山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月8日

(平成25年10月8日(火) 10:47~11:07  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日閣議後の懇談会の方で宇宙開発利用大賞の受賞者が決定したということを報告をいたしました。閣議について御報告することはそれだけです。
 今日のプレゼンをさせていただきたいと思うのですが、STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)、第10回の国際科学技術関係大臣会合について、簡単に報告をさせてもらいたいと思います。
 これは、STSフォーラムと同じく毎回行われていて、今回で10回目ということで、今年は27カ国の科学技術担当大臣、何人かは大統領あるいは首相の科学技術顧問ですが、かなりいろいろな国からそうそうたる方々が集まりました。残念だったのは、大統領顧問のアメリカのホルドレン補佐官が来れなかったんですが、その理由は皆さんに説明する必要もないと思いますが、実は5月の日米の科学技術関係閣僚の会合で会った時に、是非STSフォーラムに来たいとおっしゃっていたので、少し残念でした。
 このようなメンバーで、テーマは「グローバル化する世界における人を通じた知識共有の拡大」ということで議論させていただきました。
 27カ国と書いてありますが、スペインとかイギリスとかフランスとかアイルランドとか、この人はポーランドの方なんですが、かなり活発な議論が行われました。
 STSフォーラムに大臣主催昼食会があって、ここで実はクールジャパンということで、「キャプテンハーロック」と4Kテレビを紹介したんですね。この大臣会合は27人の各国の科学技術担当大臣が来られていたので、あらゆる機会を通じてこの日本を安倍内閣のメンバーが発信していくということはすごく大事だと思うんです。京都のことを京都でやってもしようがないと思い、オリンピックのことにしようかどうかと迷ったんですが、京都がトラディショナルというか、クールジャパンそのものですし、それから夜は夕食会で歌舞伎も用意してあったので、私の強い希望で、「キャプテンハーロック」の3分間の宣伝用フィルムを流させていただいて、この大きいスクリーンで、結構みんな衝撃を受けておりました。4Kテレビの方もここに展示をさせていただいて、日本の技術を見てもらったということです。各大臣に自己紹介もしていただいたんですが、カウントダウンを作って、1分以内で行っていただいたということで、かなり危険でしたが、何とか受け入れてもらいました。
 STSフォーラムのアニュアル・ミーティングということで、プレナリーセッションでもパネリストを行いました。日本から東レの榊原会長とか、総合科学技術会議のメンバーでもある産総研(産業技術総合研究所)の会長、中鉢さんも来られたんですが、これもなかなかいい議論だったと思います。
  2国間会談、結構行いまして、8カ国の科学技術担当大臣とバイの会談を行い、みんなそれぞれ時間オーバーしたりして、かなりよい議論ができたと思います。東京で会った人、これから会う人を含めると、12カ国の科学技術担当大臣等といろいろ意見交換ができるということになると思うんですが、おそらく全ての大臣にいつでもお目にかかれる状況になったのではないかと思います。日本の存在感、まだまだ科学技術の分野では非常に大きいということを実感いたしました。
 それからその翌日の午前中、京都大学で意見交換して、京都大学のこの物質―細胞統合システム拠点、それからiPS細胞研究所を視察をして、いろいろと意見交換をさせていただきました。山中先生(山中伸弥京都大学教授)が本当にお忙しい中、来ていただいて、自ら研究所の説明をし、2人でいろいろな意見交換もさせていただきました。山中先生の頭には、若い研究者が研究しやすい環境を作ってほしいというものがあるということで、山中先生のような方がどんどん生まれるような、なかなか難しいかもしれませんが、とにかくいつも言いますが、優秀な研究者が日本に戻ってきて、今例えば海外で活躍している研究者が日本に戻ってきて研究活動を続けたいと、そういう世の中を作るというのは、私の使命だと思っております。この二つの研究所の若手研究員、気鋭の研究員とも昼食を食べながら懇談しました。こちらもかなり盛り上がりました。
