樽床内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月2日

(平成24年11月2日(金) 9:23~9:44  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。まず、冒頭、私から何点か申し上げさせていただきます。
 今日の閣議におきまして、「国家公務員退職給付の水準見直し法案」及び「地方公務員等共済組合法等の一部改正法案」の2法案を閣議決定いたしました。ちょっと堅苦しい名称ではありますが、まず一つ目、最初の法案でありますが、国家公務員の退職給付について、民間の退職給付の実情を見ますと、よく言われております400万円ほどの較差があるという状況にかんがみまして、退職手当の額を、その分だけ引き下げていこうと。とともに、この官民均衡のこういう恒常的な枠の中で、新たに「年金払い退職給付」というものを設けていこうと、順次設けていこうという法案であります。要は、官民較差を解消するための法案、そして、職域加算分を年金払い退職給付に変えていく。合計して400万の官民較差が無くなると、こういう法案であります。また、同様に、地方公務員につきましても、今、申し上げました国家公務員と同様に、退職給付の一部としての「年金払い退職給付」を設けると、これが二つ目の法案であります。この2法案を早期に、この臨時国会で成立をお願いして、来年1月1日から実施できると、このようなことを目指していきたいと思っておりますので、この臨時国会の中での法案成立に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 2点目でありますが、この度、総務省におきまして、放送コンテンツに関する検討会を新たに立ち上げることといたしました。近年、日本の国際的プレゼンスが低下していると、このように考えておりまして、日本に対する愛着、親しみを持っていただく、そのことによって、日本を訪問したいと思う人を一人でも多く増やしていきたい。また、海外で、日本の商品やサービスを買いたいと思ってくれる人を一人でも増やしていく。そのために、我が国の魅力のある放送コンテンツを海外に展開していくことが非常に重要だと、このような問題意識に立脚をいたしております。そういうことを推進していくために、総務省では、放送事業者、権利者団体のトップ、また、有識者の方々にお集まりをいただきまして、「放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会」、これが正式名称でありますが、を開催をしていくことといたします。この、今、申し上げましたような問題意識にしっかり対応して、海外におけるコンテンツ発信の場の確保、権利処理の効率化など、放送事業者、権利者、行政が、3者が連携して取り組むべき方策につきまして、半年程度かけて検討を行っていきたいと思っております。詳細につきましては、後ほど事務方から説明をさせていただきますが、第1回は11月の8日に開催をする予定をいたしております。
 3点目でありますが、無線LANのセキュリティ対策について申し上げます。無線LANは、携帯電話網、ラインを補完する便利な手段として、スマートフォンでの利用が広がっておりますが、私から、以前から、光と影というふうに申し上げましたけれども、一方で、他人に情報を盗み見られるといった脅威が存在をいたしております。この度、国民の皆さんに安心して無線LANを利用していただくための手引書を取りまとめさせていただきました。最低限の対策としては、一つに、大事な情報は安全な通信方式でやっていただきたい。二つ目に、駅や空港など、公共の場ではデータを共有する機能を解除する。三つ目に、自分で無線LANを設置する場合には、適切な暗号化方式を設定する。その3点をお願いしたいと思っております。詳細は、今日11時、報道発表をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、明後日、4日の日曜日でありますが、北方対策担当大臣といたしまして、私が根室、納沙布岬を訪問いたします。また、四島交流船であります「えとぴりか」に乗船をいたしまして、北方領土を海上視察してきたいと思っております。また、元島民や地方の首長さん方のいろいろな方々とも、意見交換をさせていただく予定をいたしております。日程の詳細につきましては、内閣府の事務方にお問い合わせをいただきたいと思います。
