山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月14日

(平成25年6月14日(金) 10:01~10:20  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 本日の閣議におきまして、新たなIT戦略となる世界最先端IT国家創造宣言が決定されました。私からは閣議の場で、それぞれのポイントを述べるとともに、IT総合戦略の主導の下で、政府CIOを中心に政府一丸となって、この世界最先端IT国家創造宣言を強力に実行していくために、関係閣僚の皆様の御協力をお願いいたしました。
 それから今日、IT総合戦略本部は持ち回りで開催いたしまして、この最先端IT国家創造宣言に基づく工程表と電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ、こうしたことも持ち回りで決定されました。オープンデータとかビックデータの利活用の推進、これは世界最先端IT国家創造宣言において、新産業、新サービスの創出の観点から非常に重要な取組と位置付けられていまして、今日はこの場で後程今後の具体的な取組について簡単にプレゼンテーションを行いたいと思います。
 本日の閣議で、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針と日本再興戦略、すなわち成長戦略が決定されました。こうした取りまとめに当たっては、私の関係部局にも大変一生懸命やっていただきましたし、私としてもこれまで経済財政諮問会議、産業競争力会議等の場でたびたび意見を表明させていただきました。調べてみたら27回発言しています。詳細はお話しできないんですが、関係閣僚間においても積極的に調整をさせていただいて、自分が担当する分野については多くの重要施策を盛り込むことができたと、ほとんどのポイントが盛り込めたのではないかと思います。
 具体的に言うと、例えば科学技術関係予算の戦略的策定を含む総合科学技術会議の司令塔機能強化、それから新たな制度創設を視野に入れた研究開発法人の機能強化、研究開発法人については来週プレゼンをさせていただこうと思っています。
 宇宙インフラの安全保障・防災等への活用のための衛星の整備・活用、これも入りました。それから、世界最高水準のIT社会実現のためのオープンデータ、電子行政、通信インフラの整備、これも入れていただきました。それから、海洋について言うと、洋上風力等の海洋再生エネルギー、メタンハイドレート、海洋資源の開発、これも入れていただきました。それから、知財についても、研究成果を実用化し、市場獲得につなげるための知財立国を目指した知財戦略、標準化戦略の推進、これも入れていただきました。
 とにかく所掌が多いのでたくさんあるんですが、沖縄について言うと、国家戦略として特区制度の活用を図った沖縄振興策の推進。沖縄アズ・ア・ホールとしてきちんと成長戦略に組み込んでいくという趣旨のことを盛り込んでいただきました。こうしたことについては、担当大臣としてこれからしっかり取り組んでいきたいと思います。細かい発言の部分は省略させていただきます。
 ということで、今日は、簡単にオープンデータ推進のためのロードマップについて御説明をさせていただきたいと思います。IT戦略の話はしましたけれども、今日は少しオープンデータのところを取り出したいと思います。
 先程申し上げたとおり、このロードマップ、IT総合戦略本部、持ち回りだったんですが決定しました。オープンデータ推進の背景、意義はいちいち申し上げません。公共機関の保有データを加工しやすい形で公開する。それによって横断的に情報を組み合わせる中から新しい産業とか、新しいサービスを生み出すということです。これによって経済の活性化、国民生活の向上等に貢献しようということです。
 この具体的な取組なんですが、二次利用のルール、整備とか、機械判読に適したデータ形式、これはものすごく大事です。二次利用できないと意味がないので、この公開を拡大するということと、データカタログ、ポータルサイトの整備ということです。
 これはデータカタログのポータルサイト、データの横断的検索、自動的提供の機能等を備えたデータカタログを整備するとロードマップに書いてあって、平成25年度中に試行版の立ち上げを行い、平成26年度に本格運用開始をしたいということです。
 取組全体としては、平成27年度末で、他の先進国と同水準のオープンデータの公開利用を実現する。平成27年度末に追いつきましょうということを目標にしています。
 これは複数の機関に所在するデータの案内や横断的検索機能を備えたポータルサイト、データカタログサイトということなんですが、これはメタデータというんですが、データの前の段階というかもう少し大括りというか、例えばいろいろな条件を入れるわけです。こういう切り口の情報が欲しい。何年度に作られたものが欲しいとか、そういういろいろなことを入れると、このデータカタログサイトでカタログが出て、必要があればそこに簡単に飛んでいけるということです。いろいろな切り口でいろいろなところから情報が集められるという仕組みだと思います。
