山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年8月21日

(平成25年8月21日(水) 14:32~14:54  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、今日は特に御報告することはありません。
 いくつかお伝えしたいことがあります。
 御報告したいことの一つは、8月19日地球深部探査船「ちきゅう」の視察をしてまいりました。
 この地球深部探査船については、是非一度視察をしたいと思っておりましたので、念願かなって見ることができました。この船は一言で言うと、ブログにも書いたのですが、「世界最先端の技術の結晶」のようなところがあって、非常に優れていると思ったのは、科学調査と資源調査と両方ができるということで、皆さん御存じのとおり、メタンハイドレートの掘削はこの「ちきゅう」を使ったということで、非常にスタッフというか、研究者の方々のモラルも高いということで、こういう最先端の船をフル活用できる環境をしっかり整備できるように海洋政策担当大臣、科学技術担当大臣としてもバックアップをしていきたいなと思いました。
 話をいろいろ聞く中で、JAMSTEC(海洋研究開発機構)とそれからJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)、この二つがしっかり連携しているかどうかということも内閣府の特命担当大臣としては非常に興味がありましたが、以前に比べると、かなりスムーズに連携が進んでいるということで、少なくとも海洋資源開発、海洋戦略については、一つの国家戦略として関係機関が省庁を超えて協力できるような仕組みづくりについては、これからもしっかりチェックをしていきたいと思いますし、そういう体制を作れるように内閣府の特命担当大臣としてはしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 それから、この件について前回の記者会見で中村さんの方から質問がありましたが、海洋研究開発機構、JAMSTECでは常勤職員、非常勤、任期職員が非常に多いという問題点があるのではないかというお話がありましたので、確認しましたが、JAMSTECでは常勤職員1,050人のうち736人、70.1%が任期付の職員に確かになっています。ただ、職員の契約形態とか比率というのは、いろいろ各機関が業務目的とか人材流動化を総合的に判断して決定しているものであって、一概に良い、悪いというのを評価するのは難しいかなと思います。任期付職員であることのメリットというのもあって、若い人たちが次々にチャンスを得られるということもありますし、短期の目標設定としてそれを実現しようということで、成果を出さなければいけないというインセンティブが働くという面もあるし、あるいは逆に言うと、研究者のポジションの安定性があるのかというような全体の議論もあると思うので、それらの点についてはよく私も問題意識を持って見ていきたいと思っています。
 他の研究機関での任期付職員の比率を見ると、理化学研究所では82.2%、3,397人のうち2,793人が任期付職員です。何が言いたいかというと、JAMSTECが特段研究機関の中で突出して高いというわけではないということなのですが、逆のケースもあって、例えば産総研は2,938人のうち271人しかおらず9.2%ということで、各機関によっていろいろと状況は異なっているということで、この間の御疑問というか、質問もあったので、そのことについても一応御報告をしたいと思います。
 それから、明日8月22日に沖縄担当大臣として沖縄を訪問いたします。仲井眞知事と懇談をいたします。今月末の概算要求に向けて沖縄振興についていろいろ全般的に率直な意見交換をしたいと考えています。
 就任後、明日で9回目ということで仲井眞知事との面会は23回目ということになります。いろいろと概算要求については報道がなされておりますが、現時点では政府の対応方針が決まっているわけではありません。知事との意見交換も踏まえて、これから内閣府としての具体的な対応をしっかり固めていきたいと思っております。
