小平内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月22日

(平成24年11月22日(木) 10:36~10:47  於:警察庁第4会議室)

1.発言要旨

 今日、閣議は、全員出席でありました。報告案件を処理いたしました。
 私からは、今日、午後に視察をいたしますので、その御報告をいたします。国民生活センターの品川事務所に、前回の相模原事務所に引き続き、視察に行きます。今回も重ねて現場の実態を把握することが肝要と思って訪問いたします。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)大臣、かねてからTPPの交渉参加に慎重なお考えでしたけれども、今回の衆議院選公認に当たって、党の公認申請書にはサインされたはずですけれども、その辺のお考えを。
(答)公認申請書は署名いたしましたが、その署名するときに文章を読みまして、頭の中に一切消費税とかTPPのことはありませんでした。なぜなら、今、手元に持っておりますが、あれは文面どおり解釈をして、党議拘束をちゃんと守って、候補者として、ふさわしくない行動をとった場合には公認を辞退し、一切の便宜を返却するという、そういうことですよね。ですからもう当たり前のことなので出しましたので。その後、鳩山元総理のああいうことがありまして、一躍このことが皆さんの関心になりましたけれども、私の解釈としてはTPPは関係ないと。
 ということは、党議拘束ということで言いますと、TPPはまだ決まっていないんですよ。まだいわゆる検討中なんですよね。政府は、総理大臣も言っていますことは、FTAやEPA、RCEPと同時並行的に進めるという、そういう見解です。もちろんいろんな外交交渉というのは、政治が出る前に、政府の関係の役所が事務的な調査、折衝をして、煮詰めて、そこで初めてこれは交渉に可能ならしむなら政治が出てきますよね。ですから、今の段階は、TPPですと農林省や外務省、経産省等の役人諸君が事務的な調査をしている段階。それがいわゆる作業並行的に進めるという観点で、それはもういいのではないかと。
 問題は今後どうするかについて、私はかねてから言っていますように、これは外交交渉であるけれども、同時に国内の大きな交渉事でもある。したがって、農業界、産業界、医療関係を含めてまだ議論が煮詰まっていないから、しっかり議論をすることが肝要である。拙速に事を進めると、国益に反する大きな禍根を残す。慎重にされたいと。そういうふうに総理にも進言しましたし、党内でも言ってきました。閣内でも。
 私は基本的にはこのことは反対です。なぜならばアメリカが主導したTPPというのは、関税なき自由化です。でも前にも私も何度も言っていますけれども、第二次大戦後の国際貿易というのは、関税を旨としてやってまいりました。古く言うと東京ラウンド、ケネディ・ラウンド、ウルグアイ・ラウンド、そして今のドーハ・ラウンド、またはミクロでは、FTAやEPAです。全部関税がきくんです。どの国もその国の歴史、文化、国民性、地理的要件が違います。違って守るべきものも違う。だから関税というものを武器にして、お互いに譲り合って、守るものは守る、譲るものは譲る。それが貿易交渉であります。それを完全に取り除くということは、これは貿易交渉ではありませんし、アメリカの戦後の国際社会で主導した、いわゆるGATT、関税及び貿易に関する一般協定の精神に大きく逸脱する、要するに論理矛盾ですよ。ですから、私はこれはアメリカさん、間違っていますよと、そう言っております。私の考えは変わりません。
(問)今の質問に関連して、今はまだTPPは決まっていない、検討中だとお話にありましたけれども、誓約書には党議を踏まえて活動するという文言が入っていますが、今後マニフェストでTPPを推進するような、そういったマニフェストを作成された場合に。
(答)それはありません。それは政調会長、幹事長等とも私ども色々と話を進めておりますけれども、そこは選挙のときにそのことをはっきりと明言することはありません。そうすれば党が混乱というか分裂を私は起こすと思います。このことはもっとしっかり議論を詰めて、国益上どうあるべきかということをしっかり詰めてやるのが今後の大きな課題です。もっと言いますと、私は、TPPが、他のFTAやEPAと同じように、関税を旨とした交渉なら私は認めます。しかし、関税撤廃、今の現行の関税撤廃の交渉だったら私は反対です。