 あまり細かく言う必要はないと思うんですが、アメリカはオープンカタログサイトを持っていまして、最近こんなデータが公開されましたとか、ライセンスの話とか、ダウンロードできますとか、こういう形でデータに関する説明、メタデータですが、こんな感じで今アメリカではオープンデータカタログサイト、ガバメントと書いてありますけれども、きちんと作られています。
 これはイギリスの例ですが、いちいち説明しませんが同じようにデータの検索があって、メタデータがあって、ライセンスがあって、最近こんなデータが公開されました。アメリカと同じように少し位置は違いますけれども、ダウンロードもできます。こういうものを日本でもきちんと整備していきたいと思っています。
 もう一つ、ちょっと今日申し上げたいのですが、今回のIT総合戦略本部の中に、パーソナルデータの取扱に関する検討会というのを作りたいと思います。名前はまだ決めてないんですが。
 ビックデータ、いろいろな分野におけるデータを集めることによって、いろいろな可能性、産業が生まれたり、新しいサービスが生まれたりということなんですが、実は世界各国で同じ状況だと思いますが、ビックデータの利活用推進というよりもIT利活用の裾野を拡大するために、一番のネックはなんと言っても個人情報保護、プライバシー保護との両立です。欧米でも同じだと思います。きちんとしたルールを作らなければいけない。プライベートデータ、いわゆる個人情報、プライバシー保護をしっかり担保しつつ、しかしどうやって利活用できるのかということをやらないと実はIT利活用の裾野は広がらない。ここが新しい成長戦略の起爆剤になれるかどうかという肝だと思います。
 ということで、この検討組織の設置を今日決定しました、IT総合戦略本部で。これは、閣議決定とは別に持ち回りで、IT総合戦略本部で決めました。まだ名前は考えてないんですが、例えばパーソナルデータに関する規制制度改革アクションチームとか、これは私がなんとなく頭にある名前を言っただけなんですが、パーソナルデータだけではないんですが、やはりIT利活用を進めるための規制改革について、きちんと議論するアクションチームを立ち上げたい。データ利活用のルールとか、パーソナルデータに関する制度見直し方針、他にもやるかもしれませんけれども、一番当面やらなければいけないのは、このパーソナルデータの問題だと思いますが、この制度の見直し方針を年内に作りたいと思います。もちろん規制改革会議でいろいろな議論があると思うんですが、こちらの方から少し打って出て、こちらからどんどん球を投げるということで少しIT利活用を進めていきたいと思います。
 これだけですが、2行ですが、「オープンデータ」、「ビックデータ」は新たなIT戦略の柱ということで、ロードマップに基づいて取組を本格化させる。先程言ったカタログです。ビックデータについては、このパーソナルデータの取扱いを整理して活用を促進する。オープンデータもビックデータもロードマップに従ってしっかりIT総合戦略本部がリーダーシップをとって進めていきたいと思います。以上です。
 来週ぐらいから主張する記者会見にギアを上げていきたいと思います。何か今日のことでも、他のことでも御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。日本版NIHの創設について、関係学会がいろいろ共同声明を発表しているんですけれども、それについての受け止めを。
(答)関係学会のいろいろな発表は全部読んでいないんですが、とりあえずはっきりしていることは、本格的な詳細な制度設計はこれからなので、これをきちんと見極めた上でいろいろ議論させていただこうと思っています。以前から申し上げているとおり、NIHの創設自体は前向きに受け止めています。そことはしっかり総合科学技術会議は連携を取っていかなければいけない。これに尽きるのではないかと思います。
(問)いろいろな情報があまり出てこないのが、みんなを不安にさせていると思うんですけれども、検討自体ももうちょっとデータをオープンにするやり方とか、いろいろな有識者の意見を聞くとか、何らかのそういうことは大臣としては官房長官にアドバイスするとか、そういうことは考えていますか。
(答)それは官房長官の下でやっていますから、特に私が口を差し挟むことはないと思いますけれども、いずれにせよ、議論が煮詰まってくれば、詳細な制度設計が出てきますから、その時点で、それはもちろん前向きに受け止めますけれども、連携をどうやっていけばいいのかという、最も効率的な国益に資する連携みたいなものを考えていきたいと思います。
(問)NHKの小暮と言います。宇宙の関連なんですけれども、先日、中国の方で打ち上げに成功しまして、中国独自の国際宇宙ステーションの建設が着々と進んでいるような感じを受けています。一方で、日本のこの間の宇宙基本計画を見ても、ISS(国際宇宙ステーション)への縮小というのが明記されていまして、力を入れている国もあれば、日本のように今後縮減というような動きがあります。これについてどういうふうに大臣は受け止めていらっしゃいますか。
(答)中国の話は中国の話なので、それはそれでいいと思うんですが、日本もISSについては、アメリカからの要請を受けて参加していくという流れになっているので、これは粛々とやっていけばいいと思います。今回の宇宙基本計画でやはり宇宙産業の競争力強化、こういうものにも力を入れていこうということになっていますから、それはバランスだと思います。特に、その中でおっしゃったとおり、相当のお金をかけていますから、それはそれで圧縮する努力をしなければいけないと思うんですが、それとISSに対しては協力の方向で考えていくということはまた別のことかなと思います。
