山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月17日

(平成25年5月17日(金) 18:49~19:23  於:中央合同庁舎4号館2階220会議室)

1.発言要旨

 本日、17時から総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。
 まず最初に申し上げたいと思うんですが、今、総合科学技術会議の科学技術イノベーション総合戦略をずっと議論しているわけなんですけれども、去年の12月に総理から科学技術担当大臣を任命されたときに言われたのは、総合科学技術会議がなかなか機能しにくくなっていると。これを再活性化してほしいということでした。
 この3カ月で総理に5回出席していただいて、今日で5回目ということなんですが、前政権、野田政権の時は、去年1年間で5回やっていますけれども、3回は総理が出席しない、持ち回りですから、総理対面は1年で2回ということですので、総合科学技術会議を再起動すると、その点についてはある程度実現をしつつあるなと、こんなふうに考えております。
 さて、今日の会議ですけれども、臨時議員としては甘利大臣、稲田大臣をお招きをして議論をいたしました。麻生大臣の代理として山口副大臣、茂木大臣の代理として菅原副大臣が出席をされました。官房長官は今日は欠席でした。
 本日の議題は、科学技術イノベーション総合戦略の案、原案ということで、私の方から総合戦略の原案の概要説明をいたしまして、その後議論を行いました。
 議論の場において、出席議員からあった主なご発言を、簡単に紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、下村大臣からは、本案は随所に新鮮さを感じると。次元が違う戦略になっているというお言葉をいただきまして、研究開発だけじゃなくて、研究者の育成、基礎、応用研究、実用化、産業化までの範囲をカバーしているのがいいんじゃないかと。あるいは、予算、税制などのさまざまな政策手段もあるというようなお話がありました。
 科学技術顧問についての話も出て、これは日米科学技術高級合同委員会、下村大臣と私と一緒に連休にワシントンに行って出席をした会議ですが、ここで下村大臣としては科学技術顧問の重要性を認識したと。我が国でも同様の取り組みを進めるべきだというお話がありました。府省横断型のプログラム、FIRST後継施策についても積極的に取り組んでいきたいと。山本大臣、しっかりリーダーシップを発揮してくださいと、こういうエールをいただきました。
 さらに、新藤総務大臣のほうから、総合戦略を実効性のあるものにしなきゃいけないと。これが大事だと、そのためには省庁の垣根を超えた横串を通すことだと。それから、プロジェクトを国策化することだと。強力な推進体制をつくることが必要だと、こういう指摘がありました。
 さらに甘利大臣から、研究開発基盤を底上げし、成長力を高めていくために、FIRSTの後継策の創設が不可欠だと、こういう意見がありました。産業競争力会議が検討を進めている戦略市場創造プラン実現のための国家的重要課題の解決に資するコア技術を特定し、府省横断により研究開発を推進するプログラムですね、これは名前はまだはっきり決まっていませんが、戦略的イノベーション創造プログラム、この名前が一番いいと思いますけれども、この創設が不可欠だと。私がいつも、最低でも500億円の枠は必要だと言っているプログラムのことです。
 府省横断型のプログラムの具体化に当たっては、産学と各省の協力を得て、事務局機能を強化することが大事だと。会議の運営には産業界の力を活用することも大事で、産業界出身議員をさらに増やすということを中期的課題として関係者が共有することが大事だという話がありました。
 私に対しては、本日の検討結果について、次の産業競争力会議に報告してほしいと。成長戦略の策定までに、経済再生につながる本総合戦略の取りまとめをお願いをしたいという話がありました。これについては5月末までということを目途に、内閣府のスタッフの方に取りまとめを指示してあります。
