前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月17日

(平成24年10月17日(水) 17:48~18:13  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

本日、臨時閣議におきまして、総理から私を中心に経済対策を策定するように指示がございました。
総理からは、お配りをしております内閣総理大臣指示「経済対策の策定について」に沿って、以下のとおり発言がございました。
景気が弱めの動きとなる中、景気下押しリスクに対応し、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取組を加速していくことが喫緊の課題となっている。このため、まずは今年度予算を本格的に執行できる体制とすることが必要であることから、特例公債法案の早期成立に全力を挙げることとする。
あわせて、「日本再生戦略」における重点3分野(グリーン、ライフ、農林漁業)をはじめとする施策の実現前倒し、東日本大震災からの早期の復旧・復興及び大規模災害に備えた防災・減災対策、規制改革や民間の融資・出資の促進策など財政措置に頼らない経済活性化策を中心とする経済対策を経済財政政策担当大臣を中心に策定をお願いする。その際、財政措置を伴うものについては、財務大臣と十分に内容を協議されるようお願いする。
その上で、遅くとも来月中をめどに経済対策を決定し、速やかに実行に移すこととする。また、経済対策決定前においても、現下の経済情勢も踏まえ、上記の柱に基づいて、緊要性の高い施策については今月中の予備費の使用決定を検討されるようお願いする。
各所管大臣におかれては、以上の取組を通じて、現下の経済情勢にできる限り目配りをしていただくようお願いする。また、今後の経済財政運営については、特例公債法案の成立や経済対策の実施を含めて野党各党の御協力が不可欠であり、引き続き協力を呼びかけていきたいと考えている。
総理に続きまして私から、我が国の景気はこのところ弱めの動きとなっており、先行きの不透明感も高まってきている。このため、大震災からの復興と景気の下振れ回避に万全を期すとともに、デフレ脱却と経済活性化に向けた取組を加速し、切れ目ない政策対応を行っていくことが必要である。本日の総理の御指示に基づき、効果的な経済対策を策定していきたいと考えている。
デフレ脱却と経済活性化に向けては、適切なマクロ経済運営とともに、経済構造を変革することが不可欠であり、今回、経済対策では「日本再生戦略」を前倒しすることにより、こうした取組を加速していきたいと考えている。
また、円高に対しては、むしろ円高メリットを活用する施策を含めるなど検討を進めていきたいと考えている。
関係各大臣におかれては、経済対策の策定に当たり御協力いただくようよろしくお願いすると発言をした次第でございます。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)総理の指示で「緊要性の高いものは予備費の使用を検討されたい」とあるのですが、その緊要性のない来月中をめどに対策を決定するものは、予備費から支出するということですか、それとも補正を組むということですか。
(答)経済対策を遅くとも来月中に取りまとめる。そして、緊要性のあるものについては予備費を活用する。緊要性がないといっても、現下の足下の景気下振れリスクというものに対応するものですから、おのずと緊要性というのはあるのだろうと思います。
それ以降の、もし財源が必要となるものにつきましては、与野党間でどういう議論に今後の国会の持ち方がなるのか、あるいは特例公債法案の成立が、総理がおっしゃるように一番重要な経済対策の前提になるわけで、それがどのような形で、お互いの話し合いがまとまるのか、まとまらないのか、あるいはまとまるとすれば、一部には減額補正の話も出ている中で、それがどういったものになるのか、まだまだ不確定な要素が多々あるわけでございますので、補正ということを決め打ちしているわけではございませんけれども、一つの選択肢には入り得るだろうと思います。それは、あくまでも今後の国会の持たれ方、そして与野党の協議によるのではないかと考えております。
(問)「来月中をめどに」とありますが、緊要性はないとはいえ、それも緊要性があると先程おっしゃいましたが、でしたらもう今月中をめどにつくることもできるのではないかと思うのですが、なぜ来月中ということなのですか。これだと自民党や公明党が11月の解散を求めていることに対して、何か牽制するような意味があるのかなと勘ぐってしまいますが、その点は如何でしょうか。
(答)それは全くないと思います。
皆さん方も御承知のとおり、また私も繰り返し申し上げているとおり、特例公債法案が成立していない中で、このまま日にちを重ねていきますと、11月末には財源が枯渇する可能性が極めて高い。予備費も当然予算の中に入っているわけでありまして、執行抑制をしている中で、他方で予備費といいましても、予備費が全額使えるかどうか分からない。枠はあっても、全額使えるかどうか分からない。しかし、その緊要性の高いものについてはしっかりやっていくということでありますし、また、今後、3党の党首会談も開かれるでありましょう。また、国会を開いていただいて、様々な御議論をしていただかなくてはなりません。そういった話し合いが与野党で進んでいく中で、私は特例公債法案の成立とそして来月中にまとめる経済対策実施のための体制、すべて財源を必要とするものではないと思いますけれども、それも恐らく出てくる可能性もあるということになれば、やはり国会の中で、ねじれ状況の中で、与野党の話し合いの中で、物事をまとめていかなければいけないという現実がある中での御指示でございますので、むしろ与野党の円満な協議の中で、経済対策も進めていければと私は願っております。
