山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月11日

(平成25年6月11日(火) 10:07~10:31  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 最初にまず御報告したいと思いますが、本日の閣議において、沖縄振興特別措置法施行令の一部改正が決定されました。中身ですけれども、沖縄振興開発金融公庫が実施するベンチャー出資業務、これを安定的に実施するための必要な予算が平成25年度予算で6億円措置されたということで、当該業務に充てる公庫の資本金の額をこれまでの25億円から6億円増強し合計31億円としたと、こういうことです。
 それからもう一つ。6月7日、オランド大統領訪日に同行して来られたフランスのフィオラゾ高等教育・研究大臣と、フランス大使館で会談をいたしました。会談で、先般閣議決定された科学技術イノベーション総合戦略の話を私の方からさせていただきまして、フィオラゾ大臣の方から、この5月に決定されたフランス・ヨーロッパ2020というのがあって、これはフランス側の戦略なんですけれども、これについてお話があって、意見交換をさせていただきました。
 それから、会談後は、フィオラゾ大臣とともに第8回の日仏科学技術協力合同委員会に出席をして、挨拶をさせていただきました。日本とフランスの間では、これまでも研究者の交流、ライフサイエンス、エネルギー、環境、ICT、ナノテクノロジー、宇宙開発、いろんな分野で科学技術協力を活発に行ってきておりまして、こうした交流で日仏の科学技術が更に発展していくことを期待しています。スピーチの中で、群馬県の富岡製糸工場の話もさせていただいて、ここはフランス人技師のポール・ブリューナ技師の協力でできたということで、世界遺産の暫定リストにもなっているということも宣伝をさせていただきました。
 それからもう一つ。これも既に発表されていると思いますが、宇宙担当大臣として申し上げたいんですが、三菱重工とアリアンスペース社のロケット打ち上げに関する協力覚書の締結です。6月7日の金曜日に安倍総理とオランドフランス大統領の首脳会談が行われましたけれども、その機会を捉えて、三菱重工とフランスのアリアンスペース社、ロケット打ち上げに関する協力覚書を締結いたしました。日仏共同声明「安全保障・成長・イノベーション・文化を振興するための「特別なパートナーシップ」」の中でも、両首脳から歓迎の意が表されたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
 世界の商業打ち上げ市場は、限られた打ち上げ機会を多くのサービス事業者、ヨーロッパ、ロシア、アメリカ、中国、インドが受注を争う、大変激しい競争の場になっています。宇宙政策委員会の宇宙輸送システム部会でもアリアンスペース社の話を聞いたんですが、日本企業との連携の希望というのは寄せられておりまして、今回、日仏企業の相互利益に資する協力覚書が締結されたと。これは、日本の宇宙政策推進の立場からは非常にポジティブなことだと考えています。こうした取組が我が国宇宙輸送システムの効率的な自律性の確保、これは宇宙基本法でもうたっていますけれども、この自律性の確保に寄与することを期待しております。
 ということで、実は今回は当初、研究開発法人についてプレゼンをやらせていただこうと思ったんですが、もう少し準備が必要なので、記者会見のギアチェンジは来週ぐらいからにさせていただきたいと思いまして、その間、宇宙についてプレゼンをさせていただこうと思っております。
 それで、少し丁寧に説明したいと思うんですが、我が国の衛星システムというのは、今日、実用衛星と科学衛星・探査機等と、大きく言って二つあるんですが、両方紹介すると多いもんですから、その1、その2に分けて、簡単に御説明したいと思うんです。
 ものすごく簡単に言うと、今日のプレゼンのポイントは何かというと、大体、衛星は技術開発・試験衛星から始まるわけなんですが、それを実用衛星に向けていかなければいけないということなんです。このプロセスがやはり今まで不十分だったと。今までいろんな技術開発のための試験衛星を上げたんですが、そこがどういう産業化、あるいは競争力の強化に結びついていくかという、受け皿がなかなかなかったと。こういうサイクルを安倍政権の下では是非作りたいと思うんですね。技術開発・試験衛星がやはり実用衛星になっていくと。しかし、ここで終わりじゃなくて、更にまたこの実用衛星になって、出口を見据えた研究開発の継続というのが必要になってくるので、こういうサイクルをきちっと確立したいと。この哲学を貫いていきたいと思うんです。ですから、準天頂衛星でもそうですし、これから我々が考えているASEAN防災ネットワークという、はっきりまだ名前決まっていないんですが、こういう衛星のコンステレーションでもそうですし、ここがキーかなと。こういうサイクルを作るということがやはり一番のキーだと思います。
