山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年4月19日

(平成25年4月19日(金) 8:59~9:36  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日もちょっとプレゼンをやろうと思うんですが、その前に何点かお話をしたいと思います。
 一つは、4月17日に出席した第6回目の産業競争力会議の話で、産業競争力会議では、科学技術・イノベーション、IT(情報通信技術)、それから知財(知的財産)、宇宙、4回にわたってプレゼンをやらせていただいて、初めて本格的に発言をさせていただきました。そこで実は、総合科学技術会議の機能強化という点で言うと、大きな前進があったと思っています。それはどういうことかというと、以前からここでも何度かお話をしていた総合科学技術会議の予算配分権のことについてなんですけれども、総理の方から、これをカメラの前でもおっしゃっていただきましたが、総合科学技術会議が科学技術・イノベーションの司令塔機能をしっかりと発揮して、府省横断型の研究開発プログラム、重点的に政策資源を配分する府省横断型の研究開発プログラムの創設を検討してまいるという総理の発言がありました。会議の細かい話はしませんけれども、全体の流れから見て、総合科学技術会議の予算配分権、この流れは固まったというふうに思いますし、私がいつもここで申し上げている、少なくとも500億円程度の枠、これは今の段階で金額が決まるわけではありませんけれども、この規模についても私は関係省庁の認識は得られたと、担当大臣として認識をしているということは申し上げたいと思います。
 総合科学技術会議の機能強化、いろんな考え方、ここでもいろいろと御質問を受けていますけれども、総理の言う予算・機能面においての抜本的な強化ということで言うと、これも何度か記者会見で申し上げましたけれども、大きく言って三つあると思うんですね。一つは予算配分権。もう一つは政策決定プロセスへのより深い参画。これ、ガバニングボードというアイデアもありますけれども、アクションプログラムの進化形で、とにかく総合科学技術会議で予算の全体枠を決めるという、政策決定プロセスの流れを作るということ。もう一つはFIRST(最先端研究開発支援プログラム)の後継プログラム。これもなかなか簡単ではありません、かなりの金額になると思うので。しかし、これについても内閣府あるいは総合科学技術会議の有識者議員の方々としっかり議論をして、なぜFIRSTの後継が必要なのかということもしっかり大臣としてアピールをしていきたいと思います。私が言った今三つの、安倍総理の三つの矢じゃないですけれども、三つの機能強化方策のうち一つ目の、いわゆる予算配分。例えば仮に500億円作ったからといって、それで総合科学技術会議の影響力が一気に上がるということはありません。これも全部合わせ技ということなんですけれども、大事なステップだと思います。その三つの機能強化政策のうちの一つの流れは、かなり作れたのではないかと思っております。
 それからあと、今日の新聞か昨日の新聞か、トムソン・ロイターが、例の科学技術の論文の引用数についてのデータを発表していまして、日本は東大も京大も全部順位が落ちたということで、いろんな考え方はありますけれども、やっぱり論文の引用数というのは一つの指標なので、これには担当大臣として、科学技術担当大臣として危機感を抱いています。ですから、これはしっかり対策を講じていかなきゃいけないと思うんですね。
 論文が引用されるということは、やっぱり非常に独創性が高いということであって、先般ちょっとお話ししたと思いますが、ノーベル賞を受賞された野依先生、(野依良治)理化学研究所の理事長、今、野依先生は、若手、女性、こういう人たちをもっともっと登用しなきゃいかんと、もっともっと独創性を、こういう人たちの独創性を高めていかなきゃいけないという意味のことをおっしゃっていまして、「レイバーからリーダーへ」というですね。もう一回言いますけれども、この「レイバーからリーダーへ」というコンセプトは非常によいと思っているので、やっぱり研究者をサポートする時には、独創性というか、まさに引用される論文を書くみたいな、そういうヒューマンリソースを作れるようなサポートも、しっかり担当大臣として考えていかなければいけないんではないかと思っております。
 ちょっと今日はITの話をさせていただきたいと思います。
