前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月9日

(平成24年10月9日(火) 10:53~11:13  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私から2点お話をいたします。
本日、閣議におきまして山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞の御受賞にあたりまして、以下の発言を行いました。
「本年のノーベル生理学・医学賞に京都大学の山中伸弥教授が、その優れた御業績により受賞されることになったことについて、心からの敬意と祝意を表するものである。世界的にも認められる優秀な研究者の輩出は、後に続く人材の目標となり、新たな挑戦の意欲をかき立てるものである。この受賞を契機に、若い人々が科学技術に関心を抱き、自ら進んで積極的に新たな道を開拓するよう発奮し、我が国の科学技術活動全体の裾野が広がることを心より期待をしている」と、こういう発言をいたしました。
次に2点目でございますが、電力需給について、需給検証委員会を開催いたします。
この夏に、電力需給の安定化のために国民の皆様方に節電をお願いし、結果として、電力需給が逼迫することなく節電期間が終了いたしました。改めて国民の皆様方の御協力に感謝を申し上げたいと思います。
公平性・透明性を確保した形で電力需給を検証するため、本年4月に、電力需給検討会合、座長は官房長官、そしてエネルギー・環境会議、議長が国家戦略担当大臣でありますが、このもとに電力需給検証委員会を設置いたしまして、今夏の電力需給見通し等の検討を行いました。
10月12日金曜日より、今夏の電力需給実績の検証を行うとともに、この冬の電力需要の見通しなどを検証するために、今春に引き続き需給検証委員会を開催する予定でございます。委員長には白眞勳副大臣をお願いしたいと思っております。
なお、月内を目処に本委員会の検討の取りまとめを行い、それを踏まえまして政府として、この冬の電力需給対策を速やかに決定したいと考えております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、御発言のあった電力需給委員会についてお伺いいたします。
 まず、メンバーは民間の方が入られていたと思うのですが、このメンバーに対して異動がないのかということと、今回、恐らく対象になるのは北海道電力だと思うのですが、この北海道電力に今年の夏のように、いわゆる計画停電の準備をお願いすることになるのか、そこを2点教えてください。
(答)まず、需給検証委員会の構成員でございますけれども、まだ案の段階でありますが、委員長が白眞勳副大臣、副委員長に松宮経産副大臣、それから委員は、基本的に変わっておりません。秋池さん、秋元さん、阿部さん、植田さん、大島さん、荻本さん、柏木さん、笹俣さん、松村さんの各委員で構成したいと考えております。
 二つ目の御質問でございますが、正にそういったものも含めてこの需給検証委員会の中で御議論をいただくことになりますので、現段階で何らかの予断を持ってお話しすることはございません。
(問)関連ですが、いわゆる節電目標は不可避だと思うのですが、この節電目標、例えば10%など、そういうことについてもこの結論を待ってということになりますでしょうか。
(答)そういったものも、この検証委員会で御議論いただいた後に、各電力会社が決定をするということになろうかと思います。
(問)今日からIMF・世銀の年次総会が始まりますけれども、IMFが経済見通しを出して、それが12年度、13年度が世界と日本それぞれ下方修正になっておりますけれども、そのことに対する受け止めと、それから年次総会に対してどのような期待を持っていらっしゃるかということをお願いいたします。
(答)おっしゃるように、日本の経済成長率は、2012年の暦年でありますけれども、実質GDPの0.2%ポイントマイナスと、そして2013年、暦年でございますが、0.3%ポイント下方修正ということをIMFは見通しで言っているわけであります。これは世界全体の景気の後退、低迷、また、それに伴う内需の関連がカウントされているのではないかと思います。それぞれの国がこういった現実をしっかりと踏まえて、そして政策対応してきておりますので、来年、緩やかな回復に向かうような努力がなされていると思いますし、また、我々もそのための努力はしていかなくてはいけないと考えております。