 科学技術顧問について、実は甘利大臣の方からも意見がありまして、甘利大臣の意見は、科学技術顧問を別に置くべきという意見もあるが、スタッフの問題もあるということで、総合科学技術会議がその役割を担うべきであって、総合科学技術会議が名実ともに司令塔になるべきではないかと。何か安全保障の問題等々も、外交安全保障の問題等々も含めた全体の問題について、総合科学技術会議がカバーできないところも全て科学技術顧問としてアドバイスするということは必要ではないかという意見もあった、ということでしたけれども、基本的にそういう人はいないのではないかと。こういうことで、甘利大臣はこの科学技術顧問の創設には極めて慎重な立場だったと思います。それともう一つあったのは研究開発独法。これは記者会見でもよく出ていますが、私の閣議後の。柔軟性を発揮できるように抜本的な対応を考えるべきだという話がありました。
 稲田大臣からは、総合戦略にはエネルギー、医療など規制改革に関連することがあると。連携して、科学技術イノベーションと規制改革を進めていきたいという話がありました。独法改革について、独法改革の中で研究開発法人も議論していると。研究の重要性は理解し、調達や年俸等の課題にも応えていきたいと。しかし、税金が使われている以上、一定のガバナンスも必要であって、通則法の運用の中でもできることもあると。運用でいけるものもあるが、法改正でやらなければならないものもあるだろうと思うと。引き続き議論をしていきたいという意見がありました。ここ、大事なところなので、少し詳細に報告をさせていただきました。
 菅原経産副大臣からは、総合戦略、総合科学技術会議が今まで以上の力を発揮してほしいとか、米国のDARPA、よく出てきますが、FIRSTについては革新的な研究の支援を創設すべきだと、こういう話がありました。
 民間議員の発言も、ざっと紹介させていただきますが、橋本議員からは、成長戦略に向けて科学技術イノベーションが動き出したと。科学技術政策がイノベーションに向けて動き出したことを国民に向けて強くメッセージを打ち出していただきたいということを総理に対しておっしゃっていました。
 各論として言うと2点、FIRSTのすばらしいところを展開して、ハイリスク、ハイリターンのテーマを研究したり、FIRSTの後継はぜひとも必要だと。さらに言うと、研究開発法人に関連して、国立大学法人改革との連携も重要だと指摘したいと。これについては、総理の方から、今日、成長戦略に関していろいろ提言があったというふうに伺っています。
 橋本議員からも科学技術顧問について話がありましたが、米国、英国にはすばらしい人がいると。それはキャリアパスがあるからであって、我が国にはそのキャリアパスがないと。具体的な人選と考えると、これはなかなかいないということで、科学技術顧問はなかなか難しいのではないかというご意見でした。顧問をサポートするスタッフ、どこからどう組織するかだけれども、現状では難しいと。長期的に顧問を置くにも、当面、総合科学技術会議が役割を果たすことになるのではないかという話がありました。
 さらに橋本議員から、研究開発法人、大学法人は重要なファンクションだという話もありました。通常の法人における独法の通則法とは目的が違うと。効率化ではなくて、イノベーションをつくり出す制度が必要なんだというところも力説をされていました。
 大西議員からは、やはり海外への発信を強調して、英語版をつくって海外にアピールしてほしいと、こんな話がございました。若手の研究者にも政府が注目しているということを示すべきではないかという意見がありました。
 青木議員から、安倍政権の今の経済政策は、世界の注目を集めていると。要は規制改革がどこまで進むかということが実は大事で、クリエイティブディストラクション、創造的破壊、この見せ場としての科学技術イノベーション政策を考えていくことが大事ではないかと、こういう話をされていました。
 久間議員からは、産学官の連携の必要性、府省横断で取り組むよう進める必要性について述べられました。PDCAサイクルの重要性についても言及をされていましたし、科学技術顧問についてはやはり慎重といいますか、これは科学技術顧問を置かなくても、総合科学技術会議の事務局体制の強化とシンクタンク強化でカバーできると、顧問の設置は特に、本当に必要があるのかというような意見がありました。
 原山議員からは、総合科学技術会議の機能として人材育成の場、こういうことも考えてほしいという話がありました。それから、若手のサポートについてはアメリカのシステムのアワードという制度がありまして、チャレンジングなテーマに挑んで、最もゴールに近づいた者に賞与とか等々を与える仕組みで、こういう方法もあるんではないかというお話でした。
 それから中鉢議員からは、研究開発促進減税、これは継続と拡充をお願いしたいと、こういうことがあって、イノベーションを推し進めるためにはベンチャー企業を活性化する、それから、既存の企業との連携、企業による企業への投資への促進が必要ではないかという話がありました。
