山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月25日

(平成25年1月25日(金) 11:40~12:05  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 昨晩、アルジェリアの邦人拘束事件で最後まで安否がわからなかった方の御遺体が確認されたというニュースが入ってまいりまして、大変、私にとっても悔しくて悲しいニュースだったんですけれども、あんなに日本から離れたところで頑張っておられる罪もない方々がこういうふうに亡くなられるというのは、本当に不条理だと思います。本当にテロは断じて許せないと、やり場のない怒りを感じておりますが、いろんな意味で、御遺族の方々に対して政府としてもきちっと心遣いをしていかなければいけないというふうに感じております。
 今日は、閣議のほうでは特に報告することはないんですが、宇宙開発戦略本部の会合がありました。宇宙開発戦略本部本部長、安倍総理なんですけれども、今日は大変大事な会議で、宇宙基本計画が決定されました。その話からさせていただこうと思うんですね。
 もう皆さん、釈迦(しゃか)に説法ですけれども、これは新たな宇宙基本計画ということで、かなりめりはりをつけて資源配分をするという方針で、3,000億円の宇宙予算の重点化・効率化を目指すということです。
 宇宙基本計画は、宇宙政策の憲法といってもいいぐらい大事なものだと思うんですけれども、考えたら宇宙戦略室は去年の7月ぐらいに産声を上げて、8月には、ここで最初の記者会見のときにちょっと申し上げた、経費見積りというのを変えてくれというふうに頼んで、ほとんど今いろんな書類には、私がお願いした言葉に変わっているんですけれども、宇宙開発利用に関する戦略的予算配分と、こういうこともしっかり作って各省庁に提示をしてきたわけですけれども、まさに今日の宇宙開発戦略本部は、宇宙基本計画を決定するという大事な会合でした。
 この狙いは、もういちいち申し上げませんけれども、とにかく宇宙利用による安全保障、それから宇宙産業の競争力強化ということで、やはりこの分野における日本の競争力をしっかり高めていこうと、そういう思想が貫かれておりますし、安倍政権の至上命題である強い経済を取り戻すという意味でいっても、宇宙産業における日本の競争力をしっかりこの方針に沿って高めていくということだと思っています。
 例えば準天頂衛星システム、これは最重要課題として位置づけられておりまして、とにかく準天頂は4基ないといけないということで、最終的には7基なければいけないんですが、準天頂衛星システムについても、これもしっかり進めていくことになると思います。
 今後のスケジュールなんですけれども、パブリックコメントを募集して、相当丁寧に事務方のほうでやってもらいました。これは宇宙政策委員会でもしっかり議論したんですが、1,443件で、中には、宇宙人と交信した場合のこととかちょっと荒唐無稽なものも、中身は細かく言いませんが、いろんなことがあったんですけれども、一つ一つ全てしっかりコメントも反映をさせて丁寧にやったと思います。今日25日、新たな宇宙基本計画が宇宙開発戦略本部で決定されて、これから2月中旬にJAXA(宇宙航空研究開発機構)の中期目標が作成をされると。JAXAは政府全体の宇宙開発事業を支える機関ということで、JAXAを視察したときにいただいてきたH-ⅡBロケットの模型は、私が直接、昨日総理にお渡しをしました。総理の執務室に置いていただけるかどうかわからないんですけれども、これを受けてJAXA、基本計画がないとJAXAの中期計画を認可できないので、3月にJAXAの中期計画が認可されて、4月に新たな宇宙基本計画がスタートするということになります。
 そんなことで、宇宙開発戦略本部の会合を今日行ったんですけれども、総理のほうからは、とにかく宇宙政策についてもしっかり内閣府特命担当大臣として司令塔機能を高めてほしいと、そういう強い意思も感じられましたし、特に総理の指示の中に、JAXA、これはやはり宇宙基本計画全体に沿ってしっかり中心的な役割を果たしてもらうと、こういう大変強い御指示もあったということを御報告させていただきたいと思います。
 それから、今日はいろんな重要会議のあった日なんですけれども、日本経済再生本部も行われました。私のほうからも発言をさせていただいたのは、まず、第1回目の産業競争力会議に出席ができずに申し訳ありませんでしたと。これは沖縄出張と重なったために仕方がなかったんですが、これをまずお詫びすると同時に、総合科学技術会議の機能強化はしっかりやって、連携体制を作っていきたいと思いますと申し上げました。
