山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月13日

(平成25年9月13日(金) 11:46~12:04  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 まず最初にいくつか御報告をしたいと思います。今日、閣議においては特に御報告することはありませんでしたが、閣僚懇で出張についての報告を配付させていただきました。9月11日~12日まで中国の大連に出張して、両日に開催された世界経済フォーラム主催のニュー・チャンピオン年次総会、いわゆるサマーダボス会議に出席いたしました。
 この総会ではビッグデータに関するセッションや科学技術イノベーション政策の優先すべき事項に関するセッション、あるいはIT、科学技術、教育、このような成長に関するセッション等々に出席して、各国の出席者と有意義な意見交換をいたしました。
 同総会に合わせて開催されたジャパンナイトでもスピーチをさせていただいて、日本の魅力等についてプレゼンをさせていただきました。このような情報交換の成果をこれから成長戦略につながる科学技術イノベーション政策に着実に結びつけるように取り組んでいきたいと思います。
 それから、もう一つ御報告は、明後日15日~17日の日程でオーストリア共和国、ウィーンを訪問することになりました。訪問の目的はウィーンで開催される第57回の国際原子力機関(IAEA)の総会に政府代表として出席し、我が国の代表として演説を行い、この機会に天野IAEA事務局長あるいは関係国の代表、おそらくモニーツ米国エネルギー省長官、それからフランスのビゴー原子力庁長官とはお目にかかれると思います。このような方々と意見交換を行うことになっています。
 総会においては、国際的にも関心を集めている福島第一原発における汚染水の問題について、東電任せにせず、政府が前面に立って解決に当たることとか、あるいは国際社会への正しい情報発信を強化していくこと。更には我が国の原子力政策について、責任あるエネルギー政策を再構築する方針であること等をこの総会の演説を通じて国際社会に訴えていきたいと考えております。
 それからもう一つ、これは8月末の会見でもお伝えしていたと思いますが、北方4島交流事業の訪問団の一員として、9月19日~23日までの間、国後島及び択捉島を訪問いたします。私としてはとにかく4島を自らの目でしっかり見て、北方対策担当大臣、領土担当大臣としての仕事に生かしていきたいと思います。詳細については北方対策本部の方にお問い合わせをいただければと思います。
 今日のプレゼンテーション、せっかくですからできるだけ毎回行わせていただこうと思っているのですが、サマーダボスに行ってまいりました。これは皆さん御存じだと思いますが、サマータボスとは民間団体の世界経済フォーラムが開催している国際会議で、中国は隔年で、1年ごとに天津と大連で交互に行っています。今年は大連だということです。90か国から1,500人以上のヤングリーダーが集まるという国際的な会議です。下村文部科学大臣と二人で参加してまいりました。サマーダボスに日本の閣僚が参加したのは初めてということです。
 例えば、ディベートに参加しました。私はIT政策担当大臣なのでビッグデータに関するディベートがあって、例えば「Big Data or Big Hype?」。ビッグデータというのは世界のトレンドをしっかり変えていく、本当にそういう現象なのか、それともビッグハイプというのは、これは一時の流行なのかというテーマでいろいろと議論しました。
 4人のスピーカーがいましたが、二つに分かれて、つまりこのモーションに対して過剰評価されているという側と、それから過剰評価ではなくて、これは有効なのだという側と二つに分かれています。モデレータは確か『エコノミスト』の中国支局長だったと思います。二つに分かれてプロとコンで議論をいたしました。
 皆さん、少しおかしいと思われるかもしれませんが、ここにパネリストが座っています。この会場にいろいろなダボスに参加した方々が来られていて、すり鉢状の小さな劇場みたいになっています。最初のプレゼンターから5分ぐらいのプロとコンで議論をするとき、みんなここに出て行って行うものですから、政治家としてこれは行わざるを得ないと思って、私もこういう形で聴衆に訴えました。これはおそらくネットでも概要が流れていると思います。オープンのセッションなので。
 あまり細かいことは言いませんが、とにかく安倍内閣のアピールをするということ、それからビッグデータについて言うと、自分の選挙でビッグデータをどう使ったかということ、東京招致について、今回SNSを有効に使ったという事例、それからまた特にビッグデータについては我々は東日本大震災を経験していますから災害防止、あるいは災害対策で実はビッグデータがこのように必要なのだということを訴えました。