 平野先生からは、基礎研究から市場までのポジティブサイクルを回すことが大事だと、こういう話がありました。それと、研究の間接経費、大学の、この30%が大学にあるということは、大学のトップマネジメントという観点から大事なんだと、こういう解説もありました。
 最後に内山田議員から、国際競争力が必要だと。大学、研究機関、産業界がイノベーションのプロセスを分担する、その各々に国際競争力があることが大事だという話がありました。FIRSTについては、他の複数の議員と同じように、成果が出ていて、今後とも継続的に行っていくことが大事だということがありました。府省横断型のプログラムで何をやるのか、FIRSTの後継をどうしていくのかということについてしっかり議論したいという話がありました。
 総理からは、カメラの前でご発言されたんですけれども、いよいよ成長戦略も取りまとめの段階だと。私の成長戦略のキーワードは、チャレンジ・オープン・イノベーション、科学技術イノベーションは経済再生の原動力だと。本日議論していただく科学技術イノベーション総合戦略は、イノベーション分野における骨太の方針だ。安倍内閣の新たな科学技術イノベーション政策の姿を国民に実感してもらえるようなものをつくっていただきたいということでした。
 第2に、前回の会議でお願いした府省横断型の研究開発プログラムの枠組みについて、関係閣僚におかれては、早急にその成案をまとめていただきたいということで、これもある意味一歩進んで、これは創設するということを前提にお話をされたんだというふうに考えております。
 総理から、今までとの違いは何かというと、今まで書かれていたものはあっても、それが本当に実行されたかどうかというところに問題があったと。今回は書かれたものを実行すると。我々は、実行すると。ここが今までと違うという話がありました。
 最後に私から申し上げたいと思うんですが、幾つか総合科学技術会議の機能強化について言うと、3本の矢という話を大臣記者会見で申し上げた覚えがありますけれども、1つ目は府省横断型の戦略的なプログラム、国家的な課題について、科学技術イノベーションを生み出すようなプログラムに対して、予算をつける配分権、枠、これを総合科学技術会議が持つべきだということで、これはかなり実現性が高くなったと言っていいと思います。まだ具体的なお金の規模は出ていませんが、私の、これは個人的な感覚ですが、少なくとも500億円ぐらいの枠を総合科学技術会議が決められると。内閣府できちっと予算を計上して決められると、こういう流れは、かなり固まりつつあるというふうに思います。
 2つ目、これはあまり実は注目されていないんですが、予算を500億円、1,000億円とっただけでは、司令塔機能をそれだけで強化することはできません。要は、政策決定プロセスにどうやって関わっていくかということが大事であって、そういう意味で言うと、内閣府のスタッフの方も、アクションプログラムを進化させて努力をしてきたと。すなわち政策決定プログラムに加わって各省を誘導していくと、ポジティブに。この役割については、これも大臣記者会見のときにお話をしましたが、最初の段階から総合科学技術会議が加わっていくということで、科学技術関係予算の戦略会議、各省を集めた、これを創設するというのを盛り込みましたので、これは実は私は非常に大きなステップだと思っています。予算の初期の段階で、総合科学技術会議担当の私の大臣室かどこかで各省の予算、やはり幹部に集まってもらって、そこからまず戦略会議をやるというところから始めるというのは、実は私は今回の戦略案の中の大きなステップだと思っていまして、第1の矢と第2の矢については、これは実現するめどが立ちつつあると言っていいと思います。
 第3番目のFIRSTの後継施策と言っておきたいと思います。一応担当大臣なので。これについてはまだ決着がついておりません。関係各省との話し合いの決着がついておりません。が、FIRSTの後継施策と、言葉を選びますが、これについてはやはり何らかの措置をしていく、対応していく、FIRSTのようなものを続けていく。これについての必要性は私も強く感じておりますし、今日、民間議員の方からも甘利大臣からも、これは強く出されました。これについては、府省横断型のプログラムもそうなんですが、FIRSTの後継施策を新たに展開していくという場合には、どういうイメージなのかと。前のFIRSTと比べてどうなのかみたいなところについては、しっかり明確な制度設計というか、ビジョンを打ち出していく必要があるのかなというふうに考えております。