(問)そうしますと、御自身の反対の姿勢と、これから決まるであろう党議という部分が整合性がとれなくなるようなことはないと。
(答)だから、決まらないと考えます。それは、いわゆる幹事長、政調会長がこういう状況の中で、決まりませんし、また幹事長サイドもこの誓約書を盾にして、公認云々ということはしない。鳩山元総理の件は言うなれば、彼の哲学だと思うんですよね、美学というか。いわゆるいろんな状況の中で、引き際というか、それを求めていたのではと私は推測いたしました。元総理のお考えですから、私どもの及ばぬところではありましょうけれども、彼は消費税に反対されましたよね。消費税というのは、党議拘束といいますけれども、これはもう終わったんです。あのとき鳩山さんは2か月の党員停止でしょう。中には、厳重注意とか党員資格停止とかありましたよね。それで処分が終わっているんですよ。TPPはまだ決まっていないんですよ。それについて党議拘束はないでしょう。
 政府等で決まったことに対し反対をするのは、これはいわゆる党議拘束違反ですし、閣内なら閣内不一致ですよね。だから、決まってないんですよ。繰り返しますけれども、このように拙速に事を進めては国益上危険ですし、今の状況では私は反対です。
(問)今のお話の中の鳩山元総理の今回は出馬をしないということなんですけれども、それ以外で元総理として出馬しないという受け止めと自民党がマニフェストを発表しましたけれども、自民党の政権公約が昨日発表されましたけれども、それの受け止めをお願いします。
(答)私は詳しくはまだ承知、分析しておりませんが、自民党が出されたことは概略承知しましたけれども、私どもから見ると、ばらまきが随分あるなと、そういうふうに感じました。
 私も新聞等でしかまだ承知していませんけれども、詳しくは承知していませんが、あの新聞等の報道での私の認識では、これはばらまきが多々あるなということは感じました。
(問)先ほどおっしゃったと思うんですが、鳩山元総理が出馬しないということについて、先ほどおっしゃったTPP以外のことで何か他にも受け止めがございましたらお願いします。
(答)私は、昨日、鳩山さんとは電話でお話をしたんです。お会いすることはできず。出馬しないという報道が流れていますけど、そこは少し慎重にということでお聞きしましたが、どうも決意がお固いようで、これから総理にも会って、そしてその後、地元北海道苫小牧に行って記者会見するという、そういう強い決意が、電話の向こうから聞こえまして、非常に残念に思いましたが。
(問)TPPに戻るんですけれども、RCEP、日中韓の交渉開始ということになりましたけれども、アジアでは自由貿易が加速していますが、TPPにも影響が出ると思いますが、その辺はどのようにお考えですか。
(答)中国はそれなりにアメリカを牽制していますから。RCEPはもう逆の枠組みですから、日中韓のFTAのことも。そういう作業に入るという、作業は作業で役人諸君が自分たちの所管の案件を決めて、その対象を議論する、これはもう私はいいと思います。いわゆる役所の仕事ですからね。
 問題は、それを踏まえて、政治家が交渉に入るというのが、それが正式交渉でしょう。これはまだそこまで行っていないんですよ。そこのところがちょっと誤解があるようで、まだこの話は、この間も言いましたけれども、進行形というか、まだそこまで行きついていないんですね。ですから、私はもっとしっかり議論を深めて、国内の議論をしっかり踏まえて、そしてどこに国益があるかということ、これをしっかり踏まえていかないと、拙速に事を進めると禍根を残すと。
 ただ、日本は単に経済交渉以外にも安全保障の観点からも云々という、そういう見方もあります。多分に今、日中韓の、尖閣の問題を含めてありますから、そういう安全保障の観点もやはり当然介在すると思います。ですから、いろんな意味でこれは大事な外交交渉ですから、そういうことを包括的にしっかり議論を深めてやることが国益を損なわないことだと思うので、拙速に事を進めることはいかんということを強く総理にも進言してきました。

(以上)