山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月15日

(平成25年1月15日(火) 11:06~11:31  於:合同庁舎4号館2階220会議室)

1.発言要旨

 今日は、北方領土問題のキャンペーンのために、前政権で恐らく樽床大臣のもとだと思いますが、作られたマスコットキャラといいますか、いわゆるゆるキャラのエリカちゃんに来てもらいました。とにかく北方領土問題は、特に領土問題を知らない若い世代に北方領土についての理解を深めてもらうということですから、いろいろな手段を使ってキャンペーンをしていかなければいけない。
 エリカちゃんには既にいろいろな実は地域の北方領土に関するイベントで活躍をしてもらってまして、私はこのプロジェクトを評価しています。とにかく1人でも多くの方に北方領土問題を考えてもらうというまじめなプロジェクトだと思っていまして、明日、実は北方対策担当大臣として、初めて北海道、根室のほうに行くものですから、今日皆さんに改めてエリカちゃんを見てもらおうと思って、エリカに来てもらいました。
 実はインターネットで検索したら、なかなかエリカが出てこないのです。「北方領土」、「ゆるキャラ」、「マスコット」、「エリカ」と入れたら、沢尻エリカさんが出てきた。せっかく作ったのにまだまだ知られてないということで、今日はエリカちゃんに来てもらいました。
 これは皆さん実物よりもかわいくて、実物もかわいいのですけれども、ペンギンみたいな感じですが、このエリカちゃんは北方領土近海に生息しているエトピリカを実はモデルにしているのですね。エトピリカはここにあまりよく見えないですけれども、飾り羽があって、なかなかりりしい表情をしていまして、ちょっともっこりした感じなのですけれども、実は高速で飛んで海に入って魚を捕るという、なかなか俊敏な鳥なのですけれども、北海道、明日行ったときにエトピリカ、もしかしたら見れるかなと思っているのですが、是非皆さんこのゆるキャラのエリカちゃんをしっかりと見ていただいて、ネットで検索したときにすぐ「北方領土問題」、「イメージキャラ」、「エリカ」というふうに検索したら、必ずこのエリカちゃんが出てくるようにしたいというふうに思っております。
 明日、実は北方対策担当大臣として北海道にまいります。根室の納沙布岬から歴代の北方対策担当大臣がやっているように、北方領土を見ると。恐らく天気が良ければ国後島とか歯舞のほうの貝殻島も見えるのではないかという話なのですけれども、実はエトピリカから名前をとった四島交流船、新しく政府が借り上げているこのえとぴりか号が使えるのであれば、洋上から北方領土を視察させていただきたいと思っていました。
 これは四島交流船えとぴりかで、私がこの職に夏以降もとどまれれば、どこかで四島交流船で是非4日、5日かけて北方領土を視察したいと思ってますので、そのときは是非皆さんにも同行いただきたいと思いますし、これはいっぱい乗れますから、何か抽選で行ってもらうとかというのではなくて、来た人はみんな行ってもらうということで、大臣としてはリクエストを出そうと思ってます。
 えとぴりかはたしか補修中か何かで使えないものですから、私としてはやはり海の上からも北方領土を見たいということで、できれば根室の漁船をお借りして、一人5,000円だというふうに伺ったので、貝殻島のほうにどんどん、どんどん漁船で行って、何とか貝殻島が見えるところまで行きたいと思っていました。そのほうがあそこで漁をしている漁民の方々の気持ちを少しでも理解できると思ったので、そう思ってたのですが、中間線まで行くとかなり時間がかかるということで、それから波が高いと、今でもそうだと3メートルというところで、さすがに大臣として行って転覆したりすると大変大勢の方に御迷惑をかけるので、ちょっと粘ったのですけれども、あまり事務方に御迷惑をかけてもいけないので、今回は断念をいたしました。
 何で貝殻島を見たかったか。ものすごく本土から近いのです。たしか3キロぐらいしかないので、ちょっと行くと恐らく中間線まで行けば1キロ半ぐらい先に貝殻島が見えるということで、そこで北方領土問題を感じたかったのですけれども、残念ながら先ほどの話し合いで断念をいたしました。
 次回、天候が良ければ状況を見ながら危険のないように、是非洋上から北方領土を視察させていただこうというふうに思っております。
 エリカちゃん、ここにおりますので、エリカちゃんですよね。エリカというのは、たしかカタカナだったと思うのですけれども、エリカちゃんです。ぎこちない動きですけれども、恐らくこのぐらいしか動けない。こんな感じですけれども、次どうぞ。
 ということで、今日はエリカちゃんに来てもらいましたが、四島交流の実績ということで、四島交流事業を24年度は13回、それから自由訪問7回、25年度は5月から10月までに四島交流事業13回、自由訪問事業7回予定してます。せっかくえとぴりか号を借りたわけですから、契約したわけですから、できるだけこのえとぴりかをオールシーズンで活用したいと。
