山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月28日

(平成25年3月28日(木) 20:10~20:38  於:4号館2階220会議室)

1.発言要旨

 本日の18時25分から総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。会議には臨時議員として稲田規制改革担当大臣のほか、次世代インフラの議題では、太田国土交通大臣とそれから古屋国土強靭化担当大臣をお招きして議論をさせていただきました。
 なお、茂木経済産業大臣の代理として菅原副大臣が、甘利経済再生担当大臣の代理として西村副大臣がそれぞれ出席をされました。また、安倍総理は所用のためやむを得ず会議を中座されました。
 前回の会議は3月1日でしたが、安倍総理から科学技術イノベーション総合戦略の策定、これは仮称ですけれども、成長戦略策定への参画、さらには総合科学技術会議の具体的な機能強化策の検討の3点について、本年半ばまでに集中的な審議を行い、結果を取りまとめるように指示を受けております。
 本日は、2点目の成長戦略に関して、次世代インフラとエネルギーの2分野について具体的な議論をスタートいたしました。会議冒頭は安倍総理からのご発言がありました。これもプレスの前で発言されたので、繰り返す必要はないと思いますが、イノベーション政策は成長のためのイノベーションとなるようやっていきたいということを改めて総理の方からお話があって、こうした提言が絵に描いた餅にならないように、改めて総合科学技術会議の機能強化策については権限、予算、両面でこれまでにない強力な推進力を発揮できるよう、具体化をしっかりやってくれという話がありました。
 1つ目の議題である次世代インフラに関する集中審議では、まず大西議員から有識者議員からの提出ペーパーについてご説明があり、その後で太田国土交通大臣、古屋国土強靭化担当大臣からそれぞれ提出された資料について説明がありました。各議員から説明後、出席者の方々、議員の方々からご発言がありました。
 エネルギー、次世代インフラについて、主な発言をざっと紹介をしたいと思います。橋本議員から、科学技術への期待を聞いて、大変心強いと。太田大臣のメンテナンスサイエンスというのは大変重要な指摘だというお話がありました。サイエンスとしては最先端でないところ、よい論文にはならない部分に活用できる技術があるというお話がありました。大学の果たす役割は重要だけれども、評価の軸がちょっとずれているんじゃないかと。新しい評価軸、つまり社会に役立つかどうか、こういう評価軸をつくるということが大事であって、総合科学技術会議からはこういうメッセージを出したいというお話がありました。
 原山議員からは、太田大臣と古屋大臣の説明を聞いて、各省も同じ方向性を持っていることを実感したと。これは複数の議員の方からありましたけれども、太田大臣と古屋大臣の方向性と総合科学技術会議の方向性は基本的には同じだという意見が何人かの方からありました。それから、久間議員からも両大臣とベクトルが一致しているとお話がありました。
 久間議員からは、ITSも実証システムにとどまっていると。こういうものをしっかり進めていくことが大事だという話がありました。
 内山田議員の方からは、思い切った目標が大事だと。例えば民間議員のペーパーにあるITSで2030年に交通事故死亡者をゼロにするとか、こういうことを目指すとか、こういう目標を立てることがブレークスルーを生むという話がありましたし、あと、まちづくりの視点も大事で、オリンピックの誘致とか東北振興の機会を通じて実行すると、非常に見えやすいのではないかという話がありました。
 さらには、青木議員からは、社会経済システムとして次世代インフラを考えると、古い技術的な資産も価値が見出されるんじゃないかという話がありました。
 さらに、大西議員からは、自分は都市計画の分野の人間なのに、学術会議の会長になったと。これが技術の社会実装をされる風潮の証だという話がありました。ミャンマーに日本は橋梁研究所もあわせて持ち込んだと。技術もあわせて持ち込んで建国に資するような考え方もあるんじゃないかと。こんなこともおっしゃっていましたし、海外展開する際にはスマートシティの国際標準をつくるというのも主張されていました。
 麻生財務大臣からもご発言がありました。東日本大震災の経験を踏まえれば、安全・安心のためのコストは惜しむべきではないと。ガソリンスタンドとコンビニには自家発電の義務づけを例えばするべきじゃないかと。結果的に使えなくても、その価値をしっかり見出すべきだという感じで、特に麻生大臣が強調されていたのは、日本はサイエンスというよりも技術で生きてきたんだと。科学者も大事だけれども、やっぱり技術屋を忘れちゃいけないと。高専とか工業高校の出身者は非常に企業にとって役に立つ人材ではないかという話がありました。
 下村大臣からは、文科省が貢献する分野として、地震、防災、宇宙、海洋、革新的な構造技術、スーパーコンピューターみたいなことについての言及がありました。