 最後に、報道によりますと、地方公務員の給与水準が国家公務員の給与水準を上回っていると、ラスパイレス指数として、106.9という数字まで財務省の審議会から出ているという報道がなされております。この、少しオーバーランをした、フライングをしておられるのではなかろうかということで、大変な、ある種の懸念と言いますか、憤りと言えば言い過ぎかも分かりませんが、感じております。つまり、今年、国家公務員は7.8%、平均して給与を下げたわけであります。これは2年間に限定して震災対応をしようということで、国家公務員の方の給与を平均して7.8下げたと。この2年間の措置をしたことによって、そのような、今年の春の段階では100を、ラスパイレス指数は100を切っていたわけでありますので、その分だけ逆転をしたということになります。臨時的な措置の数字と通常の数字を並べて、しかも、公式なラスパイレス指数というのは、総務省としては、今、鋭意調査中と言いますか、算定中であります。そういう段階で、ラスパイレス指数に対して権限のない役所からですね、勝手な数字を出されて、しかも、臨時的なものと恒久的なものをがっちゃんこして世論をリードするということにつきまして、甚だ不適切ではないかと、このように考えているところであります。
 以上、冒頭申し上げさせていただきました。

2.質疑応答

(問)幹事社のNHKの松谷です。おはようございます。今日、午後開かれる全国知事会議についてお伺いします。国と地方の間の懸案としてですね、例えば、国の出先機関ですとか、地方公務員制度の改革、あと、例の地方交付税の支払いの延期とかですね、また、税では、自動車取得税の取扱いなど多々ありますけれども、今日の午後の会議では、知事らにですね、そうした懸案や不安についてですね、どのように御理解を求めていかれるおつもりなのか、お考えをお伺いしたいと思います。
(答)国と地方の間で様々な課題、また、共通の課題、また、意見がそれぞれ微妙に異なる課題、様々な課題が当然あるわけでありまして、そういった課題を率直に意見交換をしていくということは、私は大変いいことだというふうに思っております。そういう中で、私はですね、地域主権というものが我が政権の1丁目1番地であるということで考えますと、それぞれの自治体が元気になってもらわなければならない。しかも、様々な自治体の、1,700から1,800の数があるわけでありますから、全てが一様に、全部が同じ水準で同じことができるというのは、それぞれの地域の事情、置かれている事情が様々ありますし、規模も様々違いますから、ある程度の地域の事情にあった結果としてのでこぼこが出てくることは、これは仕方がない。そういう中で、それぞれの地域が元気になっていただくために、地域主権ということを我々は推進をしていこうと、こういう前提に立っておりますので、過去、これまでですね、ややもすれば三位一体の改革、かつてのを含め、また、その結果、それぞれの自治体がかなりの規模において合併をされて、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら苦しい取組をされてきた。また、私が認識しておりますのは、冒頭申し上げましたように、それぞれが、1,700以上あるわけですから、全部が同じ行動、また、結果が出るということはあり得ない。その中でも、かなり、国に比べては、はるかに突出した行財政改革を行っておられる、そういった自治体もかなりの数に上るという認識を持っております。たまたま、自分が住まいをしているところの話で恐縮でありますが、私が住まいをしております市におきましては、この10年間で2,500人ほどの、約2,500人ほどの職員が、この10年間で1,500人ほどに、1,000人減少すると、こういう実績も上げております。ほかにも、そういった自治体は、かなりの数に上るであろうと、このように思っておりますので、そういった様々な自治体の皆さん方としっかりと対応していく。それには、自治体の皆さん方の思いを受け止めながら、ともに国のために頑張っていくと。苦しい状況を理解させていただきながら、全体のこともしっかりともに歩んでいく、そういう場にできればなというふうに思っております。私としましては、今、申し上げました、政府の中で、そういった思いに基づいて地方の方々と対話をしていくという役割と、また、閣内において、1丁目1番地の地域主権でありますから、そういったことに関連するそれぞれの地方の事情、立場というものを、閣内においてしっかりと説明をし、閣内の理解を得ていくと。こういう両面の役割を担っているというふうに思っておりますので、そういうものを知事会の場でも申し上げさせていただいて、ともに歩んでいけたらという決意をもっております。以上です。
(問)大臣、時事通信です。丸山です、よろしくお願いします。先ほど、冒頭でもおっしゃった地方公務員給与についてお伺いしたいのですが、今、大臣がおっしゃった、まず、指数というか、数字の問題がありますけれども、年末の予算編成に向けて、やはり地方公務員給与、交付税削減につなげて、風当たりは厳しくなると思うのですが、こうした論議に大臣はどのように向き合われますか。