 かなり強敵でした。二人ともいろいろなキャリアがあります。経営者であったり、あるいは社会企業家であったり、中国の北京大学の助教授であったりいろいろでした。結局、このディベートの結果、我々のチームが勝ったということです。
 最初にまず参加者が投票して、イエスかノーかということで、そのときは負けていましたが、終わった後は勝ったということで、やはり勝つことはすごくいいことなので、我々の主張、特に日本の事例はかなりアピーリングだったのではないかと思います。
 これはビッグデータについてのダボスのホームページです。ここに日本の旗が立っていたりして、57対42で勝ったという感じです。ソーシャルメディアの話とかいろいろありますが、このような感じです。
 ジャパンナイトは、他にもいろいろセッションがありましたが、全部説明する必要もないと思いますが、ジャパンナイトはここに集まってきた人たちに日本をアピールする場所なので、ここでも相当精力的に日本のことを発信いたしました。
 これも細かくは説明しませんが、何をアピールしたかというと、安倍総理のリーダーシップ、招致を決めた安倍総理のリーダーシップ、アベノミクスのことも報告をして、最も最近の経済指標で、3か月の成長率が(年率換算で)3.8%で、これはOECD諸国の中でもおそらくトップクラスだろうというような話をいろいろとユーモアを交えて行わせていただきました。
 非常に意味があったと思います。サマーダボスもダボスもそうですが、安倍内閣の閣僚は誰か参加した方がいいと思います。ここに集まっている人たちの顔ぶれもそうですし、こういうところで日本の立場を発信することは極めて大事だと思っています。安倍総理に会ったとき、国会等々の日程は忙しいかもしれませんが、ダボスには誰か閣僚が行った方がいいと。今回はたまたま二人そろったので結構注目も浴びましたが、例えば福島原発についての日本の立場を説明する。アベノミクスがどういう状況になっているかを説明する。特に非公式のセッションでは元首相とか、ヨーロッパの元大臣とか、グローバル企業のCEOなどが出てきて、その中身は言えないのですが、ディナーセッションもそうですし、3、40人でかなり議論する場面もあったので、それは是非総理に伝えたいと思います。
 ということでプレゼンはそのような感じですが、何かご質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)TBSテレビの加古です。先程官邸で沖縄関係閣僚会合を開催されていたと思うのですが、今回の議題は何だったのですか。
(答)全般のいろいろな、例えば誰か沖縄に出張したりすると、報告をしてもらうということを行っていますから、全般的な話です。細かいことは、官房長官に聞いていただければ。
(問)オスプレイ訓練、あと名護市長選をめぐっての意見交換というのは。
(答)全体の話ですね。あまり具体的なことは、是非官房長官に聞いていただければと思います。
(問)フジテレビの鹿嶋です。先程、IAEAの総会に行かれると、そこで演説もされるということなんですが、改めて山本大臣として、この汚染水問題に対して政府の取組をどのように御自身の言葉で演説したいと考えるのか。
(答)演説の原稿はこれから練ろうと思うんですが、とにかく総会で言及しなければならないことの一つはやはり今の汚染水問題に対する対応だと思うので、それは、今の政府の対応についてはしっかり発信をしたいと。これは政府一丸となって取り組んでいくということと、東電任せにするのではなくて、きちんと政府が前面に出てしっかりと対策をとると、そういうことをこのスピーチの中でしっかり発信したいと思います。
 それから、やはりエネルギー政策については、安倍内閣のエネルギー政策は前政権と少し違いますから、その辺のところを少し説明する必要があるのかなと思っています。
(問)安倍総理がIOCの総会でアンダーコントロールだと、制御されているということをおっしゃったことがオリンピック招致にとってインパクトを与えた面もあったと思いますが、にもかかわらず、高濃度のトリチウムが観測用の井戸から、その近くから検出されたり、引き続き国際社会から見てはその不安というのが拭えていない状況だと思うんですね。これはどのようにして。
(答)今おっしゃったように、総理がIOCの総会でしっかりとコントロールできるということを発言しましたので、これは、非常に重い言葉だと思いますから、これも政府一丸となって、必ず総理の言った方向で持っていかなければいけないと思っています。一つ一つの細かい事例についてコメントしてもしょうがないんですが、やはり政府が前面に出るとか、こういう会議体を作るとか、いろいろな対策は四つか五つの柱で経産大臣の方から発表していると思いますので、それをもう着実に行っていくと、こういうことに尽きると思います。
(問)朝日新聞の西川と申します。イプシロンの打ち上げについてなんですけれども、イプシロンの打ち上げ成功すると、宇宙基本法の下で初めて固体ロケットを持つということになると。これについて、ミサイルに近い技術をどういうふうに扱っていくかということについて、政治の意思というのがますます重要になってくるんじゃないかとは思うんですけれども、その辺、大臣、何かお考えがあれば教えてください。