 もう一つは、IT戦略本部について、これも実は安倍政権の下で新たなITのビジョンを作らなければいけないので、おそらく4月になるか5月になるかわかりませんが、起草委員会もしっかりスタートさせなきゃいけませんし、これについてもできるだけ早くIT戦略本部を開催したいということを申し上げ、総理のほうからは、指示書で総合科学技術会議の機能強化、それからIT戦略についてもIT大国を目指していけるような体制をしっかり作ってほしいと、こんな御指示がありました。
 大体そんなところだと思うんですが、何か皆さんから御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)今の宇宙基本計画の関係なんですけれども、新しい防衛大綱を踏まえて安全保障政策との連携をということなんですけれども、そのへんちょっと安全保障政策との連携という部分を詳しく教えていただけますか。
(答)宇宙基本計画は、今日、宇宙開発戦略本部で一応決定させていただきましたが、先ほどもちょっと御説明したように安全保障の側面もありますから、新しい防衛大綱ができれば、それに沿って見直していくという方向になると思います。
(問)昨日、自民党の那覇空港の第2滑走路に関するPTの皆さんが、PTとしての結論がまとまったということで安倍総理に行かれたんですけれども、PTとしては6年3カ月まで縮めることが可能であるという結論に達して、ただ、これではまだ不十分だということで、政府のほうでさらに努力してほしいという要望をされて、総理も前向きな答えをされたというお話だったんですけれども、それを踏まえて、更に5年台ぐらいまで縮めるように努力していくお考えがあるかどうかということを教えてください。
(答)まず、党がそういう要望を出されたということは知っておりますが、具体的にどのくらい短縮できるのかということについてはまだ決まっておりません。ですから、何度も同じことを申し上げて恐縮なんですけれども、これは技術的な観点とか、あるいは環境アセスとか、いろいろ総合的な要素を勘案して、これからしっかり議論して決まっていくことだろうというふうに思います。
(問)大臣としては、できれば5年台までというお考え、お気持ちはあるのでしょうか。
(答)そういう具体的な数字は申し上げる段階にないと思うんですけれども、私としては沖縄側の要望を受けて、先ほど申し上げたとおり、どのくらい短縮できるかというのはわかりませんけれども、それはその要望に沿って担当大臣としてはできる限り努力はしていきたいと。ただ、まだ決まっていません。
(問)新年度予算が間もなく決まりますけれども、その前までには那覇空港の関係での、新年度予算の分だけではなくて全体のスケジュールも含めて、固めるスケジュール感で今進んでいらっしゃるんでしょうか。
(答)そこもまだ、どういう方向性になるかということは決まっていません。ただ、担当大臣として、申し上げたとおり振興予算、これはできる限り努力をするということに尽きると思います。これからまだ、最終的な予算編成に向かっていろんな交渉のプロセスがあると思いますから、担当大臣としては全力で頑張りたいと思っています。
(問)沖縄タイムス比屋根です。同じ関連なんですけれども、大臣は今週、仲井眞知事と沖縄でお話しされたときに、その時点で既に短縮の方向性というのは伝えられていたのかということと、沖縄関係予算の総額と今回の那覇空港の件、これ以外の新たな要望というのは、初めて受けた要望というものはあったんでしょうか。
(答)仲井眞知事との懇談、これはたぶん全部メディアにオープンだったので、そこに出ている以外のことは出ておりません。基本的に、やはり沖縄振興予算の確保、それから第2滑走路の問題が主だったと思います。ですから、私としては改めて要望を受けとめて、そこで具体的な数字を申し上げることはしませんでしたが、とにかくしっかり努力をしていきたいということを申し上げました。いつも同じような答えでごめんなさい。
(問)読売新聞の知野です。宇宙基本計画なんですけれども、総理の指示のペーパーが出ていますけれども、この指示に関して、あるいはそれ以外に関してでも、ほかの閣僚の方たちからはどんな発言があったんでしょうか。
(答)これは私の発言じゃないので、ここで申し上げるということは控えたいと思います。もしそれぞれの大臣から発言があったとしても、私がそれを申し上げるようなお話ではないと思いますが、いずれにせよ総理の頭には、内閣府にきちっと宇宙政策についても司令塔機能を果たしてほしいと、そういうものが強くあるということがはっきり今度の会議でわかったと思いますし、JAXAについても、指示書にもあるように、宇宙基本計画全体について責任を持ってしっかり取り組んでほしいと、こういう気持ちは十二分に感じました。
(問)読売新聞の松浦です。沖縄の関連なんですが、最終段階にある滑走路の予算ですけれども、これができ上がった暁には沖縄に説明に行かれる機会があると思うんですが、その際には、やはり総理と御一緒に行かれるというお考えはあるんでしょうか。
