山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月29日

(平成25年3月29日(金) 8:20~8:32  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 まず、閣議については、特に御報告することはありません。
 今日、最初に申し上げることは、北方四島交流事業の見直しということで、お手元に配付資料がありますけれども、四島交流事業も20年間、相互理解の増進に一定の役割を果たしてきたと思いますが、「えとぴりか」(四島交流等事業使用船舶)も出航しましたし、やはり実施体制の在り方とか、これからの参加者の範囲等々について、内閣府、外務省、北海道、千島連盟等で検討を進めてまいりました。今後は、この見直し方針に基づいて四島交流事業をより効果的なものにしていきたいと思います。
 昨日、北海道知事の御訪問も受けてお話をしましたが、問題意識はほとんど私と変わっていませんで、どのようにしてこの四島交流を領土返還に結び付けていくかという視点については、もう一度きちんと考え直したいと思いますし、運動の裾野を広げるというためにも、幅広い参加者を募って北方領土を視察してもらうということを考えていきたいと思います。細かいことは、今日はスライドも使いませんから、ちょっと手元の資料を見て、事務方にも後で聞いていただければと思います。
 それから、昨日、IT戦略本部と総合科学技術会議を開催いたしました。IT戦略本部は安倍内閣で初めての会合ということで、総合科学技術会議は2回目ということで、いよいよ本格的に議論が始まりました。
 IT戦略本部については、IT総合戦略本部と名前を変え、新たにスタートしまして、司令塔機能を強めていきたいと思いますし、総合科学技術会議についても、いよいよ個別の議論も始まりましたので、科学技術・イノベーション総合戦略の策定に向けて少し議論を加速させていきたいと思いますし、できれば1カ月に2回ぐらいは開かせていただこうと思っております。総理から改めて指示のあった総合科学技術会議の機能強化、いよいよ、ここから佳境に入っていくわけですが、しっかり安倍総理の言葉を体現できるように科学技術政策担当大臣として取り組んでまいりたいと思います。
 それから、今日の夜、京都にまいりまして、明日、若手研究者の方々との懇談、車座ふるさとトークを行おうと思っているのですが、明日は、田中耕一博士の島津製作所シニアフェローのプロジェクトを視察させていただくことになっています。
 FIRSTプログラム,最先端研究開発支援プログラムですね、この後継についてもいろいろと今、議論をしているわけですが、その30課題のうちの一つは、この田中耕一先生のプロジェクトです。ちょうど昨日の一部報道で大きく取り上げられましたアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ等を微量であっても血液中から正確に検出可能な基礎技術を開発したということで、これも結構画期的な話だと思うので、これを京都出張で見せていただこうと。ちょうど報道もありましたし、この現場を見せていただこうと思っております。
 京都大学の清風荘では、先ほど申し上げたとおり若手研究者との意見交換もやらせていただきます。ずっと現場研究者の声を聞きたかったので楽しみにしていたのですが、1時間、本当は2時間、3時間ぐらいやりたかったんですけれども、1時間しかないのですが、初めて現場の声を聞くということで大変楽しみにしております。
 田中先生のプロジェクトは非常におもしろいと思うので、もし取材をされたいという方がおられれば、申し込みは正午までですから、奮って御参加いただくよう私の方からもPRをさせていただきたいと思います。
 今日は本格的な、本格的なというのも変ですけれども、ちょっとアドホックな記者会見なので、ちょっと短くなりましたが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の二階堂です。北方四島交流事業の見直しについてという紙をいただいているんですけれども、その北対協(北方領土問題対策協会)と期成同盟(北方領土復帰期成同盟(四島交流北海道推進委員会))の活動を一元化していくということのようなんですが、これによってどういうことが今後新しく期待できるのかということをちょっと教えてください。
(答)どう一元化するかというのはこれから検討していくということで、やはり事業が重なっている部分は集約していった方が効果的に決まっていますから、実施機関についても効率化を図っていくというのは当然だと思います。20年やってきたわけですけれども、そこを踏まえて、より強力な実施体制を作るということに尽きると思います。
