小平内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月1日

(平成24年10月1日(月) 22:37~22:57  於:警察庁第1会議室)

1.発言要旨

  この度、国家公安委員会委員長及び内閣府特命担当大臣消費者及び食品安全担当ということで、総理から拝命を受けました小平忠正であります。
 総理からは、官邸に呼ばれた際に、7点について御指示をいただきました。
 1つは、国民の安全を守る、確保するために、治安の確保に全力で取り組むこと。
 2つ目は、最近のサイバー空間における脅威や悪質・巧妙化する暴力団情勢に的確に対応するなど、新たな治安対策に取り組むとともに、捜査手法、取り調べの高度化に向けた取組を進める。
 3つ目が、東日本大震災の被災地や被災者の安全・安心の確保を図るとともに、大震災の教訓を踏まえ、今後の災害対応能力の向上に努める。
 4つ目が、尖閣諸島の領海警備については、関係大臣と緊密に連携をし、緊張感を持って情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。
 5つ目が、国民の健康を守るため、関係大臣と密接に連携し、生産から消費まで食の安全・安心を総合的に確保する。
 6つ目が、「消費者安心アクションプラン」原案に基づき、関係大臣と協力して、食品と放射能に関するコミュニケーションの強化及び高齢者の消費者トラブル防止のための施策を推進する。
 7つ目が、事業者中心の行政を転換し、消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込むという消費者庁発足当時の理念を踏まえて、消費者の安全・安心を高める消費者行政を強力に推進する。
 次に、死因究明等の推進、公正取引委員会に関する事務を担当するという御指示がありました。
  そこで、国家公安委員会委員長としては、政府の治安対策の責任者である委員長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いであります。
 良好な治安は、国民生活の基盤でありまして、治安の確保に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 警察行政の課題は多々あると思いますが、まず地域社会、特に北部九州において大きな脅威となっている暴力団への対策について、先の通常国会で成立した改正暴力団対策法を積極的に活用しながら、関係機関、各種業界等と連携をした社会全体での暴力団排除の取組の強化を図ってまいりたいと思っております。
 サイバー犯罪、最近多発しております政府機関、事業者に対するサイバー攻撃への対応等も重要課題であります。その対策についても、先の国会で成立した法律を活用するなど、取締りの徹底を図るとともに、各国治安機関、国内の関係機関、各種業界等と連携して、対処してまいりたいと思っております。
 交通安全対策については、交通事故で亡くなる方が減少傾向にあるとはいえ、無免許運転等により通学中の児童が多数亡くなるなどの痛ましい事故が相次いでいることから、これらの安全確保にも、関係機関、団体等と連携しながら対策を強化してまいりたいと思います。
 また、東日本大震災による行方不明者の捜索、被災地における安全・安心を確保するための諸活動を引き続き推進するとともに、この大震災を教訓として、災害や各種事案に対する危機管理にも万全を期してまいりたいと考えております。
 総理からの御指示を踏まえて、国民の安全を確保するため、各種対策を強力に推進するよう指導してまいります。
 消費者行政についてでありますが、消費者が安心して暮らせる社会の構築は、政府の最重要課題でありまして、私が中心になって、関係閣僚に協力をいただき、この実現に向けて推進していくという重要な役割を担うことになりました。本日発足した消費者安全調査委員会が、事故から教訓を得て繰り返さないという所期の目的を実現できるよう、運営に当たるとともに、消費者教育の推進や財産被害に対するすき間のない対応など、先の通常国会で成立した法案の施行準備を進めてまいります。
 総理から御指示をいただいた「消費者安心アクションプラン」、これを着実に実現していくとともに、消費者行政の基盤づくりを加速するため、地方消費者行政への支援、新しい訴訟制度の創設、食品表示の一元化等に取り組んでまいります。
 国民生活センターの国への移行については、諸般の状況をしっかりと見極め、来年度政府予算案の決定までに最終的に判断を行います。
 施策の推進に当たっては、消費者委員会の機能を最大限活用するとともに、消費者団体や事業者団体等とコミュニケーションを大事にしてまいります。