 もう一つ、実は今日は皆さんに簡単に御報告をしたいことがあるんですが、STSフォーラムの前日に京都に入って、夜、「車座のふるさとトークに参加した若手研究者との意見交換」というのを行ったんですね。御飯食べながら、気さくな居酒屋で若手の研究者を集めたんですけれども、みんなそれぞれ活躍している気鋭の研究者なんですが、29歳から45歳ということで、いろいろなことをリラックスした雰囲気の中で議論をしました。
 その中で、若手研究者発の新政策って、小さな一歩なんですが、それを出そうということになって、どういうことかというと、5月にアメリカに行った時にも訪ねたんですが、米国科学振興協会、AAASというのがありまして、そこでは若い研究者を議会に派遣するというプログラムがあって、向こうの議会のスタッフは非常に影響力があります。例えばいろいろな法案の作成にも携わるので、そういう人たちを1年2年の期間送るという仕組みがありまして、それは実は彼らが研究者としての幅を広げると同時に、科学技術というものを政策に反映していく仕組みを作るという狙いがあって、日本でも例えば大学から今6人ぐらいいるんでしょうか、総合科学技術会議の事務局に受け入れているんですね。1週間に3日ぐらい。大体、1年ぐらいですかね、受け入れているんですが、それをもう少しAAAS風にしようと。若い研究者の人たちから是非政治の現場をしっかり体験したいという話がありましたので、これは一線の研究者をもう少し呼びたいと思うんですね。しかも今、受け入れている6人を見たら、准教授、アソシエートプロフェッサー以上なんですね。それを昔、助手と呼んでいたでしょうか、助教、アシスタントプロフェッサーだから、助教ぐらいのレベルまでにして、若い人を是非総合科学技術会議の事務局に受け入れたいと思います。現場の声を政策に反映していきたいと。まずは派遣する大学が、例えば若い研究者をこのプログラムで例えば内閣府に送って、それをキャリアパスとして評価してもらうということがもちろん条件です。
 今までの出向・研修の違いと書いてありますが、今申し上げましたが、現場の政策分析能力と政策立案能力の直接の関与を強化すると。本人の経験だけではないということで、効果は現場の研究開発マネジメント重視という流れができますし、PM・PDへのキャリアパスの形成と書いてありますが、これからSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とか、ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)とか、いろいろなプログラムが始まるので、こういうポストに向かって一歩踏み出せるのではないか。やはりどうしても行政、政治と関わった経験が必要だとPM・PDは思いますので、そういう意味で米国科学振興協会のプログラムの少し趣旨を取り入れた制度にできるのではないかと思っています。
 事務局側としては、大学側にもメリットがあるような仕組みを考えたいと思うんですね。今まで例えば内閣府で5人か6人ずつ受け入れていた方々、特にネットワークも作っていないので、これから例えばこのプログラムで本当に若い研究者に内閣府に来てもらって、総合科学技術会議の事務局でいろいろ経験してもらって、そういう卒業生のネットワークを作って、情報提供のフォーカルポイントというものを作っていきたい。期間も1年とかではなくて、例えば3カ月毎日来てもらう。ポイントは毎日来てもらうということだと思うんですね、1週間に3回ではなくて。3カ月集中的に毎日来てもらうか、あるいはもちろん研究者としてもやりたいけれども、どちらかというと行政に関わりたいという研究者がいたら、もう2年ぐらいいてもらうとか、こういう仕組みを是非作ってみたいと思っていまして、そのための予算を確保したいと思っています。実は来年の予算については、今、科学技術政策フェローのような、こういうことが今あるのかどうかわからないですが、このような予算を実は要求していまして、政策調整員ですか、総合科学技術会議の事務をサポートする人を求めているんですが、このような予算の中で、是非この若手研究者を内閣府で経験してもらうということを実現させていきたいと思います。