 ここで一旦終わりですね。今の話が次世代インフラについての出席者の発言です。
 2つ目の議題のエネルギーの集中審議については、橋本議員から有識者議員の提出ペーパーについてご説明がありました。
 エネルギーについても出席者の意見、ざっとご紹介をしたいと思いますが、麻生大臣から特にあったのは、石炭を再度見直すことが大事じゃないかと。磯子の火力発電所へ行ってみたら、煙は出ないし、非常に高い技術があると。石炭は海外にも多く埋蔵されているし、数があるからと。インドネシアとかスマトラとか。だから、高い技術を生かして輸出を目指すべきだという話がありました。
 この石炭のことについては何人かの方からご発言がありました。橋本議員はエネルギーについては、産業競争力会議、学術会議、産業界とすり合わせて、各機関の議論をヒアリングして9つに整理しました。いろいろな分野について、国際標準をとることが大事だとか、一次エネルギーが石油だったのがガスにシフトして触媒になるみたいな話とか国際標準の話とか、このような整理された分野のお話がありました。
 久間議員、これはエネルギーについてですが、この久間さんは、我が国の火力発電技術は世界のトップだと。だから、火力発電技術を高めていくということは重要だという話があって、もう一つは、洋上風力発電システム、この技術的可能性が800ギガワットであって、2010年の日本中の電力使用量が250ギガワットだから、これは大変有望であり、特に洋上風力は進めるべきだという話がありました。
 古屋大臣とか下村大臣からもそれぞれの省庁の取り組みについて話がありました。
 稲田規制担当大臣は、規制改革の推進に当たっては、エネルギー、環境が重点分野だと。石炭火力の環境アセスメントは最優先課題の一つで、改革を進めたいと、こういう話がありました。エネルギー・環境分野は成長力に密接に影響すると。だから、総合科学技術会議と連携して、この分野の規制改革にしっかり取り組みたいという話がありました。
 さらに、経産副大臣と経済再生副大臣のほうからも、菅原さんと西村さんからもそれぞれの府省の取り組みについて話がありました。西村副大臣からは、産業競争力会議においては、年央の成長戦略策定に向けて次世代インフラ・エネルギーの集中的な議論をやっていますと。コア技術をしっかり特定して、ロードマップをつくりたいと。総合科学技術会議、規制改革会議と連携をしながら、成長戦略の具体化をこれからも進めたいと、こんな話がありました。
 ちょっと細かく丁寧にやりましたけれども、これが今日の総合科学技術会議の議論の中身でございます。何か皆さんからご質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 次世代インフラについて、割といろいろな部分でITが大事だ大事だと。その前にやった、IT戦略本部でも似たような議論をやっているわけですよね。ここら辺のすり合わせというのは今後どうやっていかれるのでしょうか。
(答)IT戦略本部で、これから起草委員会をつくって策定する安倍ビジョン、この中にどういう形で盛り込まれるのかはちょっとわかりませんけれども、この次世代インフラというものが総合科学技術会議のほうでも一つの議題になって上がってくれば、そこをうまく連携する仕組みというか、そこは少し考えていきたいと思います。私はIT政策担当大臣であると同時に総合科学技術会議を担当していますから、こういう議論がそれぞれ出てきたときに、それを連結するためには極めていい立場にあるわけですから、それはお互いにそこら辺はうまく結合させて、より推進力を強めるようなやり方を考えていきたいと思います。とりあえず、IT戦略については、安倍ビジョンをきっちりつくると。総合IT戦略については、IT戦略本部でつくる、司令塔として。総合科学技術会議のほうは科学技術イノベーションの総合戦略をつくるということですから、これはそれぞれきちんと同時に進めていきたいと思います。中で連携できるようなことがあれば、それはいろんな形でうまく結合させて、推進力を強めるやり方を考えたいと思います。
(問)それともう一つ、これは次世代インフラもそれからもう一つもそうですけれども、具体的にロードマップに落とし込んでいくときに、規制改革会議、産業競争力会議と連携が必要だと思うんです。どういう仕組みでやっていかれるんでしょうか。議員はみんな1人はいるとか、規制改革会議のほうは余り関係が、議員関係もないんですけれども、大臣が共通だとかありますけれども、具体的に細かいレベルでいろんな詰めをしなきゃいけないと思うんですけれども、そういう仕組みってどうやってつくっていくんでしょうか。
