山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月28日

(平成25年5月28日(火) 10:20~10:38  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日は、閣議後の閣僚懇で発言をいたしました。CIO法案について、このCIO法案で政府CIOが置かれると、内閣情報通信政策監、このIT政策を推進するための高度な総合調整を行う府省横断的な計画の作成を行うIT総合戦略本部の事務の一部を委任を受けて行う権限が付与されるということで、今、取りまとめを行っている「世界最先端IT国家創造宣言」を推進する司令塔としての役割を担っていただきたいと思っているので、ぜひ関係閣僚の皆様の御協力をお願いしますということを申し上げました。閣議についてはそのような感じです。
 それから、今日の午後4時40分から第1回目の「駐留軍用地跡地利用推進協議会」を開催いたします。沖縄担当大臣の私の他、沖縄県知事、関係6市町村長が出席することになっております。この協議会は、昨年の跡地利用特措法の改正によって、新たに創設されたものであり、先般4月5日に、嘉手納以南の土地の返還に関する統合計画が公表されたことを踏まえて、地元とも相談し、この度協議会を設置することにいたしました。協議会において跡地利用の推進に関して、地元の皆様としっかり意見交換をしていきたいと考えております。
 さて、今日もパワポを使って、宇宙の話をさせていただきたいと思います。日本とカナダの官民宇宙合同協議の話をさせていただきたいと思います。今日も後で動画を使わせていただこうと思っています。
 本年5月1日に、日加官民宇宙合同協議というものがカナダのオタワで開催されました。これが内容ですが、今回の日加官民宇宙合同協議のきっかけは2012年3月に宇宙政策担当大臣、文科大臣、カナダの国際貿易大臣との間で署名された宇宙協力の促進に関する協力文書です。この協力文書において内閣府の宇宙戦略室とカナダの宇宙庁、CSAと言うんですが、ここが共同議長となる日加宇宙合同会議の開催が決定されました。
 これまで、我が国とカナダはいろいろな分野で協力を行ってきました。カナダは特にISS(国際宇宙ステーション)のロボットアームを用いて、日本の「こうのとり」のISSへのドッキングを支援しています。まさしく日加宇宙協力によって、ISSへの物資供給が実は可能になっているということですが、次のスライドでこのロボットアームによるISSへの「こうのとり」のドッキングの様子について、動画を御覧いただきたいと思います。
 ほとんど動いてないように見えるんですが、動いているんです。非常にゆっくりしたペースなんですけれども、昨年7月21日に打ち上げられた「こうのとり」3号機から、そのパレットに搭載された物資をカナダのロボットアームで取り出す際の映像で、このパレットは船外実験装置とかISSのバッテリーを輸送するための荷物台ということで、このパレットで「こうのとり」はスペースシャトル退役後、ロシアのソユーズとかプログレスとか、欧州の物資補給船ATⅤでは運ぶことのできない船外物資を輸送できる唯一の手段になっていまして、ISSの運用利用に不可欠な役割を担っています。
 なお、ロボットアームは宇宙空間では非常にゆっくりとした速度で移動していますので、ちょっと早回しにしています。これがパレットなんですけれども、ここにいろいろ、バッテリーとか実験装置みたいなものが、この「こうのとり」の中に入っています。それを取り出して、宇宙ステーションにくっつけようという作業です。よく見ると動いているんです。
 これも先程と同じく「こうのとり」の3号機で、「こうのとり」はISSに物資を補給した後で、ISSで不要になったものを搭載して、今度は大気圏に再突入して燃え尽きる。このロボットアームでまたグッと押し出されて、ここからワーッと地球に向かって行き、再突入して燃え尽きる。ISSからの分離もカナダのロボットアームで切り離されているということで、このロボットアームの動きが非常にゆっくりしたものだということがこれで御覧いただけると思います。
 ちょっと最初の動画はこれくらいにして、次に官民宇宙合同訪加ミッションについて御紹介したいと思います。今回のミッションには宇宙戦略室をヘッドとして、五つの政府機関と九つの宇宙関係企業、総勢22名が参加しました。あえて書かせていただきましたけれども、JAXA(宇宙航空研究開発機構)もそうだし、SJAC(日本航空宇宙工業会)、三菱電機、三菱重工、IHI、IHIエアロスペース、日立製作所、日本電気、富士通、住友商事、三菱商事ということで、こういうところが参加をいたしました。
 今回の協議の結果として我が国とカナダのリモセン衛星を活用した宇宙防災協力を決定した他、我が国企業がカナダ企業を訪問する。あるいは日加ビジネスのラウンドテーブルを開催いたしました。これがまた訪問先の企業です。
