前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月19日

(平成24年10月19日(金) 11:29~11:51  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

私からは、冒頭3点お話をいたします。
まず、本日、閣議後にエネルギー・環境会議を開催いたしました。9月14日に取りまとめをいたしました革新的エネルギー・環境戦略の具体化に当たりまして、関係各省の役割分担や今後のスケジュール等につきまして確認し、議論をいたしました。
 会議では、次のような意見が出されました。まず枝野経産大臣から、「エネルギー基本計画策定に向けまして、まずは本日の議論を総合資源エネルギー調査会に報告した上で、その具体的な進め方を検討する」。次に、長浜環境大臣から御発言がございました。「温暖化に取り組む意思を明らかにしながら、関係省庁と協力し、年内の温暖化計画策定に向けた作業に早急に取り組む」。それから、吉良外務副大臣から御発言がございまして、「戦略の実施に当たりましては、国際社会と連携をしながら、慎重な対応も必要だ。また、国際社会との関係から、外務省としても温暖化計画や人材技術対策等に貢献をしたい」と、こういう御発言でございました。戦略を着実に実施していくために、エネルギー・環境会議の議長として、今後ともグリーン政策大綱をはじめとした戦略の具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、昨日の科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議の有識者議員との会合におきまして、京都大学の山中伸弥教授を交え、イノベーション創出に向けた改革のあり方等につきまして、研究者は競争が必要だが、研究支援者への支援など研究環境の整備が重要であることなど、非常に示唆に富む御議論をいただきました。ライフイノベーションは、少子高齢化が進む我が国にとって最重要テーマの一つでございまして、iPS細胞という日本初の画期的な成果を臨床応用、実用化まで繋げるために、国を上げて全力で取り組むべきであり、また、基礎研究力向上のための改革等も着実に進めていかなければなりません。今後、この議論の内容を踏まえまして、国家戦略として科学技術イノベーション政策に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、国家戦略担当大臣といたしまして、日本再生戦略の着実な進展、さらなる加速化に向けて現状を視察することといたします。
視察の第1弾といたしまして、まず来週の月曜日22日に、国際競争力向上のためのイノベーションを創出している関西イノベーション国際戦略総合特区を視察いたします。具体的には、ライフサイエンスや情報通信等における最先端の研究開発等を視察するため、神戸の理化学研究所、ES・iPS細胞による再生医療、それから計算科学研究機構、これはスーパーコンピュータ「京」でございますけれども、これを視察いたします。それから、大阪のうめきた先行開発区域プロジェクトは国際的なビジネス拠点となる複合都市施設の開発をしている所でございますけれども、こういった所を視察させていただきたいと考えております。これが第1弾でございます。また第2弾、第3弾等は計画をして皆さん方に御報告をさせていただきたいと考えております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭、枝野大臣の御発言の紹介がありましたが、エネルギー基本計画なのですが、見直しの議論が進んでいないように思うのですが、エネルギー・環境会議の議長として、このエネルギー基本計画の見直しのスケジュール管理はどういうふうにやっていこうと思われているのでしょうか。
(答)担当は枝野大臣の経産省で行っていただくことになりますし、また、この問題は、所掌が枝野大臣の所ではありますけれども、例えば、私の所で進めていくグリーン政策大綱がどのような中身になるかということにも関連してまいりますし、あるいは長浜大臣のところの温暖化計画にも関わってくるわけであります。したがって、この温暖化計画とグリーン政策大綱は年末までにまとめることになっておりますので、こういった議論をお互い同時並行に情報共有しながらオーバーラップをして、エネルギー基本計画の策定に順次取り組まれていくのではないかと思っております。
(問)大臣所管のグリーン政策大綱ですが、資料に、有識者からの意見聴取と書いてありますが、何らかのそういう有識者会合を作るお考えがあるのか。もう一つは、ウェブや外部委託先の活用とありますが、具体的にどうなのか教えてください。
(答)まず私の前任者である古川大臣が、かなり精力的に有識者からのヒアリングを個別に行われております。したがって、今から何らかの有識者会合を作るのではなくて、古川前大臣が続けておられたヒアリングを続けていきたい。かなりストックがございますので、これをベースにさせていただきたいと考えております。