 ちなみに、ITについても一言申し上げたいと思うんですが、今、マイナンバー法案、CIO法案等が、内閣法の法改正とか、IT基本法の法改正とか、CIO法案と言っていいと思うんですけれども、この議論をしていまして、どうも少しまた、結論といいますか、審議がやや先になってしまったということで大変残念なんですけれども、とにかくこれは絶対に成立させなければいけないと思っています。新しいCIO(内閣情報通信政策監)には、しっかりとした権限を持ってもらって、電子行政を進めてもらう。何しろ1,500ぐらいのシステムが各省で動いているというだけで、もうサイバーテロに対するディフェンスも非常に難しくなっているということで、これをちゃんとやらなきゃいけないということです。
 実は先般、内閣委員会で岡田前副総理から御質問を受けた時に二つアドバイスをいただいて、新しい政府CIOができた時には総理と定期的に会ってもらった方がいいということだったので、この間、官邸に滑り込んで安倍総理に、内閣危機管理監は1週間におそらく一度ぐらい総理に会っていると、新しい政府CIOができたら定期的に是非会うようにお願いしますということもお願いをいたしました。
 もう一つのアドバイスは、今の政府CIO、この法案で、法律で権限を強化される前にも、今、政府各省にCIOという方がいるんですけれども、実は昨日、各省の、ほとんど官房長ですけれども、全部集まっていただきました。30分、会議をやりました。今のCIOですから、ほとんど官房長でした。そこで申し上げたんですが、これはもうトッププライオリティだと。それぞれの各省が、本当に山ほどの仕事を抱えて、頑張っているのはよく分かっていると。しかし、この政府CIOの、まず情報システムの統合を含む電子行政の推進というものはトッププライオリティなので、是非本気でやってもらいたいということをかなり強く申し上げました。
 岡田前副総理からいただいたこの二つのアドバイスはしっかり実現をさせていただきましたけれども、やはりこうやって、今の各省に対しても、しっかり新しい政府CIOに協力してもらうようなアピールを繰り返し続けていきたいと思っています。
 ということで、今日はITの話をさせていただきたいと思います。
 これがなかなか、まだまだ理解が進んでいないんですが、このオープンデータ、これ、実は成長戦略のコアになる、とても大事なコンセプトだということをちょっと申し上げたいと思います。
 オープンデータの推進ということで、これはもう釈迦(しゃか)に説法ですけれども、オープンデータは、公的機関が保有するデータを民間が編集・加工等しやすい形でインターネットで公開するということで、公共データの民間開放と言ってもいいと思うんですけどね。今まで使えなかったデータが出ることによって、いろんなビジネスが創出されるという意味で、例えば、ここがポイントなんですけれども、EU(欧州連合)ね、オープンデータの経済効果は1,400億ユーロという民間による試算があると。これ、GDP(国内総生産比)で日本に置き換えると5.4兆円。ですから、これでちょっとオープンデータの重要性を分かっていただけると思います。
 海外では、日本よりオープンデータの取組は、皆さん御存じのとおり、当然進んでいて、オープンデータを利用したいくつかの事例というのは出てきているんですね。
 これ、アメリカのMRISという不動産情報のサービスなんですが、多くの公的機関が公開している様々なデータを集約・整理すると、より的確な不動産評価に利用できるということで、不動産が所在する地域がどういう地域なのかとか、これ見てください、こういう情報があるということで、このサービスの推定の年間売上高が5,000万ドル。日本円にすると50億円ですかね。これもいろいろ組み合わせていくと、更に効果は大きくなってくるんじゃないかということです。
 これはちょっと身近な公共サービスなんですけれども、ビジネスというよりも。「Fix My Street」、うちの道路を直してくださいというプログラムがイギリスにあるんですが、NPOが運営しているんですけれども、市民から直接、住民から道路の陥没とかごみの不法投棄などの対応を求める、地域の問題を行政に迅速に連絡できるということで、見てください、これで470の自治体が参加していて、20万件の問題連絡。うちのちょっと道路が壊れているんですとか、これを何とか、ごみ投棄、何とかしてくださいみたいな話で、実は13万件ぐらいがきちっと補修等の対応が済んでいるということになっております。
 ということで、電子行政オープンデータ実務者会議というのをIT戦略本部の下に作って、今、具体的な取組をしっかりやっています。有識者会議は有識者と関係府省で構成されていまして、主査は村井先生(村井 純慶応義塾大学教授)で、電子行政に関する横断的な取組という感じで、先ほど申し上げた政府CIO、今の遠藤政府CIOも顧問として参加していただいて、今、ロードマップを作っているということで、行政、このオープンデータというものは、実は非常にIT戦略の中でも大事だということですね。
