甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年12月26日

(平成25年12月26日(木) 10:10~10:24  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 御心配をおかけいたしましたが、3週間でこの場に帰ってくることができました。”Japan is back,and Amari is also back now.”
 手術後まだ2週間、舌がちょっと腫れておりまして、まだちょっとしゃべりづらいのですが、医師からは、あと1週間程度で腫れも引くというふうに言われております。
 手術前に、総理に辞意を申し入れました際に、総理からは、「がんを克服してたくましく復帰する姿を通じて、病と戦っている人々に勇気を与えてほしい」と慰留されました。本日より、それを実践していきたいと考えております。
 がんの宣告というのは、極めて辛い出来事でありましたけれども、同時に、多くの方々から心配やら激励やら応援をいただきました。自分がいかに多くの人に支えられているかを実感できた数週間でありました。
 神は私に、立ち止まって感謝する機会を与えてくれたのだと思っております。この上は、努力、精進を重ね、今までより一層、国家国民のために貢献できる政治家を目指して頑張りたいと思います。ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)今日、復帰された日ですが、安倍政権が発足してちょうど1年経ったのですけれども、この1年、経済再生の取組を振り返ってみて自己評価をしていただきたいのと、2年目、どういうことが大きな課題というふうにお考えで、それをどう乗り越えていくかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)自己評価は80点というところですかね。金融政策、財政政策は比較的順調に、財政再建と成長との両立も含めて比較的順調に進んでいるのだと思います。要は、成長戦略の具体的な姿がまだおぼろげであるというところだと思います。
 民間の投資が具体的に目標を定めて起きてくるということが大事なのであります。現状は、いわゆる一般的な研究開発とか、あるいは設備投資に向けての意欲が上がっていく。そこに具体的な目標意識を持たせるということをしっかりしていかなければならないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、国の研究開発と民間とをどうつなげていくか、そして、本当に必要な規制緩和を現場のニーズに沿ったものがどれくらいできるかということ、それから、それに向けての研究開発や投資への環境整備が使い勝手よく時代に見合ったものに設計できるかということになってきているわけであります。そうした中で、全体のフロンティア開発の目標、ターゲットゾーンをきちんと示していく、これが年明け以降大事になってくると思います。
(問)TPPについて伺いたいのですけれども、残念ながら、シンガポールの閣僚会合に出席できなかったのですけれども、そこでもやはり年内妥結というのはできなかったのですが、来年の展望については大臣としてはどういったものを目指すのか教えてください。
(答)一番大事なことは、日米間がしっかり合意ができるということだと思います。やはりTPPにとって、主要国、経済大国たるアメリカと日本がきちんと共通認識を持って、そしてそれをもって他国に対してしっかりと交渉していくということが大事だと思います。
 日米間の間合いは確実に詰まってきておりまして、日本の譲れない事情というのもかなりリアリティをもってアメリカに伝わっているのだと思っております。あとは、アメリカが若干楽観的になっている感がありますから、現実を見据えて、日米間で何を解決しなければならないか、そのためには日本も努力するけれども、それは日本の一方的な努力ではなくて、アメリカも努力をするということが大事だということをしっかり突きつけて、日米の課題を解決して、そして年明け早々の妥結へと導いていきたいと思っております。
(問)アメリカの農業団体からは、日本は脱退すべきではないかというような話も出てきているのですけれども、合意というのは本当にまとめられるのですか。
(答)アメリカの農業団体は自分の自己主張をします。日本の農業団体も、アメリカの主張とは違う主張をするわけであります。団体の主張は国の主張ではないということでありまして、いろいろな主張がある中で、政府としてどう最大公約数をとりつつ、他国のセンシティビティに配慮をしてまとめるか、そういう姿勢が大事だと思っています。
