甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月25日

(平成25年1月25日(金) 11:35~11:46  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

本日、第3回日本経済再生本部を閣議後に開催いたしました。一昨日の産業競争力会議におきまして、総理は、この会議で洗い出された課題について、成長戦略の取りまとめを待つことなく、矢継ぎ早に行動を起こすと言われました。本日の日本経済再生本部は、この総理の御決意をもとに、早速、政府として行動に移すために開催されたものであります。
本日は、成長戦略の策定方針や、先日の会議において提起された意見等について、私から説明をいたしまして、これを受けまして各大臣からは、成長戦略の推進に関して大変に意欲的な発言が相次ぎました。その上で、産業競争力会議の議論を踏まえ、安倍総理から、社会全体のイノベーション、全員参加型社会の構築等、5つの視点が示されまして、お手元に配付した資料にありますとおり、喫緊の重要政策課題について10項目の御指示がありました。詳細は、お手元の資料を御覧いただきたいと思いますが、幾つか例を挙げますと、一昨日も多くの議員から、規制改革とイノベーションが鍵になるとの意見をいただいたわけであります。規制改革に関しましては、昨日、規制改革会議が開催されまして、議論が開始されましたが、今後、産業競争力会議とも連携をしつつ、雇用等の重点分野で大胆な改革を推進するとともに、投資先としての日本の魅力を最高水準に引き上げる観点から取り組むということになります。イノベーションにつきましては、社会を変革させるインパクトのある技術開発が行えるよう、総合科学技術会議の司令塔機能を抜本的に強化するということになります。
また、エネルギーコストが大幅に増加する中で、しっかりとしたエネルギー政策を構築すべきとの強い意見をいただいておりまして、前政権のエネルギー・環境政策はゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を形作っていくことになります。同時に、実現困難な温室効果ガス25%削減目標も、COP19までにゼロベースで見直すとともに、攻めの地球温暖化外交を組み立てるということになります。
産業競争力強化に当たりましては、新陳代謝が大事との指摘があることから、産業再編、起業、新事業創出が活性化されるような方策を検討するということにもなります。
総理の御指示を踏まえまして、これらの検討結果について、産業競争力会議におきましても次々と議論をしまして、スピード感を持って対処していきたいと考えております。
もう一点でございます。このたび、慶應義塾の塾長の清家篤さんを、経済社会総合研究所の名誉所長としてお迎えすることになりました。清家先生には、学界との交流はもとより、先生の幅広い御経験を生かして内閣府と経済界の連携を一層深めていただくとともに、研究所を御指導いただきまして、官庁エコノミストの育成もお願いをしたいと考えております。
私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)各大臣に10の政策課題を出されましたけれども、今後の意思決定プロセスについて聞かせていただきたいのですが、これは各大臣に回答のようなものを求めるのか、求めるのであれば、いつまでに出してくれと求めるのか、教えていただけますでしょうか。
 もう一点は、経済連携の推進についての文言なのですけれども、これはこれまでの御発言より一歩前へ踏み込んだと理解してよろしいでしょうか。
(答)まず、今日、総理から10項目の指示が各大臣にありました。これは、全部同じスピードでそろうということはないと思います。回答が出てくる、方針が具体的にでき上がったものから、再生本部で報告を受け、具体的実施体制をフォローしていきたいと思っております。矢継ぎ早にと総理がおっしゃっているのは、全部揃うまで待つことなく、進捗状況に差はあれ、でき上がったものから次の段階に移していく。そのことを通じて、解決が遅れている案件、関係大臣の背中を押すという効果もあるのではないかと思っております。
それから、経済連携についてであります。基本的には、全般としての経済連携は、今日の日本の発展の礎を支えたという認識は、党自身も全く変わらないわけであります。具体的に、その中のTPPはどうするかということの御質問だと思います。公約に掲げている前提条件が全く変わらないままですと、なかなか前に踏み出すことができない。いろいろ国益に資するように、どう前提条件に連絡路を開けていくかということも含めて、経済連携全般についての党とのすり合わせを、官房長官を中心に御指示がなされたというふうに思っております。ですから、前提条件が全く変わらないとなかなか前に進みづらいわけでありますけれども、手をこまねいて見ているということではないのだろうと思います。
(問)ダボスの件なのですけれども、昨日、ダボス会議でドイツのメルケル首相が、為替問題をめぐって日本に対して、現時点で全く懸念していないとは言いがたいという趣旨のことを表明されたそうです。大臣は、これからダボスに行かれる御予定かと思いますけれども、こうした金融政策及び為替政策、安倍政権に対して批判がこうして少しずつ広まってきたように見えますけれども、大臣の御見解を改めてお聞かせいただけますか。
(答)各方面から現時点で出ている話を総合しますと、懸念は一部だと理解をしております。全く懸念がないわけではないという慎重な言い方をされているようでありますが、全く懸念がないように、しっかり説明していきたいと思っております。
(問)指示の中で、エネルギー政策の構築とあるのですけれども、大臣は経済産業大臣もお務めだったので、これはエネルギー基本計画を作り直せということなのか、何か別のものを作るということなのか、どんな様子になるのかと。
(答)エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に規定をされていますが、時代時代で最適のポートフォリオを作れということが書いてありまして、それは基本的な考え方として変える必要は全くないのだと思います。時代時代に適しているかどうか、社会の要請、世界の要請を受けて、日本として最適なポートフォリオの構成をせよということであります。日本といたしましては、省エネ先進国として、省エネの技術を省エネが遅れている地域に対して貢献をするということそれ自身が、ビジネスにつながっていくことがとても大事だと思います。
その前提として、日本は、それでは制約されている環境下でどこまで削減努力が現実問題としてできるのかと。世界各国が、できないことを前提に日本を見ているということは信頼性を欠くわけでありますから、日本のあらゆる努力、技術を投入して、現実的に努力の方向として見通せるような目標が提示できれば、それは各国の日本に対する信頼にもつながっていくと思いますし、その過程で投じられる技術を、対策が遅れている国に投ずる。そこで、カーボンオフセットの話も出てくるのでありましょうし、遅れている地域への貢献にもつながっていくと思っております。そういう戦略絵図ができるような、しっかりとした積み上げと技術の見通しを精査せよ、という指示であろうと思っております。

(以上)