山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月21日

(平成25年6月21日(金) 9:20~9:38  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日、閣議については、特に報告することはありません。
 一つ、まず御報告したいことは、先般から開催しています「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」ですが、来週25日の火曜日に第5回の会合を開催したいと思っています。これまでは尖閣諸島をめぐる情勢、竹島問題、内外発信の手段といったことをテーマに活発な御議論をいただいてまいりましたが、次回の第5回では、報告書に盛り込む内容についての御議論をいただくことにしています。我が国の領土・主権をめぐる情勢に関して、より効果的な内外発信を行っていく上での中身の濃い取りまとめの議論をいただいて、7月の初旬には報告書の作成につなげたいと、7月の初旬には総理の方に直接私からお届けをしたいと思っております。それが第1点です。
 もう一つ、御報告ですが、今週日曜日、6月23日に行われる沖縄の戦没者追悼式に安倍総理とともに参列するということが決まりまして、沖縄を訪問したいと思っていますが、過去6か月で沖縄訪問は6回目になりました。仲井眞知事ともお昼を御一緒させていただくことになると思います。おそらく総理と私と島尻政務官、知事と副知事が出て来られるそうですが、昼食をとりながら懇談をさせていただこうと思います。
 ちなみに、知事にお目にかかるのはこれで18回目の懇談ということになります。
 それで、今回また発信する記者会見を行おうと思ったのですが、もう少し準備が必要なので、職務発明制度についてもどこかで行いたいと思いますが、まだいろいろ材料を集めている最中なので、今日は発信する記者会見の第二弾は行いませんが、その代わり、この間1回目を行った宇宙シリーズをお届けしたいと思います。
 我が国の衛星システムについて第2回目ということで、第1回目は実用衛星を行わせていただいたので、第2回目は科学衛星・探査機ということで、本日、改めて御紹介させていただきたいと思います。
 我が国の衛星システム、前回皆さんにここでプレゼンをさせていただいた実用衛星、測位、リモートセンシング、通信・放送の他に、科学衛星・探査機等というのがありまして、これは「ASTRO-H」とか「ひので」とか「あかつき」、「はやぶさ」等々、あるいは地球環境観測衛星「いぶき」などがありますけれども、これを併せて、今日、御紹介をしたいと思います。
 それぞれの衛星の目的を簡単に御紹介したいと思いますが、科学衛星・探査機は、人類共通の知的資産の獲得、挑戦的な宇宙工学研究によるブレークスルーの実現、フロンティアの拡大、あるいは先端的な研究開発の現場における人材を育成すると。さらには、宇宙科学の成果による我が国のプレゼンスを向上させると、こういうことになります。
 地球環境観測衛星の方ですが、これは降水量、海面水温、二酸化炭素などを地球規模で長期間にわたり観測をするということと、気候変動、温暖化などの地球環境問題の解決に貢献するということになっています。
 それでは、具体的な衛星について御紹介をしていきたいと思います。
 これまで我が国が打ち上げてきた科学衛星・探査機の例なんですが、一言で言うと、改めて思ったんですが、世界的に非常に高い評価を受けているんですね。例えば「はやぶさ」、世界初の小惑星サンプルリターンに成功したわけですが、「サイエンス」の表紙を飾っています。月の周回衛星「かぐや」、これも「サイエンス」の表紙を飾っていると。これはアメリカの最も有名な科学雑誌だということは皆さん御存じだと思いますが。
 それから、「かぐや」は月面を詳細に観測したということですが、太陽極域磁場というのでしょうか、その反転を捉えたということで、「ひので」も非常に注目をされております。総じて非常に高い評価を受けているということが言えると思います。
 今後打ち上げが予定されているプロジェクトは、目白押しなんですね。
 例えば「SPRINT‐A」、これはイプシロンロケットで打ち上げる予定なんですが、初号機になりますが、金星、火星、木星の観測を目的としています。皆さんよく御存じの「はやぶさ2」、これは「はやぶさ」が探査した例の岩石質の小惑星イトカワとは異なる、水とか有機物に富むC型小惑星のサンプルリターンを行って、生命の起源に迫るというミッションを受けています。
 それから、Ⅹ線天文衛星「ASTRO-H」、これはX線によって宇宙の広域・高感度の観測を行って、宇宙の構造と進化に迫るということです。
 それと、ジオスペース「ERG」、これは太陽フレアが発生した場合、太陽フレアが出ると太陽から電磁波が発生するんです。これがどういう支障を来すのか、太陽の嵐といいますけれども、これに起因する高エネルギー電子を観測して、その生成過程を解明することで、一言で言うと宇宙天気予報の高精度化をするということです。