 あまり細かく説明しませんが、測位衛星、リモセン衛星、通信・放送衛星とあるわけなんです。
 測位衛星は、これは衛星からの信号を受信するということで、地上の位置を特定する技術。これは皆さんもう御存じだと思いますが、この信号というのは光の速度で衛星から地上に発信されるんです。この信号を活用して、三次元情報と時刻の誤差情報の四つのパラメータで計算をするということで、それで衛星は最低4機が必要だと、このように言われていまして、この中に極めて高度な原子時計が内蔵されていて、この時刻情報が信号に伝達されるということで、これを利用して、測位とかナビゲーターだけではなくて、金融市場の時刻同期にも活用されているということです。代表的なのが準天頂衛星だと思います。
 リモートセンシング衛星は、これは光学衛星とレーダ衛星に分けられるんですが、光学衛星は、ここにデジタルカメラがついているので、これは福島だと思うんですが、かなりきれいな、くっきりとした画像が映るということですが、レーダ衛星の方は、これは自ら地球に向けてレーダを照射して、はね返ってきたものを感知するということで、雲があっても、悪天候でも、ジャングルの中でも、地形の凹凸とか状況を調べられるということです。そういうことを観測できるということです。
 通信・放送衛星については、これは、いつものとおり動画を用意していますので、このプレゼンテーションでは動画がとても大事なので、そこでまた御説明していきたいと思います。
 この測位衛星からいきますが、先程申し上げたとおり、技術開発、実用という、そのサイクルを作ることが非常に大事なんですが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が平成22年に、これは皆さん御存じだと思うんですが、「みちびき」、これは準天頂の初号機ということで、この「みちびき」を運用して、実証実験を今行っているということですね。この「みちびき」を今、内閣府が行っている準天頂衛星システムというものにきちっと結びつけていきたいと思っていまして、2010年代後半だったでしょうか、これが一応4機体制を整備するということの目途、これは閣議決定、既になされているんですが、7機体制も将来目指していくと。なかなかいつぐらいまでにという道筋を示すのは難しいんですが、宇宙担当大臣としては、これについてもある程度の目途が示せるように、ロードマップを示せるように努力をしていきたいと思っています。これも、測位衛星は、皆さん御存じのとおり、宇宙は民生とそれから安全保障と両方ありますけれども、安全保障に深く関わっていますから、これはもう各国もやっているんです。アメリカ、中国、欧州、ロシア。中国は「北斗」16機、将来35機を目標に整備しているということです。日本は4機体制をまず2010年度代後半までにやって、将来は7機体制、これで自己完結型というか、自律機能を確保できる7機体制に向けていきたいということです。
 それから、リモセン。リモセンも、今「だいち」、JAXAが「だいち」を持っていて、経産省が「ASNARO」を持っているということで、これは今開発中で、打ち上げは両衛星とも本年度中に予定をしているということですね。両方とも先程申し上げた技術開発・試験衛星であって、これをどうやってこれから実利用に結びつけていくのか。サイクルが大事なんです。我々はASEAN防災ネットワークに貢献する防災衛星ネットワークに結びつけていきたいと。これは内閣府を中心にやらなければいけないと思っています。これは内閣府がやるべきだと思っていますが。ベトナムは日本製の小型衛星を利用ということで、ODAで供与するということ、供与が決まったんですが、こんな流れになっているということですね。実は、JAXAの前身である旧宇宙開発事業団の時代には、気象衛星「ひまわり」の開発を行った気象庁、利用官庁と共同でやってきたんですね。共同でやってきたので出口があったんですが、この「ASNARO」、それから「ALOS」、これは出口である実用衛星へのシナリオがなかったと、先程申し上げた部分で。そのシナリオをきちっと作っていかなければいけない、ここが一番大事なんだと思うんです。内閣府では、安全保障・防災に資する衛星として、このASEAN防災ネットワークというものをここでしっかりと立ち上げたわけで、こちらに結びつけていきたいと思っています。海外の状況を見ていれば、これも当然ですけれども、測位衛星と同じように、各国が複数機からなるリモセン衛星のコンステレーションを整備していまして、我が国においても、やはり防災と安全保障のための衛星ネットワークの整備というのは極めて重要だと思っています。
