山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年5月10日

(平成25年5月10日(金) 9:01~9:22  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議について報告することは特にありません。今日は、最初に申し上げたいことがあるんですが、5月8日付けの人民日報は、歴史的に未決である琉球問題について再度議論すべき時が到来した、こういう論説記事を掲載いたしました。同日午後の定例記者会見で中国の外交部の報道官が、琉球及び沖縄の歴史は学術界が長期にわたり注目している問題であるというふうに述べました。まず、申し上げておくと、中国とは戦略的互恵関係をしっかり作っていく。これは非常に重要ですし、安倍総理も再三そうおっしゃっているので、戦略的互恵関係をしっかり作っていくということは当然やらなければいけないと思います。そのことを前提に申し上げますが、領土担当大臣として、沖縄担当大臣としてこれは断じて看過できない発言だと思います。いまだかつて中国政府がこういう形で沖縄のことについて言及したことはありません。しかも人民日報は中国共産党の機関紙ですから、この機関紙がまるで沖縄が日本の一部であることについて疑義を呈するようなことを言うというのは、極めて筋違いであり、こういう時期にこういうことを言う中国政府のセンスを疑います。これについては、外交当局から断固抗議をしてもらいたいと領土担当大臣として沖縄担当大臣としてはっきり申し上げておきたいと思います。
 以上、申し上げた上で、まず最初に領土担当大臣として少しお話をしたいので、「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」について、少し御連絡をしたいと思います。先月、初回会合を開いた「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」ですが、13日の月曜日に第2回の会合を開催するということにしたいと思います。第2回では、尖閣諸島をめぐる情勢に関する内外発信をテーマに御議論をしていただこうと思います。我が国の領土・主権をめぐる情勢に関して、より効果的な内外発信を行っていく上で、中身が濃い御議論をいただけるものと考えております。次回以降についても、また日程が固まり次第、テーマ等々について皆さんにお話をさせていただきたいと思います。中の議論については、それは細かいことは申し上げられませんが、少なくともこういうテーマで議論するということぐらいはきちんと固まり次第皆さんに御連絡をしていきたいと思います。
 今日は、宇宙か、サイバー攻撃を感知できるシステム、これを是非ここで御紹介したいんですけれども、どちらにしようかと思っていたんですが、サイバーの方は、次回に回したいと思います。今日は、宇宙、前回はモンゴルとの宇宙協力について。今度ブラジルとの宇宙協力にも進展があったものですから、このパワーポイント資料を使って御説明をさせていただきたいと思います。IT担当大臣らしく動画もあるので、今日はこういうことについて、先月、4月18日ですが、日本とブラジルの宇宙協力協議が開催されまして、我が国とブラジルの政府の間で、宇宙システムを利用した人材育成と防災、これについて協力関係を構築していくことに合意いたしました。
 我が国の参加メンバーは、宇宙戦略室、それから和歌山大学、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、JICA(国際協力機構)ということで、当局間の協議の結果として、双方の宇宙政策について情報交換を行ったほか、宇宙システムを活用した災害対策の技術協力について合意をいたしました。また、宇宙分野の人材育成協力を行っていくということについても合意をいたしました。
 ブラジルでは2011年1月に、リオデジャネイロ地域で豪雨による洪水、土石流、地滑りなどの被害が発生して、約900名の死者が出たと聞いています。こうしたことからブラジルは、ジルマ大統領が自然災害管理に関する総合計画というものを定めまして、宇宙利用による防災管理を強化しようとしています。向こう側からはランドスライドという言葉で、地滑りという日本語が正しいか、とにかくランドスライドで多くの方が亡くなったというお話がありました。
 こうしたブラジルの宇宙利用のニーズに対して、我が国の東日本大震災の経験を踏まえた宇宙利用による防災システム、JICAの防災技術協力はブラジルに貢献できるということで、JAXAからの共同研究の提案を受けて、宇宙システムによる災害対策の技術協力を合意することになりました。