(問)そうしますと、11月末に財政資金が枯渇するので、枯渇しない前に予備費をもって予算を措置するものについては10月中に決めるという考え方で良いのですか。
(答)予備費というのは、皆さん方御承知のとおり、一般会計の中にもございますし、経済対策という枠の予備費もございますし、そしてまた、復興特別会計の中にもございます。
今後、もしこの予備費を使うというものを各省の中で経済対策として、また総理が御指示をされた三つの条件の中に当てはまるものが出てくれば、使うことを今月中に決めるということになろうと思います。
(問)そうすると、予備費を超えてさらに赤字国債、あるいは建設国債の発行が必要となるような、補正に絡むようなものまで、そういうものについては来月以降、政治的な状況も見ながら考えていくという考え方になりますか。
(答)その財源がどういうものになるかどうかというのは、今後、財務省との話し合いになってくると思います。したがって、その新たな赤字国債など、そういうものを今は全く前提とはしておりません。
(問)そうしますと、政府として当面、一番手堅い対策の規模としては、数千億円から1兆円ぐらいのところというふうに、予備費の額からするとそういう形になると思うのですが、それでいいのでしょうか。
(答)予備費の枠は先程申し上げたように、経済対策のものと一般会計のものと、そして復興のものとがあるわけですね。その中で、どういう要望が各省から出てくるかといったところが大きなポイントになろうかと思いますし、それを踏まえて、どれぐらいになるかということを我々としては見極めたいと考えております。
(問)景気の下振れリスクを回避するためには、少なくとも今の政府ができる中での予算規模として、経済財政担当大臣としては、どれぐらいを考えていらっしゃるのですか。
(答)中身にもよりますね。今日、総理から御指示があったのは予算を伴うもの、もしくは伴わないもの、これも含めてでありますし、また、私から各大臣に閣議でお願いをいたしましたのは、むしろ円高メリットというものを活用して、何かができるかどうかというものを考えていきたいということを申し上げました。したがって、その財源規模だけで何らかの効果をということのみならず、やはり様々な形でできることは手を打つということになろうかと思います。
また、仮に経済財政担当として一番何が必要だと考えているかと聞かれれば、もちろん今月中の、どのぐらいの規模になるか分からない予備費も大事ではあるかと思いますけれども、何といっても特例公債法案が与野党の合意のもとで成立をするということが私は何よりもまず重要なことであると考えております。
(問)日本再生戦略の施策の実現前倒し、グリーン、ライフ、農林漁業とありますが、この中で恐らく求められているのは、即効性のあるものだと思うのです、今の景気の状況を考えると。そうすると、即効性のあるものでこのグリーン、ライフ、農林漁業のものを各省に上げてもらって、その即効性、あるいは景気への刺激の意味があるものを優先的に選んでいく、そういう考え方でしょうか。
(答)今、国家戦略室で予算編成の基本方針の策定に着手をしている。その前提というのは、日本再生戦略のフォローアップであります。そして、日本再生戦略の三つの大きな柱がグリーン、ライフ、そして6次産業化ということでございます。
そして、この予備費を使うかどうかということのまずタマというか、内容について上げてくるのは、それぞれの役所であります。そして、我々国家戦略室もそれに連携をしながら、前倒しが必要なものなのかどうなのかということと、財政当局の査定も必要になってきますので、そういった相談をさせていただきながら、決めていくことになるのではないかと思います。
いずれにしても、まずは一義的にこのグリーン、ライフ、6次産業化の予算をそれぞれの担当省庁が今回の総理の指示に基づいて上げてこられるということが前提となり、それをしっかり我々、また財務省とも話をしながら、まとめていくことになるのではないかと思います。
(問)先程から円高メリットを活用するというところをあえてつけ加えていらっしゃるというのは、この重点事項の中で言うと、例えば一番下のアジアを初めとする海外の成長を取り込むためのM&A、インフラ輸出の促進、こういったことを念頭に置かれているという理解でよろしいのでしょうか。
(答)政府の円高対策の中に、例えばJBICは外為特会から融資枠を約10兆円設けまして、これによって海外資産、対外資産というものを取得する。そのための融資枠が10兆円程度用意されているわけでありますが、私が現状聞いたところによりますと、まだ1兆円台であり、8兆円以上の枠が残っている。あるいは産業革新機構、このいわゆる活用枠につきましても、1兆8,000億円程度あったと思いますけれども、それにはかなりのまだ余裕があると。こういったものを活用して、あるいは他にあるかもしれませんが、まずは円高対策として政府がつくったこのスキームがまだまだ使われずに残っている。円高であるがゆえに、こういうスキームを利用して、むしろ今、優良な資産をしっかりと取得するということは、大事なことではないか。そのことも含めて、私から閣議でお願いをしたということでございます。
(問)解散権は総理にあるという大前提ですけれども、経済閣僚として、過去麻生内閣もリーマンショックで解散見送った経緯もありますけれども、今は全然違うでしょうけれども、経済閣僚として現下の状況とこの解散打つようなときであるかどうか、その観点からお願いします。