 どのように宇宙政策を進めるのが国益に資するか、日本の宇宙政策分野における競争力の強化に結びつくかということを日本のパースペクティブでしっかり考えてやっていけばいいのだと思います。
(問)今回、宇宙基本計画を見ても、産業振興、防災、安全保障が柱になっていて、有人のところというのがあまり明記されてない部分が多かったり、はっきりしていないところもあるんですけれども、人を乗せて宇宙まで有人輸送するようなことについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
(答)それはそれでもちろん意味があると思います。宇宙科学フロンティアの話も基本計画の中に入っています。有人飛行の話も入っています。それはそれできちんと資源配分すると書いてあります。ただ、今回、安倍内閣で決まった宇宙基本計画はやはり宇宙の利用拡大と自律性の確保というのが2つの柱になっていますから、フォーカスはきちんとそちらに当てていけばいいのだと思います。
(問)時事通信の浅見です。国境離島の保全、管理及び振興のあり方に関する懇談会   についてお伺いしたいんですけれども、先日、中間報告の素案みたいなものについてお話しになったと思うんですけれども、ちょっとそちらを見てもちょっと中間報告がどういう方向になるのか。今後の方向の行方とか、今までの議論が総花的だったというような印象が否めないと思うんですけれども、改めて大臣の方からも中間報告はどういう形になりそうかということをお願いします。
(答)まず、今議論中なので、まだ案の案の段階ぐらいなので、これから取りまとめを座長にお願いするということになると思うんですが、中間報告というか、第1弾ですから、とりあえず今喫緊に議論しなければいけないことについて議論して、多分まとめるという形になるのではないかと思います。取りまとめはもう座長にお任せしたいと思っています。ここから何回かかなりまとめの議論に入っていくのではないかと思います。今まで幅広い分野で議論が出ていると思いますが、あまり中身について言うとまずいんですけれども、幅広い議論が出ているところをこの間初めて取りまとめでだんだん方向性を絞ってきたので、あと1回か2回、もう1回ぐらいやるのでしょうか、その中で委員の方々の意見も含めて提言になっていくのではないかと。
 中身は有識者の委員の方々にお任せをしているので、その中で例えば離島の管理等々に関して言うと、例えば法律を作るべきなのか、作るとしたら議員立法なのか、それとも閣法(内閣提出法律案)がいいのか、どこまでどう出てくるかというのはわかりませんが、少しはっきりした方針が出てくればいいなと個人的にはそう思っています、それはもう有識者の方々の議論にお任せしたいと思います。
(問)朝日新聞の大野です。6月23日の慰霊の日に、今回初めて外務大臣と防衛大臣が参加する予定ということになっているんですけれども、この閣僚が今回初めて多く参列するということに対しての沖縄担当大臣としての率直な受け止めとまた山本大臣自身が参列されることの意義を改めて教えていただけますか。
(答)私は沖縄担当大臣ですし、歴代の担当大臣ももちろんみんな行っていると思います。沖縄担当大臣として行くのは当然だと思っていますから必ず行きます。他の大臣が行くというのは正式に聞いていないので、今の段階ではコメントを差し控えたいと思いますが、まだ正式に決まっているとは聞いていないし、行くという連絡もないので、そこはわからないです。
(問)ライターの藤井と申します。パーソナルデータの検討会議は、これは個人情報保護、プライバシー保護法の修正だったり、運用ルールを検討するといったところまで踏み込んだものになるのでしょうか。
(答)それはまだ議論を始めてみないとわからないですが、とりあえずはっきりしていることは、委員は私が任命するということになるので、人選もしっかりやって、できるだけ早く立ち上げたいと思っています。おっしゃったように、ルール作りの中でいろいろな議論が出てきますから、今、おっしゃったようなところまで、議論の中では出てくるんですが、何をどこまでやるかというのはきちんとチームを作ってから考えたいと思います。
(問)別件なんですけれども、知財政策の基本方針を出されたと思いますが、コンテンツに関して、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)の早期発効及び参加拡大という項目があったかと思います。こちらは管轄が明確でないという指摘があったり、インターネット上の言論の自由を縛る危険性という懸念が挙がっていたりするんですけれども、こちらは海賊版対策というところと言論の自由の折り合いというところを大臣はどうお考えですか。
(答)これは本部員の方々がいろいろ議論して出した方向なので私としてはその方向でいいのかなと思うんですけれども、今のお話、ACTAの話、少し誤解のある部分もあるのではないかと思うので、なぜそういう方向を打ち出しているのかというのはもう少し説明していくべきだと思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:472KB)

(以上)