前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年12月21日

(平成24年12月21日(金) 10:39~11:08  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
まず、私から月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告させていただきます。景気の基調判断は、「景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。」とし、先月と同様の判断をしております。これは、自動車販売に下げ止まりの兆しがみられ、生産の減少テンポも緩やかになってきている一方で、収益が弱含んでいることもありまして、企業マインドは慎重さを増し、設備投資が弱い動きになっていること等から、全体として景気の基調は先月から大きく変化していないことを踏まえたものでございます。
先行きにつきましては、当面は弱さが残るものの、復興需要が引き続き下支えする中で、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待されます。ただし、海外経済を巡る不確実性は依然として高く、我が国の景気を下押しするリスクとなっていることに注視が必要でございます。
政府及び日本銀行は、デフレからの早期脱却及び持続的成長経路への復帰に向けて、一体となって最大限の努力を行ってまいります。
最後に、今月のマンスリートピックスは、「山場を迎える「財政の崖」問題」について取り上げました。皆さん方も是非御覧いただければと思います。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)大臣、今回の総選挙で民主党は大敗したわけですけれども、今、改めて振り返ってみて、何が一番まずかったかなとお考えになられていますでしょうか。
(答)この前の記者会見でお答えしましたけれども、民主党政権に対する3年3カ月前の期待が、できたこともありますけれども、我々がお約束したこと全てができていないこと、あるいは党内のガバナンスに問題があったということではないかと思います。
(問)この時期の解散というのは得策だったでしょうか。
(答)それは総理がお決めになることであります。
(問)9月のエネルギー・環境会議で革新的エネルギー・環境戦略をお決めになられましたけれども、内容がやや相互に矛盾しあうような項目が含まれていたり、更に閣議決定する、しない問題みたいな報道がありましたけれども、あの辺が少しすっきりしなかったのではないかという御反省はございますでしょうか。
(答)様々な御意見があろうと思いますので、御意見として伺っておきます。記者は、とにかく正しいことをしっかりと事実に基づいて発言をするということを求めたいと私は思います。
(問)いつももちろんそのつもりです。
(答)いや、あなたには、私は弁護士からの文書をつけて出しておりますけれども、それに対して回答がありません。
(問)いや、回答しました。
(答)いや、ありません。明確にそれについては、明らかにさせていただきたいと私は思います。
(問)逮捕された人からお金をもらっているのはなぜですかということを書いたわけです。
(答)あなたは暴力団との関係があるかのように、デマを外で発言した、それについてはウソであると、私は知らなかったということを言って、それに対しての謝罪も何もないですよね。
(問)全然謝罪する必要はありませんから。
(答)私は暴力団との関係は一切ありませんから、これは明確に申し上げておきます。
(問)月例経済報告で据え置きということですけれども、一部にプラスの動きも出てきたということで、民間のエコノミストは、年明けから回復に向かうのではないかという見方が多いのですけれども、そういう方向性というのもある程度見えてきたのかなという気もするのですが、景気認識はいかがでしょうか。
(答)先程申し上げましたように、自動車販売に下げ止まりの兆しがみえるということの中で、生産減少のテンポも緩やかになっているという判断はしておりますけれども、その一方で収益が弱含んでいるということもあって、むしろ企業マインドは慎重さが増しているのではないかと。そして、設備投資が弱い動きになっているということから、トータルで考えて、景気の基調は先月から大きく変化していないということであります。
ただ、今、お尋ねがございましたように、ESPフォーキャスト、つまりは民間のエコノミストの方々がどういうふうに今後の日本経済を見通しているかということについて言えば、この7-9月期についてはマイナス3.5%だったわけでありますけれども、10-12月期についてはマイナス0.5%、それから2013年の1-3月期については1.8%、4-6月期については1.6%となります。今、御指摘があったような高い見込みをされているという面があるのは事実でございます。