その上で、世界全体がやはり一堂に会して、今の世界の経済状況というものをしっかりと共通認識を持った上で、透明性の高い、そしてお互いが協調していく中で政策目標なり、あるいはその協力関係を打ち立てるという意味においては、大変意味のあることだと思います。しっかりと、日本は日本の立場というものを主張しながらも、国際協調の中で、どうやって世界全体の問題を解決していくかという観点で財務大臣、また日銀総裁は臨んでいただきたいと考えております。
(問)外債購入についてなのですけれども、大臣かねてから強調されていると思うのですけれども、こちらは日銀法の改正を見据えたものなのか、それとも、現行法の枠組みの中でやれると考えていらっしゃるか、改めてお考えをお聞かせください。
(答)ベースにある問題意識として、従来私が政調会長をしていたときも申し上げているのは、やはり財政出動というものに極めて大きな制約がある中で、もちろん日本再生戦略の着実な実行を含めて、日本経済の体質改善を図っていくということが大前提、ベースではありますけれども、それをしっかりと補強するためにも、各国が金融緩和をやっているわけです。そして、やはりそういうものをやらなければ、金融緩和の総体的な格差の中で、円高基調になっているという見方も根強くあるわけです。
また同時に、日銀自身がこの中長期的な物価目標を、2%を下回るプラスの領域でということをおっしゃり、そして当面の目標として1%を目処と考えているということであれば、それに対してしっかりと政府と協調しながら、早期に実現をする、結果を出すということが大事なことではないかと思っております。その際に、どういった金融緩和の手法があり得るのか、あるいは政府と日銀の協調のあり方があり得るのかという中で、緊密な連携という口だけ、話をするだけではなくて、例えばもう少し明確な共同目標としてのアコードというものも、それが十分でなければあるのではないか。あるいは、外債購入というのは、金融緩和と同時に、為替介入と同じ意味合いがあるのではないかという見方があります。その視点で御質問をされていると思いますけれども、私が今まで申し上げてきたのは、金融緩和をしていくということの中で、その手段としてとり得るものではないかということを申し上げてきたわけで、為替介入ということの観点であれば、法改正も必要になる可能性はあるわけでありますし、また、財務大臣が一義的には責任を持つということになるわけでありますけれども、様々な金融緩和の一環としてそういったものがとり得るのではないかということを私は申し上げてきたわけであります。最終的には政府と日銀の協調の中で金融政策を決められるのは日銀でありますので、協調をしっかりしていく中で日銀が判断をされるべきことであろうと考えております。
(問)昨日、山中教授がノーベル賞を受賞されたことに関してなのですけれども、山中教授は会見等で、「しかし、国の予算等に関しては、まだまだ足りないのではないか」というようなことを示唆したり、かつて、「竹やりで戦っているようなものだ」という発言があったように、国の支援のあり方というのは、考えようによってはまだやりようがあると思うのですけれども、これについて内閣府はFIRST等取組をされておられると思いますが、これ以上の取組として何かお考えがあるのか、あるいは来年度予算等へも反映等何かお考えがあれば教えてほしいです。
(答)今朝電話で、ようやく話をいたしましてお祝いを申し上げたところであります。それと同時に、山中教授御自身は、今までの国の支援というものに感謝をされておりました。ただ、昨日のぶら下がりで私がお話をしたように、数年前に私が山中教授の研究室に行ったときには、京大医学部の附属病院の南西病棟の一部を間借りされているような状況でありまして、病室にお見舞いに行くと言って、そしてその研究室に行けるようなセキュリティも大変問題がありましたし、また、極めて手狭なところで研究をされていた。しかし、そういう環境のもとでもすばらしい発明をされたということは、やはり山中先生をはじめ、その取り組んできた方々の努力の賜物と言えるのではないかと思っております。
50億円、30名の学者の方にお渡しをするということで、その中に山中教授も入っているわけでございまして、これによって飛躍的に研究環境は改善されたと思っております。ただ、我々が今注目をしなくても、ともすれば、山中教授のように、世紀の発明のような研究をされている研究者の方々は沢山おられると思います。その方々をどうやって引き上げていくのか。ただ単に科研費を増額する、これも大変重要なことでありますし、やっていかなくてはいけないのですが、メリハリも大事だと思います。したがって、そういう意味においては、どこにお金をつけていくのかという目利きの部分がこれから相当大事になってくるのではないかと私は思っております。またそういう目利きの人材も育てなくてはいけないし、そういう方々の御尽力をお借りして、そして選択と集中という形で伸ばすべき分野等々にはしっかりとお金を入れていかなくてはいけないと思っております。
