甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月27日

(平成26年6月27日(金) 11:07~11:21  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)昨年度の一般会計の税収見通しが46.9兆円ということで、昨年末の段階での見込み額を1.5兆円上回るということになったのですけれども、これについての大臣の受け止めと、法人実効税率の引下げに与える影響についてお聞かせください。
(答)確定した数字が間もなく精査されると思っております。かなり上振れの数字が見込まれると思います。大事なことは、その要因が一時的な、いわばフロックなのか、構造的な要因であるかの分析が必要だと思います。構造的なものであるならば、その一部を更なる経済成長に投入するというのは、理屈はしっかり立つのではないかと思います。
 そこで、構造的であるか、それとも一時的なものかの判断でありますが、アベノミクスの推進に伴って、ありとあらゆる経済雇用指標が改善しております。しかも、その改善数値の前に、20年ぶりとか30年ぶりという形容詞がついております。これは、一時的な景気の変動でそういう数字が全て並ぶということはあり得ないと思います。ということは、経済構造改革がたくましく進んでいるということの証左であろうと思っております。
(問)今の経済指標の関係で、今日発表された家計調査ですけれども、消費支出が実質で8%減ということで、4月よりも5月の方がやや落ち込みが大きかったようですけれども、この消費の落ち込みについて、大臣としてどのように受け止めていらっしゃるか、お聞かせください。
(答)消費税導入に伴って、大どころの耐久消費財は、駆け込みの数値が前回よりもかなり高くなっています。当然その反動減はあります。ですから、家計消費に占める比率が、毎月買うようなものではないですから、それを引いた、平準化させた数値の落ち込み幅はかなり小さくなってきます。ですから、基調としては、消費も回復に向かっているというふうに判断していいと思います。
(問)またTPPですけれども、CN(首席交渉官)会合の日程が決まりまして、オバマ大統領は先週、11月までに議会や国民に協定文書を示せるような段階まで交渉を進めたいというような意向を示しておりますが、それが実現可能なのかということと、CN会合の先の大筋合意については、各国政府から様々な考え方が出ていますけれども、甘利大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)TPPの一番中心国たるアメリカのトップが強い決意を示していることは、これは大事なことだと思っております。要は、その意思に従って、交渉当局が強い決意をもって、自身が譲歩することも含めて、交渉をまとめていくという具体的な決意、作業を現場で行えるかということだと思っております。大統領の強い意思を受けて、現場にマンデートを与えるということが大事だと思います。そのマンデートは、相手を一方的に譲歩させるということではなく、自身も同等に譲歩しながらまとめていくという強い決意と、そして、その権限がおりてくるということにかかっていると思います。そのトップの意思が反映されたようなCN会合であるならば、間合いはかなり詰まってくると思います。CN会合が終わった時点で、閣僚ベースで処理をしなければ解決しない項目がどれくらい少なくなっているか、これを見極めることが大事だと思っております。
 日本といたしましては、その間も、残されている二国間関係、この着地に向けて、精力的に今交渉を続けているところであります。アメリカ以外との二国間交渉も順調に進んでいるという報告を受けております。
(問)今日、株主総会のピークですが、昨日、大手電力会社9社の株主総会で、脱原発の株主提案が全てで提案されまして、9社とも否決されました。こういう現状について、大臣はどのように見られているのか。
 また、株主総会で、株主と日本企業の稼ぐ力ということで、増配という形で企業の収益を株主に還元するという動きも見えますが、こういう動きについて、大臣としてどのように思っておられますか。
(答)安倍内閣、日本政府としての大前提は、安全が全てに優先するということであります。そして、その安全をクリアした原発については、地域の理解を得つつ、速やかに再稼働させるという方針であります。
 今、法人税減税の議論もなされていますけれども、投資家の関心事は、法人税がどうなるか、労働力がしっかり供給可能か、そして三つ目の、最大案件の三つのうちの一つが、エネルギー価格が安定的かつ低廉で将来を見通せるかということであります。原発停止前と現在を比べますと、既に電力料金は3割引き上がっております。そして、このまま事態を放置しますと、産業用の電気料金は5割上がる地域もでてくるわけです。さもなければ、もう債務超過に陥る。3期連続赤字の電力会社が多発をいたしております。北海道、関西、九州などですか。放置いたしますと、いずれ債務超過になってしまいます。異常事態が迫ってきつつあるわけであります。それを回避するために、速やかに安全を確認すると。それをクリアしたものは戦列復帰するということが、日本を投資立国として世界に冠たる国にしていくということにとって極めて重要になってくるわけであります。
 それから、企業の利益を株主還元というお話であります。過去、日本の企業は内部留保を積み上げてきました。それには当然理由があって、有利子負債を減らしていく、そして自己資本比率を引き上げていく。これは欧米の優良企業並みになってきたはずであります。そういう体力を増強させることに成功いたしましたので、次は経済の好循環を回していくということが必要であります。株主を初め従業員、下請取引企業あるいは地域社会、全てのステークホルダーにとって、その企業の立地がプラスになっていくように、そういう関係を作っていくことが必要でありますから、株主を初めとするステークホルダーに還元する、そのこと自身が次なる消費力を作っていくということであります。政労使三者協議で、その意義は共有をされていると思います。ミクロでいえばその企業にとって、マクロでいえば日本経済にとって、プラスになるということを認識して、その行動をとっていただけることが大事だと思います。
(問)法人税減税の財源についての考え方を、改めてお伺いしたいのですけれども、構造改革による税収増なら成長の原資に充ててもいいのではないかということですが、その財源のベースとして考えられるのが法人税のみの上振れ分なのか、それとも所得税なども入れた税収全体の上振れ分をどのぐらい使うのか、充てるべきなのかという点について、大臣としてのお考えはいかがでしょうか。
(答)私は、経済成長担当大臣であると同時に、財政再建担当大臣でもあります。財政の健全化に資するような財政構造を作っていかなければなりません。そこをしっかり前提と置きながら、経済の規模を大きくしていく、つまり、名目GDPを大きくしていく。そのことが税収増につながっていくわけであります。要は、そのバランスだと思っております。
 基本的には法人税減税は、法人の体力の回復、法人による日本経済の回復ということの評価を、更なる法人の活力に投入していくということに、重点が置かれていくべきと思っております。日本経済、それから財政再建にとって最も効果的な、コストパフォーマンスの高い方法を、今後、年末に向けて検討していくべきだと思っております。
 復興特別法人税を1年前倒しで廃止しました。これによって法人税が2.4%下がっているわけであります。法人税を下げても法人税収は増えるということをしっかり検証していくことが大事だと思います。経済規模が拡大をしていくということは、赤字企業が黒字になっていくということを指します。ということは、法人税を払っていなかった企業が払える企業に参画してくるわけであります。経済規模を、名目を大きくしていくということは、この深さの面でも、それから面積の面でも、大きく税収構造を伸ばしていくということにしっかり着目しなければならないと思っております。

(以上)