ただ、これは世界経済が今後どのように動いていくのかということも大変大きな要因であります。例えば「財政の崖」の問題についてうまく解決策を図られるのか、あるいはEUの問題についても、今、ECBを中心にうまくコントロールされておりますけれども、根本的な問題はそんなに簡単ではないということを考えたときに、世界経済はどうなっていくのかという不確定な要素も多いのではないかと思っております。
(問)次期政権は10兆円規模の補正予算を伴う景気対策をやろうとしていますけれども、そこまでやるほどの景気が悪い状況なのか、大臣の見方はいかがでしょうか。
(答)それは直近の民意を反映した新たな政権が判断されることだろうと私は思いますので、それについて我々はコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、その前提で申し上げると、財政規律とそして経済政策、更に借金をして、今の経済をよくするための公共投資が果たしてどれだけプラスの影響があるのかということを言い続けてまいりました。むしろ公共投資は減らして、そして社会保障、教育、人材、子ども・子育て、そして成長分野への集中投資をやってきたわけであります。
そういう意味においては、その10兆円の中身をどのようにされるのか、あるいは財源の手当てをどのようにされるのか、そういうことも踏まえて、総合的に判断をしていかなくてはいけないことではないかと考えております。
(問)2点あります。1点は、昨日、日銀の金融政策決定会合があって、追加の金融緩和が打ち出されたのですが、自民党の安倍総裁からいろいろ発言もあったことを踏まえての評価はどうかというのが一つと、デフレについて、月例経済報告でやはり依然として非常に懸念材料として挙げているのですけれども、この点についてどういうふうに考えられるか、もう少し具体的に教えてください。
(答)我々は、日銀とも共同文書を交わして、早期に、できるだけ早くデフレを脱却させる、そのために政策協力をして、できる限りのことをやっていくということを申し上げてまいりました。その意味においては、日銀が日銀の立場として現状認識を踏まえて、さらなる金融緩和を行ったということは一定の評価をしているところであります。ただ、このデフレについて申し上げれば、コアコアでございますけれども、10月は前月比マイナス0.3%でありまして、僅かながら下落している。また前年比で言うと、マイナス0.7%となり、43カ月連続で下落しているということでありまして、いまだにデフレから脱却はできていないということではないかと思っております。
昨日の日銀の金融政策決定会合の御質問がありましたので、私の感想を申し上げたいのですが、私は日銀の金融政策決定会合に3回出ました。1カ月ぐらい後に議事要旨が出るまでは、自らの発言については、事前も事後も公表しないということになっておりますが、時期を過ぎたものもありますので、若干私の感想のお話をしますと、日銀の物価安定の目標というのは、中長期的に2%以下のプラスの領域、そして当面は1%目途ということにしております。
このことについて、金融政策決定会合ではかなり議論がありました。つまりは、1%目途ということについてもできてないではないかと。ずっとマイナスでデフレから脱却できてないということについて、新たに政策審議委員になられた佐藤さんや木内さんからは、1%へのアプローチというものをもっと具体的に詰めるべきではないか、あるいはそういう書きぶりにするべきではないかという議案などがございましたけれども、他の方々がそれについては否定的な意見を言われていたということで、私としては、発言権は最後に日銀総裁から促されて発言をすることしかありませんけれども、私としてはこの1%を本気で目指しているのかなという思いを強く持っていたわけであります。けれども、そのメンバーが全く変わっていない中で、今度は2%の物価目標ということに言及されたということについては、私は驚きをもって、今、感じているところであります。
今までの議論は、1%目途に対してのアプローチについても非常に慎重だった現執行部側、つまり佐藤さんと木内さん以外は、そういう意見をみんなおっしゃっていたのに、それが1%もできていないデフレが続いている中で、2%ということについて言及されるということは、今までと整合性、連続性、継続性があるのかということは、今後は我々野党になるわけでありますけれども、国会の中で厳しくしっかりとチェックしていかなくてはいけないと思っているところであります。
(問)今の前原大臣の御感想について、少しお伺いしたいのですが、要は現執行部側が自ら中央銀行の独立性を放棄して、民意を背景に圧力を強めてくる政治の力に屈したのではないかというようなことを、今回の決定、報道などを見て、前原大臣がお感じになっているということなのでしょうか。