 若手研究者発ということはすごくいいなと思いまして、この京都のいわゆる若手研究者の人たちとの集まりで、これが発信されたということがすごく意味があると思っていまして、ちなみに会の名前はかぐや会というんですが、名称の由来は特に説明する必要がないと思うんですが、時々ちょっと集まって、いろいろ率直な議論をしたいと思います。参加してくれるという大学とまず直接話をするところから始めたいと思うので、少なくともそこにいてこの知恵を出してくれた方々の大学については、総合科学技術会議でまずAAASみたいなプログラムを作るかどうかということをきちんと議論して、その議論がまとまれば、各大学と総合科学技術会議できちんとコミュニケーションをとって、そういう理解を示してくれた大学から、是非このプログラムを開始したいと思います。本来は議会のスタッフのように、例えばうちの事務所で受け入れるとか、ほかの事務所で受け入れるとかというのがいいのかもしれませんが、そうすると政党というか、政治色がついてしまうので、なかなかそれは難しいということで、内閣府なのかなと思って、こんな感じになったんですが、制度はオープンにして、うまくいけば賛同する大学・研究機関、省庁に拡大するようなノウハウを共有したいと思います。若手研究者の方々との意見交換から、このようなプログラムが出てきたということはとてもうれしかったと思いますので、もう一度言いますが、来年度の予算で認められれば、このプログラムをよく事務局の皆さんとも相談をして、是非作りたいと思っています。
 以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)先程の車座発のプログラムなんですけれども、その制度というか、車座発のまずかぐや会という組織というのは、車座発の集まりのことを言っているんですか。
(答)こんなことを説明する必要もないと思うんですが、車座トークを行って集まった人たちととても意気投合して、会の名前をつけようと言っただけですから、組織でも何でもないので、忘れてください。今のかぐや会の話は。
(問)あと、来年度予算の要求に盛り込んでいきたい制度の方なんですけれども、とりあえず何人ぐらい。
(答)そういうことはこれから考えたいと思いますが、初めはそんなに多くなくてもいいと思うんですが、ポイントは二つあって、一つは助教レベルの人からとると。20代、30代ぐらいの若い人たちを複数受け入れるというのがいいのかなと。これはあくまで私個人の考えです。まだ総合科学技術会議できちんと議論していないので。もう一つは総合科学技術会議の議論で、ある程度、そういう方向性が出てくれば、これは民間議員の方々のいろいろな意見もあると思いますが、おそらく賛同していただけるのではないかなという気がするんですね。その意見がまとまれば、総合科学技術会議の事務局、ものすごい今も忙しいですから、そこに政策調整員として何となく応援部隊を募るという発想ではなくて、やはりその人に経験してもらう。政府の現場、政策の現場を。それを研究者としての幅を広げることにしっかり役立ててもらう。更にはその制度が広がってくれば、その人たちが総合科学技術会議にいることによって、むしろ科学技術を政策に反映させる道ができてくるのではないか。AAASのように、あれだけのロビー力を持って、いろいろな科学技術政策について各議員とか議会に、ロビーするような流れは、なかなか作りにくいと思いますが、少なくとも一人でもそういう若手が入って、この制度が広がっていけば、科学技術の視点を政策に生かしていくという、小さな流れができるのではないかと思います。
(問)当面、もし開始するとしたら、先程の車座の会にいくつかの大学名と島津(島津製作所)、出ていましたけれども、そういうところが対象ということですか。
(答)いや、それはその絞る対象が、たまたま車座に集まったからというわけにはいきませんから、きちんとよく見て、きちんと基準を作って行いたいと思います。少なくともあそこでこのプログラムを発案してくれた方々の大学には、もし総合科学技術会議で意見がまとまれば、きちんと連絡をとって、要請をしたいと思います。それを全大学に広げるのか、それとも例えば関西エリアに絞って、最初に関西から始めるのか、いろいろな方法はあると思うんですが、これは一つ私の希望ですが、少なくともあそこに集まってくれて、この話を是非と言ってくれた人たちが所属している大学には、総合科学技術会議で議論がまとまれば、きちんと話をして、是非このプログラムに、まだ立っていないんですけれども、参加していただくようにお願いしたいなと、個人的にはそう思っています。