 次のスライドでは、私が非常に気に入っている動画をご覧いただきたいと思います。今回、我が国の宇宙を利用した防災システムの技術検証に活用予定のALOS-2(だいち2号)を御紹介したいと思います。平成18年に打ち上げられました「だいち」、これはここに書いてありますが、こうした幅広い分野で利用されている。地図作成、地域観測、災害状況把握、資源探査。これは「だいち」です。
 これは、東日本大震災でもたいへん活躍をいたしました。このデータが非常に役に立ったということで、この「だいち」の後継機として開発されたのが、「だいち2号」なんです。1mから3mのものが見分けられるという、これが「だいち2号」です。こういう感じで宇宙空間を回っているということです。
 これは、レーダーなので、雲があっても地上観測ができるということで、天候で左右されずに昼夜問わず観測ができるということで非常にそういう意味では活用ができるということで、将来発生すると予想される大規模災害、地震、洪水、火山噴火、こういうことが起きたときは、いろいろ悪条件があっても、夜でも非常に天候の悪い時でも災害の状況をALOS-2によって把握ができるということで、「だいち2号」というものは、災害状況の把握、国土の利用状況把握、これも世界全体のいろいろな状況を把握することができる。更には二酸化炭素の吸収源である森林の継続的な観測を通じた地球温暖化対策にも貢献できるということで、ALOS-2の動画を御紹介させていただきました。
 これで動画が終了で、次お願いします。
 ブラジルでは理工系の人材不足が深刻化しているということで、2011年、今後10万人を留学させることを目標とする国境なき科学、Science Without Bordersということを行っていまして、文科省のUNIFORMプロジェクト実施中の和歌山大学、こうしたブラジルのニーズを踏まえて、これは小型衛星の製作・打ち上げを通じた人材育成を行う文科省のUNIFORM、このプロジェクトを実施する和歌山大学からポスドク等の受け入れについて積極的に協力をしていきますという旨を発表いたしました。我が国の提案をブラジル側が非常に歓迎していただいて、人材育成分野について協力を行っていくということで、合意をしたということです。
 実は、5月3日、茂木経産大臣がブラジルを訪問された時にも、ホフマン官房長官と災害対策に資する日伯宇宙協力の重要性ということを確認したということです。
 最後、これはちょっとないんですけれども、連休中に、実は内閣府の宇宙戦略室をヘッドとした、カナダ宇宙庁への官民ミッションというのを派遣しました。ここで、確か報告をしたでしょうか。安倍政権としては、こういう宇宙外交を積極的に推進して、民間企業の海外展開も支援していく。こういう状況になっていますので、今後とも宇宙外交は積極的に推進していきたいというお話をさせていただきました。
 次回は、サイバー攻撃感知システムについて、いろいろセッティングに時間がかかるんですけれども、御紹介できればと思います。以上です。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の波多野と申します。今回の協力協定によって、こういったものが結ばれた国というのは、何カ国目になるのでしょうか。
(答)今までどのくらいですか。

(事務方)例えば、アメリカとはもう従来から宇宙協議をやってございます。EUともそういう枠組みがございます。それ以外に、今回ブラジルというのはこれまで政府間の協力関係がなかったものですから、今回初めてできたというものでございます。

(答)今までだとアメリカとEUですよね。

(事務方)EUが中心です。カナダとは2年前、大臣レベルで合意が結ばれておりますし、あとはイギリスとも2年前に結ばれております。ここも具体的な協議を進めております。

(答)こういう政府間の協力がひいては、宇宙産業における利活用における日本の競争力を高めていくことにつながるのではないかと我々は考えています。
(問)時事通信の浅見と申します。2点あるんですけれども、まず沖縄の問題なんですけれども、沖縄の帰属問題については中国が論文を出したときに、日本政府として抗議していると思うんですが、それに対して受け入れられないという回答があって、今回大臣の発言というのは更なる強い抗議を申し入れるということなんですか。
