下地内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年10月26日

(平成24年10月26日(金) 10:55~11:23  於:合同庁舎第5号館3階特別会議室)

1.発言要旨

  今日、閣議で、経済危機対応・地域活性化予備費等の使用について決定が行われましたので、御報告をさせていただきます。私どもの方では、この予備費において、内閣府防災関係で中央防災無線網等の緊急整備を行います。これは2.6億円で行います。内訳としては、中央防災無線網の電波障害等と最高裁への中央防災無線網の整備、これを1.8億円で行います。それとあと防災減災戦略プランというもの等に0.8億円で、全部で2.6億円のものを行うということになります。
 防災減災戦略プランは、南海トラフの巨大地震対策、その最終報告は来年発表されることになっておりますから、各省の減災対策による災害目標やその達成のために必要な防災対策の内容、その効果をパッケージでまとめるということをプランにしようということであります。そのことは、今さまざまな被害想定とかを出しておりますけれども、どういう減災対策をやるのか、この減災対策がどういうふうな成果を及ぼすのかと。こういうふうなプランニングを出しておくことが必要だというふうに思っておりますから、そのことをきっちりと国民に示すためにこの予算でやっていきたいということであります。
 あと、高知県の現地視察を行いました。黒潮町で副町長さんから、津波が34メートルという高いところがありますので、その中でどう対策をしていくかといういろんなお話を聞かせていただきました。特に、不安と諦めという言葉をおっしゃっていたことには、非常に愕然とする思いでしたので、防災に対する対策をしっかりとしていかなければいけないというふうに思っております。
 また、郵便局を見てまいりましたので、この郵便局も高台移転をするんじゃなくて、この郵便局が、津波のときに取り残された方が万が一おられるとしたら、その避難場所になれるような、そういうふうにならないのかというようなことをお話してまいりました。
 あと、知事、市長ともいろいろと御相談をしてきて、予算の問題、それと特区を私がやりたいと申し上げておりますから、この特区の話についてどういうふうな仕組みをつくるのかということにしていきたいと思います。
 今日の閣議の話でも、全国防災予算に対して厳しい話がありましたので、そのことについても、1回マスコミで報道されると、防災というものがなかなか理解されないような、そういうようなものに対応しようとするところがあるので、私の方としては、これはしっかりと法の下で被災地、被災者の皆さん、そして全国防災と決められた予算なので、厳しく予算を見ていくことは大事ですけれども、しっかりと防災という概念は予算の中で位置付けられるようにしていきたいと思っております。
 それで、今日、日本郵政の株式の問題でありますけれども、今日はちょっと一部の新聞報道にもありましたが、私が8時半から会社側と話をさせていただいて、方向性として、3年を目途として株式市場及び業務の状況等を踏まえつつ、できるだけ早期の上場を目指し、日本郵政の株式の上場が可能となるよう、体制の整備を図ると。こうしたスケジュール感を持って所要の準備を進めたいと。併せて、このことを29日の郵政民営化委員会で説明を会社側からしていきたいというふうに思っております。私としては、このような方針のもとで株式処分に向けて進めることについて了承をいたしました。今後、政府や西室委員長の意向も踏まえ、精力的に取り組んでもらえると考えております。
 この前、11月の前半だという話でありましたけれども、今日、会社側と話をして、この方向でいいのではないかというような結論に達しましたので、西室委員長にそのことをしっかりと委員会でお話をしていただいて、株式の売却のスケジュール感も示して、新規事業の今の論議が深まるようにしていければなというふうに思っております。
 私から報告はこれだけです。

2.質疑応答

(問)TBSの菅野と申します。昨日、石原都知事が新党を結成すると発表しましたけれども、それについての率直な御感想をお聞かせいただけますか。
(答)やはりこの国をよくしたいという思いで新党をつくられて、次の衆議院選挙にチャレンジしていくということは、私としては非常に政治家として高い評価ができるものではないかなというふうに思っておりますから、そういうふうにさまざまな思いを持って新党をつくられて、そして選挙という国民の信を問い、結果が出てくるというようなこと、お互いの政策をぶつからせていくということは非常にいいことだと思いますから、政策の違いがあるとかないとかというのを抜きにして、政治がこうやって果敢にチャレンジしていくということについては、私たちも十二分に見習って、今、政府にいる者として政策でしっかりとさまざまな対応をしていきたいというふうに思っています。
(問)すみません、日本テレビですけれども。全銀協の方は金融2社の方の売却スケジュールも示してほしいというふうなことだったんです。それについては。