 もちろん予算の問題もあるので、そこはちゃんと打ち合わせなければいけませんけれども、できるだけ多くの方々に北方領土に足を運んで見ていただくと、これがものすごく大事だと思っていまして、研修旅行とか、特に若い人たち、中学生、高校生とか、研修等々にも恐らく使っているのだと思いますが、こういう機会を是非増やしていきたいと思いますし、今日は細かいことは申し上げませんけれども、これから北方領土問題をアピールするいろいろなイベントがありますから、あらゆる機会を通じて、まず国民レベルで北方領土問題についての見識、知識を深めてもらうと、これに全力を注いでまいりたいと思います。
 それから、もう一つ私の北方対策担当というもちろん所掌事務があるのですけれども、そのほかに領土問題担当というお役目をいただいています。実はこの領土担当大臣というのは、これまでの内閣ではおりませんでした。安倍内閣であえて安倍総理の御判断で領土問題担当大臣を作ったと、この意味をしっかり踏まえていきたいと思っています。
 これから実はこの領土担当大臣が何をするのかということを考えていかなければいけない。当然、領土問題について、国内にしっかりアピールをしていくということと同時に、領土問題について過去の経緯をしっかりと検証をして、どうやってこれを内外に訴えていくかというところをある程度知恵が出せるようなシンクタンクとしての機能も私は果たしたいと思っていまして、もちろん官邸の意向とか、関係省庁とのいろいろな調整はあると思いますけれども、領土問題の担当大臣を設けたということがきちっと国民に伝わるように、よくこれから自分の活動範囲といいますか、所掌事務について考えていきたいというふうに思っております。
 さて、今日はもう一つ沖縄のお話をさせていただきたいと思うのですけれども、先般一泊二日で沖縄を訪問いたしました。
 昨日、NHKの「ニュースウォッチ9」に出演をさせていただいて、そのときにもお話をしたのですけれども、今回の訪問の目的はとにかくまず沖縄の現状を理解をすると。いろいろな立場の方々に分刻みのスケジュールでお目にかかって、一つ一つの意見、要望を丁寧に、真摯に伺ってまいりました。
 残念ながら、仲井眞知事が緊急に入院をされた。今、順調に回復をされているということでほっとしておりますが、場合によっては国会が始まる前に、場合によっては仲井眞知事に予算の御報告等々もありますので、日帰りでもう一度沖縄に足を運んでお目にかかれればというふうに思っております。
 ブログにも書きましたけれども、1回沖縄に足を運んだから沖縄が理解できたとか、沖縄の方々の気持ちが分かったなどということを言うつもりは全くありませんけれども、初めて南部戦跡を訪れて、平和の礎を見せていただいて、あそこに刻まれた亡くなられた方々のお名前も見て、平和の礎が波型に建っているわけですけれども、世界平和というものを世界にあそこから発信していこうという願いを込めて、恐らく波型になっているのだと思いますが、前方にものすごくきれいな海があって、向かって左側に平和祈念資料館があって、その本当に美しい風景の中に沖縄戦で追い詰められて、多くの住民の方々、民間人の方々が身を投げた崖があったということで、私なりにこの沖縄の歴史の重さというものは感じました。
 それから、同行された記者の方々、あるいは現地で取材をされた方々とも一緒だったのですけれども、久高島、神代の島ですよね。沖縄の神話で言うと国建の神、アマミキヨが神様から使わされて、あそこに降り立って、あそこから琉球が作られたという伝説の島なのですけれども、皆さん御存じのとおり、あそこにはイザイホーという12年に一度行われるお祭り、1978年で途絶えてしまったのですが、お祭りもあって、歴代の琉球の王様は久高島に行って、ちゃんとお祈りをすると。
 聞得大君(きこえのおおぎみ)ですか、霊的な力を持った最も位の高い聞得大君も久高島に行って霊力を得て、その地位に就くという伝統があったというふうに伺っていますけれども、久高島を歩きながら沖縄の何となくスピリットみたいなものも感じてまいりました。
 最も印象に残ったのは、沖縄の可能性ということで、沖縄の地理的な優位性を考えると、アジアの中心という、かなりいろいろな可能性があるのではないかというふうに思っておりまして、これも記者会見でも申し上げた覚えがあるのですが、沖縄振興が日本の経済成長につながる。日本経済の活性化につながるという少し先のことかもしれませんけれども、そういう未来像にもう少し沖縄担当大臣としてスポットを当てていきたいなというふうに思いました。