 最後に、今日は民間議員の方々、最後まで残られた大臣、副大臣の方々含めて、かなり自由に議論をするチャンスがありました。私から申し上げたのは、例の研究開発独法のことですけれども、これは稲田大臣に対して、稲田大臣の方の発言については申し上げませんが、私の方から申し上げたのは、柔軟にやっていただきたいと。例えば通則法の中で、もとで工夫をしたらいいんではないかという趣旨の発言が、さっき稲田大臣からあったということをご紹介しましたけれども、いろいろな考え方はありますけれども、これは柔軟にやっていただきたいと。例えば、通則法の外に置く、通則法のもとに置く、2つの例えば考え方があったとしても、その中にもABCD、松竹梅の考え方があるんであって、そこは全体を含めて柔軟にぜひやっていただきたいということを稲田大臣にその場でお願いをいたしました。
 甘利大臣から出たのは、これはお話ししてもいいと思いますが、今までもずっと通則法のもとであってもいろいろできるから大丈夫ですと言われてきたけれども、結局、何も動かなかったと。それを考えれば、今回は研究開発独法については、もっと抜本的にやるべきではないかと、こんな意見も出されました。
 私、担当大臣として申し上げるならば、やはり、あまり最初から制約を設けずにやるべきだと思いますし、私は、担当大臣としてこの際、抜本的にここを変えていくべきではないかと考えております。
 以上、ちょっと長くなりましたけれども、できるだけ丁寧に、正確にご報告をさせていただきました。
 なお、これは総合科学技術会議とは関係ありませんが、その前にIT総合戦略本部の会合もありまして、いよいよIT戦略を決めていくんですが、総合科学技術会議の科学技術イノベーション総合戦略は最初から閣議決定ですが、IT戦略のほうは本部決定であったものを閣議決定に格上げをすると。大臣の強い意思で格上げをすることにいたしましたので、これは名称は決まっていませんが、ITの最先端の国であるという立国の宣言をすると、そういう文章にして、これが閣議決定されて、総理のIT立国創造宣言だというふうに言われるような形に持っていきたいということも、総合科学技術会議とは関係ありませんが、ちょっと夕方にIT総合戦略本部の起草委員会もやりましたので、そのこともご報告をさせていただきます。
 以上、かなり丁寧にご説明させていただきましたが、何かご質問があればお受けしたいと思います。
 どうぞ。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村ですけれども、先ほどの研究開発独法なんですが、稲田大臣は、要するに今の独法制度の中で考えていくと。山本大臣の発言からおもんぱかるに、新しい法人制度、法人制度そのものも新しくすることも視野に入れて、例えば新法の制定など、そういうことも視野に入れて、山本大臣は考えるべきだと考えているということですか。
(答)稲田大臣のご発言はさっきご紹介したとおりで、通則法のことも言及されながら、やはり、そういう歯止めは必要なのではないかという趣旨のことをおっしゃっていたんですけれども、私はその歯止めを外すことも含めて、柔軟に議論するべきだというふうに思っています。
 これはなかなかそう簡単じゃありませんけれども、この際、科学技術イノベーション総合戦略をつくるんですから、抜本的に変えていくというのも一つの考え方、そう思っています。
(問)あともう一つ、FIRSTの後継施策ですが、いろいろ見ていると、役所同士ではどうも調整がつきそうになくて、政治主導、政治主導というか、政治の側で何からの調整をしないとまとまらないんじゃないかなと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。
(答)FIRSTの後継施策については、まだまとまっておりませんので、いろいろと議論させていただいていますが、それはFIRSTに限らず、この総合戦略の中のいろいろと重要な部分については、それは最後は政治的なレベルで決めていくということも出てくると思います。
(問)朝日新聞の瀬川ですけれども、科学技術顧問に対する大臣のお考えはどうなんですか。
(答)私はまず、科学技術政策の首相、顧問ですね、総理顧問について言うと、自民党のほうから提言をいただいています。これは個人的にも大変敬愛する渡海科学技術・イノベーション推進特別委員会の委員長、自民党の方もやっておられますけれども、渡海委員長ともいろいろとお話をさせていただいて、一つの考え方だと思いますし、さらにまた公明党の委員会、委員のほうからも一応ご要望として伺っています。