 カナダが今開発中のRADER-SATコンステレーション(RCM)というんですけれども、これをちょっと簡単に御紹介したいと思います。これまでのRADER-SAT1及び2は、各1機のリモートセンシング衛星ですけれども、単体ではとても広大なカナダの国土を毎日観測できないという問題点がありました。こうした問題点を解決するために開発中のRADER-SATコンステレーションは、3機を同時に開発・運用し、カナダ全体を毎日観測可能とするものです。このコンステレーションの主な用途は船舶の安全航行のための氷山等の海洋監視、それから不審船の監視等のための船舶自動識別システムも搭載しています。こうしたRADER-SATコンステレーションは我が国の今後のリモートセンシング衛星整備、例えばASEAN防災ネットワークみたいなものにも大きな参考になる事例だと思います。
 せっかくですので、次のスライドで、カナダからちょっと提供を受けたこのRCMの動画を見ていただきたいと思います。
 ここでいかにもIT担当大臣っぽくなってくるんですけれども、これなんですが、これから開発するRADER-SATコンステレーションでは、3機のレーダー衛星を同時に運用することで広大な国土を持つカナダ全体を毎日観測可能としています。また、マルチプルレゾリューションというんですけれども、多様な観測頻度、解像度を提供する計画。地上局も最新の設備を整備しております。カナダ全体をカバーしていくということです。広いです、とにかく。
 これが先ほど言ったマルチプルレゾリューションです。これはいろいろな観測頻度と解像度でいろいろな映像が撮れる。絞っても撮れるし、大きくも撮れるということです。こん感じで、衛星が動きながらいろいろな画像が撮れる。こういう大きな画像も撮れる。
 それから、地上局も最新の設備を整備しているということで、ここでちょっと御紹介しています、新しい地上局の設備です。それから、あと海洋監視のための船舶自動識別システムというのもあって不審船の監視等にも利用されている。こういう感じで、クエスチョンマークは不審船です。ずっと電波を送りながら監視しているわけなんですけれども、これはカナダの船ですけれども、ここから不審船に向かって衛星からの情報に基づいて近づいているということになります。
 とにかく3機揃っていきますよ、みたいなこんな映像なんですけれども、3機同時に開発中ということです。これはASEAN防災ネットワークにかなり参考になるのではないかと。
 ここが問題なんですけれども、カナダの宇宙産業は、売上げに占める輸出比率が50%なんです。これはやはり日本も参考にしなければいけない。企業買収もすごく熱心で、カナダ宇宙庁の予算は約300億円です。ところが宇宙産業の売上げはその10倍の3,000億円で、民需、外需の比率が非常に高いんです。日本の宇宙予算は3,000億円で、国内官需依存90%ですから、これはやはり我が国の宇宙産業にとっても非常に学ぶべき点が多いと思います。
 例えば、カナダの衛星メーカーのMDA社がアメリカの衛星メーカーを買収するとか。これで大体このカナダのMDA社は三菱電機と同じぐらいなんですよね、規模が。ところが、売上げは2倍になっています。Black Bridge社というのもこのRapid Eye社を買収したんですけれども、確かRapid Eye社の方が規模が大きいでしょうか、小さいところが大きいところを買収したと。そのくらいかなり積極的に宇宙ビジネスに対して努力をしているというか、真剣に取り組んでいるということで、もう一度言いますが、我が国の宇宙産業にとっても学ぶ点は多いのではないかと思います。
 今後の日本とカナダの宇宙協力ですけれども、政府レベルの協力と企業レベルの協力を一体的に推進していくということで、何度もここで紹介していますが、安倍政権としては、こういう宇宙外交を積極的に推進して、これを民間企業の海外展開に結びつけていく。併せて民間企業の海外展開にも支援を与えていく。こういう形になるということで、今日も宇宙の話でした。
 それから、皆さんからの御質問にお答えする前に、この間御質問をいただいたと思うんですが、アメリカ軍の嘉手納飛行場と普天間飛行場周辺の認可外保育所の防音工事についての御質問、今日は来られていませんけれども、この間いただいたんですが、これは防衛省が対応していると。嘉手納飛行場と普天間飛行場周辺の防音工事の助成は防衛省がやっていまして、今は認可外保育所は防音工事の対象外です。本件については、今、防衛省が全国の防衛施設周辺の認可外保育所の状況、施設の数とか規模を調査していますので、その調査がまとまり次第、平成26年度概算要求に向けて防衛省が検討する。こういう状況になっております。沖縄担当大臣としては保育環境の整備の重要性を十分認識していますから、地元自治体の声はよく伺っていきたいと思います。
 以上、最初のプレゼンを終わらせていただきますが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村ですけれども、今の宇宙もそうなんですけれども、科学技術とかに関連して、TICAD5(第5回アフリカ開発会議)が6月1日から開催されますけれども、それに向けて科学技術担当大臣、あるいは宇宙担当大臣としてどのように取り組みされますか。