(答)金融2社については、私の方からこの前お話をしておりますけれども、この親会社の株が半分、2分の1、売却をしたときから、しっかりと金融2社については売却スケジュールを示して進めていくべきだというふうに思っております。まずは政府が、強い支配権を持っている親会社をどんどん株式を売却することによって、株主が新たな民間の方々が増えてきますから、そういうふうな方々の意見も聞きながら、金融2社の株は売っていくということが大事かなと思っておりますから、政府の関与の50%を過ぎた段階からスケジュール感を示して、金融2社も売り始めるというようなことがいいのではないかというふうに思っていますけれども。
(問)日本郵政株、3年後を目処に上場することなんですが、この3年の根拠はどのようにお考えでしょうか。それと、大臣は以前、上場基準として3回の決算を出していることとおっしゃっていましたけれども、日本郵政という会社は、既に設立から5年が経っているわけで、3年という上場基準は当てはまらないのではないかという意見もあるんですが、それを踏まえて3年という年限をどのようにお考えでしょうか。
(答)5年間そのままやっているんだったら、すぐにでも売却スタートできるというのが考え方としてありますけれども、やはり5社が4社になったと。これが10月に行われることになったと。それが、私どもの聞かせていただいた話では、金融は一緒、それと保険も一緒、それで局会社と、郵便会社が一緒になってといって、郵政会社が親会社が成立しているというふうになっていますから、この3社が成立をした時点において、一つの3年後というのが、3回の決算というのが一つの基準だというふうに私は考えていますし、郵政としてもそういうふうな認識は持っているんじゃないかというふうに思っていますから、3年の基準というのはやっぱり3回の決算。子会社が3社になって3年の決算、それが一つの基準かなと思っていますけれども。
(問)すみません。西室委員長はこれまで上場スケジュールが提示されていないことから、年内の新規業務の認可申請は難しいのではないかと言っています。ただ、今回、日本郵政側がかなりのスピード感を持ってスケジュール感をまとめてきたことで、その遅れを取り戻せるんじゃないかという見方もあるんですが、新規業務の目処についてどういうふうにお考えですか。
(答)まず、この株式のスケジュール感を示すというのは初めからやるべきであって、これで新規業務、論議がしっかりできるスタートラインには立ったというふうに思っています。何度も申し上げますけれども、3年以内を目途ということでありますから、その間に株式は売りますよということもはっきりと示させていただいた。また、金融2社の売却についても、親会社の50%を売却というようなことを一つの基準としながら、売却をしていくというような方向性も示させていただいたということでありますから、それを受けてこれから新規事業のスケジュール感を考えていかれるというふうに思いますから、この辺は西室委員長にお任せをしたいというふうに思っておりますけれども、西室委員長がやりやすい環境は前よりは十二分に整ったのではないかなというふうに思っていますから、その環境を生かして、短い時間でできるかどうかということは、委員長の御判断にお任せをしていきたいというふうに思います。
 ただ、このスケジュール感を示したからといって、金融全体が了解をしているわけでもありませんし、また、全体が了解しないとできないというわけでもありません。しかしながら、私どもはできるだけ理解を得ながら進めていきたいということになってまいりますと、やはりこの次の私たちが考えていかなければいけないのは、今の申請をしたもの、そのものだけで申請が果たしてスピード感が増すのか、それとも申請しているものに工夫があれば、もっとスピード感が増すのかとか、こういう論議は株式の売却のスケジュール後の課題として取り組んでいかなければいけないんじゃないかなというふうに思っています。
(問)すみません、通信文化新報です。今の時点の株式に関する本当の意味の権限というのは、下地郵政民営化大臣になるのか、それとも財務省の財務大臣になるんですか、どちらでしょうか。
(答)方向性を示すのは郵政担当大臣じゃないでしょうか。今日、財務大臣にも報告はしておきましたし、総務大臣にも報告はしておきましたけれども、企画立案、その決断は郵政担当大臣がというふうに思っていますけれども。
(問)一つ確認ですけれども、先ほど金融全体が了解できるとは思わないし、また了解がなければできないというわけでもないということで、一定の理解は得られるとお思いでしょうか。
(答)まず、このスケジュール感を金融業界から聞いてまずスタートしたことでありますから、後退はしていませんね。しかし、それが全部ものすごい前進だというふうな、そんな甘い認識を持っていませんから、先ほど申し上げましたように、これができ上がった次のステップをまた私たちは工夫していかなければいけないというふうに思っています。
(問)すみません、北海道新聞の小川です。冒頭、閣議の中で全国防災についての発言があったというお話でしたが、具体的にはどなたがどんな発言で、それについては下地大臣はどうお考えですか。
(答)この前の所信表明のときの閣議後の懇談会でいろいろ意見が出ましたけれども、全国防災に対する考え方を厳しくお考えになる人と、私のように、防災というのが、国が被害想定を出したということと、それと第3次補正の中にちゃんと法律の中に組み込まれた全国防災という仕組みがあるんだから、一概的に全国防災を厳しく見ていくというのはおかしいのではないかという論議はさせていただきました。誰とは申しませんけれども、そういう声を持たれて発言なされた方もいましたので、その人に対しても私の方でいろいろと話をさせていただきました。