 ですから、何らかの形で検討しなければいけないと思いますが、本当に科学技術顧問を置くということであれば、総合科学技術会議との役割分担をどうするのかということを慎重に考えないといけないだろうと。あるいは、その機能によっては、特命担当大臣である私との役割分担をどう考えなければいけないのかというところもあると思います。
 私が一番懸念しているのは、決して後ろ向きなことを言うつもりはありませんが、まず、法律で政府CIOみたいに権限を与えて位置づけられるのかというと、これは今の総合科学技術会議の建て付け等々から考えると難しいと思います。法律じゃなくてどうやって、どういう形で科学技術顧問を設けるのかということになると、例えば、科学技術顧問の方を任命して、各省庁の連携を促進していくというのは、それは並大抵のことじゃないと思いますね。大臣の私ですら、こんなに大変なわけですから。だから、任命をしたけれども、なかなか機能しないみたいな建て付けにならないように、十分考えなければいけないのではないかと思いますし、いわゆるアメリカのホルドレン大統領補佐官みたいな役割を果たす人を見つけるのは無理だと思います。まず、制度が違います。それから、科学技術全般について、甘利大臣もおっしゃっていたように、外交から安全保障から全てを俯瞰できて、なおかつ総理にいつでも会えるみたいな方は、現時点では思い浮かばないということもありますし、それを支えるスタッフの体制も十分ではないので、きちっと議論しなければいけないと思いますが、相当建て付けを考えないと、なかなか簡単ではないというふうに思っています。
(問)日経BPの河野と申します。先ほど話された各省庁との幹部との戦略会議みたいなものですが、これまでアクションプランというのは、科学技術政策の中で限られた分野だけだったわけですけれども、そこで、戦略会議で扱うものというのはもっと広いものになるのかどうかということを、まず教えてください。
(答)アクションプランで扱っていたものが狭い範囲だとは、まず思っていません。科学技術政策全般について各省といろいろな議論をして、優先分野を決めていくということでいうと、かなり科学技術政策については、特に研究開発も含めて広い分野でやってきたというふうに私は思っています。実際、総合科学技術会議が主導してきた府省連携のプロジェクトというのはかなり多岐にわたっているというふうに思います。
 今回は、そのアクションプランの進化をさせていくというのはともかくとして、まず、予算要求、予算をつくる最初の段階から戦略会議に各省の担当者に来てもらうと。つまり、総合科学技術会議のもとで戦略会議を設けて、そこから科学技術予算の全体像をつくっていくという意味で言うと、政策決定プロセスに、より初期の段階から総合科学技術会議が関わるという意味で言うと、私は非常に大きな一歩だと思っています。
 その戦略会議が一体どういうふうに具体的に細かく機能していくかというのは、これからよく考えていかなければいけないと思いますけれども、まず、マインドセットから変えていかなきゃいけないということから言うと、最初に予算を、最初の段階で総合科学技術会議のもとに各省の方々に集まってもらうと、これは最初のステップとしては非常に私は意味があると考えています。
(問)戦略会議ができたのに、現在、例えば外から研究者を連れてきて戦略協議会というものを設置されていますよね。これとの位置づけというのはどうなんですか。
(答)それは別に科学技術関係予算の戦略会議というふうに仮称で言っているだけであって、それは一言で言うと、総合科学技術会議のもとに関係各省の科学技術予算を扱う、科学技術関係の人に集まってもらって、そこで、まず戦略会議をするところから、いわゆるプロセスを始めようということですから、ほかの戦略会議と別に横並び等々ということは関係ないと思います。いつも戦略協議会とかつくっているのは、恐らく協議会とすると、官僚とか政治家だけじゃなくて、広く多分いろいろ有識者とか入っているから協議会という名前になっているんだと思うし、そこは、だから、たまたま今、戦略会議という名称を用いているだけで、その、それはもう、関係各省と総合科学技術会議の関係でつくる建て付けと、こういうことになっています。
(問)最後に、この工程表に健康長寿社会の実現が入ってくるのはいつごろになりそうですか。
(答)これは、まずNIHの建て付けとか、そういうことですね。その部分ですよね。それがまずどうなるかということをよく、完全にまだ固まっていないことがあるんで、そこらよく菅官房長官と連携を取りながらやっていかなきゃいけないということになると思います。