 これは通信・放送衛星ですね。これも70年代から80年代にかけては気象衛星と同じように、旧宇宙開発事業団が電電公社とかNHK等と共同で通信・放送衛星の開発を行ったり、あるいは「きく8号」は三菱電機が標準衛星バスを開発した例ですけれども、技術開発の成果というものは今の民間・政府における実用衛星に活かされていたと。つまり、受け皿があったんです、こういう時代には。皆さんも御存じだと思いますけれども、通信・放送衛星の事業というのは、基本的に商用マーケットというのが確立していまして、大体衛星市場といったら、これで8割を占めているということになっています。残念ながら、これも御存じだと思いますが、我が国はどうかというと、この衛星製造事業者の通信・放送衛星の受注実績、国内は1機、海外4機です。国内1機はスカパーなんですね。1機しかないですね。海外4機ということで、衛星メーカーのやはり国際競争力の強化というのが非常に大事だということで、もう一回言いますが、通信・放送衛星についても、やはり出口を見据えた実用化、そして更に研究開発のサイクル、こういうものをしっかり確立していく必要があるんじゃないかと思います。
 いつも、IT担当大臣なので、必ず動画を使うようにしているんですが、今回も動画をしっかり仕入れてきましたので、お見せをしたいと思います。
 これが通信衛星。スカパーのJSATからお借りしてきたんですけれども、いかにもIT担当大臣のプレゼンという感じになってきましたが、通信衛星は高度3万6,000キロに位置する、静止軌道に位置しているので、これは止まって見えるということですね。スカパーの運用する衛星の位置がここで示されるんですが、アジアに重点的に配備をしているんですが、北米などにも衛星を配置しているというのが出てきます。こういう感じに広がっているわけですね。相当の大きさになると思うんです。これは先程申し上げたとおり、今2013年4月現在でこれだけということですが、アジアとか北米などにも衛星を配置しているということです。
 衛星を利用した放送サービスの特徴ですが、映像、音声、データ、大容量の情報を、地上回線を経ないで、日本全国の家庭などの最終ユーザーに向けて一斉に配信できるということなんですね。これから多分出てくると思います。一斉に配信できると、地上のシステムを使わずにですね。
 地上の放送局から通信衛星に向けて送られた電波、これはアップリンクというんですが、電波を受信した衛星が地上の受信局に向かって今度は送り返すんです。これはアップリンクと言われています。これを送り返す、これを受けてダウンリンクと。実は、3万6,000キロメートルもかけてやってくるので、電波はすごく弱いんです。とても弱いので、アップリンクのデータは、衛星内部で増幅して送り返すということで、小さな家庭のアンテナでも受信できるということですね。
 今回も宇宙戦略室の総力を結集して、何とかこの動画を手に入れてまいりました。次回も必ず動画を使わせていただきたいと思っています。
 まとめですが、今日は実用衛星やらせていただきましたが、測位衛星とかリモセン衛星、今御覧に入れたように、国が中心となって社会インフラとして整備をすると。継続的な技術開発は必要だと。このサイクルを作らなければいけないということです。通信・放送衛星は、これはもう民間が整備するということで、先程申し上げたとおり、市場の8割を占めていますから、ここで相当民間のメーカーにも頑張ってもらって、競争力をつけていってもらわないといけないということで、国は技術開発等で支援をするということでございまして、次回は科学衛星・探査機について御説明をさせていただきたいと思います。
 この科学衛星・探査機の話が終わったら、そこら辺から少し政策に踏み込んだ記者会見に来週ぐらいからギアチェンジ、ギアアップしていきたいと思います。最初は研究開発法人について、少しやらせていただこうと思います。
 今日のプレゼンは以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。どうぞ。