 今日の閣議の中で全国防災について厳しく見るというような発言、「また、この際復興関係予算についても一言申し上げます。復興事業に関して、特に被災地以外の事業については、参議院の決算委員会や行政監視委員会などにおいて厳しい指摘がなされております。1、全国防災などさまざまな批判を受けている事業。2、新規に予算要求をされている事業などについて、国会、行政刷新会議等におけるご論議を踏まえつつ、被災地の復旧・復興が最優先との考えの下で、緊急性等の観点から、厳しく取り扱うことが必要と考えております。」こういうふうな発言が財務大臣からもありましたので、厳しい声があるということは間違いないと思います。
(問)日本郵政株について、ちょっと聞き漏らしていたら申し訳ないんですけれども、売り方なんですけれども、段階的に少しずつ行くのか。純資産で言えば大体11兆ぐらいあるんですけれども、法律で3分の2とあるんですが、どのぐらいの規模になるかというのを教えていただけますか
(答)規模は市場が決めることなんで、それこそ会社の価値、その会社の価値というのは、今の新規事業がどうやって収益を上げるのか。私が申し上げているユニバーサルサービスという底力みたいなものをどう出せるのかというようなことと、このペリカン便の失敗のような、そういうような経営の失敗がないようにして、効率化をやっていくというようなことを踏まえないと、会社の株の価値というのは決まらないというふうに思っていますけど、NTTのときが4兆円規模でしたかね。そういうものからするとゆうちょに関しては、もう少し評価できる、資産とかですね、会社運営じゃありませんよ、資産とかさまざまなものがあるのではないかなというふうに思っていますから。また、この株式の売却が復興債の財源になっていますから、これが高く売れるということは、国民負担が少なくなる。国民負担を少なくするというのが一番の目的でありますから、できるだけ高くしなければいけないというに思っておりますし、そのことは経済界においても購買力を増すことになるから、経済のサイクルがよくなるということになります。
 しかし、いつも申し上げますけれども、郵政会社がその価値を上げるために新規事業を何でもやるというようなもんではありませんよというようなことだけは、バランスをよく取りながら考えていかなければいけないと思っています。
(問)売り手側が段階的に。
(答)段階的にしか売れないでしょう。規模から考えて。今までの経験からしてもそうです。一挙に市場に売り出すというのは難しいと思いますけどね。
(問)3分の2を売却しきるのはどのぐらい時間を考えていますか。
(答)これは、私が答えられるものではないと思いますね。市場が判断しますから。市場の動向を見ながらやらなければいけませんので。
(問)そうるすとその後のゆうちょ銀株とかんぽ生命の株なんですけれども、ここ達するのはどのぐらいと思われますか。
(答)そこもまだはっきり分かりませんけれども、しかし、この売却というのは先ほど言ったように、もう法律でも書いて財源になっていますから、時間をかけてというのは国民の期待を裏切ることになるんで、そういうふうなことにはならないと思っていますんで、そのことはしっかりと理解しながら進めていきたいと思います。
(問))防災の関係、予備費の関係なんですけど、0.8億円の防災減災戦略プランですけれども、南海トラフにしても、東南海にしても、まだ具体的な経済被害想定が出ていませんけれども、その中でこれをつくることの意味というのはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)今度の予備費で、耐震化、200億円ぐらいついていると思うんです。私が見ている範囲では、こういうふうに全国防災の予算で南海トラフ周辺に予算をつけたということが、この予算をつけたことが減災にどうつながっているという数値がないんですよね。被害想定の数値はそのまま置いてある。しかしここに高台のタワーを造ることになったって、大体1億2,000万かかるそうですから、このタワーを造ること。こういうようなことによって、逃げ遅れる人が少なくなるから、減災的にはどれくらいの数の方々が、33万人と言われている数が100人減りました、200人減りましたと。こういうふうな発想で、防災の予算を使用していかないと、これは国民の理解が得られないから今回のようなことになるんです。
 だから、私は、防災の予算を執行すると同時に、減災の成果を出すということをパッケージでやらないと、これは国民の理解は得られませんよというようなことを申し上げておりますから、それは今の段階から、どういう基準で、どういう仕組みで、この数値を出していくかというのをこの防災減災戦略プランでつくって、来年度の予算から防災予算が執行されたときに、減災の数字がどう出るかというのを考えてみるのは、これは当たり前のことだと思っています。
(問)予算に関連するどのぐらい効果があるかということを示すプランだと。