 IT総合戦略、大体6月ぐらいになるんでしょうか。この中でオープンデータの話をしっかりと位置付けていきたいというふうに思っています。
 ちなみに考えたら、特命担当大臣として、いっぱいまとめなければいけないものがあって、実にこれから安倍内閣のいろんな骨太のビジョンで大事な仕事だなと改めて思っているんですが、IT戦略については、このIT総合戦略、これが安倍内閣のITの哲学になりますから、この総合ビジョンです、これをまとめなければいけない。海洋基本計画、これもきちっと閣議決定まで担当大臣として後押しをしていかなければいけない。それから、科学技術・イノベーション総合戦略、この中にいろんな、多分この論文数みたいな問題等々もいろいろと問題意識として入れていかなければいけないんだと思いますが、機能強化から始まって、この科学技術・イノベーション総合戦略の中にしっかりそれを盛り込んで、6月の骨太の方針に、成長戦略に反映させていかなければいけないということで。更に言うと、領土担当大臣として、有識者懇談会の提言も7月初めにまとめなければいけない。加えて、海洋担当大臣として、例の有識者懇の提言もまとめなければいけないということで、3か月たちましたけれども、特命担当大臣の仕事の大事さというか、やっぱり総理の言った発信力をきちっと生かせばとても大事な仕事ができるという意味をかみしめております。
 ということで、これ以上いくと、あと1時間ぐらい話してしまうので、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の瀬川と申しますが、総合科学技術会議の機能強化について、府省横断型の新しいプログラムの創設と、それからFIRSTの後継プログラムについて、それぞれの役割と、もう少し具体的なイメージがあれば教えていただけますか。
(答)この府省横断型の予算といいますか、予算配分権の話ですけれども、この中身については、これから総合科学技術会議できちっと詰めていかなければいけない。例えば予算権で枠をもらったからといって、それで何をするのかということがしっかりしていないとこれも仕方がないと思うんですが、とりあえず機能強化の一環として、やはり研ぎ澄まされた、進化した総合科学技術会議が、自らの判断で戦略的に決められる予算枠を作るということは非常に意味があると思っていますし、それは、今までやってきたアクションプラン、各省の政策を誘導するというところにも大きな意味があると思っていますし、少し文化を変える。各省に積極的に総合科学技術会議に集まってきてもらうための、おそらく、500億円というのは私が言っているだけですけれども、私はこの認識は関係各省に浸透しつつあると思っているんですけれども、それをしっかりもらって、戦略的に、大事なところにきちっと配分するということだと思っています。
 FIRSTの話は、これは麻生内閣で野田聖子科学技術担当大臣の時にできたんですけれども、いろんなことを、いろんな多分評価はあると思うんですが、中間報告もちょっと拝見をさせていただき、FIRSTの対象となったプロジェクトも拝見をさせていただいて、これは十分に続ける価値があるんじゃないかと思っています。もう釈迦(しゃか)に説法ですけれども、山中先生(山中伸弥京都大学教授)のiPS細胞、山海先生(山海嘉之筑波大学教授)のロボットスーツHAL、岡野先生(岡野光夫東京女子医科大学副総裁)の細胞シート、それから島津製作所田中先生(田中耕一島津製作所)の、何億人に1個の蛋白を見つけ出すというもの。これだけでももう十分FIRSTの私は価値があったと思っています。
 要は、これからきちっとアピールをしていく上で、本当にFIRSTの後継を立ち上げるということになると、今までの取組について、どういう成果があったのかということは、これはもう総力を挙げてきちっと理屈を作って、実績を実証して、それをちゃんとプレゼンしなければいけないと思っていますが、総合科学技術会議で今まで実施した最初のFIRST、これに十分な成果があり、この後継を作るということには十二分に意味があると思っていますので、三つの、私が言った総合科学技術会議機能強化の柱の二つにしたいと思っています。