(答)TICADにおける宇宙政策の取組というのは、今の時点で頭が整理されていないので分からないんですけれども、TICADに向けては科学技術関係の会合もあると思うので、そういうものにはできれば積極的に参加させていただこうと思っています。
 セットできるかどうか分からないんですが、できるだけTICADの機会もとらえて、少しそういう発信ができれば考えたいと思いますけれども、今検討中のようです。
(問)日本経済新聞の白岩です。今朝の犯罪対策閣僚会議において、昨日自民党から申し入れがあった、治安テロ対策の提言の文章中にある日本版NTFTAの設置ですとか、あるいは個別機密法制の整備といった内容について具体的な言及などはありましたでしょうか。
(答)それはあまり細かいことは申し上げない方がいいと思うんですが、ちょっと所掌外なので、今の話、あまり正確に分からないです。申し訳ありません。
(問)朝日新聞の大野です。今朝、嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄近海で墜落したという情報があるんですけれども、これについて大臣が把握されている情報を教えていただけますか。
(答)これはもうほとんど事実関係、官房長官が人的被害はなかったというようなことを言ったということだけ聞いたんですけど、ちょっと中身、事実をまだ正確に把握していません。
(問)日刊工業の天野と申します。次期基幹ロケットについて伺います。今、開発体制について今日も宇宙政策委員会の部会で議論されるわけなんですが、民間主導ということで、先日来検討していまして、今、政府として方向性みたいなものが具体的に決まっているようでしたら、ちょっと伺えますでしょうか。
(答)まだ最終的に決まっている段階にはないと思いますが、宇宙政策委員会はもちろん有識者の方々に自由に闊達(かったつ)に議論していただくということで、いろいろな議論があっていいと思います。開発段階の話もいろいろ出ているようですが、とにかく一つ言えることは、やはり基幹ロケットに向けてはきちんと総合力を発揮して、これを進めていく。こういうことに尽きると思います。
 例えば、民間だけでやるとか、それはなかなか難しいと思います。それはいろいろなプレーヤーが力を合わせて総合力をもってやるという、大きな方向性としてはそういうことだと思います。
(問)安全保障という問題があって、宇宙基本計画でもその中心に考えていくということになっていますけれども、そうなってくると民間主導ということになれば、かなりその辺のきちんとした枠組みとか体制が必要だと思うんですけれども、今、コンソーシアムという話もあるんですけれども、その辺はどのように大臣はお考えですか。
(答)そこは宇宙政策委員会の議論を踏まえていきたいと思いますが、いずれにせよ基幹ロケットの開発に国は全く関わらないということはなかなか、これはあり得ないと思います。他の国もそうですから。それで今言ったように、最後のリスクはやはり国が負うという部分があると思います。
 例えば、どこか違うところに飛んで行ったら破壊するとか、そういう責任を負うのはやはり国であり、これはJAXAでしょうか。例えば、ロケットを開発していくにももちろん民間の側もある程度積極的な姿勢をしっかり見せてもらうということは大事だと思いますから、いろいろ幅広い議論があることは私はいいことだと思います。
(問)宇宙に関連して、先程カナダでは官需の10倍の民需があると、日本の宇宙産業がこれだけ弱い、弱いというか国内ばかり見ているのは、それは大臣としてはどこに原因があって、どういうふうにしていくことによってこの課題を解決できるとお考えでしょうか。
(答)今、カナダが300億円で、かなりのビジネスとして収益を上げているというのは、通信衛星の主に分野だと思います。やはり基幹ロケットみたいなものは、全体のパイがそんなに大きくないですから、ここはなかなかやはりある程度国の支援もないと難しいと思います。
 例えば、通信衛星みたいな分野では、もっと競争力をつける可能性もあるし、今日もプレゼンさせていただきましたけれども、かなり政府としてもいろいろな宇宙協力、協定みたいなものも結んで外交上でも一生懸命推進していますし、それがやはり宇宙産業強化に結びつくような流れを作っていかなければいけないと思います。やはりそういうマインドが今まではいささか欠けていたところがあるのかなと。そういう意味で言うと新しい宇宙基本計画ではっきりと宇宙開発利用の促進、拡大。それから、自律性の確保というこの二つの方針を新たに打ち出したのは非常によかったと思いますし、これを踏まえてやはり宇宙産業にどうやって日本が競争力を持っていくかということを考えていくべきだと思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:234KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)