 それから、明後日の23日、東京電力福島第一原子力発電所を訪問する予定です。原子力をめぐる取り組みの中でも福島第一原発の廃止措置に向けた取り組みは極めて大事だと思っておりまして、特に今原子力委員会の見直しの有識者懇談会なども進んでいますので、原子力委員会の見直しは私が担当しておりますから、そういう意味でも福島は是非見なければいけないと思っていましたし、御存じのとおり、総理がこの内閣を作った時に、「安倍内閣の全員が復興担当大臣だ」という言葉もいただいていますので、私も復興担当大臣の1人として発電所の現在の状況は是非見ておきたいと考えております。
 この視察については、発電所内の同行取材は当然できませんが、視察後のJヴィレッジでのぶら下がり取材があれば、これは行おうと思っていまして、詳しくはプレスリリースを御参照の上、もし御興味があれば取材の申し込みをしていただければと思います。
 なお、東北について言うと、実はこれも科学技術政策担当大臣として、特に総合科学技術会議のいろいろな活動に関係がありますが、できればどこかで宮城県にも足を延ばして、いわゆる科学技術とそれから復興の関係について、例えば、いろいろなインフラをいろいろと調べていく上で科学技術がどういう役割を果たせるのかというところについても視察をさせていただきたいと。日程は決まっておりませんが、時間があるときに宮城にも足を運びたいと個人的には考えております。
 それから、8月26日から2日間にわたって鹿児島県に出張いたします。目的は、イプシロンロケット試験機の惑星分光観測衛星「SPRINT-A」の打ち上げを視察するということで、皆さん御存じのとおり、イプシロンロケットは我が国がこれまで培ってきた独自の個体燃料ロケット技術を継承しておりまして、即応性のある優れた能力を有する基幹ロケットということで、今回が初めての打ち上げになります。先程申し上げた「SPRINT-A」惑星分光観測衛星が所要の観測成果をもたらすことも期待をしております。
 イプシロンロケットは小型でコストもM-Vロケットの半分ぐらいです。しかも射場の作業期間もM-Vに比べると4分の1ぐらいということで、あるいは衛星最終アクセスから打ち上げまでというのも時間が3分の1ぐらいになるということで、これは新たな日本の宇宙産業、競争力強化の一つの大きな柱としてしっかりと推進をしていくべきだと思っております。この視察を今後の宇宙開発利用の推進に役立てていきたいと思います。
 今日はまだ報告がありまして、北方領土についてなんですが、まだ少し先のことなので最終的な日程の詰めはできておりませんが、報道されているように、皆さんが考えているような期間、4島交流の枠組みに大臣として参加をするということを考えております。これもまだ決まっておりませんが、国後、択捉を訪問する可能性があるということで、担当大臣として北方領土の視察もずっと行きたいと思っておりましたし、もし実現すれば、小池百合子大臣以来8年ぶりということで、現場をしっかり見て、北方対策担当大臣としての仕事に生かしていきたいと。私の場合には、加えて領土担当大臣としての内外発信の役目もありますので、しっかりこの目で今この町がどうなっているのか、あるいは4島在住のロシア人の方々がどんな認識を持っているのかということをぜひ確かめておきたいと考えております。
 なお、先般申し上げたとおり、外交交渉については、これは外務省の所管で外務大臣にお任せするということで、特にほかのハイレベルの外交交渉の環境作りとか、そういう側面はありませんし、インフラ整備の状況を視察するというのが主目的でもありませんので、そのことだけは念のためにもう一度断っておきたいと思います。
 それからもう一つありまして、実はIT関連予算の概算要求について、今IT総合戦略本部が実は非常に頑張っていまして、新しくCIOに任命された遠藤CIOを中心に各省に対してヒアリングを行っています。おそらく課長以上ぐらいのレベルの人たちに出てきてもらって、もうおそらく20回近くやっているんでしょうか。非常に精力的に行っていただいていまして、一つは、遠藤CIOの非常に重要な任務の一つだと思うんですが、IT投資を最適化するためにいろいろな調整とか、あるいは電子政府に関するいろいろな取り組み等々について、各省から今府省横断的にヒアリングを実施しております。