 それから、沖縄科学技術大学院大学、これはすばらしいと思います。教授陣も世界レベルだし、そこで学生の方々にも会ったのですけれども、非常にレベルが高くて、モラルが高くて、こういう学校、せっかく作ったので、しっかり腰を据えて、きちっと軌道に乗るまでサポートしなければいけないと、サポートするべきだと沖縄担当大臣としてそう思ったということも付言をさせていただきます。
 話したいことはいつも山ほどあるのですけれども、そうすると皆さんからの質問を受ける時間がなくなってしまうので、何かあれば御質問を受けたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の二階堂です。北方領土の関係で伺いたいのですけれども、昨年11月に樽床大臣が視察された際に、元島民の側からは、メドヴェージェフ首相の国後島訪問などで心が踏みにじられる思いだと、あるいはロシア側の強硬姿勢ばかりが目について、危機感を抱いていると、そういう声が上がったようです。
 今回も行かれると、同様の指摘があると思うのですけれども、首相特使として訪露される予定の森さんが3島返還に言及するなど、政府方針の混乱といいますか、統一されていないような感じも見受けられるのですけれども、北方担当大臣としてこの返還問題にどのように取り組まれるおつもりか、16日の視察の際に安倍政権としてのどのようなメッセージを元島民の皆さんたちに伝えられるつもりなのか、そのことを教えてください。
(答)森元総理が首相特使として訪露をされる予定だと報道されているのですけれども、森元総理とプーチン大統領との人脈、個人的な信頼関係というのは、これは日本外交にとっての大きな資源といいますか、財産だと思うのですね。
 ですから、この日露関係を打開する、北方領土問題を解決に導いていくというために、安倍総理が森元総理に特使をお願いしたというのは、私は非常に自然だと思っていますし、ある意味で言うと、この安倍内閣は総力戦を展開しようとしているわけですよね。
 私を除いては、若手、中堅、ベテラン、オールスター内閣なのです。ありとあらゆる資源を使って日本再生、日本外交を進めていこうという一環だというふうに思っています。
 森元総理は練達の政治家ですから、いろいろなことを考えてお話をされているのだと思いますが、森元総理のおっしゃったことと私は日本政府の基本的な姿勢がずれているというふうには思っておりません。
 基本はやはり四島の帰属問題を解決して、日露関係をしっかり発展させるということに尽きると思いますし、四島の帰属というしっかりした筋道があれば、ある程度段階論とか、あるいは時間的なスパンは柔軟に対応するということだというふうに思っています。
 これから安倍政権になって、もちろん北方問題、四島の帰属の問題を解決していかなければいけないわけですが、この日露関係を発展させていく上でも、私は安倍総理の非常に戦略的でバランスのある判断というものを信頼しています。
(問)日刊工業新聞の天野といいます。科学技術について伺います。
 次期宇宙基本計画策定に向けて、本日宇宙戦略委員会が開かれます。大臣は先日会見で基本計画について、めりはりをつけるとおっしゃっておられたのですが、昨年末の素案とかパブリックコメントを踏まえて、見直しをされるお考えはおありでしょうか、その辺伺います。
(答)見直しというか、前回か前々回の記者会見でも、前の話を踏襲するのかという話があったのですが、もともとこれはほとんど自民党、民主党というか、党派を超えて提案をされた基本計画ですから、それを踏まえるのは当然だと思っていて、中身としては私はかなりよくできているというふうに思っていますし、パブリックコメントも実はざっと見せていただきましたけれども、かなり丁寧にやっておりますので、めりはりをつけた予算にすると、こういう方針のままでいかなければいけないと思っていますし、一つ加えるならば、とにかくこれは安倍政権全体の方針ですけれども、科学技術、イノベーションというものを産業化につなげると、経済の活性化につなげるという点で言うと、宇宙開発利用の分野については、宇宙政策の分野で日本の競争力を高めていくと、こういう視点は常に取り入れていかなければいけないのかなと、そう思っています。
(問)読売新聞、野依と申します。
 土曜日に甘利経済再生大臣が総合科学技術会議の改組について言及されまして、指令塔の強化という観点で、予算配分権を総合科学技術会議に付与するとか、職員が今文部科学省の出向ばかりで、もっといろいろなところからとか、独自で採用したほうがいいのではないかということをおっしゃったらしいですが、そういった内容に関して、改組案を提出されるお考えがそもそもあるのかということをお尋ねしたいのですが。
(答)甘利経済再生担当大臣は、科学技術政策、イノベーション政策について、非常に深い知識と経験を持っていらっしゃると思うのですね。科学技術、イノベーションの重要性というものを本当によく認識をしていただいているのだと思っておりまして、あの発言は私にとっては非常に力強いエールだと思っています。