(答)これも1点必要だし、それとどういう減災の企画がいいのかというのも、いま一度考えてみることも必要だと思っています。私に言わせると、前半でも申し上げましたけれども、特区なんか、今、高台移転をしようとしても、なかなか農地の転用もできないし、用途の変更とか、容積率の解除もできないし。特区と一緒じゃなければできないということが私は考えているんです。役所としてはまだ考えてないようですけれども、そういうふうなことをプランの中に入れていけるかどうかですね。今は減災プランというのは、予知をやらなければいけないということと、対策をしなければいけないということと、防波堤を造らなければいけないということになっていますけれども、この防波堤を造った場合にはどういう効果が出てくるのかというのをもっと明確にしていかないと。
 国土交通省がやるケースがものすごく多いので、国土交通省と一体となって、結果を示す。こういうものがいいよというようなさまざまな仕組みを出していかなければいけないと思っておりまして、私が大臣になって、そういうことを思うようになっていたので、ちょうど緊急経済対策があったんで、是非小さい予算でもいいから、これをまとめてくれというようなお願いをしているんです。
(問)具体的な減災対策によるどれだけ効果があるかというのは、南海トラフのワーキンググループがやっていることだと思うんですけど、それとの選別がいまいちよく分からないんですけれども。
(答)選別というより、南海トラフの被害状況を出すということは明確に最終報告で出ているわけですから、それと私が考えている、私としては最終報告を出すときに、予算の枠組みだとか、特区の方向性だとか、そういうふうなことを踏まえて出していかなければいけないと思っていますから、それを政府側から出すときの、最終報告に併せて出すときの考え方の一つの中にこういうプランをつくりたいなと思っています。
(問)同じ質問を続けるんですけれども、この防災減災戦略プランは大体いつ頃目処に策定する予定なんでしょうか。
(答)これは来年ですね。来年の2月までにつくりたいと。最終プランを出す前までにはつくっておきたいと思っています。
(問)あともう一つ、先ほどの質問にもかぶるんですけれども、今やっている対策ワーキンググループの方で進めている話のこういった成果みたいなものも若干盛り込んでいく。
(答)いいものは全部盛り込んで、またワーキンググループの考え方に私どもの方がプラスをしなければいけないものも盛り込んでつくっていきたいと思っています。
(問)同じ0.8億円の予算、首都中枢機能確保に資する情報通信基盤の整備というのがあるんですけれども、これはもうちょっと具体的におっしゃいますと何があるんでしょうか。
(答)具体的には、大規模災害の発生時における首都中枢機能維持のためのバックアップ拠点となる大阪の合同庁舎に、中央防災無線及び電話交換等を整備する。この前、気象庁でいろいろとお話しいただいた際に、天気予報も東京で1週間とか大阪で1週間とか、そういうふうにしながら、バックアップ拠点をつくっているという話がありましたので、中川大臣のころからもこの話がありましたので、これを具体的に中央防災無線と電話交換機でバックアップ体制をつくるというようなことをしたいというのが1点目です。
 それと総合防災情報システム、被害推定機能の高度化。これは総合防災情報システムの被害推定は現在地震の揺れによる被害のみを対象としているが、津波や火災による被害推計を行う機能を追加することにより、適切な被害推計を可能とするもの。こういうふうな、地震から発生する津波や火災、こういうようなものも盛り込んだ、今、黒潮町に行きますと津波のデータがありますよね。どれだけ押し寄せてくるかとか。そういうのも今の段階でありますが、それに火災とか、そういうようなものを盛り込んだようなデータをつくっていこうということであります。
(問)朝日新聞、赤井です。そうするとイメージとしては、まず南海トラフ、首都直下の経済被害の想定が出て、その後にその結果も踏まえて、2月ぐらいにこれが一旦このプランが出て、その後、3月ぐらいに最終報告という、こういう流れになるんですか。
(答)そうですね。最終報告の前には、私が申し上げた減災プランが出なければ駄目だと思っていますから、予算措置の可能性、特区の可能性、そういうものも含めて、私は出すべきだと思っていますから、最終報告のみがひとり歩きしないような、そういうふうなものにしたいと思っています。
(問)経済被害とかの想定の結果もこのプランに入るし、逆にこのプランも最終報告に反映される。
(答)いろいろなケースを活用しながらやっていく。
 内閣府では防災無線、知事、市町村長とホットラインの構築というのをやっていて、衛星携帯を私が24時間持って、高知の知事さんも持っていて、やるということになったんです。みんなに携帯電話で、私の大臣室の防災電話と議員宿舎の防災電話の番号を渡して、何かあったときはホットラインで話をしていこうと。この前の東北の大震災のときの相馬の市長からの指摘があって、電話がつながらないとかいろいろなことがあったので、誰に話していいか分からないので、是非その窓口をつくってくれという話がありましたから、これをやることになりまして、私もずっと持って歩いています。これのデモンストレーションをこの後やりますから、忙しいとは思いますが、御参加をお願いしたいと思います。

(以上)