 IT担当大臣としても、「世界最先端IT国家創造宣言」に沿った形で概算要求が行われるように遠藤CIOをしっかりバックアップしていきたいと思います。私が想像していた以上の熱意を持って、ものすごく熱意のある方なんですが、CIOもそうですし、IT総合戦略本部が本当に頑張っているので、そのことも、一言皆さんに御報告したいと思いますし、これでIT総合戦略本部を作って、政府CIOを任命したということは、今回のIT関連の予算にどう反映されたかということについてもしっかりフォローして、また御報告をさせていただきたいと思います。
 私からは以上ですが、何か御質問があれば、お受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)共同通信の津川と申します。先程閣議後に総理と面会されたということですけれども、どういったお話しされたのか。例えば、概算要求近いですけれども、一部報道されているように沖縄関連予算の場合、そういったことをお話しされたのか教えていただければありがたいですけれども。
(答)安倍総理とは話したいことが山ほどあるので、1時間ぐらい本当に時間をとっていただきたいぐらいなので、あまり長い時間ではなかったんですが、全般的に予算のことからいろいろ政治のことを話をしたということです。何か特定のことに絞って、突っ込んだいろいろと議論をというか、言葉を交わすほどの時間がなかったということです。全般について総理とお話をしたと、こういうことです。
(問)科学新聞の中村です。先程のJAMSTECだけじゃなくて、ほか理研なんかも任期付多いと。逆に産総研なんかは少ないと。任期付の多さというのについて、大臣としてはどのように問題意識として持っているんでしょうか。
(答)先程申し上げたとおり、雇用の形態というのは、それぞれのおそらく組織の目的とかいろいろな要素で決まってくるんだと思うんです。だから、任期付の職員が多いから組織として問題があるとか、あるいは任期付の職員が少ないから機能しているとか、そういう話では多分ないんだろうなと思います。
 ただ、先程申し上げたとおり、任期付の職員が多いことによるメリット、今言った流動性のようなものと、それからいろいろ立場の不安定さのようなものといろいろな側面があると思うので、そこは今回のJAMSTECの例も含めて、少し気をつけて見ていきたいなと思っていますが、少なくともこのJAMSTECが行っている「ちきゅう」、JOGMECにももちろん賃貸したのか。JOGMECにももちろん契約をして多分使ってもらったんだと思いますが、私は組織としてのモラルはかなり高いと、この間研究者の方々と会って思ったので、どういう認識を持っているかというと、これからもメリット、デメリットをよく見ながら、全体の研究者の立場とかというものを考えていきたいなと思っています。
(問)メリット、組織としてある程度の目的を持ってそうしているというお考えもあるのでしょうけれども、実態的には行革も総定数管理の中で常勤職員を一律に減らせという、事業費自体は科学技術関連予算増えているので、任期付だったら雇えると。日本の場合はそういうふうに、全体としてはそういうふうに増えてきたと。その中で今度5年以上になると、労働契約法の改正で5年以上になると常勤にしなきゃいけないとかという、そういうのも出てきて、それらのいろいろな人事問題については、何か総合科学技術会議として考えていかれるのですか。
(答)雇い止め問題のようなものは、別に今回のJAMSTECとかに限らず、JAMSTECの場合は、先程言ったように任期付職員が多いからといって問題があるとは思っていません。けれども、今言った、もう少し広い意味での問題については、何度もここでも申し上げましたが、雇い止めの問題については総合科学技術会議としても関係各省に対してこれはしっかりと意見を言っていますし、その問題についての対応はしっかり行っていきたいと思います。
 既に御存じのとおり、大学関係者、それから関係省庁集めて、いろいろ会議をアレンジしたりいろいろなことを行っていますから、これについては引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
(問)日刊工業の小川と申します。冒頭のJAMSTECとJOGMECの件なんですが、かなり予算とか事業内容見ても似ているところも、やっていることがかぶっているところもあるかなという気もするんですけれども、具体的に例えば先程おっしゃいました協力できるところは協力してという話ですけれども、具体的に何か指示する予定というのはあるんでしょうか。
