前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月16日

(平成24年11月16日(金) 9:45~10:09  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私からは3点、冒頭に発言をさせていただきます。
まず、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を御報告させていただきます。
景気の基調判断は、「景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている」とし、下方に変更しております。これは、輸出や生産が引き続き弱い動きとなるなかで、個人消費も、政策効果の一巡等から自動車販売が減少するなど弱い動きとなっていること、こうした状況下で企業マインドに慎重さが見られ、これまで底堅かった設備投資が弱含んでいること、などを踏まえたものでございます。
先行きにつきましては、当面は弱い動きが続くと見込まれます。その後は、復興需要が続くなかで海外経済の状況が改善するにつれ、我が国の景気は回復へ向かうことが期待されますが、欧州や中国等、対外経済環境の不確実性は高い状況であります。世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっており、警戒感を持って見ていくことが必要だと考えております。政府及び日本銀行は、デフレからの早期脱却及び持続的成長経路への復帰に向けて、一体となって最大限の努力を行ってまいります。
続きまして、マンスリー・トピックス「我が国の電子部品・デバイスの生産動向」についてお話をいたします。
鉱工業生産の変動に対しまして、自動車と並んで大きな影響を及ぼす可能性のある電子部品・デバイスの生産及び当該産業を取り巻く環境について分析を行いました。ポイントを御紹介いたしますと、これまで、日本企業は電子部品等につきまして、強めの生産計画を掲げておりましたけれども、現実には、パソコンの需要回復の遅れ等から、下方修正が繰り返されてまいりました。ただし、足下では、半導体の世界出荷に下げ止まりの兆しが見られ、我が国の生産も、今後、底堅く推移する可能性がございます。
しかし、メモリを中心に、円高等の影響もありまして、日本企業の競争力に陰りが見られ、世界需要が持ち直した場合においても、順調に回復していくかどうか慎重に見極める必要があります。こういった興味深い結果が示されているので、是非皆さんにもご覧をいただきたいと思います。
最後に、本日の閣議におきまして、総理から経済対策を今月中に決定するよう改めて指示がございました。総理からは、お配りをしております内閣総理大臣指示「今月中の経済対策の策定について」に沿って発言がございました。ポイントといたしましては、先月指示したとおり、経済財政政策担当大臣を中心に検討の上、経済対策を今月中に決定し、切れ目のない政策対応を講じていく。経済対策の第一弾は10月26日決定に続き、今般、特例公債法案成立の見通しが立ったことを受けまして、経済対策の第二弾として、予備費を積極的に活用して、緊要性が高く、前倒しが必要な施策について速やかに実施に移す。さらに、第三弾として実施していく施策についても、補正予算を視野に入れ、関係各府省庁は知恵を出し、パッケージとしての経済対策の取りまとめにあたられたい。こうしたパッケージとしての経済対策の決定は、予備費の使用決定とあわせ11月30日に行う。関係閣僚においては、デフレ脱却・経済活性化の観点から、速効性があり、需要喚起につながる経済対策の策定に向け全力で知恵を絞るようにお願いする。こういったお話が総理からございました。
続きまして私から、我が国の景気が厳しさを増しているという認識を申し上げた上で、これに対応するために、先日の第1弾に続きまして、予備費使用の第2弾、補正予算を視野に入れた第3弾と、切れ目ない経済対策を講じてまいりたい。今回の経済対策においては、財政措置を伴う施策とともに、規制・制度改革や円高対応緊急ファシリティの更なる有効利用をはじめとする民間の融資・出資の促進策など、財政措置を伴わない施策をパッケージとして取りまとめていく。関係大臣におかれては、即効性のある施策の立案に知恵を出していただき、強いリーダーシップを発揮して経済対策の取りまとめに御協力をお願いする、と発言をいたしました。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)大臣、今三つ目に御発言された経済対策について2点ほどお伺いします。
 まず一つは、第2弾の経済対策の予備費を使ったもの、規模はどのくらいになりそうなのかを教えてください。
 もう一つ、第3弾は補正予算を視野に入れということなのですが、これはつまり野田政権が続いて、来年の通常国会でやるということを考えていらっしゃるということでよろしいのでしょうか。
(答)予備費というのは二つございます。一つは、経済危機対応・地域活性化予備費、これは今残っているお金は6,610億円、それから復興予備費、これは残っているお金が2,797億円、これを合わせますと最大では9,406億円となるわけでありますけれども、ただ、これだけが使えるということの中で、即効性があり、また必要性のある、緊要性が高くて前倒しをやっていかなければいけないものについて、各省庁から挙げていただくということでございます。額ありきではありませんが、こういった予備費をフルに活用する中で、日本経済の足元をしっかり固めて、日本再生戦略で掲げた日本経済の体質改善、こういったものにつなげられればと考えているところでございます。