 それから、どこにお願いするかということはまだ決めておりませんけれども、外部委託のようなことも検討して、少し客観的に民間の立場からアドバイスをいただこうということも考えているところでございます。
(問)暴力団関係者との交際が指摘されたり、外国人からの献金が明らかになった田中法務大臣が辞任する意向を固めましたけれども、この問題について大臣どうお考えかということと、野党側からは、総理の任命責任を問う声も上がっていますけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
(答)極めて残念なことだと思っておりますし、出処進退は御自身で決めるもの、これは私自身もそうでありましたけれども、自身で決めるものだということでコメントは控えたいと思っております。
 いずれにいたしましても、総理は総合的な判断、全体を見られて人事を決められているということでございますので、総理が御判断をされたことに、我々は任務を与えられた者として精一杯の努力をしていくということで、これからも自らの職責というものをしっかりと果たしていきたいと考えております。
(問)関連ですけれども、本日午後にも与野党の党首会談が予定されておりますが、改めてこうした今このような閣僚の辞任不可避という情勢に至った状況なども鑑みて、現状を大臣はどのように御覧になっていらっしゃるかということについてお伺いしたいと思います。
(答)3党の幹事長が努力されて、党首会談が今日午後にも開かれるということは大変良いことではないかと思っております。様々な問題はあると思いますけれども、やはり国会として共同し、特にねじれの状況の中で国民に対して責任を果たしていくことは大事なことだと思います。
特に私の今の立場からいたしまして、特例公債法案が成立しなければ、11月にも予算が枯渇をするということになります。昨日、今日と株価もある程度上がり、良い状況に景気を持ち上げて、そして我々の悲願である円高基調の是正とデフレ脱却を何とか実現したいということで努力をしているわけでありますけれども、この特例公債法案が成立をしなければ、予算執行ができなくなります。多くの国民の皆さん、地方自治体の皆さんに御迷惑をかけるだけではなくて、マクロ経済面でも大きな影響が出て、それに対する悪影響が懸念されるところでございますので、しっかり3党の党首で忌憚なくお話し合いをいただく中で、ともに国家としての責任を果たすという形で話をまとめていただければありがたいなと考えております。
(問)iPSの森口さんのお金の問題で、先日、900万円という話がありました。その後の進捗状況は何かありますでしょうか。
(答)申し訳ありません、まだ3日しか経っておりませんで、この間お話をした以上の詳細なものについて今皆さん方にお示しするものはございません。鋭意、今調査を進めておりまして、新たな事実が判明次第、皆さん方につまびらかに御報告をさせていただきたいと考えております。
(問)その件で、今、調査は大学の方でもされているようですけれども、内閣府として調査を迅速に求めたりなど、何か対応は考えていないのでしょうか。
(答)我々も、政務三役も含めて少し、この森口さんの案件のみならず、1,000億円そして500億円、足して1,500億円という巨額の費用をFIRSTあるいは若手・女性研究者に対する研究費用としてあてているわけであります。これをしっかりとチェックをしていくということが今後の我々の責務であろうということで、最先端研究開発支援推進会議を作りまして、政務三役、私と白副大臣、加賀谷政務官、そして総合科学技術会議の議員の先生方と共同で、あらゆる事業、この森口さんの案件だけではなくて、あらゆる事業の見直し、チェック、フォローアップをしていこうということで合意をしたところでございます。
(問)合意したということでしょうか。
(答)これについては、もともとこういうプログラムの推進というのは、このメンバーに委ねられておりますので、こういう仕組みはそもそも存在いたします。したがって、この場を活用してしっかりとチェックをしていきたいと考えております。
(問)他の科学技術分野の政策のお金の使い道なども改めてチェックするということでよろしいでしょうか。
(答)まずは本件についてしっかりと精査をしたいと考えております。また、他のものにつきましても、しっかりとチェックをさせていただきたいと考えております。
(問)関連なのですけれども、今後、内閣府で出していらっしゃるFIRSTとかNEXTのプロジェクト全体についてチェックしていくということなのですけれども、チェック内容というのは、お金の使われ方、あるいはプロジェクトの進行状況、プロジェクトの妥当性など、そういったことにも踏み込んでチェックされるということでしょうか。
