前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月30日

(平成24年11月30日(金) 10:10~10:27  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私から2点、お話をさせていただきます。
まず本日の閣議におきまして、「日本再生加速プログラム」が閣議決定をされました。本件につきまして、私から閣議で、今回の経済対策では、副題にありますように「経済の再生と被災地の復興のために」、財政規律を守りつつ、財政規模よりもむしろ知恵を絞って施策を盛り込みました。切れ目なく3段階で講じる財政措置に加えまして、規制・制度改革など、財政措置を伴わない施策を一つのパッケージにまとめました。
財政措置につきましては、既に実施している第一弾、本日決定された第二弾の予備費の使用に続きまして、第三弾の措置を未来指向型の本格補正予算として、今後決定し、実施をする予定であります。
本対策を速やかに実施し、その効果を早期に発現させることが極めて重要であり、各大臣の御尽力をお願いする、こういった旨の発言をさせていただきました。
最後に総理から、内閣として、国民生活に対して引き続きしっかりと責任を果たしていくため、各大臣におかれては、経済対策の速やかな実施をお願いする旨の発言がございました。
二つ目でございますけれども、平成25年度予算編成の基本方針(骨子)についてでございます。
3年前の閣議決定「予算編成等のあり方の改革について」に基づくトップダウン型の予算編成は、現政権下の予算編成プロセスの基本でありまして、こうした考え方のもと、平成25年度予算編成における調整の基本的方針として、本日、予算編成閣僚委員会において、平成25年度予算編成の基本方針(骨子)を決定いたしました。
ポイントといたしましては、日本再生戦略の実現に向けて重点化を進めつつ、歳出の大枠71兆円を守るため、大胆な予算の組替えを行う基本的な考え方のもと、予算編成に当たりましては、基本原則といたしまして、国家戦略会議でも御議論いただいた5原則を示すとともに、グリーン、ライフ、農林漁業の重点3分野について、「グリーン政策大綱骨子」などを踏まえ、重点化の考え方を具体的に示したものであります。
本日の予算編成閣僚委員会におきまして、総理から御指示があったように、現下の経済情勢において、政策の空白は許されないとの考え方のもと、政府としては、本骨子に基づいて必要な準備を進めていきたいと考えております。
私からは、以上です。