 これは、「Bepi Colombo」というんですけれども、欧州から打ち上げ予定なんですが、これは日本がESA(欧州宇宙機関)と協力をして水星の探査を行うということで、水星の磁場とか内部、表層にわたる総合観測を行って、水星の過去と現在に迫るということでございます。
 平成26年度の宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針では、これらの現行事業の円滑な実施に向けて必要な予算措置を講ずると、こういう方針を打ち出しています。
 宇宙科学研究所、これは確か東大の元宇宙科学研究所だったと思うのですが、それがいろいろ経緯を経て、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の下に行ったということなんですが、我が国の宇宙科学というのは、理学、工学、両分野の研究者が一体となって進めてきたという特徴があります。一言で言うと、実は、大学を含む全国の研究者たちの厳しい競争の中でプロジェクトが磨かれてきたと。だからおそらく高い評価を受けているんだと思うんですが、かなり競争の中で、選りすぐられてきたというところがあります。宇宙理学、宇宙工学委員会の検討を経てきたと。
 この結果、JAXAの宇宙科学研究所を中心とする宇宙科学のコミュニティは、NASA(アメリカ航空宇宙局)とかESAと並んで、世界の第三極の評価を受けていると。先程申し上げたとおり、多くのプロジェクトが世界で非常に評価を受けているということなんですが、我が国の宇宙科学・探査分野の競争力は、実は世界第3位と言われています。宇宙政策全般では、フュートロン社の2009年版の宇宙競争力指数というのがあって、我が国は世界第4位だということで、もう一回言いますが、「はやぶさ」を含めた多くのプロジェクトは世界的に高い評価を受けているということで、IT担当大臣ですから、やはり今回も動画を使わせていただきたいと思って、「はやぶさ」帰還の瞬間、皆さん何度も御覧になっていると思いますが、動画でお見せしたいと思います。
 「はやぶさ」は、皆さん御存じのとおり、小惑星イトカワでサンプル採取を行った後で、地球に向けて帰還を開始したということで、2010年3月27日、エンジンが終了して、4月4日、地球帰還に向けて精密誘導を開始しました。6月5日、覚えていらっしゃると思いますが、オーストラリアのウーメラ砂漠に見事帰ってきたと、こういうことです。
 これは、カプセル切り離しに成功した時の絵ですが、2010年6月13日。
 これは、「はやぶさ」が最後に送ってきた地球の画像です。これから再突入して行くんですが、22時51分、大気圏再突入ですね。これは頑張って耐えるわけですよね。こっちが本体ですか。本体は、確か燃え尽きてしまうということで、すごく光がきれいですが、本体は燃え尽きてしまって、このカプセルが地上に到達するということで、カプセルの回収、翌日の14日に行われました。オーストラリアのウーメラ砂漠です。
 この中に1,500個のイトカワ由来の素粒子が入っており、今でもこの解析が進んでいるということです。
 続けて、急いで地球環境観測衛星の方も紹介をしたいと思います。
 今、我が国で現在運用中の環境観測衛星は、CO2とかメタンなどの濃度分布を観測する「いぶき」、これは非常に評価が高いんですね。それから、水蒸気量とか海面温度とか降水量を観測する、水循環の変動メカニズムを解明する「しずく」、この二つがあります。本年度は、NASAとの共同開発でGPM衛星というのが打ち上げられるということで、日本が協力しているのは、このうちのDPRというセンサでございまして、このセンサは降水量の分布を観測すると、台風とか洪水予測に貢献をするということです。今後は、欧州との共同開発によって、EarthCARE/CPRとかGCOM-C、こういったものを打ち上げる予定ということです。
 なお、「いぶき」は、先程申し上げたとおり環境省の予算が一部充当されていますけれども、その他の衛星は文科省のJAXAによって開発されているということです。
 先程紹介した「いぶき」ですが、世界で最初の温室効果ガス専用観測衛星なんですね。ここに書いてあるとおり、非常に精度よく全地球を観測することができるということで、気候変動メカニズムの解明、CO2の排出量削減などの国際的な取組に貢献をしています。平成24年度には、「いぶき」の後継機の開発に着手をして、環境省、文科省、両省で応分の負担をするということになっています。
 せっかくですから、「いぶき」の観測データについても、IT担当大臣らしく動画を使わせていただきたいと思います。
 これはJAXAから提供を受けたんですが、月ごとの観測データなんですが、色が赤い部分ほどCO2濃度が高くなっているということで、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、夏になるとシベリア地域で草木が増えてCO2を吸収するので、濃度が低くなるんです。冬は、暖房などのため化石燃料を多く使用するので、主に北米あるいは中国、この辺でCO2濃度が高くなっていると。これは化石燃料の使用量が多いということですね。
