメリカ。このようにしたらどうかという議論も結構出ました、ワーキンググループで。これは発明者帰属で契約に委ねる、もう自由にやってもらうと。これはいいと思うんですが、やはりアメリカのような契約社会と日本は違うという議論もあって、特に中小企業で本当にそのような適切な契約が結べるかという議論もあります。
 それぞれメリット、デメリットがあって、参考に言うと、今は発明者帰属で対価請求権ありというのが日本とドイツと韓国なんですが、少し日本の社会の状況とか企業の文化とかをよく考えながら、どうやって発明者のインセンティブを確保するかということも踏まえて検討していかなければいけないと。
 今3回行いましたが、これで一旦閉じますが、必要があればまた行えばいいと思うんですが、これは特許庁の方に申し入れてありますので、特許庁で更に議論を重ねてもらって、更に背中を押す場合もあると思うんですが、案をまとめて、できれば来年の臨時国会辺りに出したいと思うんですが、それが無理なら再来年の通常国会とか、少し具体的な法改正を頭に入れながら進めていくべきだと思っています。
 最後に、今回、産業競争力強化法案に入りました。これは知財ビジョンで一生懸命言っていることなので、ある程度反映されたと思っているんですが、特許料の減免措置。一言で言うと、これが通れば、中小企業、ベンチャーは大体特許申請について大企業の3分の1ぐらいになるだろうと、こういうことです。
 いかに政府CIOが頑張っているかということを是非アピールしたいと思うので、いいですか。
 2020年までに世界最高水準のIT利活用を実現するという、このIT創造宣言(世界最先端IT国家創造宣言)、閣議決定しました。6月でした。2020年って、昨日、片山さん(片山さつき参議院議員)からの質問(参・予算委)も出たんですが、東京オリンピック・パラリンピックの年と同じなので、そこに向けて結構いろいろなコラボができると思っています。
 それで、この国家宣言を実現してくために、各省の役割分担・目標等を具体化する工程表を作ると、こういう分野ですね。その工程表をしっかり作って、これに沿って今、各省に施策を検討してもらっているという、そういうことをCIOを中心に促しているんですね。更にポイントは、各省の工程表関連の予算について連携を促すということです、省庁横断の横串を通すと。 
 つまり、来年度の予算要求の中で今一生懸命連携施策の横串を通しているということです。
 それで、戦略的予算重点方針というものをCIOが行うということは法律に書きました。言うことを聞かなかったら総理に言いつけるという強力な権限。これは勧告権ももちろん入れたんですが、その重点方針は、工程表の目標達成に必要だと、迅速かつ明確な目標とか重複排除、これを超えた連携強化が図られているというものです。
 これに基づいて今、CIOの方から各省庁に対して、概算要求に際していろいろ、工程表に載っている関連の施策を出してくださいと。なおかつ連携の施策も出してくださいということで要請をしていまして、概算要求前の検討段階からもう誘導しているということと、それから、施策の提出を求めているということは言いましたが、既に10省庁以上集めてヒアリングを行っているんです。ここでも言いましたが、今までにないことだと思います。
 それで、二つ調整のメカニズムがあって、一つは早期調整型といって、はりきって省庁が率先して調整する、これとこれの連携プログラムを調整しようという動きが一つあって、連携施策の提出に向けて早期に調整をするということ、これが一つのパターンとして出てきていました。
 もう一つは、関係省庁10省庁以上集めてヒアリングを行いながらいろいろ共有していくという中で、これをCIOに共有して調整を促進して連携へのプログラムを作っている。この二つのやり方で今、かなり調整が進んでいるということを御報告したいと思います。
 それで、調整結果です。どこかの新聞に載っていたような気がしますが、うれしかったんですが、日経ですかね。今、CIOによる概算要求に向けての調整結果なんですが、工程表関連の施策を出してくださいと言いましたら160出てきました。いろいろ調整した結果、148に絞りました。では、この連携はどうかというと、この中で連携も調べなさいと言ったら、最初は34だったんですね。これが倍以上に77になって、21施策群として大括り化をした。一言で言うと各省連携がより強化されて明確化されたということを意味しています。