 もう一つは、ここはまだ十二分におそらく関係各省にも浸透していないので、努力をしていかなきゃいけないと思うんですけれども、総合科学技術会議が政策決定プロセスにより深くかかわると。今までも、内閣府の総合科学技術会議の事務局のスタッフの方々も、民間議員の方々も、とても努力していただいていて、進化しています。だけど、そこをより一歩踏み込まなきゃいけないと。やっぱり司令塔機能というんだから、例えば予算編成の前に各省の、またこういう具体的なことを言うと反発を受けますが、各省の担当者に集まってもらって、そこで会議をするところから始まるとかね。やっぱりそういう政策決定プロセスのところで影響力を増していかないと、司令塔機能は果たせないんじゃないかと思っていまして、ちょっと長くなりましたが、その三つの、私の考える三つの機能強化のうちの一つという位置付けです。これからいろいろと議論させていただきたいと思います。
(問)今の司令塔機能強化なんですけれども、一つはFIRSTの後継について、産業競争力会議の何かの民間ペーパーですと、非常に産業に近いところをターゲットにスコープを当てていこうと。ただ、岡野先生にしても、最初のうちはそんなに産業に近いところではなかったけれども、FIRSTでやったからこそうまくいってこうなったと。民間議員ペーパーのような、本当に産業に近いところばっかりをやるのか、それとも、もう少しだけ基礎的な、すごい基礎的な、どの辺りまでの範囲をカバーするようなイメージなんでしょうか、一つ。
(答)それは、私も民間議員ペーパーはちゃんと読ませていただきましたが、バランスは大事だと思うんですよね。ダーパ(DARPA(国防高等研究計画局))でしたっけ。例えば基礎研究でも出口を見据えたような、やっぱり若い芽になるような研究を探すという、もちろんプログラムもあるんだと思うんですね。
 ただ、これは科学技術担当大臣として申し上げますが、安倍内閣の方針は、高い研究レベル、科学技術レベル、この科学技術・イノベーションを出口にしっかり結び付けていくと。これを産業競争力の強化に結び付けていく、経済の活性化に結び付けていくということですから、フォーカスはやっぱりそっちなんだと思うんですね。もちろん基礎研究からブレークスルーが生まれることもありますから、それはバランスは必要なのかもしれませんけれども、大臣としてのフォーカスは明らかに安倍内閣の方針を踏まえていますから、それは、やっぱり出口に近いものを強調するというのは、私は当然じゃないかと思っています。
(問)あともう一つ、府省横断プロジェクトなんですけれども、昔の振興調整費が300億円くらいあって、各省に渡せるお金だったんですけれども、それ、例えばイノベーション25のフォローアップの中で、研究開発だけじゃできないと、それ以外の部分が大事だよねということを言っていて、例えばITS(高度道路交通システム)をやるんだったら、県警にちょっと人件費つけてあげるとか、従来の研究費ではつけられないような、例えばそういうようなことも含めた府省横断プロジェクトなのか。あともう一つは、アベノミクス特区との組合せ、絡み。アベノミクス特区の例示の中でも、総合科学技術会議で議論しているようなITSの話だとか、いろんなものが出てくるんですけれども、そういうものとの関係性については、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)まず、この府省横断型プログラムの中身については、これからしっかり総合科学技術会議で議論していかなければいけないと思っています。私は、科学技術振興調整費の一つ一つの例を全部見たわけじゃありませんけれども、今度例えば500億円、まだ仮定ですよ、わからないんですけれども、枠を例えば総合科学技術会議で決めるという時には、それは過去の何とか戦略費とは全然違う形になるという私のイメージであって、そういう各省に別にバランスよくつけるというよりは、本当に必要なものに、もう一回言いますけれども、研ぎ澄まされた総合科学技術会議の目利きをもって戦略的につけるということだと思います。府省横断になるときもあるし、どこかの省におそらく、それも実施をどうするかというところにもよりますけれども、どこまで総合科学技術会議が実施するのか、それとも各省に実施してもらうのかといういろいろな、そこのところはまだ詰まっていませんけれども、いずれにせよ、それは本当に戦略的に重要なところにつけるということだと思います。使い道については、これはきちんと総合科学技術会議の中で配分を決めるわけですから、それは議論していくということだと思います。
(問)あともう一つ、アベノミクス特区との。
(答)アベノミクス特区の話はちょっと担当じゃないんですけれども、この戦略特区みたいなものができて、これは戦略特区とかにかかわらず、それはとにかく日本の経済を強くする経済活性化につながるためには、別に戦略特区に限らず、多分いろいろな、もともといろいろな関連が出てきますから、例えば戦略的に何か科学技術プロジェクトに投資したら、そこといろいろなところとの関係が出てきますから、それはいろいろな可能性があるのではないかと思います。