 もう釈迦(しゃか)に説法ですけれども、総合科学技術会議、これはもちろん設置法で言うと、各省庁よりも一段高いところから科学技術政策、基本方針、全般にわたって総合調整をすると。
 指令塔の機能を一応付与されているわけなのですが、もちろん一定の成果を上げてきたと思うのですけれども、なかなか甘利大臣が指摘をされたように、横割りをしていくと、横串を各省庁に通していくという意味で言うと、もうちょっと機能強化をしたほうがいい、機能強化をする必要がある部分もあると思うのですね。
 ですから、甘利大臣の実はぶら下がりというか、記者会見だったでしょうか、ちょっと一問一答を見てみたのですけれども、「山本大臣の所管だけど」と、「私の所管外ではあるが」とわざわざ言っていただいた上で、こういう知恵もあるのではないかというようなお話をしていただいて、私は甘利大臣のおっしゃった問題意識は全く共有していますし、実は特命担当大臣になった後も最初にお目にかかりに行ったのは甘利経済再生担当大臣なので、この問題意識を踏まえて、是非法案をまとめたいと思っています。
 これは御存じのとおり、鳩山政権だったでしょうか、2010年だったと思うのですけれども、設置法の改正案というのはできていました。これは総合科学技術会議を改組してもうちょっと機能を高めようと。
 たしか名称も総合科学技術イノベーション会議にするとか、あるいはたしか総合科学技術会議のメンバーを増やすとか、いろいろあったのですが、甘利大臣がおっしゃったのはもっと先に進んでいる話なので、一応これは法案としては登録してあるのです。国会に出す法案の一つとしては候補として登録してありますから、これはよく事務方とも話し合って、たしかにもうちょっと例えば予算配分の権限とか、あるいは本当に企画立案をするための実質的な機能とか、そういうものを高めるための法案改正というのは必要だと思いますので、これは是非それも踏まえたうえで事務方と相談しながら、私のもとでいつ出せるか分かりませんけれども、法案はまとめる作業を開始したいと思いますし、次の国会に出せるかどうかというのは、ほかのいろいろな法案との多分バランスもあると思うので、分かりませんが、それも担当大臣としては、こういう機能強化の法案は前回出した法案もしっかり踏まえてですけれども、できるだけ早く国会に提出したいと思っています。
(問)朝日新聞の二階堂です。
 昨日、ブログで「大臣になったから発信を控えるのではなくて、閣僚になったからこそ、発信をしていくべきだと今日改めて思った」と書かれていまして、一方でNHKの番組の中では、「総理にもちょっと気をつけろというふうに言われているのです」というふうにおっしゃっていましたけれども、これまで歯に衣着せぬというか、ずばりとした物言いが持ち味でいらしたと思うのですけれども、かなり大臣になってから安全運転されているようにも見受けられるのですけれども、発言については何か控えられているようなところがあるのでしょうか。
(答)安倍総理から「ちょっと気をつけて」と言われたのは、発信するなという意味ではなくて、閣僚としての立場を踏まえてしっかりやってくださいという意味だというふうに思っています。
 安倍内閣の閣僚の一員ですから、なかなか無責任なことは言えないので、もちろん細心の注意を払わなければいけないのですが、大臣になったから発言を控えるという発想ではなくて、大臣だからこそ発信しなければいけないのだと思うのですね。
 しかも発信力を期待しているというふうに、安倍総理からお話がありましたので、これは私なりの考えを、例えば発信したいことは山ほどあるので、科学技術一つにしても、ロボットスーツの可能性から、あるいはJAXAのことから、「こうのとり」の可能性とかから始まって、もちろん沖縄振興のいろいろな話、科学技術、IT、海洋政策でもいろいろ言いたいこともありますから、それは十分細心の注意を払いながら、もう一回言います、細心の注意を払いながら、ブログ、ツイッター、それから自らのネット番組も持っていますから、記者会見、呼ばれればテレビでも新聞でもメディア出演等々も通じて、細心の注意を払いながら、積極的に発信をしていきたいと思います。
 閣僚として中身について慎重になるのは当然だと思います。
 内閣府設置法の改正の話、2010年というのはインターネット選挙の公選法改正案のほうと間違えました。内閣府設置法の改正の法案は、昨年の正に11月の野田内閣のときに実は閣議決定されたもので、それが解散総選挙ということで廃案になってしまったと、こういう経緯です。2010年は大変失礼しました。インターネットの公選法改正がいく寸前までいって、だめになったということでした。
 ちょっと漁船には乗れませんが、北海道に来られる方は是非来て、一緒に納沙布岬から北方領土を見ていただければと思います。
 それでは、今日の記者会見を終わります。
 ありがとうございました。

(以上)