 それで、分野ごとの連携施策というものを二つだけ紹介したいと思います。
 AI農業。これは早期調整型。CIOの権限におののいているわけではないんですが、権限を持ったCIOが来るなということで、自発的に早期に行っていただいた例なんですが、これが農水省と総務省ですね。つまり、農水省はフィールドを設定する。作物、このようなフィールドを設定して、このようなものを選んでいく。総務省の方は、いろいろセンサーとか、ICTの技術を使って、これをしっかり分析するということで、一応両省庁の強みを合体させたということですね。ここに書いてありますが、例えば作物の育成の状況とか、あるいはここにあります、ベテランの篤農家なんですが、例えば、ビニールハウスに入ってどこを見るかとかセンサーで、最初にどこを見るかのようなものを一応分析するんですね。そうすると大体、農業って経験とか勘に基づいてノウハウがあって、すごく伝承するのに時間がかかるんですが、これを、やはりこのようなデータを組み合わせることによって、早く後継者に技術を伝承するということで農業の競争力を高めようということで、二つの省庁の強みを結び付けてこのような施策ができたと。早期調整型の例です。
 もう一つ紹介したいと思います。
 これは分野ごとの連携施策で、ヒアリング調整型。たくさん省庁を集めて行いました。オープンデータ、これはIT政策担当大臣としても大きなテーマですが、内閣官房を中心に、総務省、経産省、国土交通省が連携したということで、まず各府省が整備した公開データとか地理空間情報、新藤総務大臣が一生懸命行っていたG(地理)空間情報というものですが、このようなものをある程度標準化し、統一化して、これをプラットフォームに集めるんです。これは二次利用しやすい形で、データカタログサイト、試行例、試行版がそろそろできると思うんですが、これでまず集めると。それから、今度はこれを、検索しやすい形で、二次利用しやすい形で公開するということで、これをもって、新しいビジネスとか新サービスを企業に創出してもらうという流れを作ると。ここで登録データ、いろいろ活用の方法が出てくると、実証事業として、これをデータ整備にフィードバックすると、このような連携例も出てきています。これはヒアリング調整型です。
 ということで、この工程表該当施策については、これからもしっかり政府CIOを中心に進捗管理を行うということで、PDCAサイクルの確立というのが非常にやはりポイントではないかということですね。IT政策担当大臣として、引き続き政府CIOを全力でバックアップしていきたいと思います。
 ということで、二つも行う予定はなかったんですが、1個で普通エネルギー切れるんですが、二つ一遍に行いました。
 来週は領土の話か、あるいはもう一つIT分野に関する、OECDを含めた、いろいろ国際的なランキングで非常におかしな点があるので、これは是非聞いていただきたいと思うので、もう少し動画というかプロジェクターを進化させて、これも力を入れて、行いたいと思います。
 それからあと一つ、昨日、沖縄について、跡地利用推進協議会、2回目を行いました。県側の強い要望もあったんですが、1回目からいろんな展開があったということもあって、昨日行いました。一番大きな点は、正規のメンバーとして、沖縄担当大臣が主宰するわけですが、外務大臣と防衛大臣にも正規のメンバーになっていただきました。跡地利用に関する市町村の方々、全員参加していましたが、知事も含めて参加をしていただいて、いろいろな意見交換をさせていただきました。小野寺大臣の方から、返還の交渉をしっかり行うというお話もいただきましたし、外務大臣からは、いわゆる返還予定地の立ち入りのことについて、前向きな回答もいただいて、いろいろな質問とか意見が出ましたが、やはり3人いると大体いろいろなことについてカバーできるということで、かなり前向きな、よい雰囲気だったと思います。3回目についても、事務方とも相談しながら、中身も含めて決めていきたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。職務発明制度なんですけれども、これ、今後は特許庁が主体となって検討していくと。