(答)これはもう少しチェックしてみたいと思います、大臣として。ただ、どちらかというと、「ちきゅう」は、これも釈迦に説法(しゃかにせっぽう)ですが、もちろん、資源探査の活動にもかかわっていますが、もう一つ、例えば南海トラフを対象にして巨大地震のメカニズムを解明しようという、そういう目的もあるし、あるいは海底、地下生物の研究によって、いろいろなバクテリアの研究によって、新しい創薬の開発に結びつくかもしれないし、あるいは先程言った地震のメカニズムについては、地層のいろいろな変化がわかれば、もしかしたら予知とか、あるいは素早い対応につながるかもしれないということで、資源開発ももちろん入っているんですが、科学調査のような側面もあると。
 JOGMECはどちらかというと、資源探査をして商業化に結びつけていくと。ですから、ものすごくざっくり言うと、私の感覚ですよ。海洋資源ということについて言うと、JAMSTECの船が、全体で、例えば資源がここら辺にあるのではないかというようなことを調べると、調査するという役目を果たしていて、それを踏まえてかどうかわからないんですが、連携しながらJOGMECが資源探査を行って商業化に結びつけていく役目を担っているんだろうなと思います。感覚的に言うと。
 話を聞いてみると、以前よりもスムーズになっているのではないかと思います。以前よりスムーズになっている感じはしましたが、内閣府特命担当大臣としての一番の関心事は、省庁を超えた調整がきちんと行われているかどうかというところなので、以前よりスムーズになっていると思いますが、私が見た限りはそうですが、きちんともう一回JOGMECの役割もよく調べて、チェックして、もし対応が必要ならば、内閣府特命担当大臣としてできることを行いたいと思います。
(問)二つとも所管が文科省と経産省なので、なかなかどうやればいいのかというのは、なかなか難しいところはあると。
(答)JOGMECとJAMSTECは頻繁に交流をしていて会議も行っているようですから、JOGMECとJAMSTECの、しかし業務の範囲というか、割り振りのようなものは、きちんと1回調べてみようと思います。
(問)すみません、別件なんですが、原子力委員会の見直しで、これまで昨日で3回目が終わって、近藤委員長とあと各省庁のヒアリングも一通り終わったと思うんですけれども、あまり会議終わった後に山本大臣何も、とりあえず今はしゃべらないほうがいいという形でおっしゃらなかったと思いましたけれども、改めてお聞きするのも何なんですが、今まで3回出られた中で感触というか、どんな印象を持たれた。
(答)まず一つは原子力委員会の見直しのための有識者懇のメンバーは非常にすばらしい方々だなと、改めて。いろいろな考え方の方がおられますけれども、本当にこの話を議論していただくのにふさわしい方々になっていただいたなと。議論を聞きながら、まずそう思います。
 それから、これは有識者の方々に忌憚のない意見交換をしていただくので、担当大臣として話を聞くのはいいんですが、私が何かを言うことによって、何となく議論の流れに影響を与えるというのは不適切だと思っているので、あえてコメントを避けているということです。
 一つだけ言わせていただければ、今までのいろいろな議論も踏まえて、抜本的に見直していくという方向なのではないかなと。その見直しの方向は、これからいろいろと有識者の方々の議論で恐らく報告としてまとめられていくと思いますが、抜本的に時代の流れとか、いろいろな状況を勘案して見直していくのではないかなと、そういう感触を持っています。
(問)改めてお聞きしたいんですが、いつまでにというのは、一応年末から秋ぐらいを。
(答)この間申し上げたとおり、かなり集中的に、あれだけ忙しいメンバーの方々なんですが、相当集中的に行っていますから、もちろん、秋ぐらいまでに大きな方向性を出せればいいなと。それがどのように法案に結びついていくかというのは今は言えませんが、できれば通常国会なのかわかりませんが、とにかく秋口ぐらいまでに全体の方向性を出して、できるだけ早く形にできるように努力をすると、今まで申し上げているとおりです。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

(以上)