(答)経済財政を見させてもらう立場からすると、ヨーロッパ、アメリカ、中国経済が弱含みであるということの中で、総理も危機感を持って、今回の経済対策を御指示されたのだろうと思います。総理の危機感、思いというものをしっかりと受け止めて、今与えられた条件のもとで、良い対策をまとめたいと思っているところでございます。
もちろん弱含んでいることについては、危機感は総理と共有をしておりますけれども、リーマンショックは、これは百年に一度と言われたものでありまして、それと比べるということには私はならないと思います。
いずれにしても、切れ目のない財政、そして金融政策、あらゆる施策を投入し、そして足下の景気をしっかりと建て直しをする中で、我々の当面の目標であるデフレ脱却を実現するために、努力をしていくことが必要だと思います。
解散につきましては、総理が総合的に御判断をされることであって、私が申し上げることはございません。
(問)今切れ目のない財政金融政策という話がございまして、今回の経済対策の指示を受けて、経済対策の連携という意味で、金融政策に期待することがあればお話しください。
(答)累次申し上げておりますけれども、日銀自身が2月の政策決定会合において、中長期の物価上昇率2%以下のプラスの領域、当面は1%を目途にということをおっしゃっている。しかし、それが実現をできていないわけでありますので、強力な金融緩和を推進していただくことを改めて我々としては、願っているということを申し添えておきたいと思います。
(問)先程大臣は野党との関係の中で、牽制する意図に関しては全くないというお話がありましたけれども、重ねてで恐縮ですが、自民党からも解散先延ばし対策ではないかという声が上がっていて、そういう指摘は当たらないというお立場だと思うのですけれども、この時期に至って、野党がこうした取組について、すべて解散に絡めてくることについてどのようにお考えか、もし御見解があればお願いします。
(答)野党がどうお考えなのかということを私が論評する立場にはございませんし、現下の政治状況においては、野党の協力なくしては法律は一本も通らない、そして目下の最大の課題である、経済の面での課題である特例公債法案も、野党の御協力をいただかなければ通らないという状況にあっては、我々はこの経済対策というものは、現下の足下の状況を見て、危機感を持って総理から御指示をいただいたということであり、このことをもって引き延ばしをしたりなどということでは全くない。総理の頭の中には、そういう思いは全くないということは、私から自信を持って申し上げたいと思います。
したがって、どういうお話し合いに3党党首でされるか、分かりませんけれども、虚心坦懐にお話をされ、そして恐らく野党の党首、野党の皆さん方も現下の日本の経済状況については、危惧をされていると思いますので、是非御協力をいただいて、そして速やかに経済対策が成立をする、あるいはその大きな柱である特例公債法案の成立に御協力をいただければありがたいと考えております。
(問)現在、特例公債法案が通ってないことにより、特に地方に対して執行抑制がかかっておりまして、地方交付税の3分割など、特に財源余力のない地域が非常に困っておる状況です。
そういう中で、こういう当然経済対策として必要だということは前提なのですが、こうやって新たにお金が投資されていくことについて、地方から見ると、少し割り切れない面もあるのではないかと思うのですが、それに対して御意見をお聞かせください。
(答)そういう御意見が出てくることは、私は当然想定をされると思います。ただ、与えられた所与の条件のもとで、最大限景気に対してしっかりと対応するのが政府の役割でございますので、それを勘案しながら我々として対応する。
そして、繰り返しになりますけれども、そういった状況を打破するために、一日も早い特例公債法案の成立を与野党で御議論いただいて、望んでいるということをつけ加えさせていただきたいと思います。
(問)現在月例経済報告が3カ月連続で下方修正されておりますが、この今回の経済対策、すべて実施されれば、そういう今の下押し圧力に対して、ある程度の歯止めになると、日本経済を下支えするのに十分であるという御認識でよろしいでしょうか。
(答)これからどういう経済対策を各省が上げてこられるかという中身にもよりますし、また執行抑制をかけている中で、予備費の使い道というものもおのずと制約がかかる中で、どれだけのものができるかということは、今後しっかりと話し合いを政府の中で進めていかなくてはいけないと思っておりますけれども、結果というよりも、今我々ができる範囲のことの中で、最大限のことを行うということであり、繰り返しになりますけれども、そのためにも一日も早い特例公債法案の成立が望まれているということも、野党の皆さん方も御理解をいただいていると思いますので、是非御協力をいただければありがたいと考えております。
(問)少し個別の案件で恐縮なのですけれども、iPS細胞の話が盛り込まれているのですけれども、これについて何か具体的な方策、イメージ、あるいは内閣府としてすべきことがあれば、御提案、御政策を教えてほしいのですけれども。
(答)このライフに関わることについては、基本的には厚生労働省、あるいは文科省で話し合いをされる中で、個別の中身については上がってくるのではないかと思います。我々としても、内閣府の科学技術を担当するところでございますので、緊密に連携をとりながら、厚生労働省、文科省が上げてこられたものについて、いい形で協力できるように努力をしていきたいと考えております。

(以上)