(答)地域主権でありますから、地方の自治体全体のですね、一般財源総額というものをしっかり確保しなければならない。ちょっと言葉が難しいのですが、分かりにくいのですが、簡単に言うと、国がですね、一般歳出の71兆円ですか、それは前年並みに維持してと、こういう方針でずっとやってきた。地方自治体においてもですね、自治体が自分たちで使えるお金としての一般財源総額をですね、しっかり維持していくと。国も地方もやっていくと。地域主権ですから、地方だけは自由に使える金が減っていくということは、これはあってはならないわけでありますから、そこを確保するために、それぞれの地方の税収と交付税がこう合わさってあるわけです。交付税を下げるのは、その中の一つを下げると、そうすると、地方税の税収がそのままであれば、一般財源総額は維持できないと。逆に、地方税が上がれば交付税は下がるわけであります。要するに、全体のパイの中で二つで構成しておりますから、税収が上がれば交付税は少なくて済むわけです。ですから、切る方向の発想ばかりでなくて、地方交付税が少なくても済むようにするためには、地方が活性化をして地方の税収が上がるということになれば、自ずと交付税の額は下がるわけでありますから、そういう前向きな議論をしっかりするべきであって、初めから、査定でですね、切って押さえ込めばいいという発想であれば、どんどんどんどん縮小均衡にしかいかないと。こういうことでありますから、こういったですね、財政当局の、常に縮小均衡に向かうという発想は、今、政権の中でも、それでいいのかと、こういう御意見も多々あるわけでありますから、そういった中でトータルの議論ができればというふうに思っております。
(問)すみません、今の関連ですけれども、7.8%でですね、給与カットした際の法律にもですね、地方の取組を求める規定がありますけれども、この辺り、自主的に取組を任せるだけではなかなか進まないと思いますが、その辺りについてはどのようにお考えですか。
(答)正直言いますとですね、国の給与はほとんど下がってこなかったのですね。ある種、ずっと、平行と言えばあれですが、大体、あらかた、そこを7.8がーんと減らした。2年間です。地方自治体は、かつてラスパイレスの、いろいろ、古くて、最近また出てきた新しい議論なのですが、古くはラスパイレス指数の、これ、解消と、こういうことから、どんどん努力をしてきていまして、国がほとんど給与が下がっていないのに、地方自治体は、それに、国に先駆けて、かなりの削減をしてきていると、こういう経緯があります。ですから、それは様々な事情があると言えばそうなのですが、全く努力をしてこなかった国は下げましたと、努力をしてきた自治体はありますと。今後どうするかということについては、地域主権ということでありますから、過去の、先ほど言いました1,700以上の自治体があるわけで、それはそれぞれね、その中には、かなりの給与削減をしてきた自治体もあれば、そこまででもない、これはかなり、それはいろいろ幅があります。ですから、そういう幅があるのを判断しながら、それぞれの自治体も財政事情も、そんな豊かであるところは東京都ぐらいしかないわけでありますから、そういった観点からですね、自治体がしっかり対応してもらうと。自分たちの意思で対応してもらうと。これまでも対応してこられたのでありますから、それはしっかり、私どもは期待をし、理解をしていると、こういうことであります。国は一つですから、一つでぼんとやればそれでいくわけですが、1,700以上の自治体を同列に扱うという発想は、元来地域主権の発想から外れているというふうに、私は思っております。
(問)読売新聞の八角と申します。先ほど、財務省の方の見解は不適切だというお話が大臣からあったのですが、そういったことに関して、どちらかの場で反論されるようなことは、今、現在検討されていますでしょうか。
(答)もう事務レベルでは、伝えるように指示をしております。はい。
(問)具体的にはどういったお話を。
(答)今、申し上げましたようなことを言って、不適切ではないかということは、申し上げさせていただいております。閣僚間でも、その意見は申し上げさせていただきました。
(問)朝日新聞の河口です。特例公債法案のですね、審議につきまして、自民党もですね、応じる姿勢を示していますが、この辺りについての御見解と言いますか、御所見をお願いします。
(答)私は以前から申し上げておりましたように、この、どこの政党が政権を担っても必要となろう法律。だから、総理は二つの新しい提案を、先の党首会談で行われたと。一貫して申し上げておりますのは、こういうものを政局の具にしてはならないと。このことについて、野党の皆さん方も、実は大変な理解をされておられるというふうに、私は認識をしておりました。正にそれが結果として出てきつつあると。それぞれの意見の違いはあってもいいのですが、少なくてもこういうものを政局の具にしてはならないという、そういう基本的なところは、一致しつつあるというふうに思っておりますので、さすが責任野党の皆さん方だなというふうに思って、心から敬意を表しております。
(問)そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。はい、ありがとうございました。
(答)はい、どうもありがとうございました。

(以上)