 まず一つは、特許庁に要請したアンケートなんですけれども、いつぐらいまでに。
(答)これは、もう多分準備に着手していると思うので、できるだけ早くお願いしたいと思います。年末ぐらいまでには出てくると思います。これは初めてのアンケートだと思うんですね。
(問)あとは、スイス型とか、いろんなタイプが法制化する場合にはあると思うんですけれども、山本大臣としては、今回ヒアリングを通じて、どういうタイプが日本に合っているんだと思いましたか。
(答)いや、これはなかなか一言では言えませんね。ただ、私は、まず前提にしているのは、知財ビジョンの中に担当大臣の相当強い意思として盛り込んだ一節があって、職務発明制度については、法人帰属とか、あるいは、雇用者とそれから使用者の自由な、例えば契約に委ねるとか、そのようなことも含めて産業競争力の強化につながる方策を実施するようなことを書いてあるので、やはりラインは崩さないでいきたいと思いますね。それは別に経済界だけの話をうのみにするわけでもないし、研究者が今言われている意見をそのままとるわけでもないし、バランスよく組み合わせて考えなければいけないと思うんですが、基本は、安倍内閣の哲学である、産業競争力の強化につながる仕組みにしたいと思います。
 それはしかし、発明者のインセンティブを何かないがしろにするということではないです。発明者のインセンティブもきちんと確保しないと、競争力につながらないと思います。
(問)大学と企業で随分状況が違うと。それについて、分けた方がいいというふうに考えていますか。
(答)それは、共通の部分もあるので難しいんですが、やはりある程度柔軟に対応した方がよいと思うんですよね。大学の研究者と企業の研究者は違いますよね。企業の研究者は皆、例えば同じ給料を会社からもらって、それぞれの分野で協力して発明を生み出しているという意識はすごく強いし、大学の研究者はまたいろいろ、その研究者の方によっても意見は違うと思いますが、例えばスーパー研究者だったら、やはりこれは属人性だと言う方も多いので、少しそこは柔軟に考えた方がいいのかなという気はしています。
(問)フジテレビの鹿嶋です。冒頭に説明がありました領土に関する動画の件ですが、当然のごとくというか、中韓から、この動画を削除せよなどというような反発・批判が出ていますけれども、こういったことをどのように受け止めるかということと、北方領土に関しては、あの動画、直接的には外務省になるのかもしれませんが、動画はどのぐらいのめどで作成される予定なのかということ、その問題意識です。
(答)まず、他の国からの反応については、いちいちコメントするのは控えたいと思いますが、この動画を作る、フライヤーを作る、これは遅過ぎたぐらいだと思うんですね。現時点までなかったというのが非常に不思議なぐらいだと思うので、これはやはり日本の主張として、明らかに日本の領土ですから、それはきちんと発信をしていくということについて、どこからか何かいろいろと言われる理由はないのではないかと。これは堂々と日本政府としてやるべきことをやっていけばいいのではないかと思いますので、この動画とフライヤーはあちこちでPRして、できるだけ多くの方々に見ていただくようにしたいと思います。
 北方領土については、今のところ、どういう予定になっているか分かりませんが、何らかの形で、動画なのか、フライヤーなのか、分かりませんが、やはり国内啓発、対外発信の方法を考えていくということになると思います。
(問)別件で、すみません。今日、閣議決定されたと思いますが、特定秘密保護法が閣議決定されたことについての受け止めをお聞きしたいんですけれども。午後にはNSCの関連法案(安全保障設置法改正法案)も審議入りするということで、閣僚のお一人として、この秘密保護法ですが、特に、どのような意義を感じていらっしゃるのか、その辺。必ずしも国民的な理解という点ではまだまだ十分ではない点もあろうと思いますけれども、その辺も踏まえて。