2.質疑応答

(問)今日、経済対策がまとまりましたけれども、これについて、十分だとお考えなのか。特に、補正予算を視野に入れた部分については、ほとんど具体的な中身が見えていないわけですけれども、この辺についてはどうお考えなのでしょうか。
(答)まず現下の景気の下振れリスク、特に輸出が減り、またエコカーポイントの打切りなどによりまして、設備投資も含めた景気の低迷に懸念が強まっております。したがいまして、従来型の公共事業によってカンフル剤のような景気の刺激をするのではなくて、日本再生戦略あるいは被災地の復興という大きな二本柱に即した形で切れ目のない経済対策を行っていくことにしたところでございます。
第1弾と第2弾の合計といたしましては、国費で1.3兆円程度、事業費としては大体2兆円程度になります。これはGDP比で約0.4%程度の押し上げ効果、経済効果が見込まれるわけであります。また、日本政策金融公庫などへの出資金の上積みなどによりまして、3兆円の融資規模が見込まれますので、それをあわせた事業規模は約5兆円になろうかと思っております。
総理から御指示をいただきましたように、補正予算につきましては、選挙後、未来指向型の本格補正ということでしっかりとまとめていきたいと考えておりまして、とにかく足下の経済に対する手当てを現政権の責務として、しっかりと果たさせていただいたということでございます。
(問)今日朝の統計で、鉱工業生産が1.8%増というプラスに転換しましたけれども、これも含めてどう御覧になっていますか。
(答)本日、公表されました経済指標は幾つかございます。今、御指摘のように、鉱工業生産につきましては前月比1.8%増と、4か月ぶりの増加となりました。そういう意味では一つの明るい数字であります。
雇用につきましては、完全失業率は4.2%と変わりません。また、有効求人倍率は先月が0.81でありましたけれども、今月は0.80と、0.01ポイント下がっているということでございます。
また、消費につきましては、家計調査を見ますと実質でありますけれども、前月比0.6%増、2か月ぶりの増加ということでございまして、これもプラスの要因だと思っています。
ただ、物価につきましては、消費者物価のいわゆるコアコア、生鮮食品や石油製品及びその他の公共料金などを除いたものでありますけれども、連鎖基準方式で前月比0.3%減、前年比0.7%減ということで、デフレはまだ続いているということが言えるのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、日本経済の体質を改善するための中身のある予算をしっかりと作ると同時に、その方向性に即した経済対策を打たせていただき、そして日銀との協調の中でデフレ脱却に向けた取組をしっかりやっていくということをこれからも行っていきたいと考えております。
(問)民主党のマニフェストが発表されましたけれども、その中でTPPについて、政府が判断するということになりましたけれども、政府が判断することではなくて、選挙で国会を代表する政党、議員を送り込む政党が、まずどう判断するのかを問うのが選挙ではないのかと。重要なテーマについて、やはり政府が判断するということをやったというのは、民主党として、この問題から逃げたのではないかという感じもするのですけれども、それはいかがでしょうか。
(答)必ずしもおっしゃったような考え方を私は持っておりません。政調会長として1年間仕事をさせていただき、TPPについての党内議論をまとめました。党内については慎重に政府は判断をしてほしいというものをまとめたわけでありまして、その党でまとめたものをそのままマニフェストに書いていただいているという認識で、私が政調会長のときにまとめた党の考え方を踏襲していると思っているわけであります。
そして、それを踏まえて、現政権はTPP交渉に向けてのいわゆる協議に入っている、進めているわけでありまして、それをしっかり国益に基づいた議論をしながら、野田総理も、そして私も含めた主要閣僚も、TPPの交渉参加に向けた取組をやっているということでございますので、それを全体で御判断をしていただければ、今、政府与党としての方向性は明らかではないかと私は考えております。
(問)先程、予算編成の基本方針に関連して、「政策の空白が許されないので政府として必要な準備をしていく」というお話だったのですが、こういう政治状況の中で来年度予算編成に向けて具体的に何をされていくのか、教えていただけますでしょうか。
(答)この予算編成の基本方針の骨子に基づいて、年末に向けて各役所が予算編成作業を進めていくということになろうかと思います。
(問)選挙の話でお伺いします。新しくできた日本未来の党が「卒原発」で10年と言ったり、日本維新の会がまた戻して原発を30年代までにフェードアウトと言ったり、脱原発を主張されている立場で、この民主党の違いというのは、これからどう出していきますか。
(答)日本未来の党が10年でとおっしゃっているわけでありますが、果たして10年というタイムスパンは現実なのかという観点に立てば、私は現実的ではないと思っております。
誰もが原発のない社会を望んでおられる、多くの方々が望んでおられるわけでありまして、だからこそ、我々民主党も2030年代、原発ゼロを目指すためにあらゆる政策資源を投入するということを言っているわけでありますけれども、10年というタイムスパンで本当に原発ゼロが達成できるのかというのは、私は大いに疑問を感じます。
具体的に申し上げれば、バックエンドの問題を本当に10年間で解決できるのかどうなのか、あるいは現在、原発立地県において、使用済燃料を保管していただいております。青森県の六ヶ所村においても使用済燃料を保管していただいている。こういうことを考えると、それらの地域は最終処分ではない、つまりは、資源を一時的に預かっているだけであって、もしこれがごみとなるのであれば、すぐに持っていってもらいたい、他のところに持ち運んでいただきたいということをおっしゃっているわけであり、また、政府と当該自治体の間で協定まで結んでいるわけでありますから、もし10年でということであれば、本当にそれは現実的かどうかということについて、しっかりと青森県あるいは原発立地がなされていて、使用済燃料を中間貯蔵している方々と話合いをされる中で、本当に現実的かどうかということを是非私は確認をしてもらいたい。
理想は理想で結構でありますけれども、私は10年でとてもではないけれども、原発ゼロまでは、そういった過去のいわゆる使用済燃料の問題、バックエンドの問題だけをとっても絶対に無理だろうと思っておりますので、空理空論と言わざるを得ないと考えております。
(問)先程のTPPについて教えてください。マニフェストで先程の御質問にもあったように、政府が判断すると書いてありますが、当然マニフェストなので、政権取ったらどうするというものなわけで、基本的には、民主党が仮に次の政権をまた担当するときに、政府が判断するのであって、選挙がされるまでにもう1か月ないですけれども、現政権が何らかのTPPについての新しい判断をすることというのは、前原大臣はあり得ないだろうと思っていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
(答)繰り返しのお答えになるかもしれませんけれども、私が政調会長のときに、党のTPPの考え方もまとめているのですね。慎重に判断をしてくれということを党の提言としてまとめて、党の手続はもう終わっているのです。そして、政府が交渉参加に向けて協議を開始するということを、その党の提言を踏まえて協議を様々な国と開始をしているわけであります。
交渉参加に向けて協議を開始するということは、交渉参加を前提に協議をしているということであります。だから、もう現在進行形なわけです。ただ、交渉というのは、外交交渉でありますので、お互いの国益のぶつかり合いになります。そして、その中で本当に妥当であるという判断をしなければ、何が何でも入るのだという前提で交渉すると、足下を見透かされることになります。また同時に、今、選挙で我々は比較第1党を目指しておりますので、何らかの形で、単独は無理でも民主党政権、民主党中心の政権を継続させたい思いがございますけれども、こういった選挙の中で、例えば交渉が本当に国益に基づいて妥結をしているならまだしも、そういった状況が見えていない中で、TPPの交渉参加入りをあたかも選挙目的のために、あるいは選挙の争点化をするために宣言をするということは、国益を損なうことになると私は思っておりまして、それは今までのスタンスでいいのだろうと思います。
したがって、民主党の政府の判断に委ねるということは、とりもなおさず、政府の民主党政権、民主党を中心とする政権の考え方は、交渉参加に向けて協議をもう既に開始をしている、交渉参加を言ってみれば前提に協議に参加している。しかし、交渉の事前協議につきましては、しっかり国益を踏まえたものをしていくことでありますので、どこかでおしりを区切ったり、ましてや選挙と絡めて国益を損ねて結論を出すことはないということであります。
(問)日本未来の党が出している政策の中で、子育て支援について、以前の民主党のマニフェストと非常に似ている部分もございます。ただ、バウチャーを使うというところだけ違うのですが、このバウチャーという点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)詳しくは見ておりませんので、コメントは差し控えたいと思いますけれども、極めて「小沢色」が強いものになっているなと思っております。
「嘉田色」をしっかり出せるかどうかが、今後のポイントになってくるのではないかと思っております。

(以上)