補正につきましては、我々は当然ながら選挙は勝つという前提で戦うわけでございまして、野田政権が続くという前提の中で、あくまでも今回やるのは第2弾で、第3弾というのは、それなりの規模感を持って補正予算をしっかりと作り上げて、そして実行に移せるように努力をしていきたいと考えております。
(問)最大9,000億円超と言われましたが、施策、緊要性のあるものなどが積み上がれば、全て使うことも検討するということでよろしいでしょうか。
(答)何が何でも額ありきではありませんけれども、先ほど申し上げたように、経済危機対応・地域活性化予備費が6,610億円、復興予備費が2,797億円、合計9,406億円が使えると。ただし、その中身については、緊要性のあるもの、即効性のあるもの、復旧復興、そして日本再生戦略にしっかりと資するものが内容として伴わなければならないということでございます。それをしっかりと出していただくように指示をしているところでありますし、先ほど細野政調会長にもお願いをいたしまして、党としても協力をしていただくということで、今取り組みを進めていただいているところでございます。
(問)月例経済報告が4か月連続の下方修正となりましたが、改めて御所見をお願いしたいということと、先程のお話ですと、予備費を使った第2弾の経済対策だけでは、今の景気の下支えは十分ではないという御認識なのかということと、補正予算の成立は早くても年明けになるわけですけれども、大型の経済対策のタイミングがずれてしまうということに対してどのような認識を持っていらっしゃるのか、お願いいたします。
(答)まず、後者の御質問からお答えをいたしますと、現下の経済状況の厳しさを考えれば、仮に9,400億円余りの予備費を全て使ったとしても、事業規模がどうなのかというのはまた別の問題としてございますけれども、私は十分ではないだろうと思っております。
したがって、例えば経費削減によって生まれた剰余金あるいは税収増、さまざまなものを使って補正を組むということが、今後、何政権になるにしても必要になってくるのではないかと思っておりますし、我々としてはそれを踏まえて、野田政権が継続するという前提において、しっかりとした補正予算を視野に入れたものも今月中にまとめたいと思っているところでございます。その規模感については、今後総理とも最終的に相談をして、11月30日に決定をしていきたいと思っているところであります。
いずれにいたしましても、特例公債法案を3党で合意をした中では、歳出の見直しの中で、できる限りそのお金を生んでいくという意味での合意もなされておりますし、交付国債をなくすという意味において、最後は年度末までには補正を組まなくてはいけないということで、野田政権としての姿勢をしっかりと示すという意味でも、第3弾の補正予算を視野に入れたものについてもしっかりと11月30日にお示しをするということでございます。
前者の御質問の、現在の景気認識について申し上げますと、一つはやはり輸出が減っている。輸出が減っているのは、世界経済が減速をしているということです。そして、主にエコカー補助金の政策効果一巡から消費が弱い動きとなっている。そういった輸出の落ち込みと消費の弱い動きが、設備投資も控えさせるような状況になっているということのなかで、底堅さに陰りが生じており、経済が厳しい状況にある、ということだろうと思います。
今後の見通しを申し上げると、そうはいっても、それほど強いものではないという認識でおりますけれども、中国とアメリカにおいては明るい指標も見え始めている。
他方で、アメリカについては財政の崖の問題があり、ヨーロッパにおいてはEUやECBがギリシャについてのさまざまな対応をとっているわけでありますが、まだまだ予断を許さない状況にあるということから考えると、楽観視はできないという面もあります。世界各国がそれぞれの経済対策を採るなかで、回復基調になると期待されている面もございますので、我々としては復興対策をしっかり行っていく。そして、特例公債法案を通していただける見通しがつき、今日の閣議において、抑制を解除するという話が財務大臣からございましたので、しっかりと予算執行を行っていく。そして、第2弾としての予備費を使った景気対策をし、どのような政権になろうとも、やはり来年の本予算編成までの補正が必要だという認識の中で、補正予算を野田政権としてしっかりと作って、そしてその姿勢を示していくと。これが、我々が今とるべき大事な方向性ではないかと考えております。
(問)今日、衆議院が解散する運びとなりましたけれども、今の心境を教えてください。
(答)解散するかどうかは、まだ決まっておりませんが、解散をする前提で話をしてほしいということでございますか。