(答)仕組みということでいうと、甘利大臣が今日も確かおっしゃっていましたけれども、総合科学技術会議には橋本先生がおられるわけですよね。だから重なっていると。規制改革会議でも重なっているわけですよね。だから、産業競争力会議ははっきり言って両方とつながっていると。でも、例えば総合科学技術会議と規制改革会議、これは少し直接の連携がまだ不十分なところがあるので、今日も稲田大臣と立ち話したんですが、ちょっと一点突破じゃないけれども、1つプロジェクトをやりませんかと。総合科学技術会議と規制改革会議とのつながりも少し考えていきたいと思います。その細かい連携の仕組みというのは、例えば産業競争力会議でいろいろ規制改革の玉が出たら、ぱんと稲田大臣のほうに投げるわけですけれども、そこはこれから我々は我々で科学技術イノベーション総合戦略をつくっていきますから、その間どうやってすり合わせていくかというのは、これからもう少し緻密に制度設計していこうかなと思いますけれども。確かに今のところ、おっしゃったとおり、細かいすり合わせをするメカニズムをもうちょっと考えなきゃいけないなと思っています。もう一回言いますが、稲田さんとはもう少し、これから大臣同士も連携を密にしていこうと思っています。
(問)日経新聞の高見と申しますが。
 きょう、民間議員から出ているペーパーの扱いといいますか、その位置づけについてちょっとお伺いしたいと思うんですが、全員のお名前でペーパーが出て、それから太田大臣、古屋大臣と方向は同じだというお話があったというお話でしたけれども、会議としてこの方向で行くということで一致しているという理解でよろしいんでしょうか。
(答)ええ。会議としてというか、有識者議員の方々の考え方はこういうことだと思ったわけですけれども。総合科学技術会議自体は、親分というかトップは総理ですから。この今日出てきたペーパーは、有識者議員の方々の統一的な考え方と、こういうことだと思います。
(問)そうすると、会議としてはこのペーパーで方針でいくというふうに決まったというか、了承しているわけではないということなんでしょうか。
(答)了承というか、まだ今議論の途中ですからね。しかし、民間議員の方々がいろいろと議論をして、方針を出して、出していただいた方向性ですから、もちろんきちんとそういうことも勘案していかなきゃいけないと思いますが、いずれにせよ、6月、年央に向けてつくっていく科学技術イノベーション総合戦略の中に生かしていくということになっています。それがそのままいくかどうかは、もちろんこれからの議論だと思いますけれども、こういうことを参考にして練り上げていくと、こういうことだと思います。
(問)日経BPの河野と申します。
 前回の本会議のときに、CSTPが握る予算権限として少なくとも500億円ぐらいとたしか発言されたと思うんですけれども、その後いろいろ党のほうでも提言がありまして、そういう推移を踏まえて、今のところ予算規模の規模的な印象には何か変化があったかどうかというところを教えてください。
(答)まず1つ、先ほどご紹介したとおり、総理のほうから改めて予算、機能を含めて、これまでにない抜本的な機能強化をしてくれということ、指示が改めてありましたから、担当大臣として総理の方針をきちっと実現させるというのは私の役目だということを再認識いたしました。それで、例えば機能強化についても、総合科学技術会議がまとめていく科学技術イノベーション総合戦略の中で、きちっとこれを入れ込んでいくということになると思うんですね。この間申し上げたとおり、いろいろ機能強化については切り口があるんですけれども、そのうちの議論の一つは、総合科学技術会議が配分できる、あるいは決めることのできる予算枠を設けるかどうかが焦点の一つになっていまして、これについては党の方の、委員長とかあるいは塩谷調査会長が中心になってまとめられた中間報告の中でも、やはり総合科学技術会議がある程度、枠を持ってきちっとこれを決めるようにするべきだという話がありますから、こういう追い風を受けて、例えば総合科学技術会議がある枠をきちんと振り分けてもらったとして、それをどうやって実施していくかということには、幾つかいろいろとオプションがあるので、これはまた議論しなきゃいけないと思いますが、少なくともそのぐらいの権限を与えいただかないと、安倍総理の方針を実現することになりませんから、これはその方向で全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
(問)もう一つ。1月に2回、CSTPの本会議を開かれたというのは、ここ数年記憶にないんですが、今後もこういったペースで開くというふうに考えてよろしいんでしょうか。
(答)やはり安倍総理がすごく総合科学技術会議をもう一回輝かせてくれということに思い入れがありますから。あと、総理もすごくお忙しいので、日程が。でも、そこは申し訳ないんですが、できるだけ時間をつくっていただいて、1月に2回ぐらいのペースでやらせていただこうと思っています。6月までに科学技術イノベーション総合戦略をつくらなきゃいけませんから、やはり月に2回ぐらい本会議もやらせていただかないと、なかなか議論ができないと思うので、担当大臣として申し上げれば、月に2回、本会議をやらせていただこうと、そう思います。
(問)ありがとうございます。
(答)よろしいでしょうか。
 どうも遅くまでありがとうございました。

(以上)