前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月2日

(平成24年11月2日(金) 18:30~18:46  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

お疲れ様でございます。
本日、5時20分から官邸におきまして、第105回総合科学技術会議を開催いたしました。
議題は、「科学技術イノベーションを巡る課題」ということで、「ノーベル生理学・医学賞受賞を契機として」ということで、京都大学iPS研究所所長の山中伸弥教授をお招きして、科学技術イノベーションを巡る課題について、御発表いただきまして、それらを政府一丸となって解決するための方策について、意見交換を行いました。
その中で、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、財務大臣からも課題解決に向けた取組について御発言がございました。
私からは、総合科学技術会議では、7月のこの本会議で平成25年度アクションプランを取りまとめをいたしましたけれども、10月17日の総理の御指示に基づきまして、各省の再生医療関連事業を加速するとともに、このアクションプランに従いまして基礎研究、臨床研究、実用化へ切れ目なく省庁連携して推進する具体的な姿を年内に示したいということをまず話をいたしました。
次に、iPS細胞の実用化に向けて、再生医療への応用はもとより、創薬研究のツールとしての活用を明確に意識した支援を充実させていきたいということも申し述べました。
また、研究支援人材の分散を防ぐためにも世界一流の質の高い研究に関して、研究開発プロジェクトの長期化、次期プロジェクトへの円滑な移行のあり方について検討を進め、年内に方向性を取りまとめることとしたいということもお話をいたしました。これらの取組を推進することで、研究現場の活力を高めて、強力に科学技術イノベーションの推進を後押しをしたいと考えております。
総理からは、山中教授が述べられた課題は、iPS細胞を用いた再生医療を実現するのはもちろん、第2、第3の山中教授を継続的に生み出すためにも、是非解決すべきであり、そのために、これから述べるような3つの取組を政府で一丸となって取り組んでほしいということでございました。
第1に、iPS細胞を用いた再生医療を実現するために、次期通常国会で薬事法を改正するなど、関連法制の整備を行うとともに、安全規制面での基準整備、倫理面の検討を加速すること。
第2に、日本の研究の中核となる大学等において、研究環境の大胆な改革を求め、必要な研究支援群の確保に努めること。
第3に、独創的なアイデアや技術を持つ若手研究者を育成、発掘するため、新たな採択方針の採用など、研究費の改革を行うこと。
このような取組を通じて、国家戦略の主要な柱である科学技術イノベーションを強力に推進し、iPS細胞に続く更なるイノベーションを幅広い分野で生み出していきたいとの御発言があったところでございます。
とりあえず私から以上でございまして、必要であれば今日は総合科学技術会議の相澤先生にもお越しをいただいておりますので、御発言をいただきたいというふうに思っております。