(問)領土・主権企画調整室ができてしばらく経つんですけれども、当時作るときに有識者会議等を作るようなことも構想にあられたと思うんですが、今の検討状況を教えてください。
(答)今のところ慎重に検討しています。ただ、以前から申し上げているとおり、全体の状況を見ながら進めていかなくてはいけないので、内外発信についてはきちんとやるためにもいろいろな体制を整えなくてはいけないのですが、総理の外交戦略の幅を狭めないように、細心の注意を払って、検討を進めております。
(問)北海道新聞の渡辺です。今回のこの見直しなんですけれども、改めてこの見直しを今回必要になった理由がどの辺にあるかということと、プログラムの見直しの部分では、ロシア側が了承しないとだめな部分があると思うんですが、この辺、実現に向けてどのように取り組んでいかれるか。
(答)後者から言いますと、今まさにおっしゃったことはポイントなので、そこは外務省ともよく連絡をとりながらやらなくてはいけないと思っています。
 昨日、高橋(北海道)知事とお話をして、例えば四島交流でも向こうに行った時に、領土問題についての議論みたいなことをもっとやるべきではないかとか、あるいは北方四島の島民の方々をこちらから受け入れた場合も日本のいいところを見せるという意味でも観光も必要かもしれません。もう少し、しかし、戦略的にプログラムを組むべきではないかとかいろんな提案があるのですが、この問題で一番難しいのは、ロシア側の対応を見なくてはいけないというところなので、そこを少し気を付けながらいきたいと思いますが、そこはよく外務省とも相談をしながら進めていきたいと思います。
 それから、四島交流の事業、この見直しの話ですけれども、最初に特命担当大臣になった時からの問題意識なのですが、やはり(この交流を)20年間やってきて、もちろん成果もあったと思いますし、交流によって向こうにも日本という国が見えてきたと思います。ただ、少しマンネリ化しているところがあるのかなと。もちろん四島交流は必要なんです。元島民の方々のことを考えても必ず必要なんですが、そこにもう少し戦略的な視点を加えていかないと、今やっていることがどのように返還に結びついていくのかと、やはり、このような視点を洗い出す時期に来ているのかなと、そういう問題意識があります。
 ですから、これからまた、(北方領土問題について、)いろいろ国民に対する発信の仕方も広げていきたいなと、いろんなツールを使ってですね。これをもう少し経ったら発表しようと思いますが、そういう発信も広げていきたいと思います。もう一つ申し上げておくと、私、領土担当大臣でもあるので、北方対策本部は国内の啓発とか、それから、元島民に対する支援とか、あるいは領土の周辺地域に対する支援とかいろいろあるのですが、領土担当大臣として対外発信というのもあるので、そのようなところとも組み合わせて、北方対策本部とも連携してできる部分も少し研ぎ澄ませていければと思っています。
(問)毎日新聞の齋藤と申しますが、車座トークというのをされるということなんですけれども、大臣として直接研究者にお話を聞ける機会ということで、特にどういうことを聞こうというふうにお考えですか。
(答)そうですね。やはり研究をしている上で障害になっていること、政府がサポートできることについては、しっかり意見を伺ってこようと思います。それから、これから研究開発法人の議論もしていかなくてはいけないので、特に研究のような複数年に亘るものについては、他の組織とは違う視点が必要だと思っていまして、そういう意味で今、研究開発に携わっている人たちがそれをどう見ているかというのを知りたいし、それから、これは山中先生からもお話が出て、ずっと議論しているのですが、研究開発を支援する人材ですね。アメリカと比べると、研究者を支援する体制についてまだ日本は遅れていますから、そこら辺についても、研究者の方々の本音をお聞きしたいなと思っています。
 それから、安倍内閣は科学技術・イノベーションを経済活性化の原動力としているわけですから、その科学技術・イノベーションを生み出していく次世代の人たちが何を求めているのか、そこにどのように政府として資源を投入していけばいいのかということを担当大臣として考えなくてはいけないので、この意見交換会はとても大事だと思っています。
 何度も言いますけれども、1時間ではとても足りないんですけれども、本当は何時間かやりたかったのですがけれども、これはファーストエンカウンターというか、最初の遭遇ですから、これを機にやはり若手研究者の人たちとは少しいろいろ議論を重ねたいと思っています。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

(以上)