(答)それはまだ総理がいつどういう形で沖縄に行くかというのは決まっていないと思うので、今は何とも言えませんけれども、総理が沖縄に行かれるときは同行することになると思います。それは以前から言われておりますので、沖縄に行くときはおそらく同行すると。ただ、いつどういう形で行くのかというのは、私は最終的に決まっていないと思います。
(問)検討状況だけでも教えていただくことはできませんか。
(答)検討中です。検討状況、検討中。まだはっきり決まらないのに、あまりいいかげんなことは言えないので、安全運転だと書いていただいた社もありますけれども、安全運転で行きたいと思います。
(問)安倍政権が発足して、26日で1カ月にちょうどなると思うんですけれども、総理の年頭会見でロケットスタートを経済分野で切りたいということで、次々いろんな会議を立ち上げたりして、まさにロケットスタートを切っていらっしゃると思うんですが、一閣僚としてこの1カ月を振り返っての所感をいただければと思います。
(答)ロケットスタートというか、矢継ぎ早にいろいろ大胆な政策を打ち出しているということで言うと、宇宙開発担当大臣として、ロケットスタートと言ってもいいのかもしれませんが、ただ、なかなか落ちついていると思いますね。一つ一つの政策をものすごく急いで、とにかく何でもかんでも打ち上げればいいというんじゃなくて、宇宙開発の分野で言えば、ちゃんと日本の戦略を考え、例えばなぜ「こうのとり」を上げなければいけないのかとか、つまりかなり戦略を練った上でいろんなことを打ち上げているという感じがします。
 ですから、これからが本当にいろいろ大変なことがあると思いますけれども、ロケットスタートなんですけれども、非常に落ちついた戦略に基づいて進めてこられたんじゃないかなというふうに思っています。
(問)大臣は、ずっと総理を支えてこられたと思うんですけれども、まさに再チャレンジですね、二度目の総理と、なかなかほかの人はやらない経験をされていると思うんですけれども、以前と比べて、今落ちついているとおっしゃったことがそうかもしれないんですが、前回総理だったときと今回の安倍総理で、違うな、変わったなという点があれば、感想を教えてください。
(答)基本的に、私の安倍総理に対する気持ちというのは全く微動だにしていないので、そこは全く変わりませんが、やはり一つは、以前に比べると落ちついている気がしますね。それから、すごく戦略を持って矢継ぎ早にいろんなことを打ち出しているんですけれども、何というんですかね、自然体でやっているところがあって、非常にそういうところは頼もしい感じがします。
 それから、やはり御自分でもよくおっしゃっていますけれども、過去のいろんな経験があって、そのことを十分に踏まえた上でやっておられるので、覚悟を感じますね。やはり安倍政権は、安定した、きちっとした政治体制を作らなければいけないと。強い経済を取り戻さないと、もうこの国は、いつも言っているように本当にだめになってしまうと、こういう強い気持ちを持っていらっしゃるので、覚悟があると思います。それは総理としての覚悟だし、この政権を必ず安定した長期政権にして、宇宙開発もITも外交も全部そうだと思うんですけれども、やはりしっかり腰を据えて日本を立て直さなければいけないという覚悟を感じます。
(問)日刊工業新聞天野と申します。宇宙基本計画についてですが、今回の出来栄えをですね、点数をつけるとすれば何点ぐらいだと。
(答)宇宙担当大臣になって日が浅いので、あんまり僭越(せんえつ)なことは申し上げたくないので、ちょっと点数は控えますけれども、計画全体としては非常にめりはりがついていると、私はそう思っています。前の基本計画に比べると、より具体的ですし、前はかなり総花的なところがありましたけれども、今回は宇宙開発利用を進めていくとか、あるいは自律性を確保するとか、はっきりしたコンセプトがあって、そこに例えば4つのインフラとか、準天頂衛星とかリモートセンシングとか、かなり具体的な話もあるので、そこは非常に私は評価できるんじゃないかと思います。
 最初にちょっと厳しい質問をいただいたのを覚えているんですが、もともと超党派で進めてきた宇宙基本法に基づいているというところがありますから、もちろん自民党の前の時代からのいろんな構想もありますけれども、どこが誰のアイデアとかそういう話じゃなくて、全体としていうと、私は評価できるというか、非常にいい宇宙基本計画じゃないかと。安倍内閣のいわゆる強い経済を取り戻す、しっかりと宇宙政策についてもこれは産業の活性化、経済の活性化に結びつけていくということからいくと、なかなかめりはりのきいた計画になったんじゃないかと思っています。