(答)イプシロンロケットの打ち上げには是非立ち合いたかったのですが、日程的に難しいので残念に思っていますが、必ず成功すると信じています。固体ロケット燃料の技術というのは非常に日本独自の技術で高いですから、これは、絶対成功させなければいけないと。
 今、ミサイル云々という話がありましたが、要は、イプシロンロケットを開発した理由は、今おっしゃった新しい宇宙基本法、宇宙基本計画の中で打ち出した自律性の確保と、それから宇宙利用の拡大、こういう中で、小型のロケットをしっかり開発して、宇宙産業競争力強化に結びつけていこうと。そういう発想の下に、しっかりこれからイプシロンロケットの技術をどう生かしていくか、どうやってそれを日本の産業力競争強化、特に宇宙産業の競争力強化につなげていかなければいけないのかと、こういうことをも考えるということに尽きると思います。
(問)共同通信の野見山です。北方領土視察の件ですけれども、今回、現職閣僚として8年ぶりの訪問になりますが、この意義を改めてお願いしたいのと、あともう1点、どういった点に重点を今回の視察で置くのかという点で、領土問題については闊達(かったつ)に意見交換するとか、踏み込んだ発言をするというよりも、ビザなし交流ですから、あくまでやっぱり交流の方にここは重きを置くのでしょうか。
(答)そうですね。意義というか、北方対策担当大臣ですから、北方領土問題をどのように国内に向けて啓発するのかということは一つの大きなミッションです、大臣としての。もう一つは、隣接市町村に対する国の支援、元島民の方々に対する支援、これも北方対策担当大臣として行わなければいけない仕事ですよね。そのためにも、今、北方領土が現実どうなっているのかということを大臣として見るのは当然だと思いますし、やらねばならないことだと思います。
 私の場合は、実は歴代の北方対策担当大臣と違って、領土担当大臣という役目もありますから、領土担当大臣はやはり日本の領土問題、北方領土は100%日本の領土なので、やはり領土と主権に関する日本のメッセージを内外に発信する、対外発信の役割も担っていますから、そのことから考えて、今、北方領土はどういう状況になっているのかということを、まず、自ら足を運んで見るということは不可欠だと思っていますし、大臣になった後も何度か予算委員会等々で与野党から質問が出ていますが、その時にも是非行きたいと申し上げているので、政策を担当する当事者として今の北方領土の状況を見るということは、これは自分がこれから大臣としての仕事を行っていく上では不可欠だと思います。
 それから、向こうに今住んでいるロシアの方々、住民の方々の意識がどうなっているのかということも是非交流の中で知りたいと思いますし。訪問の目的は別にインフラを視察することではないんですが、それは行ってみれば、どういう生活レベルなのか、道路がどうなっているのか、それはわかりますよね。施設の視察も、特にどこを見られるかわからないんですが、いくつか見られると思うので、とにかく北方領土の現状をしっかりと感じ取ると、これが一番の目的かなと思っています。
(問)時事通信の浅見です。大連の出張の件でお伺いするんですけれども、もちろん科学技術担当相として行かれたのは存じ上げているんですが、やはり今回、安倍内閣の閣僚として、下村さんと大臣は一応初の訪中ということになると思うんですが、改めて地元の反応とか、大臣としてどういうような、やはり中国に行くということはそれなりの意味があると思うので、いくら科技担当相としても、その辺、どうお感じになったか。
(答)もちろん場所はサマーダボスということで中国ですが、もう何度も申し上げますように、バイの会談のために行ったわけではなくて、サマーダボスのような国際会議、特に日本が世界のトレンドを知り、更に日本政府の立場を発信するために非常に役に立つと思われる場所に行って、いろいろ議論に参加して、日本のいろいろな方針を発信するということが目的だったので、基本的にいろいろなグローバルな議論、特に自分が担当している政策について、いろいろとグローバルな議論を戦わせるために行ったのであって、もともと目的がそういうことですから、個別の会談等々というのは最初から視野に入っていませんでしたし、とにかく日程もぎりぎりだったので、とても他の日程を入れる時間もありませんでしたから、目的が違うということに尽きると思うんですね。
 それでも一言言うと、非常に行ったかいがあったと思います。いろいろな議論ができたし、今、例えば国際社会で活躍している人たちが日本の何に興味を持っているのか、エネルギー政策のどのようなことを心配しているのかとか、そういうことも十分分かりましたし、日本政府の立場も発信できましたし、安倍内閣のある意味で言うとPRもできたので、忙しい日程でしたが、本当に行ったかいがあったと思っています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:496KB)

(以上)