2.質疑応答

(問)今会議でもおっしゃっていましたが、支援人材の確保の話ですけれども、分散を防ぐために、会議の中ではFIRSTが終わることにも言及されていましたが、これとの関連、今年じゅうにまとめるプランといいましょうか、関係をお願いします。
(答)まず、総理指示の中身についてお話をいたします。
総理の御指示の中身は、研究者がクリエイティブな研究に専念するためには、研究支援人材の適正な確保が重要であって、アメリカの研究支援人材は社会的にも地位は高くて、多様な研究サポートにより、研究者がクリエイティブな研究に専念できていると。
他方で、日本の大学等の研究支援人材はそのほとんどが非正規職員であり、安定的な身分が保障されておらず、日本の研究の中核となる大学等でも多様なサポート体制が確保できていない状況にあると。
そこで、これらの大学において研究環境の大胆な改革を求めて、必要な研究支援人材の確保を進めることを御指示されたものであります。
私が言及しましたのは、FIRSTも来年で切れるわけでありますけれども、その先について心配をされる方々がたくさんおられます。継続されるのかどうなのかということについてであります。
継続するものもあれば、打ち切るものもあると思いますけれども、それにしても、やはり今しっかりとやられているものについて、その方向性を早くに示して差し上げることが大事なことではないかと思っておりまして、そのことも含めて、我々としては話をさせていただいたということでございます。
仮に研究開発プロジェクトの長期化とか、その次期プロジェクトへの円滑な移行のあり方については、年内には方向性を取りまとめたいと、こう考えているところでございます。
(問)方向性の関係なのですけれども、その方向性の中ではFIRSTの後も研究プロジェクトがどのような形になるかとかも含めて、決めていくお考えなのかということと、その方向性というのは、総合科学技術会議の例えば議員会合とか、どういう場で検討なされるのか、その2点お伺いいたします。
(答)何か今決まったことがあるということではありません。もちろん総合科学技術会議の議員の先生方にもアドバイスをいただき、そしてまた今1,000億円という予算がついていますけれども、予算をどうするかということは、まさに財務当局とも話をしていかなくてはいけませんし、またこの私の担当というのは総合科学技術会議の担当でありますけれども、それぞれの研究を支援し、サポートするのは、その研究の中身に関わる各役所でございますので、そういったところとの話もしていかなくてはいけないと思いますが、大事なことは、総理もおっしゃっておりましたけれども、目利きでございますので、そういった目利きの部分というのは、相澤先生初め総合科学技術会議の先生方に多く頼って、アドバイスをいただきたいと、こう考えております。
(問)薬事法の改正の部分なのですが、これは具体的には薬事審査の部分の改正でしょうか。
(答)総理の指示の中身を詳しくお話をいたします。
iPS細胞を用いた再生医療製品は、現行の薬事法等が規制対象としている医薬品や医療機器と異なって、品質の不均質性、感染リスクなど、配慮すべき特有を有しているのは御承知のとおりであります。したがいまして、これらの特性を踏まえて、再生医療製品の安全性、そして有効性を確保するための仕組みを構築するためには、薬事法等の関連法制の整備が必要となるということであります。
また、iPS細胞そのものにつきましても、がん化とか、拒絶反応等の人体に及ぼす未知の影響の可能性があることなどから、臨床研究、実用化を推進するために安全基準等の整備が必要となります。
更に、iPS細胞から作製した生殖細胞からのヒト受精胚の作製など、研究の進展に伴う新たな生命倫理上の課題も存在いたします。iPS細胞を用いた再生医療を実現するためには、これらの安全面の基準整備、倫理面での検討が不可欠であるために、これらの検討を加速することを総理は御指示をされたということでございます。
(問)総理の指示の中で、研究費の改革についての指示があったと思うのですけれども、詳しく教えていただけますか。
(答)研究者は、クリエイティブな仕事で評価されるべきでありますけれども、現状は有力な研究室の出身であるかとか、あるいは有力な先生がバックについておられるかどうかなどで評価されている面があります。若手研究者は、競争的環境の中でクリエイティブな仕事で適正に評価をされ、チャンスが与えられることが重要であります。山中先生も無名時代に目利き人材によって、大型研究資金に採択をされて、その結果としてiPS細胞樹立につながっております。
このように独創的なアイデアや技術を持つ若手研究者を育成、発掘できるよう、新たな採択方式の採択など、研究費の改革を御指示されたものであるということでございます。
(問)科学技術に関連しないものでもいいでしょうか。
その質問の後で構わないのですけれども、最後に1問させていただいていただけますか。
民主党のマニフェストに絡む問題でちょっと御質問したいのですけれども、大臣の専門分野でもある外交安保の分野に関わるものということで、質問させていただきます。
民主の現在の党内議論では、中道というのを次の旗印に掲げようという動きが出ております。これは自民党や新党との差別化を図るということも意図としてあると思うのですが、大臣は党として中道というのを旗に掲げることについて、まずどう思われるかというのが1点です。
それから、関連なのですけれども、この動きに関連して、党の幹部の方から、政権政党でいる間には、集団的自衛権を行使するというものはするべきではないということも細かい部分ですが、掲げるべきでないかという意見も出ております。集団的自衛権の行使については、党内でもさまざまな議論があるというふうに認識しております。
こうした状況下での党内のこうした議論について、どう受け止めていらっしゃるか、この関連の2点についてお伺いします。
(答)中道というのは何を示すのかということについて、定義が定かではありません。したがいまして、党のマニフェストでございますので、党、政策調査会で御議論をされるということになろうと思いますので、マニフェストについては、これは閣僚であろうが、他の政務二役であろうが、それを掲げて戦うわけでございますので、何か議論する場において、私ももしその中に意見が言える場があるのであれば、しっかりと関わって、自分の意見を申し上げたいというふうに思っております。
まずは政調でしっかりと皆さんの御意見、地方の組織の御意見を伺いながら、まとめていただくことを期待をしております。
それから、集団的自衛権についてでございますけれども、私はこれは個人的には例えば朝鮮半島で何かがあって、そして日本に飛び火がしそうな場合、こういった場合にアメリカが行動している。しかし、今の憲法解釈においては、武力行使の一体化は認めないということの中で、集団的自衛権の行使はできないと、集団的自衛権というのはこれは存在はしているけれども、行使を憲法で認めていないと、こういう解釈になっていると思っております。これについて、今私は野田内閣の閣僚でございますので、野田内閣の方針に従って対応したいと、こう考えておりますので、個人の考え方は封印をしているということでございます。
なお、党での議論というものがあれば、先ほどのマニフェスト全体の議論と同様に、閣僚であろうが、副大臣、大臣政務官であろうが、選挙のときは一候補者として戦うわけでありますので、戦う以上は自分もその決めたものに責任を持って戦わなくてはいけませんので、いろいろと意見は自分の意見も含めて申し上げたいと、こう思っております。
(問)先ほどのFIRSTが25年度で終わってしまうと、その次に例えば補正予算で基金を積み増して、あと法改正をして、FIRSTの後継施策、FIRSTを更に継続させるようなことも検討の対象になるのですか。
(答)先ほど申し上げましたように、今何か固まった考え方があるということではございません。特に私の担当は、その研究内容について、相澤議員のような目利き、専門家の方々がまさに山中教授を見いだされたような、すばらしい研究をどう見いだすかということであって、あとは財源の話は財務省、そしてまたそれぞれの研究をバックアップするのは、その研究の所管である役所が行うことになると思いますので、どういうやり方かということも含めて、今後各役所と連携をしていきたいと思っておりますし、先ほど申し上げたように、本年中にそういった方向性については、専門家の先生方、各省庁とも連携をとりながら、取りまとめをしていきたいと、こう考えております。

(以上)