 それから、聞かれていないんですけれども、領土担当大臣というのもやっていまして、実は竹島問題については、去年、前の政権下で竹島についての検討チームを作るということが決まっていまして、国民への啓発とか国内の調査とか、いろんなことを言っているんですが、まだ各省と協議中なんですけれども、私が考えているのは、竹島、尖閣、尖閣は領土問題はありません。でも、領土担当大臣ですから、竹島、尖閣、それから北方領土、こういう領土についてのいろんな話をきちっと検証すると。過去の経緯もしっかり検証して、今の国際情勢とか相手国のいろんな主張もしっかりと調べた上で、どうやってこれを内外に発信していく必要があるのかと。国民の方々に対する啓発はもちろん、どうやって交渉に活用していけばいいのかと、そういう材料を総理とか外務大臣にきちっと渡せるようなですね、私はそういう組織にしたいというふうに思っていますし、例えばアメリカまで行って、ニューヨークタイムズとかワシントンポストの記者に会って、竹島問題あるいは尖閣についての中国の主張は、ここがおかしいということを自らちゃんと発信するような、そういう領土担当大臣を目指していきたいと思うんですね。そうじゃないと、やっぱり領土担当、初めてのことですから、領土担当大臣というのは、それを作った意味がないと思っていまして、これはあくまでも私の頭の中の構想で、これから具体的なところは関係各省と調整をしていきたいと思いますが、総理もおそらく官房長官も、私の方向性は理解をしていただいているんじゃないかなと思っています。
 この間、長崎大学の先生が、また古い中国の文献を発見されたと。これはもちろん外務省としても関心を払って見ておられるんだと思います。私、外務大臣じゃないので、おそらくそうだと思うんですね。発言、気をつけなきゃいけないんですけれども、こういうことを個別にやっているんじゃなくて、きちっと、例えば領土担当大臣の下に有識者会議を作って分析をし、それを外交に活かしていくということがまだ十分じゃないし、ほかの省庁も外務省も本当に忙しいですから、そういうところを専門的にしっかり分析するというところを領土担当大臣としてやっていきたいなと思っています。もう一回言いますが、これはまだ私の中のイメージなので、これがどこまで近づけるかというのは、各省との協議によると思っております。
(問)今の関連で、尖閣諸島の件ですけれども、大臣は領土問題はないとおっしゃいましたけれども、実際現場では、石垣の漁民などは日々危険を感じていたり、頻繁に台湾なり   中国漁船が入ったりということで頻繁に起こっているんですけれども、この現状に関しては、領土担当大臣としてはどのように。
(答)まず、尖閣に領土問題というものは存在しません。あらゆる意味から、あるゆることから考えて、日本の固有の領土であることは間違いないということです。ただ、尖閣をめぐるいろんな事案、これはいろんな対応措置をとっていかなきゃいけないのであって、それは小野寺防衛大臣もおられますけれども、安全保障の面では防衛大臣にしっかりやっていただかなきゃいけない。外交の面では、しっかり岸田大臣のイニシアティブでやっていただくということで、私は海洋政策担当大臣なので、離島の保全、これはやっぱり尖閣の話にもすごくつながっていくので、法律もありますから、低潮線保全法みたいなものもありますから、きちっと領土保全をしていくということで、尖閣のいろんな事案に対して対応していくということに尽きるかなと思っています。
(問)時事通信西垣ですが、今触れられた領土に関する有識者会議、まだ。
(答)まだ構想です。
(問)構想の段階だということなんですが、イメージとしてはいつ頃立ち上げたいというふうに大臣はお考えですか。
(答)それは、できるだけ早くやりたいと思っているんですが、一応私の意思は伝えましたので、恐らく関係各省のほうでも事務方は検討を始めていると思うんですね。ですから、できるだけ早くすり合わせをして、組織、人、どういう形になるのかというのは決めていきたいと思います。今日、もう一回関係各省に状況を確認したいと思います。大きな方向性で言うと、総理にも官房長官にも私の考えは話してあります。領土担当大臣としてこういうことをやりたいと、いわゆるシンクタンク機能みたいなものも、できれば果たしていきたいと。総理と外務大臣に、活用できる材料をしっかり渡せるような仕組みも作っていきたいと。これは安倍総理と菅官房長官には申し上げています。ですから、それを受けて各省の事務方でも協議が始まっているということだと思いますので、今日か明日、ちょっとばたばたしていますけれども、もう一度関係各省に、その結果はどうなっているのかというのは確かめてみたいと思います。
(問)イメージは、2年先、3年先とか、そんな感じですか。
(答)いや、とんでもない。そんな2年先なんていったら、まだもちろん安倍内閣だと思います、6年か7年かわからないですけれども、ずっと安倍内閣じゃなきゃいけないと思っていますが、そんな1年先とかいうスパンじゃなくて、それだったら領土担当大臣になった意味がありませんから。
(問)数カ月以内。
(答)はい。安倍総理が、大臣本人の発信力、それから行動力、それがあって本当にいい仕事ができるというふうにおっしゃっていますから、それはもうできるだけ早く領土担当大臣として機能できる体制を整えたいと思います。

(以上)