(答)まずどういう正確に抗議をしたというのは、ちょっと今しっかり把握していないので、当然外務省は抗議をしていると思いますが、私が申し上げたのははやり領土担当大臣、沖縄担当大臣としての気持ちであって、引き続き厳しく抗議をしていってもらいたいと思います。この問題は非常に大事な問題だと思います。
(問)あと2点目なんですけれども、月曜日の有識者懇なんですけれども、領土・主権の、その尖閣の情勢に関する内外発信についてということなんですけれども、報告書なりというのはもうちょっと後だとは思うんですが、できることから始めるというようなこともあり得るのですか。
(答)できることから始めるというか、やはり報告書の中身を反映させていくのは全体がまとまってからということになると思います。
(問)朝日新聞の大野です。沖縄の問題をもう一度お聞きしたいんですけれども、改めて沖縄担当大臣として領土大臣として、今後抗議するということはあり得るのかどうか。
(答)抗議は外交ルートでやってもらうと。だけどやはり沖縄担当大臣、特に領土担当大臣としては、極めて不愉快ですよね。不愉快ですし、不適切だと思います。ただし、もう一度申し上げますが、中国とは戦略的互恵関係をしっかり構築していく。それは安倍政権の大きな戦略としてあるので、そこは踏まえつつ、しかし領土担当大臣としては、これは一言申し上げないわけにはいかないと、こういう気持ちです。
(問)有識者懇談会なんですけれども、ちょっとスケジュール的なところなんですけれども、当初5回ぐらい開催したいという計画だったと思うんですけれども、そのスケジュール感に変更等はありますでしょうか。
(答)4回になるか、5回になるか、そのぐらいの感じで7月の初めぐらいまで進めて行きたいと思います。日程は固まり次第こうして御報告をしていきたいと思います。
(問)日経新聞の朝田と申します。この領土問題の内外発信なんですけれども、最近政府は国際広報の強化というのを打ち出していると思うんですが、5億円と予算付けして。この国際広報の強化の中に、領土問題の対外発信というようなことも含めていくという方向ですか。
(答)それは大臣レクをお願いしているので、今の広報の中身を私もしっかり把握したいと思います。いずれにせよ、国際広報ということを言えば、やはり日本の主張が正しいということを内外に発信していくということはすごく大事なポイントだと思います。
(問)科学新聞の中村です。2回くらい前の閣議後会見で松井さん(松井孝典宇宙科学・探査部会長)の宇宙の小委員会の記者会見についての質問が出たと思うんですけれども、そのときにはまだ把握されてないということで、その後、把握されてどうでしょうかと。
(答)松井先生、インドに出張されていたので、まだ直接はお話ししていませんが、中身を見ていたら、やはり誤解を呼ぶ発言だと思うので、ちょっと私の方から御連絡をして、注意をしていただくように申し上げたいと思います。
(問)今回は、松井先生本人からそういうふうに言ったからそういうふうな問題になるんですけれども、そうではなくて普段例えば隠されているかもしれないそういうことがもしかしたら議論の中であるんじゃないかという疑義は抱いてしまうんですけれども、そういうものに対して、より公開性を高めるためにどのようにお考えでしょうか。
(答)そういう隠されたものというのはないと思います。それから、文科省の方が公開しているのにどうだという話もあって、調べてみたんですけれども、それぞれ考え方があると思うんですが、例えば総合科学技術会議だって、産業競争力会議だって、頭撮りをして中身は公開してない。やはり後でブリーフィングするというスタイルなので、これ自体はおかしくないと思うし、中村さんがよく知っているとおり、これは別に自民党時代に始まったことでもないし、私が見る限り、公開はきちんと行っていると思います。そういう御意見もあるので、前回だったでしょうか。西本宇宙戦略室長に懇談をやってくれと、定期的に。今まで3回ぐらいやっていただいて、これは定期的にやってもらおうと思いますから、そこの議論の流れは戦略室長の方からきちんとブリーフィングしてもらおうと思って、次は是非参加していただきたいと思います。
(問)NHKの内田です。今の領土のお話に関連してですが、閣僚懇の中で、この件については話題に今日はなったのかどうかというのと、あともし話題になっていれば、大臣のほうからはどのようなお考えとかは。