(問)読売新聞の本間です。今のところでお伺いしたいんですが、FIRSTの関係で、民間議員のペーパーでは、約3,000億円というような数字が出てきたと思うんですけれども、それの値ごろ感というか、それについてどう思われるかというのと、あとは司令塔機能強化の中で、総理のそばに科学技術担当の顧問を置くという話で、二元化をどうするのかという議論がちょっとあったと思うんですが、その点について大臣はどうお考えですか。
(答)値ごろ感みたいなことはあまり私が言うと非常に物議をかもしますので、ちょっと気をつけなければいけないと思いつつ、あえて言うと、まずその前にちょっと申し上げたいのは、産業競争力会議でも言ったんですが、やはり産業競争力会議のメンバーの中にはこれだけ研究投資して、科学技術に予算をとって、成果がどのくらい上がったのか。そこのPDCAサイクルをちゃんと回せという厳しい意見が出ているんです。
 例えば、この予算配分権、流れはできたと思いますけど、まだ決まっていません。これを決めていく過程でも、そこは相当我々厳しく自分たちの体制を見直していく必要があると思います。こういうPDCAサイクルがあって、ちゃんと成果を検証してやりますということがなければ、説得力がないと思っています。だから、今の段階でFIRSTについても一応ぶち上げました、ぶち上げたというとまた言い方がきついので、一応提案させていただきました。でも、これはこれから我々がいかにFIRSTの成果をきちんと説明できるか、いかに今までの科学技術予算の中身をきちんと説明できるかということにかかっているかと思います。
 私個人として言えば、前回のFIRST並み、あるいはそれを上回るぐらいの規模の予算を投入する価値はあると。今の総合科学技術会議のメンバー、今の議論の流れを考えてみれば、そのぐらいの予算規模のFIRSTの後継プログラムを作っても私は日本のためになると、担当大臣としてはそう信じています。
 ただ、もう一回言いますけれども、それはやはり予算の話になってくるから、これは我々が本当に努力して本当に必要だという認識を政府の中できちんと作れるかどうかにかかっていると思います。
 科学技術顧問の話は、例えば党の兄貴分の渡海委員長のまとめたペーパーにも出てくるし、公明党の方からもちょっと御意見もいただいていますし、民間議員からのお話もあって、これはだから総合科学技術会議できちんと議論していかなければいけないと思います。ちゃんと検討していかなければいけないと思うんですが、要は今言ったように、二元化にならないようにしなければいけないと。総合科学技術会議との関係をどうするのかというのは、ちゃんと考えていかなければいけないと思います。作っても機能しないと仕方がないと思います。やはりいろいろ建付けを考えているんですけれども、やはりよほど工夫しないと、否定的に言っているわけじゃないんですよ、よほど工夫しないとちゃんと機能するようにならないと思っていまして、そこは慎重にやはり考えた方がいいと。役だけ設けて、せっかくなっていただいても、その方がいわゆる科学技術顧問としての役割を果たせないというのは大変だと思います。
 この間、公明党のとてもさわやかな4人の方に来ていただいて、科学技術関係の委員会の方々に来ていただいて、科学技術顧問を創設してほしいという提言もいただいたんですけれども、公明党の皆さんに聞いた感じで言うと、いわゆるそのイメージはその人が来て、府省のいろいろな連携調整をやるというよりは、その科学技術顧問が言っていることが総理の言っていることだというような科学技術顧問という話だったから、そういう人がいるかどうかというのもよく考えなければいけないし、作っても内閣が変わって、機能するのかとか、そういうところも十分いろいろなことを考えた上で、真剣にこの提言を受けて検討したいと思います。
 すみません、長くなって。
(問)NHKの小暮と申します。直接担当ではないということだったんですけれども、特区のことで、宇宙担当大臣として愛知のほうで宇宙特区というか、法人税を下げるというような構想が出ています。これについてどういうふうにお考えでしょうか。
(答)あまり軽々には言えないんですけれども、宇宙政策担当大臣ですから、内閣府特命の宇宙政策担当大臣ですから、繰り返す必要はないですね。
 やはり宇宙産業の競争力強化につながっていくプロジェクトは非常にいいのではないかなと思っています。ちょっとまだ戦略特区がどういうものになるかというのはよくわかりませんけれども、宇宙産業を強化する、競争力を高めていくという方策をいろいろと知恵を絞っていくべきなのではないかと思っています。