 国立環境研究所による衛星データのCO2の全世界の分布、これが一番分かりやすいと思うんです。これによって全世界の地域ごとのCO2の濃度が分かると。先程言ったとおり、赤がCO2の濃度が濃いということで、「いぶき」の後継機だと観測点を10倍に増加するということなので、観測の精度がすごく向上すると思います。
 季節によって変わっていくんですよね。これは夏かな、緑が多くなるとこうやってCO2を吸収して、冬、暖房が必要になってくるとこうやって多くなってくる。やはりこの辺とか北米とか、化石燃料を使ってCO2を出しているところがよく分かると思います。こうやってデータをいろいろ組み合わせると、分かりやすい図になるということです。
 まとめ、とにかく、今御紹介したとおり、科学衛星・探査機というのは、円滑な現行事業の実施、一定規模の資金を確保して、世界最先端の成果を目指すということです。地球環境衛星は、我が国の環境政策への貢献の観点を含め、施策の選択と集中が必要だということになると思います。これは宇宙基本計画を見ていただくと分かるんですが、平成26年度の戦略的予算配分でも示されていますが、宇宙科学と探査については、一定規模の資金を確保すると。では、一定規模の資金というのはどのくらいなのかということで、今これは松井部会長による宇宙科学・探査部会で検討を進めていただいているということです。先程申し上げましたが、平成26年度は長期的なロードマップの検討を行いつつ、現行事業の円滑な実施に向けて必要な予算措置を講じるということになっております。
 地球環境観測衛星については、先程申し上げたとおり、より環境政策との連携をしっかり強めてもらいたいと。我が国の環境政策への貢献の観点を含めて、少し選択と集中が必要だということになります。
 ということで、2回にわたってお送りしてきましたが、今回でこの衛星シリーズを終了させていただきたいと思います。
 最後、これはリモートセンシング衛星の現状なんですが、確か中村さん(記者)から質問があったんでしょうか、情報収集衛星を使ったらどうかということなんですが、これを見て分かってもらえるように、安全保障と民生両用の商業衛星というのは日本はありません。ですから、情報収集衛星は、確か安全保障と防災も入っていたと思うんですが、これは商業ベースでは一切使えないので、民間はなかなか見られないということですから、やはり各国を見ると、こうして安全保障と民生両用の商業衛星というのもありますので、その部分をしっかり補完をしていきたいと。こういう複数機から成るコンステレーションを各国は持っていますから、ASEAN防災ネットワークで、もう一度申し上げますけれども、民間事業者が主体となってデータをしっかりととれる、商業活動を行えるような状況にしていきたいと思っております。
 なお、我が国の情報収集衛星、ちょっと言っておきますが、正確に言いますけれども、平成10年の閣議決定で、先程言いましたが、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として、保全を図った上で運用しています。ただ、商業目的では利用しないものということになっております。
 以上です、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の大野です。今の宇宙とは関係ないので恐縮なんですけれども、昨日、与那国町で自衛隊の用地の賃貸借契約を結ぶ決議がされました。島の賛成住民の大きな理由の一つが、島の振興ということだったと思うんですけれども、沖縄の振興を担当する大臣として、今後期待されるようなことがもしあればお願いします。
(答)これは防衛大臣の所掌なので、特にコメントはありませんが、防衛大臣が言ったように、それ自体はいいことだと思います。
(問)科学新聞の中村です。先程の安全保障と民生両用の商業衛星、そのためには、多分各国で整備しているスパイ防止法というか、そういった法律も必要になるかと思うんですが、そこら辺についてはどのようにお考えですか。
(答)そこまでは、まだ深く議論はしていませんが、将来的にはいろいろな議論が必要になってくるでしょうね。
(問)すみません、質問がないようなので、関係ないことで恐縮なんですけれども、大臣は、かりゆしウエアを閣議の時も着ていたと思うんですけれども、大臣の中で、かりゆしウエアの脱着の基準とかはあるんでしょうか。
(答)本当は、前も申し上げたとおり、ずっとクールビズでいたいし、ずっとかりゆしウエアでいられればと思うんですが、やはり本会議があると、ジャケットを着なければいけなかったりするものですから、まだ基準は決めていないんですが、様子を見ながら考えたいと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:677KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)