(答)そこまでは申しておりません。今までの3回の金融政策決定会合では、日銀の中長期の物価安定の目標は2%以下のプラスの領域、そして当面は1%を目途にということを言っていて、まずは1%を達成するのが先決でしょう。そしてそれで更に1%を超えて2%以下のプラスの領域にどう近づけていくかということを、子どもが読めばそういう文章だったわけでありますが、残念ながらデフレが続いている。物価下落が続いているという状況の中で、まずはその1%目途というものに対して、新たに審議委員になられた佐藤さん、木内さんはどういうアプローチをするかということをもっと詰めなければいけないとおっしゃっていたものに対して、総裁、副総裁はじめ、他のメンバーはそれに対して慎重な意見をおっしゃっていたのに、それを飛び越えて、2%というものについて言及されたというのは、一体どういう変化かということについては、極めて驚きを感じていると。どういう変化があったのかということについては、しっかりとこれから国会の場で詰めていかなくてはいけないテーマであるということを私は申し上げているわけであります。
ですから、背後に何があったかどうかなんていうのは、我々は分かりませんから、それについては私が言及すべきではないと思いますけれども、3回の日銀の金融政策決定会合に出た私からすると、なぜ急にこれだけ大きく変わるのかということで、驚きを持っているということであります。
(問)2点伺います。最初の大臣の質疑の中で民主党が大敗したということについて触れられました。それについてなのですけれども、今回の衆院選なのですけれども、労働組合がそこまでフル回転しなかったということも大敗した理由にあると思います。前原大臣は脱労働組合の代表格でもありますけれども、民主党にとって労働組合というのは必要だと今はお考えでしょうか。それと2点目なのですが、大敗したことからの党勢を回復するために、大臣は書籍でも保守の再編に触れられています。けれども、保守の再編というのは今この時期に必要というふうにお考えなのかどうか。その2点をお聞かせください。
(答)7年前でしたか、私が民主党の代表になったときに、郵政解散で自民党が大勝して、岡田代表がやめられた後に私が代表になったときに、脱労組依存ということを言いました。これは、労働組合の方々にもいろいろ後で説明をいたしましたけれども、いろんな地域に行くと、選挙の母体が労組だけというような地域があって、これでは強くなれないだろうと。やはり個人の後援会、各種団体、あるいは地方議員、これにプラスして、労働組合に応援をしていただくということについては、大変ありがたいけれども、労働組合だけで選挙やっているような地域があるということについて、これがやはり私は民主党が大敗をした大きな要因の一つではないかということの中で、脱労組依存ということを言ったわけです。別に労組がだめだという、脱労組ではないのです。脱労組依存ということを言ったわけです。
その上で、私は政策テーマについては是々非々でやるべきだと。政党と支持団体は考え方が違うものもありますから、その支持団体、労組だけではなくて、私もいろんな団体から今回推薦をいただきましたけれども、そういう団体と、例えば政党というのは、完全に考え方が一致しているわけではないですよね。そういう考え方からすると、何も支持団体、今は労組の御質問なので、労組の言うことを全部聞く必要もないと。それはお互いの話し合いの中で、政党は政党、労組は労組として、意見が違うところもあってしかるべきであるということでありますので、そういう意味において、私はこの脱労組依存という考え方については今も全く変わっていません。
今回大敗しましたけれども、我々が再び政権政党として、しっかりと力をつけて、そして再び政権を担うための努力をしていくためには、支持者は神様ですから、我々は大事にしていかなくてはいけませんけれども、その中にあって労組だけに依存しているような候補者がいるとすれば、それは自前の後援会なり、他の支持団体なり、あるいは地方議員を増やして足腰を強くするということが大事だということであります。そこは労働組合も大事な支持団体の一つではあるけれども、そこだけに頼り切るという選挙はすべきではないし、そして、幅広く支持を拡大するための努力は日々やらなくてはいけないと思います。
二つ目の御質問について申し上げれば、今回、自公で320を超える大勝利をおさめられたわけであって、また、参議院選挙もあります。そういう中で、今、再編の機運があるかというと、私はむしろ自公の政権再交代の熱気が高いのだろうと思います。ただ、民主主義というのは、その政権与党がだめになったときに、受け皿がどこもありません、かわるところがありませんということではいけませんので、そういう意味において、しっかりと我々が前回の選挙の総括、反省をしっかりやった上で、もう一度国民の皆さん方に、政権再々交代ができるような努力をしっかりしていくことが大事なことではないかと思っています。
(問)重ねてお聞きしますが、その政権の再々交代のために今、来る民主党代表選、間もなくあると思いますが、御自身が先頭に立って代表選にお出になって、党の先頭に立とうというお考えは今全くおありではないのでしょうか。
(答)はい。全くの白紙のままであります。
(問)なぜ白紙のままなのでしょうか。いつ、その最終的な、出る出ないの御判断をされるのか。その判断が今できない理由は何なのかを少しお聞かせください。