(問)CSTP(総合科学技術会議)の議論としてはいつ頃までにまとめる。
(答)これは今日の記者会見で外に初めて出したので、CSTPの有識者と、それから有識者議員と大臣との意見交換会がありますから、そこでまず大臣として提案してみたいと思います。これ是非議論していただけないかと。AAASのような感覚で行ったらどうかと。総合科学技術会議として少し正式に議題として議論していただけないかということを民間議員の皆さんに提案してみます。そこから議論がスタートするということですね。
(問)日刊工業の小川と申します。STSフォーラムで各国の大臣といろいろ意見交換されたと思うんですが、具体的にどういった話をされたのかということと、例えば汚染水問題に関して、何か議論というのはされたんでしょうか。
(答)まず、今週会う科学技術担当大臣とのバイを含めると、10カ国の大臣及び2カ国の首相、大統領科学技術顧問と話をすることになると。これまで9カ国の大臣等とお話をしたのですが、向こうから汚染水問題について言及された方はおられませんでした。ただ、やはりそれぞれ各国の科学技術政策を担う方々なので、私の方からは汚染水問題についての日本政府の姿勢、これは安倍総理の方からもお話がありましたが、最初のプレナリーセッションの時に、それについては説明をさせていただきました。日本政府の取組みを説明をして、バイの中では一応皆さんに理解をいただいたかなと思います。
(問)先程の車座トークの参加者との懇談会から、先程のプログラムが出たと。STSフォーラム本体とかで、科学技術担当大臣会合の中から、これは新しい政策が出せるのではないかというような、ヒントになるようなことはあったんでしょうか。
(答)それはまだ実現もしていないことなので、個別なことを申し上げるのは控えたいと思いますが、せっかく科学技術担当大臣に会えたので、このテーブルから何か始めたいという話をして、いくつかの国とは人材交流、やはりヒューマンリソースをエクスチェンジすると。人事交流・人材交流のような科学技術分野のですね。それについてはいろいろな議論があって、少し具体的に動いてみようという案件も出てきているので、それをきちんとフォローアップしたいと思います。
(問)あともう一つ、CiRA(iPS細胞研究所)とかiCeMS(物質-細胞統合システム拠点)とかと意見交換したかと思うんですけれども、そこで例えば現場の課題とか、そういうことについては何か言及はあったんですか。
(答)CiRAとiCeMSの研究者の人たちは、どちらかというと研究環境に満足しているという言い方は正しいかどうかわかりませんが、とても評価していました。あそこはある意味でいうと結構特別な環境なのかなと思いました。あのような雰囲気を全体に広げていかなければいけないと思いますよね。だから、いろいろWPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)の拠点はあちこちにありますが、これをもう少し更に進めて、本当に日本の中でもシリコンバレー的な、なかなか難しいかもしれませんが、そういうゾーンを作るようなこともしていく必要があるのかなと思いました。なかなか気鋭の研究者の方々は、すごく将来性がある感じがしたし、いろいろ悩みながらも一生懸命やっておられるなということで、大変心強く思いました。
(問)NHKの高野です。バイ会談で何か具体的に合意に至った事項みたいなものはどこかお願いします。
(答)そうですね、それは合意というと、大臣間でこのようにしていこうという話にはなっていますが、合意と言っても、それをどうやってこれから実現するかというのがあるので、今のところ具体的な話は控えたいと思いますが、例えばこのようなニーズについて、少しお互いに勉強し合おうとか、このような人を送ってくれないかとかいう話はいくつかありましたので、是非今おっしゃった具体化できるものは具体化したいと思います。
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:331KB)

(以上)