 いずれにせよ、まずNIHがどういう形になるのかというのはまだ決まっていませんから、NIH主導でこの医療の分野についていろいろな計画をつくると、それは一つの形として別にいいと思うんですが、そこにはやはり、うちの方からもきちっと関係者に入ってもらって連携を取りつつやりたいと思っています。
 いずれにせよ、調整をしながら、こちらの方にも入れていくということになると思います。
(問)大臣はこういうお話、NIHの話というのは、いつごろまでに固めていきたいと考えていらっしゃいますか。
(答)それはわかりませんけれども、もうちょっと時間がかかるんじゃないでしょうか。いずれにせよ、まずこの制度設計がはっきりしないと、なかなか整理が難しいと思うんですが、私は、これも戦略的に、官邸の判断で、内閣府に置くことになっていますけれども、菅官房長官がこの分野について主導権を握っていくということについては全く異論がないし、それはぜひ進めていただければいいと思っています。
 ただ、進めていただく中で、我々もやはり連携を取るという意味で言うと、協議に参加するような建て付けになったらいいなと、こう思っています。
(問)その健康長寿の分野で、NIH的なものが日本に必要だという点では、それは完全に合致していると。
(答)NIH的なものというのをどう取るかですよね。今、言われている日本版NIHというのは、アメリカのNIHとはどうも違う形だと思うんですね。ただ、この分野で、とにかく全体を俯瞰するような流れをつくると。これは甘利大臣の思いもあるし、これについては非常に前向きに受けとめています。
 ただ、要は連携の仕組みだけ、向こうが主導権を取るという場合でもいいんですけれども、その連携の仕組みだけきちっとさせていくというのは大事なのかなと思っています。
(問)その組織は独自の予算を持って、配分権限を持つところまでは、まだ踏み込まれていないと考えていいですか。
(答)それはまだ、だからわからないです。今の段階では細かく決まったというふうには聞いていません。
(問)ありがとうございます。
(問)共同通信の深谷といいます。今の質問の関連で、その工程表は、健康長寿の部分は入れないままで閣議決定をする。
(答)いやいや、もちろんこれは入りますよね。

(事務局)今、調整を。連携を取っています。

(答)連携を取りながら。
(問)じゃ、次回の総合科学技術会議ではここに入ってくる。
(答)次回になるかどうか。いずれにせよ、ちゃんと閣議決定する前には入ります。調整をして、入れます。
(問)次回の総合科学技術会議では、どのようなものが決定されるんですかね、工程表に関しては。
(答)それは今調整中です。それは今言った、医療何とか戦略室とうちの方でいろいろ議論しながら、中身というか、調整中ですから、それを見た上で、そこにきちっと調整してはめ込むという形になると思います。いつまでになるかというのはちょっとわからないんですけれども、少なくとも、しかし今の目途で言うと、5月末までにと思っていますから、それまでには調整をつけるということです。
(問)それまでには健康長寿も入ったものを。
(答)それだけ、パカッて空いたまま閣議決定ということは考えていません、もちろん。
(問)わかりました。
(答)ということですね。どうぞ。
(問)日刊工業新聞の小川と申します。重点政策の中で、エネルギーのところで原子力に関する利活用は一切触れていませんが、それは政権、政府において原子力の扱いというのがまだはっきりしないということで、あえて盛り込まなかったんでしょうか。
(答)そこは科学技術イノベーションということについて、あえてというか、それはどうですかね。議論がなかったですか、この点についてはね。
 この科学技術イノベーションという中では、やはり再生可能エネルギーとか、そういうほうにフォーカスして重きを置いたと、もうこれに尽きると思います。
(問)現状、なかなかどうするかというのははっきりは言えないかもしれないですけれども、いずれ、もう少し時間がかかって、やっぱり何らかの形でまとめることはあり得る。
(答)とりあえず、しかし、今の段階ではっきりご存じのとおり、きちっと全体が固まっていなければ難しいと思うんですが、現段階では。ですから、そういう段階ですからどうするかというのは決まっていません。今の現段階で科学技術イノベーション総合戦略として我々が考えているものを入れると、こういうことです。
 よろしいですか。遅くまでありがとうございました。

(以上)