(答)閣僚懇の中身は外に言わないことになっていますので、それについてはノーコメントですけれども、私の方からは出していません。今日、初めてここで、基本的に何度も言っているように、安倍総理の外交政策の選択肢を狭めないようにということでやってきましたし、中国との関係も大事だと。戦略的互恵関係も大事だということも踏まえてやってきたので、もちろん冷静にいろいろなことをやらなければいけないと思いますけれども、この問題について、領土担当大臣として沖縄担当大臣としてコメントしないわけにはいかないと思いますので、中国との関係は大事ですが、この中国政府の対応というのは誠にいただけないと、これは極めて不適切ですし、もう一回言いますけれども、日本政府として引き続き厳重に抗議をしていくべきだと思います。
(問)若干関連しまして、中・韓と歴史認識などほかの問題も巡って、いろいろと関係がよろしくない状況で、こういうことがありますと更に関係というのはよくなくなると思うんですが、とは言え、いずれにしても対応はしていかなければいけないと思うんですが、要するに日本の主張を訴えながら、今後中・韓とどのように付き合っていくべきだという、そういう大臣としてのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
(答)歴史認識を巡る発言は私がしたわけではないので、そこはちょっとノーコメントにさせていただきたいと思いますが、日本政府の従来の姿勢は変わってないということを総理も官房長官もおっしゃるということは、きちんと機能しています。中・韓との関係ですけれども、これは外交政策に関わることなので、これは外務大臣にお聞きいただければと思うんですけれども、私の感覚からいけば、やはり両国との関係は大事だと思います。中国とは戦略的互恵関係をしっかり模索していく。韓国は価値感を共有する大事な戦略的パートナーだと。しかし、その上で、やはり国として主張すべきことはきちんと主張していくと。このバランスではないかと思います。
(問)今度IT担当大臣として、昨日、政府CIO法案とマイナンバー法案が通りましたけれども、それについて今後の見通しと今回の受け止めを。
(答)まずマイナンバー法案は、これは本当に重要な法案で、大法案だと思います。やはりこれが通るということは、非常に大きなことだと思います。それを申し上げた上でその影に隠れていますけれども、CIO法案はとても実は大事なんだと思います。アメリカにも政府CIOがいますけれども、IT戦略をこれから考えた時に、やはりITできちんと横串を作る、全体を統括していくということは成長戦略の中でITが持つ重要性を考えれば、実は政府CIOもものすごく大事な法案なんだということはメディアの方々にも是非御認識をいただきたいなと思っています。
 マイナンバーもこの大法案もこれは私の担当ではありませんが、甘利大臣、ずっと頑張ってこられて、これはやはり参議院でも通していただきたいと思いますし、CIO法案もIT担当大臣としては何としても通さないといけないと思います。安倍内閣のIT戦略ビジョン、昨日3回目の起草委員会を行ったんですけれども、2時間ずっといて議論に加わりましたけれども、かなり活発に議論されていますので、次ぐらいから取りまとめに入っていくので、できるだけいいものを作りたいと思います。
(問)インターネットメディア(IWJ)の平山と申します。初めて会見に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 尖閣に関する情報発信について改めてちょっと確認させていただきたいことがあるんですけれども、魚釣、北小島、南小島以外の国有化されなかった久場島に関してなんですけれども、過去に米軍の射爆場として供与されていたということを伺っているんですが、 こちらの政府として今後どのような御対応をされていくのかということをちょっと確認させてください。
 それから、久場島と大正島が海上保安庁のホームページによりますと、黄尾嶼射爆撃場、それから赤尾嶼射爆撃場と中国側文書に基づいた表記がされているんですけれども、これはちょっと政府見解と異なるというか、矛盾するというか誤解を招くような情報発信かと思うんですけれども、ちょっと大臣の御見解をお伺いできますでしょうか。
(答)今の話はいろいろ外交上の話、あと安全保障上の話、防衛省の立場等々もあるので、これはちょっと私の方からコメントする話ではないと思います。せっかく聞いていただいたのに。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:515KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)