総理が党首討論で16日の解散を明言されておりますので、あとはやはりこの3年2か月の民主党政権の総括が私は問われると思います。確かに批判をされ、また、我々としてはできなかったことについては率直に謝らなければいけない面はあると思いますけれども、しかし、巷間言われているように総崩れなど、全く何もできていないということではないと思っております。特に、経済指標においても、GDPギャップについてはかなり縮小いたしましたし、また失業率が5.4%から4.2%に減少した、有効求人倍率も0.43ぐらいから0.81まで改善をしている。さまざまな経済指標においても、プラスの効果がこの3年2か月において見られると。そして税金の使い道を変えるということで、公共事業は32%減らし、他方で社会保障については16%増、文教費については9%増、地方交付税も増やし、地域は三位一体改革で悲鳴を上げていたのが息を吹き返している。
民主党政権のさまざまな功罪、両方ありますけれども、功の部分もあると思いますし、私は方向性は間違っていないと思います。何か我が党の中で、目先の選挙を心配して、うろうろし始めている人もいるようでありますけれども、やはり私は3年2か月の民主党政権の功罪、罪の部分もしっかり認めた上で、国民に対してそれについてはお詫びを申し上げた上で、功の部分を堂々と訴えて選挙戦を戦い、引き続き政権を担わせていただけるように国民に訴えていきたいと思っております。
(問)解散は決まっていないというお話がありましたが、念のため、解散詔書というのでしたか、サインしていらっしゃいますかという話と、閣議、閣僚懇で御紹介できることがあればという話を一つお願いします。
もう一つは、たしか308議席の戦後最多獲得議席だったはずなのですけれども、それが今、手続が済んでいる済んでいないは置いておいて、過半数割れしてしまったと。この現況をどう受け、どう訴えていくかお願いします。
(答)まず、第1番目の御質問については、非公表扱いとなっておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
それから、民主党政権で308議席をいただき、そして今過半数割れになっているということについては、私は残念に思います。
二つございまして、一つは、過去の民主党議員ですら、我々がやったことについて理解が不十分で、失礼な言い方ですけれども、マスコミの皆さん方から、何もできていない、野党の皆さん方から、できていないという批判をまともに受けてしまって、そして自らが民主党に対する否定的な考え方になっておられる方が多い。勉強不足でそういう思いに至っていることは私は大変残念だと思っております。やはり自分たちのやってきたことをしっかりと、功罪の功の部分も理解をするということが、私はまず民主党に入れていただいた、当選をするために票を入れていただいた有権者に対する最低限の責務ではないかと思っております。
それと同時に、大きな要因になったのは、社会保障・税の一体改革の成立だと思います。確かに、我々は消費税を上げると言って選挙を戦いませんでした。むしろ、4年間は上げないと言いました。それについては、私はお詫びをしなくてはいけませんけれども、ただ、3年2か月の中でさまざまな要因があったと思います。
例えば欧州に端を発する世界の景気後退のなかで、クローズアップされたのは何だったのか。ギリシャの言ってみれば粉飾決算、これは思ったよりも財政赤字が大きかったということのなかで、国債の価格が暴落をし、それを引き受けている金融機関が自己資本を減らし、そして貸し渋り、貸しはがしというような状況になり、それが世界全体の景気後退をもたらしたという点を考えたときに、世界で最悪の赤字国債の水準にある日本が何もしなかった場合に、どのような状況になるかわからないという面もあったわけでございます。私は、やはり国民の皆さん方にしっかりと、政権をとらせていただいているときにさまざまな変化もあったのだということを真摯に説明をすることが大事で、そのことは、私は多くの国民に我々がきちんと説明をすれば理解をいただけるものだと思っておりますけれども、それについて反発をされた方がおられて、大量離党されたということは残念だったと思います。
いずれにいたしましても、私は、民主党政権のやっていた方向性は決して間違っていないと。そして、今までやってきたことの方向性を変えないためにも、先ほどの変化の中には、東日本大震災、そして原発の事故もございました。そういうことも含めて考えれば、私は、方向性は間違っていないという信念の中で、堂々と国民に対して信を問うということが大事なことではないかと思っております。
(問)選挙にも絡むと思いますが、正に今なのですが、橋下大阪市長と石原慎太郎氏が会談しています。第三極を巡って、「大同団結」という言葉も飛んでいますけれども、こうした第三極をめぐる石原氏と橋下市長の動きについて、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お願いいたします。
(答)第三極の連携・統合というのは、政権を目指して行われると私は理解をしておりますが、我々、3年2か月の自戒も含めて、またプラスの経験も含めて申し上げると、やはり政策の一致がなければ、与党としての政権運営はなかなか大変だということの中で、とにかく集まればいい、政策は棚上げで、そして一つの固まりで議席をたくさんとって政権をとった場合に、私は日本は大変なことになるのではないかという心配を持っておりますので、もし統合されるのであれば、主要政策をしっかり一致させた上で統合されなければ、後で国民に対して、逆に大変な責めを負わせることになる。もしまとめられるということであれば、やはり選挙互助会だったのか、野合だったのかと言われることのないような詰めをしっかりと、やっていただきたいと思います。

(以上)