また、科学技術全般の様々な研究があると思いますけれども、我々今、グリーンと、そしてライフというものに成長戦略の柱を置いているわけであります。それプラス6次産業化というのもありますけれども、このやはりグリーンとライフを将来的に更にイノベーションにつながるようなものについては、特に注視をして、そして選択と集中をしていかなくてはいけない点ではないかと思います。
今回のこの山中教授のノーベル賞御受賞を一つの契機にして、これからこれを生かした取組については、相当程度我々は政策的にもバックアップをしていかなくてはけないと思っておりますし、この点についても今日、閣議後の閣僚懇談会の中で、私も発言をいたしましたし、他の大臣からも発言があったところでありますので、協力をしながら伸ばすものについてはしっかり伸ばしていきたいと、このように考えているところであります。
(問)確認なのですけれども、山中教授との会話内容を、差し支えなければ教えてほしいのと、FIRST以外の支援策をさらに何かお考えということでよろしいのでしょうか。
(答)会話内容は、閣議の前の郵政民営化の会合の直前に電話がかかってまいりましたので、それほど長くお話をしたわけではありません。お祝いを申し上げ、そして我が事のようにうれしいということを申し上げ、そして、ある勉強会で御一緒しているものですから、またその場でお会いをしたいですねということを向こうからもお話がございました。そして、私からは、この分野というのはこれから政策面でしっかりとバックアップしていかなくてはいけないテーマであるので、何なりと、またいろいろとアドバイスをいただきたいということを私から申し上げたところであります。
それから、他のものについて何か検討するかということについて、今後の検討課題であろうと思います。今までやってきたことについても、また切れますので、切れた後どうするのか、今まで予算がついていたものに研究が継続してできなくなるということもあります。したがって、またこの30名と同じようにやっていくのか、やっていかないのかということも含めて、今ご指摘のような、継続性と、別のものや、あるいは拡大をするのかということも含めてしっかりと議論していきたいと考えております。
(問)先程、政府・日銀のアコードのことについてもまた言及をされたのですけれども、野田内閣1年以内のデフレ脱却というのを掲げる中で、今の日銀の取組状況をさらに促すために、今やはり政府、日銀はアコードを締結すべきタイミングにあると思われますでしょうか。
(答)政府の責任者は、野田総理でありますので、野田総理がどう御判断をされるのか、今の日銀の取組について御満足をされているのか、されていないのか、それを具申する一つの閣僚の立場にいると私は認識をしておりますけれども、繰り返し申し上げているように、やはり結果を出していかなくてはいけない。日銀自らが2月14日の政策決定会合において、当面は1%の消費者物価上昇率というものを目途にという目標を立てていて、物価上昇率はまだマイナスですよね。緩やかなデフレが続いている状況であって、それについてどう考えるのか、どう責任を負うのか、そういう意味で強力な金融緩和を行ってほしいということを繰り返し申し上げているわけでございます。そういう取組が今後もどのようにされるのかということを踏まえて、やはりアコードも私は一つの選択肢として持っておくべきテーマではないかと思っております。最終的に御判断をされるのは、野田総理大臣だと思います。
(問)確認ですけれども、この局面において、1%という目標を達成するためにアコードというのを提起することも一つの選択肢として政府、日銀は持つべきだとお考えでしょうか。
(答)と私は考えているということですね。しかし、最終決定をされるのは、総理大臣であります。ただ、繰り返しになって恐縮ですけれども、日銀自らが掲げた目標について目標は達成されていない。その中で、我々は強力な金融緩和を推進してもらいたいということを常に申し上げているわけでありますし、それが足りないのであれば、政府としてどうやって日銀がその目標を達成するためにという一つの選択肢に私は考えているということであります。

(以上)