甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月11日

(平成25年1月11日(金) 11:50~12:02  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

本日、第2回の日本経済再生本部を閣議前に開催をしまして、緊急経済対策を決定した後に、この対策を閣議決定いたしました。
現下の我が国経済が直面する課題は、「復興のスピードアップと防災の強化」、そして「円高・デフレからの脱却」、そして「成長力の強化」、この3つが課題であります。これらの課題を踏まえて策定したこの対策は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この「三本の矢」を一体的かつ強力に実行し、経済の再生と復興などを実現する政策パッケージの第一弾であります。内容はお手元の資料を御覧いただければと思いますけれども、「復興・防災対策」、「成長による富の創出」、「暮らしの安心・地域活性化」の3つを重点分野といたしまして、具体的な施策を盛り込んでおります。また、潜在力の発揮を可能とする規制改革の体制整備であるなど、為替市場の安定に資する施策についても盛り込んでおります。
本対策の規模でありますが、経済対策に伴う国の財政支出としては、国費10.3兆円程度、事業規模20.2兆円程度でありまして、対策の予算措置による経済効果を現時点で概算をしますと、実質GDPの押し上げ効果はおおむね2%、そして雇用創出効果は60万人と見込まれています。
日本経済再生本部の場では、安倍総理から3点の御指示がございました。1点目は、早期の補正予算編成に引き続き努力をするということ、2点目は、各閣僚は対策の早期実行に努めるとともに、対策の分かりやすい説明に努力をすること。そして3点目、若年者、女性の雇用問題等について、経済再生担当大臣の調整の下で、関係大臣が連携をして対策を検討し、産業競争力会議でも議論をすること、この3点の指示がありました。
総理の御指示を踏まえまして、実効性ある具体的な成果に向けて、この緊急経済対策を着実に実施するとともに、産業競争力を支える雇用や人材等に関する対応強化に向け、仮称でありますが、「若者・女性活躍推進フォーラム」を開催することといたしました。総理にも御出席をお願いし、この場で若者や女性等の雇用にかかわっておられる方々の生の声をお聞きした上で、関係大臣が連携して課題の抜本的な解決方策を検討してまいります。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)緊急経済対策の中で、公共事業の関連は、事務方の方が大体4兆円近くなのではないかというようなことをおっしゃっていたのですけれども、公共事業全体として、結局4兆円近くということでよろしかったでしょうか。
 もう一点が、安易なばらまきではないと総理が強調されていましたけれども、結局、かなりの割合の公共事業が結果的に占めているわけで、やはり即効性を求めるためには公共事業頼みになってしまうのはいたし方ないという理解か、教えていただけますでしょうか。
(答)公共事業費は2.4兆円、裏負担がありますから、含めると3.8兆円であります。ばらまきではないかというお話、そうではないということを総理は強調されています。公共事業には幾つかの視点がございまして、1つは命を守る公共事業であります。典型的なのは、全国ほぼ全て、一定年数以上のものについてのインフラの点検をいたします。中央道のトンネルの崩落事故がございました。これはまさに国民が抱いている不安でありますから、不安を払拭する、命を守る公共事業ということで、全点検をし、危険性が感じられたものは、直ちに補修・修復に入ってまいります。
それから、成長力を強化する公共事業ということでございます。ミッシングリンクの解消、あるいはハブ港湾、ハブ空港、日本の競争力に直接資するようなもの、プライオリティーを厳選してやっていくということでございます。いわゆる作った後の効果がない、新設のもの等々は行わないということであります。
(問)緊急経済対策なのですけれども、民主党政権との違いなど、安倍政権のカラーが打ち出せたと大臣がお考えになっている点はどの辺にあるのか、お聞かせください。
(答)緊急経済対策全般につきましては、公共事業もあれば、産業競争力を強化する民間投資を呼び込むような、その呼び水となっている予算、あるいは地方の活力に資するようなものを取り組んできたわけであります。
従来と違うということは、明確な政策目標を掲げていて、それが実行できるような体制をとったということだと思います。経済財政諮問会議を再起動させ、日本経済再生本部を立ち上げました。基本設計、実施設計、その相互がお互いに効果を発揮し合う、そして規制改革会議、それから総合科学技術会議と連携をして、この人材についても、会議について部分的に重複をさせることによって、人の連携で組織をつないでいるところでございます。
そして、具体的なこの成長戦略を実行していくためのロードマップを作る。これをいわゆるナショナルプロジェクトとしてきちんと示していく。そして、国がやらなければならないところへの投資、あるいは規制緩和、あるいは税制、国でなければできないという部分、そして、それに基づいて民の投資を誘発させていく。官と民が連携をしていくスタイルを作りました。幾つか官民ファンドも設置をさせていただいておりまして、かねてから課題として挙げられていながら、なかなか実行する機会がとれなかったものについて、この補正で対応させていただいた次第でございます。明確な政策目標と、それを実行するロードマップを作っていくという点について、今までとは随分違ってくるのではないかと思っております。
(問)その公共事業費と関連してかと思うのですが、先ほど総理が記者会見で、プライマリーバランスの黒字化を目指すとおっしゃいましたが、この具体的な目標というものを、いつまでに決めていくというような指示や、そういった総理とお話はされているのでしょうか。
(答)従来からプライマリーバランスの黒字化に向けて、10年かけて行うと、5年で半減させると、そういう目標は掲げられているわけであります。前政権が掲げて、そして私ども、野党でしたけれども、同様な改善目標を掲げております。この目標、短期的には柔軟な機動的な財政運営をする、しかし、中長期的にはしっかりとした成長と財政再建の折合わせをやっていくと。この目標はしっかり堅持をしてまいります。年央に向かって、骨太方針が明示されると思います。総理から経済財政諮問会議で御指示がございました。そこで、短期、中長期の整合性のとり方ということが図られていくかと思っております。
(問)安倍総理が、今日掲載された新聞社のインタビューに、経済財政諮問会議で金融政策を集中的に議論する機会をつくるべきだとお答えになっていらっしゃるのですが、これは次回の日銀の金融政策決定会合の前に、こういった機会をつくるということでしょうか。それとも、まだ時期は未定ということでしょうか。
(答)前ということかどうか、まだはっきりしておりません。今まで経済財政諮問会議が休眠状態で行われませんでした。このデメリットは、日銀と恒常的に対話をする場がなかったということであります。経済財政諮問会議に日銀総裁が入ってこられることによって、日銀が果たすべき使命、政府が果たすべき使命、それの連携のとり方が常時議論できることになろうかと思います。その点において諮問会議の果たす役割は大きいと思います。
(問)先ほどもおっしゃったように、今回、官民ファンドの創設なども盛り込まれて、リスクマネーも供給していくということなのですけれども、ただ、実体のない企業などに国民の税金が使われるということにはならないのか。ガバナンスなどはどう担保されるのでしょうか。
(答)予算の執行、あるいはファンドの形成、その執行に当たっては、政策効果が十分に発揮されるようにしっかりと検証していくということはみじんも揺らいでおりません。

(以上)