(答)様々な観点での、自分自身の今までの行動、特に政調会長あるいは閣僚などを経験してきたということを踏まえて、私に新たな民主党を立て直す先頭に立つ資格があるのかどうなのか、それは私自身だけではなくて、人がどういう判断をされるかということもあると思います。様々な意見がある中で、それを今、私として慎重に聞かせていただいている。いろんな方々と相談しながら、どういう再建の仕方が一番いいのかということを踏まえて、白紙だということを申し上げているわけであります。
(問)そのような形で大臣が煮え切らない態度をとり続けている理由は何なのですか。間もなく代表選もあるわけですから、そろそろもうお決めになったほうがいいのではないかと思いますが、それは出馬に対して前向きに、周りから言われればお出になるという可能性もゼロではないということで理解してもよろしいでしょうか。
(答)全く白紙であるという言葉は、全く白紙であると御理解をいただきたいと思います。
今の御意見は、一つの意見として拝聴させていただきたいと思います。
(問)政治資金の問題もあるのですか。
(答)全くありません。
(問)2点お伺いいたします。
民主党の今回の敗北について、岡田副総理が火曜日の記者会見で、民主党内の各議員の与党としての自覚が足りなかったというところも敗因の一つだとおっしゃいました。その点に関して、党の中枢、政権の中枢を担ってきた前原大臣の御見解を伺いたいと思います。
もう1点は、民主党に入ってからの政策の意思決定が、あまり不十分といいますか、少し見えづらかったという部分はあります。政調会長を廃止したり復活したりというふうな部分もそうですし、国家戦略室の位置づけが、内閣・党の中でどういう位置づけかというところが、国民からは見えづらかった部分があるのですけれども、そこの部分について、どのような総括・反省をなさるのかというところをお聞かせいただきたいと思います。
(答)前者の御質問については、岡田副総理がどういう文脈でお話をされたのかということについて、私はよく分かりません。そういう意味で、申しわけありませんが、前後の文脈が分からない中で、そこだけおっしゃって、それについてどういう意見かと言われると、また誤解を与えてもいけませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。
(問)文脈といいますと、民主党の敗北の理由を率直に、どのような感想をお持ちかということを…。
(答)申し訳ありません。その岡田副総理の記者会見の要旨なりをしっかりと読み込んでいないので、今、御質問された方から伺っても、それを前提に、岡田副総理がどういう文脈でおっしゃったかということについて、全てかどうかというのは分からないわけです。申しわけないけれども、それについてのコメントは控えたいと思います。
(問)では、前原大臣個人がどのようにお感じかということもお聞かせいただきたいのですけれども、前原大臣が、民主党のガバナンスって先ほどおっしゃいましたけれども、そういったところがとれていない理由はどの点に、どういうところにあるのかというふうなところも含めてお聞かせいただきたいのですけれども。
(答)今の御質問は2番目の御質問とあわせてお答えをしたいと思います。
ガバナンスができなかったということは、重要な政策決定で意見が対立をして、物事を決めるのに大変四苦八苦したということです。そして、特に社会保障と税の一体改革においては、党が分裂をし、大量の離党者が出るということ、そしてまた、選挙が近くなったら脱兎のごとく他の党に行ったりする人たちが出てきたというような状況を見て、民主党のガバナンスに大きな問題があったということを申し上げたわけであります。そういう意味においては、反省すべきところは大いにあろうと、国民の皆さん方が期待から失望に変わった大きな一つの要因であることは間違いないのではないかと思います。
その上で、二つ目の御質問で言いますと、我々は初めて政権与党についたわけです。そして、試行錯誤の中で様々なことをやってきた。特に初めは、政府だけが物事を決めて、与党はその政策決定に絡めない。これについてはいかがなものかということの中で、菅さんが代表になられてからは政策調査会を復活させたけれども、でも、その政策調査会というものについては意見具申だけである。これについてもいろいろ意見があって、野田さんになられてから、政策調査会に法案、条約、重要な政策決定についての事前承認権を与えたということであります。そういう意味においては、試行錯誤の中で政策決定についての変遷があったということについて、私は前向きにとらえているところであります。
(問)国家戦略室の今後について、自民党などとの調整状況を教えてください。
(答)報道ベースでしか私は存じ上げませんが、経済財政諮問会議は法律でもう決まっている事柄で、これを活用されると仄聞しております。ということは、国家戦略室については、自民党としては、あるいは自公政権としては、継続をされないだろうということの中で、先般の会見でお答えをしたように、私としては、各省から併任、兼任で来られている方の処遇、それから、民間企業から来られている方々の個別の今後のどうされたいかというヒアリング、そして、民間企業から出向いただいている方々、こういう方々に対する待遇についても、今調整を進めているという段階であります。

(以上)