(問)ライターの藤井と申します。知財戦略本部関連でお伺いします。知的財産政策ビジョンが現在まとめられている最中かと存じますけれども、著作権からコンテンツ振興まで多岐にわたる内容になっているかと思います。一方で、クールジャパン推進会議も進められていまして、かなり議論が重なる部分も多いかと思います。外から見てみて、どのような意思決定のプロセスになっているのかとか、そういったことはちょっと見えづらい部分もあるかと思うので、知財戦略本部とクールジャパン推進会議の政府内での位置づけを改めて大臣のほうから教えていただければと思います。
(答)そこは、いろいろな見方があると思うんですが、私の見方を言いますと、クールジャパンもいわゆる知財戦略の一部だと思うんですよ、私は。でも、クールジャパンをある意味で言うと、特出しで切り出したんだと思うんですね。ここはものすごくいろいろな意味で戦略として重点的に議論する価値があるということで切り出して、それを稲田大臣に担当していただいているということだと思うんです。
 実は、前政権の時の組織図を見たんだけれども、申し訳ないんですけれども、前政権の批判をするつもりはないんですけれども、どうもよく関係がわからない状況になっていたので、ちょっとその組織自体は切り離した形になっているんですけれども、そこは今おっしゃったことも踏まえて、クールジャパン担当の稲田大臣と知財担当の特命担当大臣の私とでもう少しちょっと連携のメカニズムを作ろうと思っています。でも、クールジャパンはクールジャパンでしっかり稲田大臣にまとめてもらいたいと思いますし、これは経産省の予算ですけれども、例のクールジャパン推進のためのファンドができました。これはすごく私も応援していますし、経産大臣にもしっかりやってもらいたいと思っています。今おっしゃった位置づけの話は少し議論があるところで、まさに今のお話も踏まえて、ちょっとどういうふうに連携するかというのを考えたいと思っています。
(問)17日にコンテンツ強化専門調査会が開催されたと思うんですけれども、こちらでもかなりの議論があったかと思うんですが、委員の中からクリエーター振興についても触れられていると思います。これが政策ビジョンのほうに盛り込まれてどのように振興策、あとは予算案というところまで政策としてどのように盛り込まれるかというところのお考えを。
(答)その辺は、この間、本部員の中でいろいろと議論していただいて、いわばITビジョンを起草する会議がありますから、そこにどうやって盛り込んでいくかというのは、少し有識者の方々に議論をしていただいて、方向性を決めていけばいいんじゃないかなと思っています。
(問)今のと同じような話なんですけれども、さっきの科学技術顧問の必要性についてもそういう本部がたくさんあって、ITにしろ、知財にしろ、何にしろ、そういう相談して、今こっちで起こっていて、これは調整必要だよねという、そういうアドバイスというか、連携させるための機能みたいなところが、今は大臣が担っているしかないんでしょうか。
(答)今、いろいろな戦略本部みたいなのがありますよね。これは実はほとんど私なんですよ。IT、宇宙、知財、海洋、やはりそれぞれの本部で横串を指すという任務があって、これが少しずついろいろな意味で広がっているところだから、そこに一気に全体を俯瞰(ふかん)するようなものを一度に持ってこようと思っても、そんな簡単じゃないと思います。それは榊原(榊原定征産業競争力会議議員)ペーパー、民間ペーパーにも答えたんですけれども、少し将来の課題として第2段階、第3段階としていろいろ絵を描いていけばいいのであって、とりあえず総合科学技術会議の機能強化といったときには、まず政治家ですからできるところから実現していかなければいけない。小さなブレークスルーを積み重ねていかなければいけない。それが私にとっては一つは予算権であり、FIRSTの後継であり、これが実はとても大事なんですけれども、政策設定プロセスに最初からもっと深く入り込むという流れだととらえています。
(問)沖縄タイムスの吉川です。日台漁業協定と尖閣の監視強化ということで、2日前ぐらいから石垣市長や要請の議員団が大臣のほうに来たと思うんですけれども、それに対する大臣の考え、取組とか、今考えていることがあれば教えてもらいたいのですが。
(答)昨日、来られたので真摯にもちろんお話を伺いました。沖縄担当大臣ですから。その上で、私が申し上げたのは、日本政府としていろいろな総合的な外交的な戦略があり、いろいろな判断があったのではないかと。正直残念ながら農水、水産庁、それから安全保障、防衛省、それはちょっと私の所掌ではないので、皆さんのお考えはしっかり受け止めて、これは直接農水大臣と防衛大臣にはお伝えをしますと、そういうふうに申し上げました。
(問)時事通信の浅見と申します。アメリカの上院軍事委員会が報告書でグアム移転に関して。