 食品安全についてでありますが、食の安全は国民の命を守っていく上で重要な施策、課題であり、国民の健康の保護を最優先に、科学的知見に基づいて食品の安全性を確保することを全力を尽くしてやってまいります。
 死因究明でありますが、我が国においては、この死因究明及び身元確認の実施に係る体制の充実強化が喫緊の課題となっていることにかんがみ、死因究明等推進会議において、死因究明等の推進に関する施策について、その在り方を横断的、包括的に検討し、その実施を推進してまいりたいと思います。
 次に、公正取引委員会に関する事務でありますが、独占禁止施策を中心とする競争政策については、審判制度廃止等を内容とする独占禁止法の改正法案が閉会中審査となっているところであります。同法案の成立に全力を尽くすなど、公正かつ自由な競争を確保するための基盤整備を図るべく、全力で職務に当たってまいります。
 以上、野田内閣の一員として、精一杯努めてまいりますので、どうぞ皆さんの御支持、御支援をよろしくお願い申し上げます。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)警察庁記者クラブを代表して3点お伺いします。
 1点目は、国家公安委員会委員長に就任されて、今後の抱負をお聞かせください。
 2点目は、裁判員裁判対象事件などで行っている取調べの可視化について、御見解をお聞かせください。
 3点目は、暴力団対策について、今後どのような取組を行うか、御意見を伺いたいと思います。
(答)分かりました。
 まず、抱負といいますか、決意でありますけれども、政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになりましたので、まず身の引き締まる思いで取り組んでいく決意を持っております。国民の安全を確保するために、治安の確保に全力で今後取り組んでまいりたいと思っております。
 先ほど総理から指示がございました最初の4点についてもう一度申し上げますが、1つ目が、国民の安全を確保するために治安の確保に全力で取り組むこと。2つ目が、最近のサイバー空間における脅威や悪質・巧妙化する暴力団情勢に的確に対応するなど、新たな治安対策に取り組むとともに、捜査手法、取調べの高度化に向けた取組を進める。3つ目が、東日本大震災の被災地や被災者の安全・安心の確保を図るとともに、大震災の教訓を踏まえた今後の災害対応能力の向上に努める。4つ目が、尖閣諸島の領海警備については、関係大臣と緊密に連携をし、緊張感を持って情報収集を行うとともに、事態に応じて、我が国の法令に基づき適切に対処するという指示をいただいております。それにのっとって、私もこれらも重要な課題だと認識していますので、取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、可視化についての見解の御質問がございました。
 本年2月に公表された「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」による最終報告でも示されているところでありますが、取調べの録音・録画には、公判における供述の任意性、信用性等の効果的・効率的な立証を可能とする効果があると認識しております。
 他方で、取調べの全過程を録音・録画することについては、被疑者が報復等を恐れて共犯者に係る供述をしなくなるなど、組織犯罪等の解明に支障を来すほか、被疑者と取調べ官との間で率直なやり取りが困難となるなど、真相解明に支障が生じるおそれがあるということであります。
 取調べの過程で、犯罪被害者を始めとする事件関係者の名誉・プライバシーに関わる事項のうち、現状では供述調書に録取する必要のないものも全て克明に記録され、明らかになるおそれがあること等の懸念もございます。
 警察においては、同最終報告を受けて、本年3月に「捜査手法、取調べの高度化プログラム」を策定し、その中で、録音・録画の試行の拡充を掲げ、裁判員裁判対象事件に係る試行を拡大するとともに、知的障害を有する被疑者に係る事件における試行を開始したところであります。引き続き、試行の結果を踏まえつつ、治安責任を有する第一次捜査機関としての責務を全うするという観点から、取調べの録音・録画の在り方について検討を進めてまいりたいと思っております。
 また、取調べの可視化に関しては、これを含む今後の刑事司法全体の在り方について、現在、法制審議会においても調査・審議されているものと承知をいたしております。この問題は、警察捜査や治安そのものに大きく関わる極めて重要なものであることから、法制審議会においても、捜査手法の高度化と併せて、警察捜査の実情や研究会における検討結果が十分に反映される必要があると考えております。今後とも、法務大臣とも連携を取りながら、検討を進めてまいりたいと思っております。