2.質疑応答

(問)ASEAN防災ネットワークの話が出ていたんですけれども、今までもリモセン衛星としては、情報収集衛星が今、内閣官房で動かされていると思うんですけれども、そこで得た知見の、全部じゃなくて、安全保障に係るというか、出せないものがあると思うんですけれども、一部については研究開発にフィードバックしていくようなことは考えているんでしょうか。
(答)そこはこれからどういう形になるかというのは、よく議論していきたいと思います。ASEAN防災ネットワークは構想としてあるんですが、どうやって具体的にやっていくかというのは、少し細かいところはこれから詰めていきたいと思います。そういういろんな問題も含めて、どういうデータをどう使っていくかというのも含めて、これから具体的に議論していきたいと思います。
(問)あともう一つ、来週の研究開発法人のやつなんですけれども、あれについては多分、財務大臣、総務大臣、行革担当大臣、ここら辺の了解は必要だと思うんですけれども、そこら辺についての見通しというのは、大臣としてはどうでしょう。
(答)それはこれからの議論なので。いずれにせよ安倍総理の方からは、世界最高水準の研究開発法人、新しい研究開発法人を作るという指針が示されていますから、それを踏まえて、どういう方向性になっていくのかというのは、やはりこれから政府内で議論をしていくということだと思います。
 来週、その辺のことについては、たっぷりでもないんですけれども、ちょっと今考えていることも含めて発信をさせていただこうと思いますので、来週も必ず来ていただければ。
(問)読売新聞岡部です。来週というお話がありましたが、研究開発法人の関係なんですが、先週、通則法の下ではなくて外すべきだというお話あったかと思うんですけれども、あれは、今の独法の制度から外して、新しい研究開発法人としての制度を立ち上げるべきだという、そういう、大臣としては。
(答)それも来週、よく頭を整理して発信させていただきたいと思いますが、それは、それぞれやはり立場があって、行革には行革の立場もあるし、財務当局には財務当局の立場もあるし、それも十分に分かりますが、これはだから、成長戦略のコアとして科学技術イノベーションを位置付けたということを踏まえて、やはりこれからきちっと議論していきたいと思います。私の考え方の大きな方向性はこの間申し上げたとおりですけれども、もう少し具体的に、来週の記者会見で少し発信を始めたいと思います。
(問)琉球新報の松堂といいます。尖閣諸島の領有権についてお伺いします。
 先の米中首脳会談で、尖閣諸島の領有権を主張した中国側に対して、アメリカのオバマ大統領は、日本の同盟国であるにもかかわらず、領有権を主張しませんでした。大臣はこれまでずっと日本固有の領土であるということをおっしゃっていますが、中立の立場をとり続けたアメリカ側の対応に対してどういった見解をお持ちか、お聞かせください。
(答)米中首脳会談での話は、あまり細かい具体的なことについては、コメントは避けたいと思います、他国の首脳会談なので。
 ただ、尖閣が日本の領土だということは、もう何度も言っていますが、国際法上も歴史的にも、100%間違いないということで、あそこには領土問題は存在しないと、そもそも、こういう姿勢は従来どおりだと思います。私は、アメリカは、個々の首脳会談での言葉はどうのこうのというのはあると思うんですが、日本の立場を理解していただいていると信じています。
 それからもう一つ申し上げると、改めて言いますが、力で現状を変更しているのは100%中国側だと。こういうことも領土担当大臣としては改めて申し上げておきたいと思います。
(問)アメリカの中立の立場というのは、じゃ、容認するというお考えでよろしいでしょうか。
(答)容認するも何も、首脳会談での発言のやりとりについては、コメントは避けたいと思いますが、容認も何も、アメリカは日本の立場を理解してくれていると私は信じています。
(問)ITの関係なんですけれども、この間、IT戦略、閣議決定して、その中で情報セキュリティについては菅さん(官房長官)のところのやつでやると。その報告書の方では、電気通信事業法の守っている通信の秘密よりも、安全、ITの、情報セキュリティの方を優先すべきじゃないかという、そういう議論もあって、電気通信事業法の、憲法で保障されているはずの通信の秘密みたいなものが、情報の安全性という観点からは、ちょっと変えられるんじゃないかというような解釈もあるんですが、大臣としては、情報、つまりウイルスとかなんとか、そういう情報社会の安全性と、あとそういう通信の自由みたいなことと、そこら辺のバランスについてはどのようにお考えでしょう。
(答)なかなか難しい議論だと思うんですよね。NISC(内閣官房情報セキュリティセンター)の中でもいろんな議論があって、その中身は主にやはりNISCの中でやっているので、もちろん報告書が決まった時は私もいましたけれども、それはむしろ官房長官に聞いていただいた方がいいと思います。
 一言言わせてもらえば、それはどこにでもある問題だから、それは世界各国である問題だから、こういう話もきちっと議論していかないといけないんだろうと、一般的にはそう思います。
(問)毎日新聞の齋藤と申しますが、アリアンスペース社と三菱重工の協定の件なんですけれども、具体的にどういうことを協力して、いつまでに何を作るとかということは決まっているんでしょうか。
(答)これは、本当に細かいことは事務局からも聞いていただければとも思いますが、まず、協定の中身、協力の覚書を締結したんですけれども、協定の中身は、一つはビジネス協力実現可能性の検討ということで、商業打ち上げ協力、共同提案とかバックアップ提案とか。例えば種子島と、それからどこだったか、ギアナで、何かものすごく混んでいたら、打ち上げサービスをお互いに融通し合うとか、そういうことだと思いますが。受注活動についても協力できるものがあれば、これを少し協力するということだと思います。
 アリアンスペースはとにかくこの業界ではものすごい力がありますから、そのアリアンスペース社とこのような協定を結ぶというのは非常に意味があるのではないかなと思います。 

(事務方)ロケットが、1社が対応できない時に、もう1社がサービスを提供し、顧客に不都合を生じないようにしましょうということ。

(答)受注活動の協力というのは、協力できるものがあれば共同でお客様にということですよね。

(事務方)当然、はい、セールスしていこうということを、そういう実現可能性を検討すると。両社からプレス発表がホームページに出ておりますので、詳しくは両社のホームページを御覧いただければと思います。

(答)よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:384KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)