(答)レヴィン(カール・レヴィンアメリカ合衆国上院軍事委員長)報告ね。
(問)そうです。負担増になるとして懸念を示した上で、是正に向けた法案検討をするべきだというふうに示していますけれども、それについて今後に影響をどう考えていらっしゃるか。
(答)それは1つの御意見なんだと思いますし、いつもおことわりしているように、基地の問題、普天間の問題は私の所掌ではないんですが、その上で申し上げると、やはり今の日米合意というものがあるわけなので、そこに基づいて粛々と沖縄の方々の御理解を得られる最大限の努力をしながら前に進めていくと、こういうことに尽きるのではないかと思っています。すみません。教科書的な答えで。
(問)朝日新聞の大野です。26日に、離島の有識者懇談会、これの絡みなんですけれども、大臣は先週おっしゃったように自民党から議員立法で出されるという動きが昨年もあって、今年も初めの方に出したいという意欲があったと思うんですけれども、これについてはまず大臣とのやり取りで、どういう状況にあるのかというのが一点と、もう一点は、与那国島の自衛隊配備に関して、与那国町が振興という目的で最初は誘致したんですけれども、今はちょっと用地買収が滞っているという状況で、これについて大臣のお考えをお聞かせください。
(答)与那国の話から申し上げますと、これは本当に防衛省の所管なので、是非小野寺大臣に聞いていただければと思います。一般的に言うと与那国ももちろんそうなんですけれども、国境離島、これは大事だと思っていまして、国境離島が大事だと思うからこそ、懇談会を立てたということだけは申し上げておきたいと思います。その交渉の話とかそういうものは全部防衛省にお聞きいただければと思います。
 議員立法は、山谷えり子さん、内閣部会長を中心にいろいろ今までも御努力をされてきて、これは議員立法に反対するつもりは全くありません。政府としてそれをコメントするということもちょっとおかしいと思いますが、これは議員立法で進めていただくのであれば、それは是非進めていただければいいと個人的には、個人的にはないのか、大臣には。それは全く、例えば政府として反対していることは全くありません。それは議員立法で進めていただいても私はいいと思っています。
 ただ、おそらく少し時間かかると思うし、やはり有識者懇は有識者懇として立てて、国境離島の問題を中心に議論しますから、その中でやはり閣法(内閣提出法律案)としての可能性もこれはきちんと議論していきたいと思っています。
 例えば、議員立法が出てきて、何がなんでも閣法で、みたいなつもりは全くないし、それは議員立法でいい議員立法ができるのであれば、その国境離島管理、防衛、EEZ(排他的経済水域)の確保のためにいい形であれば、それはそれでとてもいいと思います。ただ、我々として、政府として、やはりきちんと検討しなければいけないと思うので、それは閣法の可能性も含めて、我々は我々としてきちんと研究をし、準備をしておきたいなと思っています。法案もどうなるかというのは、まだ有識者の方々の議論が始まっていないのでわかりませんけれども、それも含めて、国境離島の重要性、閣法の重要性とそれから振興の重要性みたいなものはしっかり、非常にベストメンバーだと思うので、そこで議論させていただいて、報告書としてまとめたいと思います。法案の話も閣法の議論もその中ではしたいと思っています。
(問)共同通信の大澤です。ちょっとバクッとした質問で申し訳ないんですけれども、領土の懇談会、竹島、尖閣のです、あと国境離島の懇談会というのは将来的に何かリンクしたりするようなことになってきたりするのかというところを教えていただきたいんですが。
(答)直接のリンクはないと思います。国境離島、この懇談会の方は国境離島に対してどういう対応をとっていくかということを議論するということで、領土問題の有識者懇は特に竹島と尖閣の問題を中心にして、内外への効果的な発信をどうやっていけばいいのかということを議論するということなので、二つの問題が全く関係ないかというとそれはそうでもないんですけれども、直接二つの報告書とか流れがリンクするということはないと思います。
(問)もう一つ、沖縄の関連で、28日に主権回復の日の式典を行われますけれども、5月15日の沖縄の復帰の日にも主権回復を一方でやるから、そちらのほうも政府主催で何かをというような動きも一部あるようですけれども、それについては。
(答)それは何かが決まったというような連絡は受けてないのでちょっとよくわかりません。一つ言えるのは、いろいろな意見があると承知しています。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:180KB)

(以上)