甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年2月14日

(平成25年2月14日(木) 12:03~12:16  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

本日、公表しました2012年10~12月期GDP速報は、実質成長率が前期比マイナス0.1%、年率でマイナス0.4%であります。名目成長率が前期比マイナス0.4%、年率換算マイナス1.8%であります。実質成長率は3四半期連続のマイナスとなりましたが、マイナス幅は縮小をいたしました。
 その要因といたしましては、消費や公共投資が増加するなど、内需の一部に底堅さも見られたことが挙げられます。他方で、世界景気の減速等を背景としまして、引き続き輸出が減少し、設備投資についてもマイナスとなりました。
 先行きにつきましては、当面は弱さが残るものの、日本銀行による金融緩和や緊急経済対策による政策効果に加えまして、世界経済の緩やかな回復が期待されることから、我が国経済は緩やかに回復をしていくと見込んでおります。
 政府といたしましては、日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略のいわゆる「三本の矢」によりまして、長引くデフレから早期に脱却し、雇用や所得の増加を伴う景気回復を目指してまいりたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)24年度成長率見通しの1.0%に届くには、残り1四半期を0.8%にする必要があると書いていますけれども、0.8%に届きそうか、それとももっと上を狙いたいのか、大臣自身の見方を教えてください。
(答)何とか目標に向かって、努力をしていきたいと思っております。
(問)去年の秋時点の評価など、大臣はかねてから景気底割れの危険性もあったというふうなお話もされていたかと思うのですけれども、今回のマイナス0.1%というのは、先ほどのコメントでも、マイナス幅は縮小されたとおっしゃっていましたけれども、これは景気が底を打ったと御判断されているのでしょうか。
(答)景気の実態については、後々はっきりすることでありますから、まだこの時点では何とも言えないと思っております。
(問)1~3月期は更に高成長になる、プラス転換になるという予想が多いのですが、1~3月期の見通しと、今回と1~3月期で安倍政権の経済政策、円安などの追い風がどの程度あったかという点を教えていただけますでしょうか。
(答)正直言って、よく分からないです。これは実際に開けて見なければ分からないというところがあります。ただ、政権が交代していろいろマインドが変わってきております。それが具体的な行動に、経済主体の行動には跳ね返ってきているというのがどこまであるかということだと思っております。
(問)先行きは緩やかに回復していくという見通しを示されていますけれども、あえてリスク要因を挙げるとすると、どのようなことが考えられるのか、お願いできますでしょうか。
(答)世界経済がしっかり堅調さを取り戻してくるか、そこが予測どおりいくかということであろうと思います。
 国内的には、輸入物価の上昇がきちんと輸出に転嫁をされて、デフレーターが我々の期待している方向に向かっていくということであります。最終的には、民間経済主体が、特に企業が競争力をしっかりつけて、価格政策をしっかりとれる。つまり、輸入物価による物価の上昇を価格転嫁できずに、利益や人件費を削ることで対応するという事態から一刻も早く脱却するということでありまして、そこら辺が順調にいくかどうかだということだと思っています。
(問)緊急経済対策を含む裏づけとなる補正予算の審議が、今、国会でなされていますが、成立して執行されるのは、4月以降が主になるかと思うのですが、その点1~3月期の景気に対して、底上げ要因にはならないかと思うのですが、その点いかがお考えでしょうか。
(答)2月の下旬、今月中に成立が予測されています。公共事業を初めとする予算の執行について、迅速に執行できるよう、簡易な手続、手続の前倒し等々で、できるだけ早く執行できるようにして、今年度中に効果が一部でも発現できるように、できるだけ迅速な対応をとっていきたいと思っております。
(問)今、大臣はいわゆる輸入物価の価格の転嫁、値上げができるかということをおっしゃいましたけれども、円安で輸入物価が上がって価格に転嫁されると、消費は落ち込んで、それはそれで大きなリスクなのではないかと思うのですが、その辺はいかがなのですか。
(答)デフレを脱却するということに関して、今、総力を挙げているわけであります。順序として消費が拡大をし、生産が拡大をし、そして雇用と、それから所得に反映をしてくるというサイクルをしっかり回すことであります。
 企業がしっかり収益を確保するためには、きちんと物価の高騰、企業物価の高騰をしっかり価格に転嫁をできると。もちろんイノベーションを通じて、事業革新を通じて利益を確保しながら、あるいは人件費を犠牲にしないで価格を抑えていくという手法は当然あるわけであります。でありますから、そこは企業の努力で他を犠牲にせずに価格自体を下げていく、これは決して悪い方向の物価の下げ方ではないと思っております。
 ただ、先ほど来申し上げていますのは、価格に転嫁、輸入価格を輸出に転嫁できず、それを企業の利益を削る、あるいは従業員の、つまり人件費を削るということでしのいでいくということは、その時点で既に消費の力を落としていくということになっていくと思います。私としては、そこを申し上げたいわけであります。
(問)輸出に転嫁というお話をされましたけれども、輸出もそうなのでしょうけれども、国内の物価、国内の製品に転嫁というのは、どうなのですか。
(答)国内のそれも賃金とか利潤を犠牲にしないで価格を下げられると、転嫁をしないで済むというのであれば、それは大いにやっていただきたいと思います。しかしながら、価格に転嫁できないために、雇用者の給与が犠牲になるとか、企業の利潤が犠牲になって、それによって、開発投資とか設備投資が犠牲になるということは、好循環の妨げになるわけであります。
 まして物価が上がっても賃金が下がれば、結局、物価が下がって賃金が下がっているのと同じことになってしまうわけでありまして、タイムラグは多少あろうとも、良い循環になっていくというための措置をとっていきたいということであります。
(問)輸入インフレによる物価の上昇というのは、悪い循環なのではないですか。普通の庶民としては、円安のメリットがすぐ出てくるわけではないので、むしろ円安のデメリットが先行するという形に、大臣がおっしゃっている形にするとなってしまう気もするのですが。
(答)部分最適が全体最適かというと、そうでもないわけでありまして、全体最適になるように部分最適を極力犠牲にしないということであります。

(以上)