 次、暴力団対策についてですが、最近、特に九州においては、暴力団による銃器や手りゅう弾等を用いた対立抗争や事業者襲撃事件等が後を絶たず、暴力団犯罪捜査に従事していた元警察官が銃撃される事件も発生するなど、暴力団情勢は依然として厳しいものと認識をしております。北九州地区においては、本年4月から全国警察が機動隊を福岡県に派遣をして、保護対策、検問、警ら等を強化しておりますが、事業者襲撃等事件については残念ながら検挙にいたっていないものも多く、地域住民の方々に安心して生活をしていただく状況にはなっていないと考えております。
 今後は、本年7月に成立をした改正暴力団対策法も効果的に活用しながら,引き続き、暴力団に対する取締りを強化するとともに、適切な暴力団情報の提供や暴力団排除活動に取り組む方々の安全確保の徹底等により、暴力団排除活動を積極的に支援するなど、暴力団の弱体化・壊滅に向けた取組を更に進めていきたいと考えております。
 また、暴力団の危険な活動を抑止するためには、捜査の実効性を高めることが重要であり、法制審議会においても、捜査手法の高度化についての検討がなされているところでありまして、今後こうした検討が実を結ぶよう最善の努力を傾注してまいりたいと思っております。
 以上が、質問のお答えであります。
(問)公安委員長として、拉致事件、拉致問題にどういう取組をされていくお考えでしょうか。
(答)前の松原大臣までは、こういった拉致が所掌事項でありましたけれども、今回は法務大臣の方に移りまして、したがって、それについては私も大いに関心を持っておりますが、まずそこについては法務大臣の方に任せていただいて、私も個人的には一日も早く拉致家族が帰国をされて、皆様に安心が持たれるように期待していきたいと思っております。
(問)関連して、ただ、捜査主体としては警察になるかと思うんですが。
(答)そうです、警察です。それは、関係機関と緊密に連携をとって、この事案の究明、全容解明に努めるよう当然なります。ただ、そのいわゆる主導は法務大臣が、これは所掌になります。
(問)消費者庁の担当大臣としてお聞きします。
 前の大臣も消費者目線の重要性についてよく訴えられていたんですけれども、御自身は消費者目線というものをお持ちかどうか、その辺について、自信のほどをお聞かせください。
(答)消費者目線と言いますけれども、消費者委員会、それから消費者庁というものが設置をされて、国民のいわゆる安全・安心という面で、更に確立するようになっておりますので、当然それはこういう委員会なり役所を通じて、国民のニーズに応えていくように進めていくことが肝要と思っております。
(問)要は、御自身が一般の消費者と同じような目線に立つことができるのかどうかという点に関して、消費者目線をお持ちかどうかという、個人としての。
(答)私としては持っていると思いますけれどもね。ただ、色々な事件等、事故等がありますから、それをしっかり対応していくことが、このいわゆる関係機関の責任になると思っております。
(問)消費者庁のことについて、関連なんですけれども、消費者担当大臣というのは、消費者庁ができまして、過去の事務代理を含めると、大臣で10人目になります。消費者団体の方などは、平均4か月くらいでころころかわるということで、御不満も結構多いんです。そういう批判の声というか、不満の声を踏まえて、改めてどんなお気持ちで消費者行政に取り組んでいくかという抱負を伺えますか。
 もう1点ですけれども、これまで消費者問題に御関心があったテーマとかあれば教えていただけますか。
(答)まず担当大臣、たしか9人目ですか。
(問)事務代理を除くと9人目です。
(答)かわりましたよね。これはやはりできることならば、そこにしっかり腰を据えて、安定して取り組むことが肝要ですけれども、過去にはこれだけありましたので、私としてはできるだけこの席をしっかり守りながら、この消費者行政を推進していけるように頑張っていきたいと思っております。ということは、解散しないで、腰を据えて頑張っていくことじゃないかと思っています。
 あと、今までの過去の問題と言いましたね。
(問)今までで関心のあったテーマ、もしくは今後優先的に取り組みたい課題とか、そういうのがございましたら、教えてください。
(答)要は、色々なケースがあると思うんですけれども、その消費者ということの問題、いわゆる受益者というか、色々なことで提供を受けて、そこでしっかりと安全・安心というものが担保されるということが大事でしょう。そういう意味では、こういう機関があり、そこで関係者が頑張っていくことが、国民生活においては安心の大きなもとになると思うので、私はいいことだと思っております。
 どうもありがとうございました。今後、よろしくお願いいたします。

(以上)