(答)中身につきましては、総合科学技術会議の議員の先生方、専門家の方々ばかりでございますので、どういった内容についてチェックをするのか、見直しをするのか、それは先生方と相談をさせていただきたいと思っております。このFIRSTで30、そして若手・女性の研究者支援で329という項目でございますので、相当多岐にわたるということの中で、どういうチェックをするかということの進め方も含めて、先生方と議論させていただきたい。まずは、この森口さんの案件についてしっかりと我々が主体的に精査をしたいと考えております。
(問)iPSの臨床応用の実現に向けて国家戦略として取り組んでいきたいというお話なのですが、これまでにもいろいろな関係省庁の支援等あると思うのですけれども、今後新しくどういう点があるのか教えていただけますでしょうか。
(答)これは文科省、あるいはライフサイエンスということで厚生労働省、そして我々科学技術を担当する内閣府がしっかりと相談をしながら、どういう支援をさらにしていくことがこの分野を伸ばすことになるのかということについて議論をしております。まだ具体的な内容等は決まっているわけではございませんけれども、支援をしていこうという方向性については一致をしておりますので、今後詰めさせていただきたいと考えております。
(問)原子力政策のアクションプランという今日のエネルギー・環境会議で決まったところなのですが、いわゆる直接処分、中間貯蔵との関係で、自治体との協議に向けた調整開始、経産省の話ではありますけれども、この自治体との協議というのは何のための協議ということになるのでしょうか。
(答)主体は、今御指摘をされたように、経済産業省が行われるわけであります。この間の革新的エネルギー・環境政策の中には、2030年代、原発ゼロを目指すということと同時に、核燃料サイクルについては継続をさせるということが書かれているわけであります。
私も先般、青森県の六ヶ所村、それからむつ市に行きまして、この核燃料サイクル事業は継続をしていく、したがって、今後とも御協力をいただきたいと話をさせていただきました。
今後のグリーン政策大綱、つまりは自然再生エネルギーの拡大がどのように進んでいくのか、あるいは省エネ、節電がイノベーションも含めてどれだけ拡大できるのか、こういうことの中で具体的に原発ゼロに向けての工程表が具体的に見えてくると思いますので、そういった過程の中で、随時、緊密に、今までの国策に協力をしていただいた自治体とは連携をとりながら協議を進めていきたいと考えているところでございます。
(問)10月1日に新しい政務三役になってから政務三役会議後の記者ブリーフィングが開かれていないと思うのですが、経済財政、国家戦略担当の政務三役会議は開いていないのでしょうか、それとも記者ブリーフィングをやめたのでしょうか。
(答)前者です。まだ開いておりません。
(問)それは、岸本政務官が経産省と兼任していることが影響している、忙しくてできないなど、そういうことでしょうか。
(答)みんな多岐に仕事がわたっていまして、調整努力はしてくれています。もう随分前から調整はしてくれておりますけれども、いろいろな会合で顔は合わせます。合わせますが、では、落ち着いて政務三役、これからどのようにというところまではいっていない。もちろん私どもが政務三役を拝命した後の、2日後か3日後の土曜日に勉強会を午後やりましたので、そういう意味ではみんなで顔を合わせておりますし、その後、懇親会も私、白副大臣、それから岸本政務官、加賀谷政務官を含めて、役所の主要なメンバーの方々と2時間ほど懇親会をやりました。顔を合わせてはいるのですけれども、政務三役会議という括弧書きのものとしてはまだできていないということでありまして、やったらブリーフはさせていただきます。
(問)先ほど、エネルギー基本計画の質問なのですけれども、スケジュールのお話があったのですけれども、その中で、30年代に原発ゼロを目指すということは盛り込まれる予定でしょうか。
(答)エネルギー基本計画をまとめられるのは経産省であります。そういう意味においては、私が今から、まだ議論もしていないものに、どういった内容であれ、盛り込まれる、盛り込まれないと言うことは妥当ではないと思います。今後も議論されることになるのではないかと思います。
(問)原子力政策についてなのですけれども、「立地地域対策の強化」という項目が入っているのですが、ここでいう原発の立地地域というのは、もう既にできている既存の地域なのか、それとも、これから新設される大間や島根など、そういった地域を指しているのか、どちらでしょうか。
(答)島根と大間については、設置許可と、建築計画認可がもう下りておりますので、そういう意味においては、その協議には含まれるということであります。
他方で、まだそういった設置許可等がなされていないところで原発の計画があったところもございますが、それについては、政府として原発の新設は認めないということではありますけれども、発電所をつくるという前提で今までその地域が取り組んでこられましたので、そういった地域との話合い、また、国としてでき得る協力はしっかりとやらせていただきたいと考えております。

(以上)