(答)担当の閣僚ではないので一般的に言いますが、内閣の一員として、やはりNSCの設置は必要だと思っています。それに伴って、やはり秘密保護法も制定していかなければいけないと。ですから、丁寧に国民の方々の理解を得るように説明をしていくということではないかなと。あとは、自分の所掌ではないので、これ以上は控えたいと思いますが、もちろん安倍内閣の方針を全面的に後押しをしたいと思います。
(問)日刊工業新聞の小川と申します。先週も同じ質問をさせていただきましたけれども、原子力委員会見直しで、昨日の委員会で基本方針が正式に了承されて、原子力政策大綱の廃止などを含めた方向性が決まりましたけれども、それについての御感想と、あと、原子力委員会の見直し、もしくは後継組織が機能するためには、担当大臣もしくは事務局の機能の役割というのが非常に重要という指摘はありましたけれども、それについての御感想は。
(答)まず、第7回ですかね、有識者会議で決まったというか、おおむね方向性として了解されたということだと思うんですが、一つは、原子力大綱の廃止の話と、いわゆる形骸化している事務というのは、整理しましょうということと、原子力の平和利用と放射性廃棄物についての取組というのは、非常に重要だということだと思うんですが、今おっしゃった後半の機能の部分は、これからきちんとまた議論していかなければいけないと思います。
 これも有識者会議、独立した有識者会議のいろいろな議論があるので、あまり担当大臣として踏み込んだことを言うのは控えたいと思いますが、原子力委員会は抜本的に見直していくべきだと思います。現実的に、どう機能するかということもよく考えて検討していく必要があるのかなと思います。
 とにかくできるだけ早く中身をまとめて、遅くても来年の通常国会、できれば。いろいろな議論が出ているので、厳しいところもありますけれども、やはりこの臨時国会で法案提出できるように、最後まで努力したいと思いますが、それが間に合わなければ来年の通常国会ということになると思いますが、できるだけ早く取りまとめて、方向性を出す努力をしたいと思います。
(問)IT関連なんですけれども、今回、予算はまとめられたのですけれども、結局、イノベーションを実現するためには、予算だけじゃなくて、周辺の法制度ですとか、あともう一つは調達があると思うんですけれども、今の政府調達のやり方だと、もう一律にやっちゃって、必ずしも政府の方で発明したものと調達とが連動していないというのがあるんですけれども、そこら辺についてはどのようにお考えでしょう。
(答)そういうことも、全体を含めて、これから議論していくということですね。例えばイノベーション環境を作るということで言えば制度で。どこかでまたこれも力を入れてプレゼンを行いたいと思いますが、研究開発法人の改革も必要だし、できるところから手を付けていくということだと思います。
(問)日経新聞の白岩です。領土動画の関連なんですけれども、今回、尖閣と竹島の2本を同時に、フライヤーと動画と同時に発表されたと思うんですけれども、これを同時に行ったというのには何か意図があるんでしょうか。
 というのは、一応尖閣については領土問題は存在しないという立場を持っていることで、少しスタンスが違うと思うんですが、それを同時に発表することで同じ扱いにしているというようなイメージを与えてしまうのではないかと。日本政府の立場として。
(答)同時に発表したからといって同じスタンスだと誤解されるとは思っていません。何度も言いますが、尖閣には領土問題ありません。尖閣諸島をめぐる問題について、日本の立場をしっかり発信すると。領土問題はないんですが、やはり日本に、100%事実である、日本の領土であるというところに異議を唱えている向きもありますから、それについてはある程度いろいろな対応をしていかなければいけないということだと思いますので。それがたまたま、竹島をめぐる領土問題と一緒に動画とフライヤーを発表したことで、この二つが一緒になるということはないと思っています。
 さっきも申し上げたとおり、いろいろな事情もあったのかもしれませんが、もっと早く行ってもよかったと思いますし、これを契機に、やはり私、領土担当大臣ですから、このような内外発信、更に積極的に加速させていきたいと思います。
 
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:482KB)

(以上)