(問)今日閣議前に総理とお会いになられたと思うのですが、どのようなやりとりがあって、総理からどのようなお言葉があったか教えていただける範囲で教えてください。
(答)総理は、年明けまでゆっくり休んだらということをずっと前々から私におっしゃっていただいていました。この舌の腫れの問題は時間との戦いですから、あと1週間やそこらは私にはどうしようもないのですけれども、それ以外は何ともありません。できるだけ早く公務復帰をしたいという気持ちで、復帰は手術後3週間から4週間と申し上げていましたけれども、手術後2週間、退院即復帰という形をとらせていただきました。家族も、まだ舌が腫れている状態でしゃべりづらいのであれば完全復帰とは言えないのではないかと言っていましたけれども、大体このくらいしゃべることができれば、もういいでしょう、ということです。総理は、「余り無理しないで」ということを言われました。
(問)閣議前に大臣が入られた時に拍手が起こっていましたけれども、閣議か閣僚懇の場、閣僚懇の場かもしれませんけれども、大臣から閣僚の方に何かお話をされたのなら、どういう話をされたかということと、ほかの閣僚からはどういう声をかけられましたでしょうか。
(答)入ってきて皆さん大変喜んで拍手で迎えていただきました。私がしゃべり出したら、もうこんなにしゃべることができるのだと、まだ手術後2週間ですから、まだとてもそんなにしゃべることはできないのかと思ったら、もう普通にしゃべることができるのだという驚きの声と、とにかくよかったということで、みんな喜んでいただきました。
 閣僚懇で、私から、この2、3週間留守にして、御心配と御迷惑をおかけしました。今日退院をして、即職務復帰をいたします、ということで、報告とお礼のあいさつをさせていただきました。
(問)株式市場ですけれども、日経平均が1万6,000円を超える取引をされていまして、背景の一部には、政府・日銀の脱デフレに向けた期待感が引き続きあると聞いております。そこで、今年の株式市場のパフォーマンスをどう評価できるかということと、来年の取引に向けて、金融市場に向けて何かメッセージがあれば教えてください。
(答)1万6,000円を突破いたしました。こういうことを言ってはいけないのかもしれませんけれども、私の心の中では、年内目標が1万6,000円と思っていました。結果が出た後で言うのだからいいのでしょうけれども、よかったなと思っております。非常に堅調に推移をしているというふうに思っております。株価だけが全てではありませんけれども、株価は景気回復の大きな要素でありますから、明るい兆しは、より見えてきたというふうに思っております。
(問)入院中のことをお伺いしたいのですけれども、TPPをはじめ、いろいろなことがあって、病院でどのようにご覧になっていたかということをお伺いしたいのですが。
(答)術後しばらくは全く話すことができませんでしたので、メールでやりとりをし、状況把握はいたしておりました。TPPについては、西村副大臣が非常に奮闘してくれていまして、その交渉のスタンスは、12月1日のフローマン代表との交渉の際に、日本側のスタンスはこうだということを彼に知らしめるために同席をしてもらったわけでありますけれども、私の交渉姿勢を現場で見てもらって、日本の交渉スタンスはこうだということは体感してもらって、それを引き継いでやってもらったというふうに思っております。
(問)大臣の御公務はかなり幅広く、激務が続いていたと思うのですけれども、やはりストレスは大臣の体によくないとは思うのですけれども、今後、お仕事をセーブされるような予定というのはあるのでしょうか、それとも、今までどおり続けられるのでしょうか。
(答)今まで以上に、物理的にも仕事量を増やして取り組んでいきたいというふうに思っております。基本的に、私は余りストレスを感じない人でございまして、大丈夫です。
(問)月例経済報告から4年2カ月ぶりに「デフレ」という文言が消えて、一時デフレ状況ではなくなっているということだと思います。政府としてこれまでデフレ脱却の宣言をしたことがないわけですけれども、今回どういう取組でいかれて、どういう展望があるのか、また、デフレ脱却宣言を出すに当たってどういう懸念があるのか、その辺のところを教えていただけますでしょうか。
(答)一言で言えば、病気は治りましたけど、病み上がりというところだと思います。いきなり窓を開けて冷たい風に当たるとぶり返すという状態が対デフレでの評価だと思います。瞬間風速、今日の時点でいえばデフレではありません。しかし、そのまままたデフレ状況に戻らないかといえば、まだそこまで体力が回復していない。退院直後ということだと思います。私は窓を開けても大丈夫ですから。

(以上)